麻生金融担当大臣挨拶「第88回信託大会」(平成25年4月15日(月))

麻生太郎です。

八十八回目を迎えます信託大会にお招きいただき誠にありがとうございます。

また、皆様方には、平素より、金融庁の政策や業務の運営に多大なるご協力を頂いておりますことに対しても、この席をお借りしまして、厚く御礼を申し上げます。

本大会の御盛会をお慶び申し上げますとともに、私の方から二点申し述べさせていただきます。

まず、現下の金融行政について申し上げます。

日本の金融システムは、総体として健全であり、極めて安定していると考えております。内外の経済・市場の動向、それが日本の金融システムに与える影響につきましては、引き続き、高い関心を持って注視して参ります。

デフレ不況から脱却し、日本経済の再生を図っていくうえで、金融機関が、金融仲介機能の一層の発揮を通じ、企業の再生、また成長と、地域経済の活性化に取り組んでいただけることが最も大事であります。

本年三月末に中小企業金融円滑化法は期限を迎えましたが、引き続き、貸付条件の変更等や円滑な資金供給が確保されるよう、金融機関の取り組みを促しておるところであります。先般立ち上げた地域経済活性化支援機構等を通じ、様々な状況に置かれた借り手の経営改善を適切に指導していかなければならないと考えております。併せて、こうした方針の周知にも力を入れていかねばならないと考えております。

また、先般の金融危機に関わる諸問題を踏まえ、金融資本市場・金融業の安定性確保・信頼性回復・機能強化を図っていかなければなりません。そのため、市場型金融危機への対応、公募増資に関連したインサイダー取引事案を踏まえた対応、AIJ事案を踏まえた資産運用規制の見直し等について、所要の制度整備を行うため、「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」を今通常国会に提出することとしております。

信託業界におかれましては、信託の担い手としての受託者責任が求められており、今後とも、その責務を果たして頂くことを心から期待しております。

次に二点目は、税制改正について申し上げます。

平成二十五年度税制改正において、少額投資非課税制度、通称日本版ISA( Individual Savings Account)の拡充をはじめとする金融証券税制の見直しや、教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税制度等が措置をされたところであります。

ご存知のとおり、家計の金融資産1,500兆円、そのうち現預金が850兆円を超えると言われております。

デフレ不況から脱却するには、このじっとした「寝たお金」、「動かないお金」を「活きたお金」「動くお金」に変えていく必要があると考えております。

そこで、家計金融資産からの成長資金の供給と、家計の安定的な資産形成の両立を図ることを目的として、日本版ISAを大幅に拡充いたしました。

また、潤沢な資産を保有しておられる高齢者の資金を、教育費が必要となっていく若い世代に移転し、人材育成や消費に繋げていくため、教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度を創設いたしました。

是非、信託業界の皆様には、これらの制度が広く活用されることにより、デフレ脱却、デフレ不況からの脱却の後押しとなるよう、適切な顧客説明に留意されつつ、是非、制度普及に尽力されることを期待しております。

最後になりましたが、信託業界の皆様におかれましては、信託に対する社会の関心と期待が非常に高まっている中、信託制度の柔軟性や利便性を活用し、時代のニーズに臨機応変に対応していただくよう心からお願いを申し上げます。

信託業界の今後の更なる発展と、本日御出席の皆様方のますますのご活躍を期待申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。

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