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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成21年3月9日(月)17時02分~17時19分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からはございません。

【質疑応答】

問)

今週末のG20の財務相会合についてですが、4月のサミットに向けて11月の前回会合で示された行動計画の検証や報告などが行われる見通しとなっています。前回に比べて、世界経済がさらに深刻化している状況で開催される会合について、どのような期待を持たれているのか、あらためてお聞きしたということと、金融監督規制の在り方に関して議論が具体化していくにつれて各国間の「総論賛成、各論反対」という構図が鮮明になっているように思いますが、長官のご所見をお聞きしたいと思います。

答)

G20財務大臣・中央銀行総裁会議については、直接は財務省の所管ですが、内容的には金融庁の所掌している分野も相当含まれています。今週末の13、14日にロンドンで開かれるということでございます。

議長国であるイギリスから詳細な議題は公表されていませんが、一般論として申し上げれば、昨年11月のG20サミットで合意された金融市場改革に関する行動計画を踏まえ、金融の規制監督に関しては、健全な規制や透明性の向上、国際連携の強化や市場の公正性、そして国際金融機関の改革などについて議論が行われるものと考えています。こういった規制監督の見直しに関する国際的な議論については、今般のグローバルな金融市場の混乱が、まさにグローバルに発生しているという事実に対応して、各国が協調して連携して取り組まなければならないという共通の問題意識がベースにあるということでしょうし、その共通の問題意識のもとで、金融危機の再発を防止し、金融システムを強化していくという共通のグローバルな目標に向かって実効性のある枠組みを力を合わせて作っていくということが期待されていまして、私自身もそういう期待を持っているということです。

各国間の「総論賛成、各論反対」という表現で何を指しておられるのか必ずしも明らかではありませんが、今般のグローバルな金融市場の混乱の中においても、国ごとに、置かれている状況、そして実体経済のほうにも深刻な影響が及んでいる中で実体経済の面でも置かれている情勢がそれぞれ微妙に異なっているという面がありますので、国ごとに重点の置き方や優先順位の付け方に多少の差が出てくるのはむしろ自然なことであって、そういう中で共通のコミットメントを確認しあう、共通の方向性をしっかりと打ち出していくということが、グローバルな金融市場の安定あるいは世界経済の安定に寄与していくことだと思っていまして、そういう共通の問題意識のもとで忌憚のない議論がなされるということは、むしろ自然なことだと思っています。

いずれにしましても、金融庁としても、今回のG20財務大臣・中央銀行総裁会議が、次回のサミットに向けて最大の成果が得られるものとなるよう、外国当局や国内の関係当局などと連携しながら取り組んでいきたいと思います。

問)

株価についてお聞きしたいと思いますが、先ほど日本経団連の方で株価対策に関する提言をまとめたと聞いております。公的機関がETF(上場投資信託)を購入し、広く転換権付きの債券を発行すると、債券には政府保証を付けるので、最終的なリスクは国が負うという枠組みだと聞いているのですけれども、先週長官がご指摘された「株価そのものの過度な変動を緩和する」というテーマに分類されるものだと思うのですけれども、経団連提案についての見方、ご意見をお聞きしたいということと、今日株価がバブル後最安値ということで、一段と市場が冷え込んでいるような状況ですけれども、やはり過度な変動を緩和するという対策は、場合によっては、状況によっては必要だとお考えなのかどうか、そのことも併せてお聞きしたいと思います。

答)

過度な変動を緩和する対策という点につきましては、先週3月4日に「銀行等の株式等の保有の制限等に関する法律の一部を改正する法律」が議員立法により成立し、今、この銀行等株式保有機構による買取りの再開に向けた準備が進められているということですが、この株式買取機構の趣旨というのも、銀行がそれぞれの経営判断で、株式保有を減らしていく、株式保有に伴うリスクを軽減させていくという判断をしたときに、そのいわば本業に集中するために他のリスクを軽減していくという取組みが、結果的に株式市場にダウンサイド(下方)の圧力を追加的に付与するということにならないようにということで、その売却の受け皿としての役割を果たすという趣旨でできているということだろうと思います。

それで、経団連のご提案がなされたということは承知しておりますけれども、またこのご提案が、おそらく広い意味の株価そのものの過度な変動を緩和するということを意識されたご提案であろうかと推測されますけれども、このご提案そのものについてコメントをすることは差し控えさせていただきたいと思います。

本来、株価は、発行体である上場企業の企業価値を反映して決まることが期待されているわけです。そして具体的には、様々な見方をする多様な投資家による売買が行われて、その結果として価格形成がなされるという仕組みになっていることは、みなさんご案内のとおりでございます。こういった基本的な枠組みを大きく阻害するようなかく乱要因というものが特定された場合に、その点について研究をしていくというのは、一般論としてはあり得るだろうと思いますけれども、これは前回も申し上げたことでありますけれども、そういったことも含めて、あらゆる政策措置というのは、その政策の目的が妥当なものであるのか、そして効果が十分にあるのかどうか、つまり多大の費用をかけても小さな効果しかないというようなケースも考えられる、つまり費用対効果の問題、そして、そういった政策措置をとることに伴う副作用はどの程度であるのか、こういった点を十分に勉強することが、いずれにせよ大事なことではないかと思っております。

問)

株価対策の関連で、昨年11月に時限措置として実施した空売り規制なのですけれども、これについては各社報道済みみたいなところもあるのですけれども、新年度以降も延期するということでよろしいのでしょうか。それから、その場合、空売り規制については、効果と副作用というものをどう判断して、延長するなら延長すると決めたのか、その点をお聞きしたいと思います。

答)

空売り規制については、みなさんご案内のとおり、元々存在していた規制、つまり、アプティックルール、直前の価格以下での空売りを原則禁止する価格規制と、空売りであるか否かの別を明示・確認をするという明示・確認義務とがあったところへ、昨年10月30日以降、今年度内の時限的な措置として、いわゆるネイキッド・ショート・セリング(売付けの際に株式の手当てがなされていない空売り)の禁止と、一定規模以上の空売りポジションの報告、公表の義務というものを導入したということでございます。お尋ねは、こちらの時限措置の方の取扱いということかと思いますが、お尋ねいただいたような報道があることは承知いたしておりますけれども、現時点で一定の方針を固めてはおりませんので、本件につきましては、様々な状況等も踏まえて、今後、月末までに判断をするということでございます。

それから、この空売り規制の効果についてのお尋ねでございますけれども、これはなかなか定量的に計測するのは容易ではないということかと思いますけれども、このような追加的な措置がとられたことによって、いわば、例えば狙い撃ち的な売り崩しというような投資行動はやりにくくなってきているというようなことは、一般的には推測されるのではないかと思っております。

問)

延長を決めるのかどうかというのは、副作用についてもこれから少し見ていくことになるのですか。最終的な判断をするに当たってです。

答)

様々な情勢を見て、月末までに判断をするということです。

(以上)

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