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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成21年3月23日(月)17時01分~17時18分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私の方から特にございません。どうぞ。

【質疑応答】

問)

かんぽ生命の件でお聞きします。かんぽ生命が、がん保険販売に必要な政令改正の要望書を総務省と金融庁、それから郵政民営化推進室に提出しました。2009年度中の販売開始を求めていますけれども、米国では業界団体などが、イコールフッティング(同等の条件)が実現していないとして反発していると伝えられています。総務大臣は「早々に認めるべきだ」という考えを示しましたけれども、金融庁としては、今後の手続と金融庁の考え方についてお聞きしたいと思います。

答)

まず事実関係ですが、3月19日木曜日にかんぽ生命から金融庁、総務省及び郵政民営化推進室に対し、がん保険に関する政令改正の要望書の提出がございました。

今後、この政令改正要望の内容等について会社側からの十分な説明を求めた上、郵政民営化法に基づき、総務省とともに検討を進めていくことになると思います。その際、この郵政民営化法では、「他の生命保険会社との競争関係に影響を及ぼす事情、郵便保険会社の経営状況その他の事情」を勘案する旨定められておりまして、同法の定めに従い、態勢整備の面を含めて判断していくことになると思います。

問)

日銀の金融政策、非伝統的な金融政策と言っていいと思いますけれども、先週、上限1兆円の劣後ローン供与を実施する方針を示しました。円滑な金融仲介機能の確保が理由ということですけれども、日銀が直接民間銀行の資本増強を支援するのは異例のことだと思います。日銀の判断について、長官の所見をお聞きしたいと思います。

答)

先週3月17日火曜日に、日本銀行が、金融機関向けの劣後ローンの供与を開始する旨公表されたところでございます。目的は、円滑な金融仲介機能を確保するとともに、金融システムの安定を図るということかと思います。

ご案内のとおり、我が国の景気が急速な悪化を続ける中で、企業の資金繰りも大変厳しい状況になっておりまして、金融機関による適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮が一層重要になっております。こうした中で、日本銀行による資本性資金の供与に向けた方針が示されたことは、時宜にかなったものと考えております。民間金融機関においては、市場における自助努力での資本調達に加えまして、改正金融機能強化法に基づく資本調達とともに今般の措置が近々利用可能になるということで、資本政策を進めていく上での選択肢が広がったということかと思います。こういった環境も大いに活用していただいて、必要な資本基盤の強化を図り、適切かつ積極的な金融仲介の機能を各金融機関が発揮されることを期待しているところでございます。

問)

土曜日(3月21日)の官邸での有識者会議の席で、与謝野大臣が銀行界の代表者の方々を前にして、公的資金、金融機能強化法と、今お話が出ました日銀の劣後ローンについて、「メーンのところ」という言い方で、主要行とか有力な地銀を指されているのだと思いますが、メーンのところに使って欲しい、という言い方をされたと聞いております。かねて、金融庁は、資本は自力調達、いろいろな方法でやって欲しいということなのですが、むしろ、そういう局面が終わって、こういう公的資金とか日銀の劣後ローンを使った資本調達にもっと軸足を置いた政策を取って欲しいという、そういうメッセージなのでしょうか。今回の与謝野さんの発言についてですが。

答)

今も申し上げましたように、私どもの一連の施策、それから先週日本銀行もこういった取組みに入られるということを公表されたわけですが、こういった施策の目的は、先ほど来申し上げておりますように、企業金融がかなり厳しくなってきている中で、実体経済への悪影響を最小限に食い止めるために、我が国の金融機関に適切かつ積極的な金融仲介機能を果たしていただく、所要のリスクテイクを行い貸出をしていただくということが目的でございます。その目的をしっかり果たしていただく際に、自己資本について多少なりとも不安があるということであれば、それぞれの金融機関においてそれぞれの状況を踏まえた資本基盤の充実ということに取り組んでいただく必要があるケースも出てくるだろうということで、様々な資本調達のサポートを公的当局からも申し上げるということでございます。

金融機能強化法もご案内のとおりそういった趣旨・目的を持っているわけであり、こういった目的に沿うものであれば、特定の業態、メガバンク等を法令の枠組み上排除しているものではないということは従来から申し上げているわけでございます。金融機関の資本政策は、自らの財務の状況や市場環境等を踏まえて各金融機関が自主的に判断すべきものだと考えておりますが、今の日本経済のおかれている状況の下で、金融機関に期待される役割というのは格段に大きくなってきているわけであり、その役割を十分に果たしていただくために資本基盤の充実ということが必要な場合には、是非こういった公的な環境整備がなされ、有利な資本調達の枠組みが整備されているということも念頭において積極的なご検討をお願いしたいというふうに思っているところでございます。

問)

1か月前に民事再生法の適用を申請して破綻したSFCGですが、貸出債権の譲渡をめぐって日本振興銀行とその他の銀行に対して二重譲渡が行われていたということが報道等で明らかになっておりますが、これに対する金融庁としての事実認識と、そもそもこういった貸出債権の譲渡でこういった二重譲渡のようなものが、免許を持っている銀行でこういったことが起こったことがそもそもいかがなものかという意見もありますが、その辺についていかがでしょうか。

答)

ご指摘の報道がなされていることは承知しております。一般論として申し上げますと、金融庁としては、善意の借り手を保護するという大きな心構えで、問題があればそこのところを注視していくということであろうかと思っております。

SFCGの貸出債権というのが対象になっているというふうに理解しておりますが、貸金業法においては、貸金業者に対して業務の適切な運営の確保が求められているところでございまして、貸付債権の譲渡についてもこのような観点から適切な取扱いがなされている必要があると思っております。ご質問の業者は、都道府県の監督対象というふうに現在なっておりまして、都道府県の監督当局とも連携を図りつつ厳正かつ適切な対応に努めてまいりたいと思います。

免許業種である銀行の対応としていかがかという点につきましては、個別問題に入っていきますので具体的なコメントはご遠慮させていただきたいと思いますが、まず制度的にいいますと、貸金業法におきましては貸金業者から貸付債権を譲り受けた譲受人は遅滞なく貸付契約の内容を明らかにする書面を債務者に交付しなければならない旨規定されております。また、民法467条では指名債権の譲渡を債務者に対抗するためには、譲渡人、譲り渡す方、譲り渡し人から債務者に対して通知をすることを要するというふうにされており、債務者が通知前に譲渡人に対して行った弁済については民法上有効であるというふうにされております。ご質問の個別の事案で、この譲受人が遅滞なく債務者に通知すべしという要件を満たしているかどうか、あるいは、遅れたことについて合理的な理由が認められるかどうかなどを含めて個別具体的に検討する必要があると思いますが、いずれにいたしましても今申し上げたような民法の規定も踏まえて、借り手、すなわち債務者の保護の観点から法令に則って厳正かつ適切に監督をしていきたいと思っております。

(以上)

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