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佐藤金融庁長官記者会見の概要

(平成21年6月15日(月)17時03分~17時19分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にございません。

【質疑応答】

問)

先のイタリア・レッチェで開きました主要8か国財務相会合で、当面の金融安定化策につきまして、国際的な企業や金融機関の行動に関しまして、共通の原則、「レッチェ・フレームワーク」と言われているそうなのですが、これを策定する方向で合意したと聞いております。これまでの金融当局間の議論の経緯を踏まえた上で、このことに関して長官のご見解を伺いたいと思います。

答)

6月12日、13日に、イタリアのレッチェで開催されたG8財務大臣会合では、危機の再発防止に向けた取組みの一環として、お尋ねの中でご指摘いただいたとおり、国際的な企業や金融機関の行動に関する共通の原則・基準を示す「レッチェ・フレームワーク」を策定していくことが合意されました。

昨年来のG7(7か国財務大臣・中央銀行総裁会議)あるいはG20(20か国財務大臣・中央銀行総裁会議及び首脳会合)などのプロセスにおいても、金融危機の再発防止に向けた規制の再構築といった議論が進められてきている流れにあります。

そこで、今般のG8では、市場経済、世界経済の持続的な繁栄のためには、公的な規制のサイドに加えて、民間主体による自己規制と市場規律、この分野の両方をカバーした形で、基本的な規範、あるいは共通の原則や基準というものが、いわば共有されることが大事だという認識に基づいているのだろうと思います。大きくはその中で、経済活動における適切性、健全性及び透明性というものが掲げられております。

それで、こうした共通原則や基準については、5つの分野というものを区分けしております。すなわちコーポレート・ガバナンス、市場の公正性(インテグリティ)、金融規制・監督、税に関する協力、そしてマクロ政策・データの透明性、こういう5つの分野であります。基本的には、既に多くの分野で既存の作業の蓄積が存在していると思います。それらの既存の作業に立脚する形で策定が進められていく見込みというふうに承知をしておりますが、先ほど申し上げたような意味で、今回それらの作業の成果、蓄積をより包括的なものにまとめ上げていくと、ここが一つの狙いなのかなというふうに受けとめております。今後、来月のG8首脳会合や、9月のG20首脳会合に向けて議論や作業が進められていくと見込んでおります。

金融庁としては、今後とも、各国当局や国内の関係当局等と連携・協調し、金融危機の再発防止・金融システムの強化に向けた国際的な議論に積極的に参画していきたいと思っております。

問)

北朝鮮問題につきまして、先のG8では、国連安保理決議に沿って、有効かつタイムリーな金融制裁を実施すべきだ、という点でも一致しております。これを受けまして、金融庁として今後どのように対応されていくのか、また対応していくのかを伺いたいと思います。

答)

今回のG8財務大臣会合の声明では、「国連安保理決議第1874号の中で、他の措置とともに設定された北朝鮮に対する金融措置の実効的かつタイムリーな履行にコミットする」とされております。

国連安保理決議を受けた我が国の対応につきましては、決議を実効あらしめるよう、適切な対応を早急に行うという心構えで、現在、政府全体として関係省庁間で緊密な協力をしながら対応策を検討している段階であります。

今回の決議では、加盟国に対して、資産凍結やモニタリング等を通じ、大量破壊兵器・ミサイル関連の計画・活動に資するすべての資金等の移転防止を要請しているわけですが、これを踏まえた措置については、関係省庁において、核・ミサイル・大量破壊兵器関連品目に着目した取引にかかる資金移転の防止措置を実施する方向で検討が行われているところであります。

金融庁としては、この措置の一環として、金融機関等に対し、一つは「犯罪による収益の移転防止に関する法律」に基づく本人確認義務等の履行、そしてもう一つは、「疑わしい取引」の届出の徹底を要請する方向で検討を行っていきたいと考えております。

問)

今、検査局と財務局の方で、貸し渋りを点検する集中検査というものが進められていると思います。現時点で、そうした検査の対象になっている銀行におおむね共通する問題点やその是正状況について伺えればと思います。また、その集中検査が終わる時期的なめどと、その結果の公表の有無についてもお考えを併せて伺えればと思います。

答)

ご承知のとおり、金融庁では現在、いわゆる貸し渋り検査というのをやっております。これは、中小企業向け融資、中堅・大企業向け融資、そして住宅ローンの3つの分野を対象として、年度末金融への取組状況、そして新年度入り後の信用供与の状況について検証を行っているということですが、特に、金融機関が期待される金融仲介機能を十分に発揮しているかどうか、また、貸し渋り・貸し剥がしと受け取られかねない対応がなされていないかといった問題意識を持って集中検査を実施しているところであります。

お尋ねの共通する問題点あるいは是正状況、終了時期等については、検査はまだ実施中でございますので、踏み込んだお答えをするのは時期尚早であろうかと思います。それをお断りした上で、今回の集中検査の一つの特徴は、支店等の営業現場を中心に取組状況を点検しているということ、それから特に、借り手の信用状況にさしたる変化がないにもかかわらず、専ら金融機関側の都合で短期間に与信姿勢が大きく変化しているといったことがないかどうか、あるいは、融資できない場合にも、その経済合理性に基づく説明を借り手に対して十分行っているかどうか、こういった点を丹念に見るということでやっているというところが特徴だと思います。

そういう中で、まだ途中でございますけれども、これまでの検証の状況を聞いている中で、あくまで一般的な印象でございますけれども、例えば、日頃から債務者管理をどれくらいきめ細かくやっているか、また、本部の指示が営業現場にどれくらいきちんと浸透しているか、といった点については、金融機関ごとに多少の濃淡があるというふうな印象を受けております。

それから、結果の公表の有無につきましては、これもまだ検証が続行しておりますので、今の段階で断定的なことを申し上げるべきではないと思いますけれども、公表になじむような内容があるかどうかによって、公表するかどうかも決まってくるということでしょうし、仮に何らかの公表をするとした場合に、どのような内容のものになるかということについて、現段階ではちょっとコメントを差し控えておきたいと思います。

問)

貸金業法の施行に伴って、第三段階の施行が今週から始まりまして、参入条件の厳格化等が始まることになりますが、今後、第四段階の施行に向けて、総量規制や金利の引下げが今後予定されていらっしゃるかと思いますが、業界の方では、やはりまだ健全な借り手にまでお金が回らなくなるということで反発の声が強いわけですけれども、第四段階の施行の今後の見通しなどについて改めてお伺いできますでしょうか。

答)

まず改正貸金業法は、皆さんご存じのとおり、平成18年12月に、国会において全会一致の賛成によって成立したものであります。大きな狙いとしては、貸し手への規制を通じて新たな多重債務者の発生を防ぐ、そして他方で、急激な与信の引締めなどが生じないように段階的に施行していく、といったことが盛り込まれているわけであります。

それで、この段階的施行という中で、既に同法については、第一段階として、ヤミ金融に対する罰則の強化、第二段階として、取立規制の強化等がそれぞれ施行されているところでありまして、ご質問の中で触れていただいた第三段階の施行というのが、今月18日に施行されるということになっています。この第三段階の中には、業者の財産的基礎の引上げ、貸金業務取扱主任者の試験の開始、信用情報機関の指定の開始といったことが盛り込まれております。冒頭申し上げた、この段階的な施行ということが法律上も決まっているわけで、現在それに沿って粛々と取組みが進められているというふうに認識をいたしております。

金融庁としては、今回施行される第三段階の規定の円滑な実施に努めると同時に、その実施状況や完全施行に向けた準備の進捗状況といったことも見ながら、引き続き、同法の完全施行に向けた準備を着実に進めてまいりたいということであります。完全施行の施行期日というのも、期限というのは法律で定められているということだと思います。

(以上)

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