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参議院財政金融委員会における与謝野大臣の所信表明

(平成21年3月12日)

(はじめに)

本委員会における御審議に際し、財政政策及び金融行政等において今後取り組むべき課題について、所信を申し述べます。

(最近の経済金融情勢への対応)

はじめに、最近の経済金融情勢への対応について申し述べます。

欧米発の金融危機は、信用収縮等を通じて実体経済に悪影響を及ぼし、世界的に景気が後退しております。我が国においても、景気は急速な悪化が続いており、戦後最悪の経済危機と申し上げても過言ではない状況にあります。

政府は、財政面で十二兆円程度、金融面で六十三兆円程度、事業規模七十五兆円程度となる一連の経済対策をとりまとめました。これらの対策を実効あるものとするためには、平成二十年度第一次補正予算、第二次補正予算及び平成二十一年度予算を、切れ目なく実施していく必要があります。

さらに、国際面でも、我が国は、グローバルな危機対応策として、IMFに対し最大一千億ドル相当の融資枠を設定する等積極的な貢献を行っており、各国から高い評価を受けております。今後とも、金融危機後の新しい世界経済・金融に対応した枠組みづくりの議論に、積極的に参画するなど、世界経済に貢献してまいります。

(我が国財政の現状と財政健全化の取組)

次に、財政の現状と財政健全化の取組について申し述べます。

我が国の財政は、国・地方を合わせた長期債務残高が平成二十一年度末には八百四兆円、対GDP比で百五十八%になると見込まれ、主要先進国の中で最悪の水準にあるなど、極めて厳しい状況にあります。当面、現行の基礎的財政収支に関する努力目標の下で、景気回復を最優先としつつ、財政健全化の取組を進めてまいります。

また、中期的な財政責任を果たし、社会保障に対する国民の安心強化を図るため、昨年末に「中期プログラム」を閣議決定したところであり、今後、消費税を含む税制抜本改革に向けた取組を進めてまいります。

(平成二十一年度予算及び税制改正の大要)

続いて、平成二十一年度予算及び税制改正の大要を御説明申し上げます。

平成二十一年度予算は、世界的な経済金融危機にあって、国民生活と日本経済を守るための施策を、大胆に実行する予算であります。

国民生活を守るため、医師確保・救急医療対策、雇用対策、出産・子育て支援などの施策を講じるとともに、日本経済を守るためのセーフティネットや成長の芽を育てるための施策を盛り込んでおります。

また、財政規律を維持する観点から、「基本方針二〇〇六」等に基づく改革を継続しております。さらに、厳格に政策の必要性を精査することなどにより、徹底した無駄の削減を図っております。

一般歳出は、五十一兆七千三百十億円であります。これに地方交付税交付金等及び国債費を合わせた一般会計総額は、八十八兆五千四百八十億円であります。

一方、歳入については、租税等の収入は、景気の悪化等により、前年度当初予算と比べ、七兆四千五百十億円減少の四十六兆千三十億円を見込んでおります。その他収入は、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの四兆二千三百五十億円の受入れを含め、九兆千五百十億円を見込んでおります。

以上のように、歳出・歳入両面において最大限の努力を行う一方、税収が大幅な減少となるなか、新規国債発行額については、三十三兆二千九百四十億円となっております。

平成二十一年度税制改正については、現下の経済金融情勢を踏まえ、景気回復の実現に資する等の観点から、住宅・土地税制、法人関係税制、中小企業関係税制、相続税制、金融・証券税制、国際課税、自動車課税等について、必要な改正を行います。

(金融行政における取組)

現下の金融行政について申し述べます。

我が国の金融システムそのものは、欧米に比べれば相対的には安定しておりますが、株式市場等の大幅な変動や実体経済の悪化から来る影響が大きくなってきており、引き続き高い緊張感の下で状況を注視してまいります。

また、景気が急速な悪化を続ける中で、企業の資金繰りも大変厳しい状況となっており、金融機関による適切かつ積極的な金融仲介機能の発揮が一層重要となっております。このため、金融機関が安心して資金供給できる環境を更に整備する観点等から、改正金融機能強化法の迅速な施行、銀行等の自己資本比率規制の一部弾力化、貸出条件緩和債権に該当しない場合の取扱いの拡充などの対応を行ってきたところでありますが、これらに加えて、金融円滑化のための特別ヒアリングと集中検査をはじめとする、新たな措置を講ずることといたしました。

また、こうした中で、国際的に連携しつつ、金融危機の再発防止と金融システムの強化を強力に推進するとともに、我が国金融・資本市場の機能強化や金融取引に係る利用者保護の充実に不断に取り組んで行く必要があります。このため、格付会社に対する公的規制の導入、金融分野における裁判外紛争解決制度の創設、金融商品取引所による商品市場の開設等に関する所要の制度整備、並びに資金決済に関するサービスの適切な実施の確保及びその提供の促進を図るための所要の制度整備を行うこととしております。

(提出法律案の概要)

本国会に提出することを検討中の法案を含め、今後、御審議をお願いすることを予定している法律案は、平成二十一年度予算に関連するものとして三件、その他として四件であります。

既に国会に提出された各法律案の概要について、御説明いたします。

第一に、「財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案」でございます。同法案は、平成二十一年度における公債の発行の特例に関する措置並びに平成二十一年度及び平成二十二年度における財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れに関する特例措置を定めるものであります。

第二に、先ほど御説明いたしました平成二十一年度税制改正における諸措置等を盛り込んだ「所得税法等の一部を改正する法律案」でございます。

第三に、税関における水際取締りの充実・強化等及び暫定税率等の適用期限の延長等を内容とする「関税定率法等の一部を改正する法律案」でございます。

第四に、国際通貨基金への加盟国の出資総額が増額されることに伴い、我が国が出資を行い得るよう所要の措置を定める「国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案」でございます。

第五及び第六に、先ほど金融行政における取組において申し上げた制度整備を図るための「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」及び「資金決済に関する法律案」でございます。

以上に加え、「国家公務員共済組合法の一部を改正する法律案」の提出を検討中であります。

現下の急速に悪化を続ける経済金融情勢を考えますと、平成二十一年度予算及び関連法案を今年度内に成立させ、国民生活と日本経済を守るための施策を速やかに実施することが、必要不可欠であります。

また、その他の法律案についても、速やかに所要の施策が講じられるよう、可能な限り早期に成立させることが重要であります。

御審議の上、御賛同いただきますよう、お願い申し上げます。

(結び)

以上、財政政策及び金融行政等に関する、私の考えの一端を申し述べました。今後とも、皆様のお力添えを得て、政策運営に最善を尽くしてまいる所存であります。

円委員長をはじめ、委員各位におかれましては、御理解と御協力をお願い申し上げます。

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