自見金融担当大臣挨拶
(平成23年1月27日(木)財務局長会議)

今日は全国の財務局長会議でございますが、一言挨拶を申し上げる前に、私は、副大臣、大臣政務官あるいは長官の力添えを得ながら、今回、菅内閣でまた再びやれということで、大臣をやらせていただきますが、政治家として、あるいは行政の長として、鳥の目と虫の目が2つ必要だと思っております。鳥の目というのは、中小企業金融円滑化法案にしても、健全なあるいは持続可能な強力な金融機関がなければ、企業も、自由主義経済も成り立たないわけでありまして、そういった意味で、一つ一つの中小企業の「脈」というものは、金融機関あるいは、その金融機関を検査監督しておられる皆様方が握っておられるわけでございます。こういった時代、リーマン・ショックで世の中大変不景気でございまして、そういった中で、地域の中堅企業・中小企業が外国に行きたいと申しましても、実はなかなか、外国に行って、慣れ親しんだ、今までずっと助けてくれた金融機関があるのか、あるいは、売れ筋なんか分かるのかといった不安がございます。そういった意味で、3年前のリーマン・ショック以来、日本の経済を活性化するためには、アジアの経済活性化のエネルギーを、大企業は大企業でそれぞれやっておられますけれども、中堅・中小企業がそれを吸収し、勝負をかけることを支援していく必要があると考えています。

私、去年の8月北京に行きました。北京駐在のメガバンクの支店長さんから、去年の5月くらいから急に中堅企業・中小企業が中国に出たいという相談が大変増えたという話を聞きまして、今回新たに、非常に画期的でありますけれども、金融庁・財務省・経産省が一緒になって一つの仕組みを作ったわけでございます。そういった一つ一つの地域における中小・零細企業の命、これに目を向けることが大事な虫の目だと思います。

総理にお許しをいただきまして、アメリカ、中国、それから今回ヨーロッパに行ってまいりました。G8・G20の議長が今度フランス国でありまして、ラガルドさんという、日本でいう財務大臣・経産大臣が一緒になったような大変強力な大臣で、もともと女性の弁護士さんでございますが、お会いしてまいりました。彼女と会った瞬間に、「自見さんありがとうございます。」と言われました。ご存知のように、ヨーロッパでは、ギリシャ・アイルランドの危機を救うためにユーロ債を出しまして、それを日本が20%以上買うということをアナウンスした次の日でございましたから、非常にユーロ相場も上がって、金融危機の中、大変助かったというお礼を言われたわけでありまして、皆様方よくお分かりでございますが、相互の助け合いが大事だと。私は、時々、1929年の大恐慌の時から、結局はあのブロック経済において、第一次(世界大戦)から第二次(世界大戦)にならざるを得なかった人類の愚かさを今回繰り返してはならないということを申し上げているわけでありますけれども、そういった中で、日本の政府の判断がG8・G20議長国の財務大臣からお礼をもらえるという、それくらい今世界は密接に結びついているわけでございます。皆様方財務局長でございますから、そういった鳥の目も持って、きちっと日本国の虫の目の行政をやっていただくということは深みのある行政、幅の広い行政だと思いますので、是非、しっかり部下を督励していただきたい。経済の活性化、デフレ克服ということが今、一番大きな内閣の使命でございますし、中小企業、99.7%は日本は中小企業でございます。4千万人以上がそこで働いているわけでありますから、そいういったこともお願いする次第でございます。少し余分な話になりましたけれども、今日は、全国の財務局長さんでございますから、是非申し上げておきたいと思ったわけでございます。

それではあらためて、財務局長会議の開催にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

地域金融は、地域経済の基盤であり、最前線で金融行政にあたる財務局の役割は極めて重要であります。今後とも、「国民のための行政」という原点を忘れずに、ご尽力いただきたいと考えています。

まず、金融の円滑化について申し述べます。

平成21年12月に施行された中小企業金融円滑化法については、昨年秋以来、名古屋、大阪、福岡・北九州、仙台、さいたまなどで、皆様からも大変お力添えをいただきまして、地元の中小企業団体や金融機関の方々からお話を聞いてまいりました。その中では、「この法律により助かった」、「金融機関同士の協力がよく行われるようになった」というご意見があった一方、「中小企業の業況が改善するような施策が必要だ」、「モラルハザードのおそれがある」というご意見も頂いたわけでございます。

こういうご意見も踏まえつつ、現下の経済情勢を見ると、依然として厳しく、今後も、中小企業者の貸付条件の変更等の需要が見込まれること、一方で、貸付条件の変更等に当たっては、金融規律にも配慮しつつ、実効性のある経営再建計画を策定・実行することが重要であることから、私は、政務三役の方とも相談しながら昨年12月に、中小企業金融円滑化法の期限を1年延長するとともに、金融機関によるコンサルティング機能の発揮を促進するための対応や、開示・報告の大幅な簡素化といった運用面の改善を図ることを、決定・公表したところでございまして、また、これを受けて、一昨日、25日でございますが、中小企業金融円滑化法の期限を1年延長するための改正法案をお蔭様で閣議決定させていただきまして、国会に提出いたしました。先程も政務三役と長官入った会議でも一体この法案をどう扱うのかという話が出でいたわけでございますけれども、今後の中小企業者等の資金繰りに万全を期すためにも、本改正法案の成立に全力を尽くしてまいりたいと考えております。

次に、中小企業等のアジア地域等への進出支援について申し述べます。

金融庁では、「新成長戦略」の実現に向けて、昨年の12月24日、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン」をとりまとめたところでございます。

「アクションプラン」には様々な施策を盛り込んでおりますが、その一つとして、「金融機関による中堅・中小企業のアジア地域等への進出支援体制の整備・強化」を掲げておりまして、具体的には、地域金融機関等が、JETROやJBIC等の公的支援機関と連携をしながら、情報提供・相談面、及び資金供与面で中堅・中小企業の海外進出を支援する体制の整備・強化を図ることとしております。

現在、金融庁では、これらの取組の具体化に向けて、財務省、経済産業省とも連携し、検討を進めておるところでございますが、第一線の財務局におかれても、当該取組の実効性を高めるべく、JETROの国内事務所やそれぞれ地方にございます経済産業局、地方公共団体などの公的支援機関と連携しつつ、地域金融機関との対話の充実を図っていただくよう、お願いをする次第でございます。

第三に、預金取扱金融機関の取組みへの大臣顕彰について申し述べます。

本年度は、改正貸金業法の完全施行後、最初の年度であることも踏まえ、多重債務問題の解決に資する預金取扱金融機関の優れた取組みについて、私から、大臣顕彰を行うことといたしました。財務局におかれましても、顕彰事例の選定作業等の一端を担っていただきたいと考えておりますので、本顕彰の趣旨を理解していただきたく、対応方よろしくお願いいたします。

最後になりますけれども、財務局長の皆様におかれましては、国民の信頼に応えるように、今申しましたように、世界の金融・経済、非常に難しいところにございますけれども、そういう時こそ皆様方財務局長の出番でもございまして、皆様方のこれまでの経験と信頼が役に立つ時でもございますから、部下を督励して金融行政を遂行していただくようお願いし、私の挨拶といたします。

もう一点最後に、中小企業金融円滑化法案、コンサルティング機能大変大事でございまして、皆様方良くご存知のように、地域の金融機関は中小企業金融面のみならず非常に情報を持っております。二人の局長からコンサルタント機能とはどういったものがあるのか具体的な項目をいろいろ案を見せていただきましたが、コンサルティング機能とは一言で言ってこういうものだとしっかりと押さえていただいているようですから、中小企業厳しい中で救っていただきたいということです。その先には必ず何人かの人が働いておられて、その方が家庭を持っておられる。またその先に子供がおられるわけですから、一人一人血の通った人間でございますから、そのことを深く認識していただいて、皆様方、国民から与えられた使命をしっかり遂行していただきたいということを心から大臣としてお願いする次第でございます。よろしくお願いいたします。

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