三國谷金融庁長官記者会見の概要

(平成21年8月31日(月)17時01分~17時18分 場所:金融庁会見室)

【長官より発言】

私からは特にありません。

【質疑応答】

問)

総選挙の結果で、民主党中心の新しい政権が誕生する見込みです。「地域金融円滑化法」の成立を目指すなど、金融関連でも新しい政策が打ち出される可能性がありますが、どのように受けとめておられるのか教えてください。また、政治が主導権を持って政策を決めていくという民主党の方針についても、ご見解を教えていただきたいと思います。

答)

まず、選挙の結果につきましてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、行政といたしましては、総理あるいは各大臣を適切に補佐するという責務を負っております。総理あるいは大臣等のご指示を仰ぎ、よくご相談させていただきながら、業務遂行に当たっていくことが基本であると考えております。

また、金融行政には、金融システムの安定、利用者の保護・利用者利便の向上、それから公正・透明で活力のある市場の確立、という大きな目的・任務が課せられております。その実現に向けてこれまでも努力をしてきておりますが、引き続き努力をしてまいりたいと思っております。

金融を取り巻く環境の変化は早く、行政といたしましても、日々の業務に努めていくことが重要であります。引き続き、日々愚直に、金融行政の適切な遂行に努めてまいりたいと考えております。

問)

その関連なのですけれども、金融市場、今日も、株価が少し反応をしたとも言われていますが、金融市場とか金融業界には政権交代が起きることへの警戒感や不安感も一部にあるようです。そういう政権交代の金融市場や金融関係業界への影響についてどのように見ておられますか。

答)

市場の話でございますので、いつもお答えしていることが基本になるかと思いますが、市場の動向は、様々な市場参加主体がそれぞれの判断に基づきまして投資行動を行った結果として、それぞれの市場の結果が出てまいります。金融市場・金融業界への影響を含めまして、今後の見通しにつきまして行政としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、各金融機関の決算に見られますように我が国の金融機関をめぐる情勢は、景気に持ち直しの動きも見られる中で改善している要素があるものの、世界景気の下振れ懸念等、景気を下押しするリスク要因も存在するということもあります。引き続き高い警戒水準を維持しながら、今後の動向をフォローしてまいりたいと考えております。

問)

次に、先週、金融庁の方で概算要求の取りまとめをされたと思います。定員増の要望をしていますが、政権交代もあって行政の効率化が一段と求められる中で定員増を要望していく理由を改めて教えてください。

同じく、税制要望についても、投資の拡大の関係で損益通算の範囲拡大であるとか、社債投資の非課税措置の充実などを求めていくと思います。こちらについても、教えていただけるとありがたいです。

答)

まず、定員の方で、これは二つの側面があろうかと思いますが、一つは効率化ということでございまして、効率的で質の高い行政を遂行していくということは、国民の行政に対する信頼を確保していく観点からも重要でございまして、金融庁としても引き続き不断の取組みを行ってまいりたいと考えております。

その上で、でありますが、金融行政と申しますか、この業務内容が非常に年々複雑化かつ多様化しているということもございます。今年につきましても、やはり金融システムの安定、あるいは利用者の保護、あるいは公正・透明な市場の確立、国際情勢も含めまして、やはりこの任務を遂行していくためには、様々な制度整備あるいは人員の確保というのも必要でございます。ここ数年間の厳しい情勢の中で、金融庁は、それなりにこの事情を認めていただいたというところもあろうかと思いますが、まだまだ私どもとしては、こういった定員の確保につきましても皆様方あるいは関係者のご理解をいただきながら、よい行政を行っていく上で必要な体制の強化にはご理解をいただければと思っているところでございます。そういったことで要求させていただいているところでございます。

続きまして税制の方でありますが、最初のご質問は、損益通算の拡大ということかと思いますが、これは現状、金融商品間の損益通算におきましては、上場株式等の譲渡損失と配当との間で認められておりますが、投資家が投資しやすい環境をつくるために、この金融商品間の損益通算の範囲の拡大をお願いするというのが1点でございます。

続きまして、非居住者による債券投資に係る利子の非課税のご質問だったと思いますが、これは現状、非居住者による我が国の社債の投資は、諸外国と比較しても大変に低い状態でございます。これまで国債あるいは地方債と、こういった措置も講じてきてもらっておりますが、社債、公社債市場というものの発展という観点からも、このような要求をさせていただいているということでございます。

問)

保険会社の関連なのですが、ソルベンシー・マージン比率の算出方法の厳格化、見直し方針を公表されました。狙いや保険会社への影響についても教えてください。

答)

今回のソルベンシー・マージン比率の見直しに関する改定骨子案というものですが、これは昨年2月に公表し意見募集を行いました骨子案、これに寄せられました意見ですとか、あるいは昨年10月の大和(やまと)生命の経営破綻(はたん)及び昨年来の金融危機の教訓などを踏まえまして、ソルベンシー・マージン比率の更なる信頼性の向上の観点から見直しを行っているものであります。

これは、8月28日から意見募集を開始いたしまして、また寄せられた意見も踏まえまして、具体的な改正案の策定作業に入っていきたいと考えております。

今般の見直しの影響でありますけれども、こちらのリスク計測の厳格化を行うことなどによりまして、一般的には、ソルベンシー・マージン比率は相当程度低下すると見込まれますが、この今般の見直しは、あくまでも基準の見直しでありまして、保険会社の財務内容の実態が変化するというものではないことに留意する必要があろうかと思います。各社におきましては、将来を見据えまして、今般の見直しも踏まえまして、契約者や市場の信認に応えるべく、業務内容や資産の内容の見直し、あるいは資本政策等、必要な対応を行っていただくことが適切と考えております。

金融庁といたしましては、こうした点につきまして契約者や市場へ十分周知し、風評等を招かぬよう、実施までに十分な期間を置いてきているところでございまして、また今後ともソルベンシー規制の信頼性向上に向けた取組みを行いながら、保険契約者保護の観点から、適切な制度の整備と運用に努めてまいりたいと考えているところでございます。

問)

最初の質問に戻るのですけれども、先ほどのお答えの中で、「民主党政権になっても金融庁としての使命は変わらない。引き続き努力したい」ということでしたけれども、長官の印象として、端的に言って、やはり新しい民主党政権になると、金融行政についてのやり方とかが何か変わってくると考えているのでしょうか。それとも、使命は同じだから変わらないという、どちらで考えていらっしゃるのでしょうか。

答)

これは、内閣全体の意思決定プロセスも含めましてどういったことになるのか、ちょっと私どもも現段階ではそれについてお話をすることは困難な状況にあろうかと思いますが、基本的には、これまでと同様に総理あるいは各大臣を適切に補佐するという立場から、総理、それから大臣とのご指示を仰ぎながら、よくご相談しながら、業務遂行に当たっていくということが基本かと思います。

一方で、これまでも申し上げておりますとおり、金融行政には、これまでも三つの課題が与えられておりました。これは大変重要な課題でございまして、また金融を取り巻く環境の変化は早いものがございます。日々様々な事象が生じてまいりますので、こういった事柄に対しましては、日々愚直に金融行政の適切な遂行に努めていきたいということでございます。

問)

先ほど「景気の下押しするリスクはなお存在する」というお答えがあったのですけれども、長官として、具体的に「まだあるリスク」というのはどういったものがあると見ていらっしゃるか教えていただければと思います。

答)

なかなかこれは、個別具体的に「これだ」と特定することは困難でありますし、それぞれがまた幅のある話でございますけれども、やはり一つは、経済全体がグローバルな経済の動きの影響を受けるということもございます。各国の経済動向なりがどのようになるか、それぞれの指標、最近様々な指標が改善される指標もあれば、逆に下向きの指標もないわけではない、こういったものが混在している状況かと思いますが、そういったトレンドというのをよく見極める必要があろうかと思っております。

それから、経済でございますので、市場一つをとりましても、株式市場から為替市場から様々な市場というのがございます。そういったものの動きというのもよく注視していく必要があろうかと考えております。

問)

G20の財務大臣会合が週末でしたか予定されておりますが、サミットの前哨戦だと思いますけれども、いろいろな状況を含め、金融庁としてどのように取り組むといいますか、どのような成果を期待していらっしゃいますでしょうか。

答)

お話のG20の財務大臣・中央銀行総裁会議、これが今週末にロンドンで開催される予定であると承知しております。

これは、議長国は今回イギリスでありますが、イギリスより議題については公表されていないため、これにつきまして現時点で具体的なコメントをすることは差し控えたいと思いますが、一般論として申し上げますと、4月のロンドン・サミットにおける金融危機の再発防止、それから金融システムの強化に関する合意を踏まえまして、9月24日から25日のピッツバーグ・サミットに向けまして、金融規制に関する議論も行われることになると考えられるところでございます。

この中で、金融規制の再構築につきましては、昨年来、G20の首脳会合等の場における合意を踏まえまして、各国におきまして、具体的な検討が行われて、また進捗も図られてきたわけであります。今般のグローバルな危機に際しましては、経済の回復と金融規制の再構築、これを同時に進めていくという視点も必要でございまして、我が国の経験に照らしますと、世界経済の回復を確実なものとするためには、金融機関における適切な資産評価と不良資産のバランスシートからの適切な切り離し、こういったことも重要であろうかと考えております。また、ロンドン・サミットで合意されました作業の一層の促進も重要であると考えているところでございます。

問)

自己資本比率規制の話がどこまで出るか分かりませんけれども、日本が若干劣勢にあるというような話もよく出ておりますが、この件についてはどうでしょうか。

答)

銀行の自己資本比率規制におきましては、本年4月のロンドン・サミット首脳宣言におきまして、景気の回復が確実になれば、資本の量及び質を強化すべきとされておりまして、これを受けまして、現在、バーゼル委員会におきまして具体的な議論が行われているところでございます。

金融庁といたしましては、金融規制の再構築に際しまして、グローバルな金融システム全体として、中長期的な自己資本比率規制の強化が必要との認識を共有しつつ、一つには金融機関の多様なビジネスごとのリスクに応じた資本強化、二つ目には実体経済に悪影響を与えないタイミングでの実施など、自己資本比率規制の見直しに際しましてはバランスのとれた議論を求めてきたところでございます。

こういった中で、例えば、現在でも再証券化商品でございますとか、トレーディング勘定でございますとか、そういったところに対する資本賦課の問題など、我が国の主張につきましても反映されているものはあると考えております。

金融庁といたしましては、バーゼル委員会などの取組みに対しまして、我が国金融機関の現状も踏まえながら、引き続き積極的に参画していくとともに、国内外におけるバランスの取れた規制の構築に努めてまいりたいと考えております。

(以上)

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