英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

与謝野内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策) 記者会見要旨

(平成18年8月25日(金) 11時00分~11時16分 於 金融庁会見室)

1.発言要旨

閣議は案件どおりでございまして、特に報告することはございません。

2.質疑応答

問)

貸金業の関係ですが、昨日の有識者懇談会で、少額短期の特例措置について、反対意見が多数出ましたけれども、改めて特例措置の是非、またはどのような方法が相応しいかについて、見解をお願いします。

答)

少額短期の特例措置について、私はかねてから例外を設けたばかりに例外が例外でなくなってしまうということでは、今回の法改正の趣旨には合わないだろうと思っておりました。ただし、物事を一つの制度から別の制度に移行する場合には、やはり緩やかにそれぞれの関係者が対応できるような措置というものも一方では必要だとも思っております。まだ内容は固まっておりませんが、今日午後、金融庁の方から素案が私のところに参ります。それを基に議論をした上で、金融庁としての一定の中間的な結論を得て、与党の関係調査会、部会に御提示を申し上げ、そこでさらに議論を煮詰めていただきたいと思っております。

問)

本日、総務省からCPIの基準改定後の数値発表がありました。生鮮食品等を除くCPIについては、改定後、前年度0.6%から同0.2%と少し数値が下がりました。それから、内閣府からいわゆるコアコアの石油製品、特殊要因等を除いた改定後の指数も今朝ほど公表されて、今年に入ってわずかながらプラスになっていたものが、改定後ではまたマイナスの数値でありました。これら指数の見方及び現状の物価動向についての大臣の御所見、それからこれらが話題になっておりましたデフレ脱却判断ということに対して何か影響を与えるかどうかについてお話しください。

答)

前の基準で行った計算と新たな基準で行った計算を比較すること自体には、学問的な意味は薄いのだろうと私は思っております。問題は、その趨勢がどうなっているかということであって、物価はわずかながら上昇の方向に動いていると、はっきり読み取れると思っております。したがいまして、前の基準と比べてどうかということは、議論の対象にならないだろうと思っておりますし、問題はその趨勢だろうと思っております。

それから、石油製品等を除く指数のお話ですが、これは石油製品あるいは生鮮食料品がボラティリティーを持っていた故に注目されたわけですが、先般のアメリカの議会でのバーナンキ議長の証言でも、そのボラティリティーも少し怪しくなってきており、やはり総合的な物価指数というものに重点を置いてものを考えることが必要だろうということを言っておられますし、またECBでも、やはり統計としては総合物価指数が大事とされていると思います。

個人の意見を申し上げれば、消費者物価指数といった場合は、消費者が物を買う時の物価水準を言っているわけです。消費者は、石油製品や生鮮食料品を除いて購買行動を行うわけではありませんので、そういう意味では、消費者とのインターフェースにおいて、石油製品も生鮮食料品も、私は消費者物価の概念に入ると思っていまして、ボラティリティーを前提に除外することが本当に正しいのかどうかということを、やはり考えざるを得ないと。

それから、生産性向上が起きた場合には特定品目の物価は下がりますし、競争が激烈になると下がりますし、また海外からの輸入物価との関連で価格を下げざるを得ないといった、いろいろな原因があります。そういうすべての要因を考えて、物価の趨勢はどちらに行っているのか見出すことが、大事なことだろうと思っております。

昭和58年に選挙がありまして、私が自民党の大きな宣伝カーの上に乗って演説をしている写真が、実は事務所にあります。その自民党の大きな宣伝カーの標語に何と書いてあったかというと、「主婦の感覚で物価の安定を」と書いてありました。そういう意味では昭和58年に自民党が主張していた状況が、今実現していると私は思っております。

問)

デフレ脱却宣言なのですが、政治的な小泉政権の総括としての意義があるというお話を、先般より大臣から聞いておりますが、今回の消費者物価指数の新しい基準になった値を見て、小泉政権下でもデフレ脱却宣言は間に合うのかどうか教えてください。

答)

4-6月期の数字の改定である第2次QEが9月11日に行われます。それまでに専門家の方々によく分析、検討していただき、QEの発表後に月例経済報告等も行われますので、その時にどういう判断を示すかということを来月の中旬までお待ちいただければと思っております。これは、何も消費者物価だけの話ではなくて、あらゆる経済に関する指標を分析して、日本の経済が正常な道を辿っているかどうかの総合的な判断を、私はしたらいいと思うし、また、するべきだと思っております。

問)

みずほ証券が、ジェイコムの株式誤発注に関連して、損害賠償を東京証券取引所に求めていますが、東証の財務内容からいって、大きな打撃になるのではないかという発言も出ていますけれども、御所見があればお聞かせください。

答)

それは、400億円も本当に取られたら、打撃になることは間違いないと思いますが、やはり当初は両者とも、話し合いで解決しようというお気持ちはあったわけですけれども、話し合いでやるよりは、公判廷で、裁判所のもとでものを決めた方が、透明性も高いし、客観性もある。むしろ話し合いでやる方が、不透明なまま終わる、或いはその後の説明過程に苦労するということで、敵対的に裁判で争うというよりは、公開の公判廷で物事を決着した方が説明責任が果たせるという立場で法廷での決着を目指したということだろうと思っております。どういう決着になるかわかりませんけれども、当然、これは一つの大事なやり方だと私は思っています。

問)

物価動向の判断についてなのですけれども、水準というよりも、むしろ趨勢が問題であるとのお話なのですが、これまで内閣府で物価の基調の判断を見極めるのに重要視されていたCPIのマイナス幅がこれだけ大きくなっているということを、どう御覧になりますか。これがプラス圏に浮上しなければ、デフレ脱却とは言えないという認識は、必ずしもあたらないのでしょうか。

答)

先ほど申し上げましたように、どの方向にベクトルが向いているかということが大事であり、またCPIの考え方についてもやはり石油製品等を本当に除くのかどうかという問題が、私は多分あるのだろうと思います。原油及びエネルギー関連を除くというのは、上がり下がりが激しいから統計的な安定性がないという意味で外しているわけですが、やはり原油価格の上昇というのは実需を背景にしており、高値安定ということですから、実は生活者にとっては物価上昇になっていると私は思っております。

問)

そうすると9月中のデフレ脱却判断というのは、必ずしも排除されていないという理解でいいですか。

答)

デフレ脱却は、視野に入っておりますけれども、来月の中旬まで専門家が幾つかの点をチェックした後で、総合的に判断したいと、そのように思っております。

問)

一部報道で、一時国有化中の足利銀行の受け皿について、近く選定作業に入られるという内容が伝えられておりますが、これに関して御所見をお伺いしたいと思います。

答)

報道がございますけれども、実は事態はそこまで進んでおりません。そこまで進むような環境が整いつつある、或いは成熟しつつあるということは事実でございますけれども、報道のように確定的に、その方向で進んでいるわけではありません。

しかしながら、時期は成熟しつつあると私は感じております。

問)

CPIですが、今回、基準改定によってマイナス幅が0.5ポイント程度下がったことで、日銀による金利の再利上げへの影響というのは、どう見られていますか。

答)

ゼロ金利から離脱した時の総裁の発言は、ゆっくりゆっくりという話でございますから、その立場は変わっていないのだろうと私は思っております。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る