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山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成18年9月29日(金) 9時28分~9時52分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議でございますが、本日所信表明演説がございます。その正式な決定を行いました。多少手直しの部分がございましたが、ほぼ原案通りに了承、決定いたしました。次に、拉致問題対策本部の設置についての閣議決定がございました。本部長は内閣総理大臣で、本部員は全ての国務大臣となっております。特に総理から発言で、しっかりやっていくようにとのお話がありました。

また、各省庁から様々な報告事項がございました。環境大臣から夏季の軽装期間の終了。クールビズは一定の成果があり来年以降も続けるが、今年は9月30日をもって終了となるというお話でございます。閣議開催時刻は、10月3日以降の定例閣議は原則として9時から院内において開催するという報告もございました。厚生労働大臣からは、有効求人倍率の報告がございました。総務大臣からは、労働力調査結果、消費者物価指数及び家計調査についての報告がございました。そういった報告事項で本日は終了しました。以上です。

【質疑応答】

問)

大臣が最初の会見のときに、完全に糾弾しなければならないとおっしゃっていました保険金の支払いの問題について質問させていただきます。金融庁は現在、損害保険会社に対して自動車保険の特約等を中心に、保険金の不払い状況について報告せよという指示を出されたわけですけれども、その報告が今月末に来ると思いますが、また新たに大量の不払いがあったという報告が来る事が確実視されています。昨年も金融庁として損害保険会社に報告をしなさい、その報告を出した、しかしその後に不払いが新たにこんなにたくさんありました、ということが相次いで発覚している状況について、大臣はどの様な印象をお持ちかお聞かせください。併せて、こうしたことが発生する原因はどういうところにあって、金融庁としてどの様に対応する方針であるかお考えをお聞かせください。

答)

その様な報道がありますことは承知しております。損害保険会社が業務改善計画に従って行っております支払い漏れ再調査の結果につきましては、本日までに報告を行うよう各社に指示をしてございます。従って正式な報告はまだこれからであります。仮に追加的な支払い漏れが認められました場合には、報告内容について精査、確認を行いまして、経営管理体制、支払管理体制等を詳細に検証した上で、支払い漏れの件数の多寡のみではなくて、当該事実の内容に応じて、行政上の対応を含め適切に対応を図ってまいりたいと思っております。

この様な支払い漏れの事実がなぜ起こるかの原因につきましては、今後更に調査を進めてお答えをしていきたいと思っておりますけれども、一般論から言えば、特約が年々複雑化、多機能化しておりまして、必ずしも意図的な不払いで無い部分もありますし、また、昨今の企業の経営の面での合併等、あるいはその他経営者の努力等が下部まで徹底しているかどうか、そういうガバナビリティに問題もあろうかとも思っております。他方見方を変えていけば、現代的な要因、即ち大勢の消費者と複雑な商品を売却する巨大企業との関係。去年の暮れにありました松下電器のストーブの問題に見られますように、消費者としては容易に発見できない様な瑕疵。そういったものも含めまして力関係、契約当事者関係の大きな差がある中での商品売買ということでありますので、ここらにおきましては売る側、買う側も今後注意していく必要がありますが、出来るだけ消費者側に立って考えていかなければ、金融市場あるいは保険業の信用性に係わってくるだろうと思いますので、そういう意味を込めて今後注視していきたいと思っております。

問)

今のお話の中で、必ずしも意図的でない不払いがあるのではないかという言い方をされていましたが、その点について、保険会社にとって保険金を支払うというのは基本的な業務だと思うのですが、その部分について意図的でないからいいのか、意図的だからより悪質なのか、その辺をどの様にお考えでしょうか。

答)

この意図的であるかどうかの挙証責任は、恐らく保険会社の方にあるだろうと考えております。先程申し上げました様に、現代的な一般論で言えば、商品がより細かく複雑化して容易に消費者に判断できないという観点からすれば、意図をせずしても消費者に何らかの損害を与えたならば、余程それについての挙証は会社側に委ねられるべき、一般論でございますが、ものであろうと思っております。

問)

利用者保護ということを大臣は常々仰られていましたけれども、利用者が約款等を見ないで商品を購入するといったケースが結構あるのですが、行政として利用者保護という立場から商品についてどこまでが分かり易い商品というのは難しいとは思いますが、そういった点について大臣はどの様にお考えでしょうか。

答)

最近、金融商品について売買する時には、この事項を説明しました、説明を受けました、チョンというようなマーキングをしたりするわけですから、それぞれがお互いに後々トラブルにならない様な売買手法とかが工夫されております。そんな意味では売買は進化している訳ですから、私ども、金融商品、なかんずくこの保険商品においても、そうあっていただきたいと思っています。

問)

来週、日銀短観が発表になるのですけれども、再チャレンジという点でお話いただきたいのですけれども、大企業の景況観はだいぶ回復しつつあるのですが、中小企業は数字に表れている以上になかなか厳しいのではないかとの見方も多い訳なのですが、中小企業支援というか再チャレンジの施策というところでどのようなことをお考えでしょうか。

答)

これは、再チャレンジというのは、基本的に勝ち組と負け組を固定化させない。まだ、大企業の景況観が良くて中小企業がそれ以上ではないということを以って直ちに負け組だと、それが固定化されたとは思っておりませんが、そういう中で、数値に、マクロで出てこない、ミクロで見れば大企業は現在のマーケットからすれば倒産まではいかないけれども中小企業であれば倒産してしまったというものがあるならば、それが単なる経営努力の不足ではなくて、いわゆる事業環境だとか金融支援体制だとか、そういったものの不備に基づいて、さらに事業催行する設備投資についての不備があるのならば、再チャレンジとしましては、関係各省庁と話し合いながら徹底的に改善していこうと考えております。

問)

大臣としての現状のご認識として、ミクロでややマクロの数字に表れない景況観の厳しさというのがあるとお考えでしょうか。

答)

一概には言えませんが、マスプロジェクト、つまり巨大資本における利益と損失というのはまた巨大だろうと思います。中小企業は、利益・損失のサイズは小さいのではないかと思いますが、量的には圧倒的に95%を超える日本の中小企業という存在、会社のシェアからすればありますので、そのことにおいて政府が看過するようなことがあっては、日本国民全体の幸福追求、あるいは経済活動のさらなる向上みたいな視点から言えば、絶対見過ごしてはならない部分であります。従って、むしろ、われわれがそこの部分を究明していくくらいのつもりで是非ご支援をさせていただきたいと。中小企業対策というのは、再チャレンジにとって重要課題であろうと思っております。経済産業省には、中小企業庁というものもありますし、その方々ともご相談しながらできるだけ各省庁にまたがりながらやっていく再チャレンジですから、私の方でも全力を尽くしたいと思っております。

問)

再チャレンジについて、大臣、非常に意欲的に発言されているのですが、報道をみますと組織がないようだったら掛け声倒れになるという報道も早くも出ておりますけれども、大臣どのようにお考えですか。

答)

正直申しまして、私は5月の中間とりまとめを拝見しました段階では、既存の主に厚生労働省にかかわる部分について抽出して、なお各省庁からあえて人生の複線化、負け組、勝ち組の固定化を排除するような施策を取りまとめていったと。つまり、縦割りを横割りでまとめてみたという印象が拭えなかったわけです。私も同様の、皆さんが仰られることとほとんど同じ感覚をその時に持ちました。しかし、今、日本に渦巻く格差社会、あるいは被害意識、あるいは閉塞感というものがあって、政治に求められているものが何なのかをじっと考えた時に、高齢化社会であって金融資産の保有者は、むしろ高齢者の方が金融資産を保有している。しかし、老後の不安は高齢者の方がはるかに高いという意識のいわばミスマッチ、事実との乖離という部分がございます。それを埋めるのは何なのかと考えた時にはですね、やはり横で括りながらまとめて再チャレンジ、あなたにもこういうことがいくつも手段としてありますよ、ということをむしろ広報宣伝し、かつ意識的に再チャレンジという言葉で括りながら提供していくという作業は無駄な話ではないと私は思いました。中小企業対策として、中小企業の皆さんへのメッセージとして、個人保証に過度に頼らない与信システムということを、中小企業庁が、あるいは経済産業省が発する話と、私どもが再チャレンジという形で発するメッセージとは若干取り方、受け方が変わってくるのではないかという気がしますので、これは安倍総理オリジナルの今回の内閣の最重要テーマであるということは、今の日本において過去20~30年前より豊かになっていることは事実、しかし、物質的豊かさと心の豊かさとの乖離を埋めるという意味での作業としては本当に重要な良い着想だろうと自信をもっておりますので、5月に中間報告を見た、そして今現在私が考えていることという意識からすると、ここ数ヶ月で私の意識は全然違うものになったということでございます。

問)

日本は以前、格差がない社会と言われていたと思うのですが、格差が今これだけ内閣の主要課題になる程大きな問題になっていったという問題はどこにあるとお考えでしょうか。

答)

格差の客観的数値で読みますと、昭和40年くらいまでの地域間格差というのは3倍くらいありました。現在は2倍くらいでほぼ収まっています。具体的に言えば、沖縄と東京の県民所得の格差というのは一昔前は3倍そこそこであったのが、現在2倍ということでいけば、現実論としては客観的数値でみれば格差は縮んでいます。しかしながら、やはり心の意識の問題、沖縄の方が羽田空港について都心に来た時のビルの乱立する状況だとか、ホテルの値段だとか、現実に触れられて帰られる時には格差を感じざる得ないものがあるのではないかなと。意識の面、そこに私は大きな格差、つまり現実的数値よりも心の感覚の中で私は格差が広がっている。それを格差というものではなくて、私から言えば自信喪失。そしてその自信喪失に対する答え、そういったものが今欠けているのではないか。つまり、沖縄にいてもビジネスチャンスはあるのだ。そして、沖縄にいても三世代、四世代で幸せな家族生活、家庭生活を送れるのだという確信めいたものが少し欠けていることからそれを格差という言葉で表しているのではないかと私は整理しております。

問)

例えば、正社員とフリーターとか世代間、同じ地域の格差というよりは、まず地域間格差、地域間の心の、その地域は疲弊していて富が東京に中心に集まっているとかという地域間格差の是正をまずは優先的な課題と考えていらっしゃるということでしょうか。

答)

いや、どっちを優先するという訳ではありません。生き方の問題として、法学部を出た、あるいは工学部をでた、しかし、音楽が好き、絵画が好きという人がフリーターになって自分のやってきたことと違うことをやろうとすると当然正規社員にならずに生きていく、働いていくという選択肢を採ります。これは、むしろフリーターが増えたというのは生き方の選択肢が増えたと他方で言えるように思っております。しかし、トータルな人生設計で冷静に考えた場合、厚生年金等が十分でないとか、保険、その他の正規社員に比べれば保障、保険が少ないというようなことから考えますと、親の目という視点でみると、やはり安定的にやって欲しい。それを客観的に見ても、親が言うのも是なるものかなという観点からすれば、早くフリーターを解消してもっと確実な収入源を得させることが再チャレンジかなと思うかもしれませんが、私はフリーターをですね、ニートは徹底的に解消しなければなりませんけれども、フリーターは自己の意識で積極的にやっている方のフリーターとそうではない、どうにも職場を受験しましても採用していただけなかったという、がっかりして自信喪失した人にどういう手が差し伸べられるかという問題とはちょっと分けていく必要があると思います。その点において、逆に言えばですね、正規社員になっている方からすれば、私は大学時代頑張った、遊ばなかった、就職試験でも一生懸命やったと。他方、フリーターになってどこにも就職できなかった方は、大学時代学校に行っていなかった、遊んでいた、就職試験の時も友達と麻雀をやっていた、というような方々とイコールに語ることは、努力した人と努力しなかった人が同じレベルにあることもおかしい訳でして、それからすれば平等社会、そしていつでもチャレンジできる社会というのは、ある程度意欲・努力に応じて報われる社会。努力するけれども報われないということを解消することをするのが私の役目でして、努力しない人までも解消できるという、いわゆる資本主義社会や市場経済原理から外れた人を救うというものではないと私は思っております。このフリーター問題についても少し細かく分析が必要であると思っております。

(以上)

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