山本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年5月25日(金) 8時57分~9時10分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。閣議のご報告をいたします。農林水産大臣から平成18年度食料・農業・農村白書についてご報告がございました。経済産業大臣から平成18年度エネルギーに関する年次報告についてご報告がございました。財務大臣から平成18年末現在の対外の貸借に対する報告書及び18年中の国際収支に関する報告書についてご報告がありました。総務大臣から消費者物価指数についてご報告がございまして、平成17年を100として5月の速報値は100.4となり、1年前と同水準。生鮮食品を除く指数は1年前に比べ0.1%の下落。食料・エネルギーを除いた指数は0.2%の下落になったとご報告がございました。科学技術担当大臣から国際原子力エネルギーパートナーシップ閣僚会合の出席についてご報告がございました。国土交通大臣から成田国際空港株式会社の代表権を有する社長についての人事についてのご報告がございました。以上でございます。

【質疑応答】

問)

今週、大手行の3月期決算が出揃いました。結果は大半の銀行グループが減益だったのですが、この決算の状況を踏まえまして、現在の大手行の状況について、どのように見ていらっしゃるかお考えをお聞かせください。

答)

主要行9行の3月期決算につきましては、財務面について申し上げますと、不良債権比率が引き続き低下するとともに、自己資本比率も増加するなど改善傾向が続いております。収益面を見てまいりますと、貸出金からの収入等を表す資金運用利益の減少等から、本業の儲けを表す実質業務純益が低下する中で、貸倒引当金の戻り益の剥落、ノンバンクに係る与信関係費用の増加、特に当期の収益に影響する要因もこうしたものがございまして、当期純利益は前年に比べ減益となったものでございます。投信販売の拡大や海外向けの貸出の増加等、いわば収益構造の転換を図ることで収益力を強化しようとする動きも見られております。今後は各行が内外の金融市場において、より質の高い多様な金融サービスの提供により、更なる収益力の向上に努めることが重要になると考えております。概して言えば、ロンドンのウィンブルドン現象という他流試合の中で、英国企業というのが未だセンターコートに出られないように、日本の金融各行も未だ対外的な比較をしますと、収益力において、まだその域に達していない。全米・全英オープンには未だしという所ではないでしょうか。

問)

損害保険の決算ですが、大手の中でも業務停止処分を受けた損保ジャパンとか、三井住友の減収・減益というのが目立ったような気がするのですが、それについては如何お考えでしょうか。

答)

個社の決算内容の詳細についてはコメントする訳にはいきませんが、一般論として申し上げますと、業務停止期間中の収入保険料の減少など、減益の要因が存在するものと考えております。一方で、収入保険料の減少に伴いまして、代理店手数料や責任準備金繰入額等の費用負担は軽減される要因となることが考えられております。こうしたことから、業務停止期間中の収入保険料の減少が最終的な決算における損益にどれほどの影響を与えるかについて、一概に申し上げるのは困難であろうと考えております。なお、18年度に募集業務の停止命令を受けました損保ジャパン、三井住友海上では、両社とも収入保険料が減収、経常損益及び当期純利益とも減益と承知しております。この要因としましては、自然災害に係る支払い保険金の増加等もありますため、業務停止が両社の決算にどのような影響を与えたか、これまた一概に申し上げることは困難であろうというように思っております。いずれにしましても、こうした不払いや国民の側からした期待を裏切られるような行為が、この業界の追い風になることはありませんので、その意味では、ニュアンスとしては減収要因につながる可能性の方が濃いというように思っております。

問)

昨日、九州親和ホールディングスが、傘下の親和銀行をふくおかフィナンシャルグループに売却することに合意しました。売却して、持株会社が清算するという異例の形ではあると思うのですけれども、公的資金が入っている持株会社の対応についてどのようにご覧になっているのか、考えをお聞かせ下さい。

答)

このスキームは、両行の経営判断によるものでございます。当行の健全性の維持及び地域金融の安定化にとり、重要な役割を担うものでございます。その中で、公的資金が額面返済でございますが、こうした資本注入、公的資金の優先株というようなものを、できるだけ早期に返済をして、かつ自力で市場の中で解決して行こうという両行のルッキングフォワードをした意欲というものに対しましては、私は高く評価しているところでございます。他方、普通株主の皆さんにとりましては、昨日の株価に見られますように、ストップ安、また監理ポストということになるわけでございまして、そうしたステークホルダーに対する説明、或いは今後の道行についての、利害関係者に対するいわば配慮ということに対してのお願いや期待をしているところでございます。

問)

大手行の決算に関連してなのですけれども、特にメガバンクの時価総額で、中国の銀行(の時価総額)が大きくなっているということで、去年よりも順位を下げているというあたりについてどのようにお考えになるかということと、日本のメガバンクが買収される可能性については、どのようにお考えでしょうか。

答)

まず、新興市場の経済成長は、我々が考える以上に、高く強いものがあると思っております。そして、もう一つ、先日、IMFのリプスキー第一副専務理事と協議した中で、世界における資金のあり様、過剰流動性のあり様について、以前のモデルでは、新興国に先進国の資金が流れていく、市場から新興国に資金が吸収されていくという流れがあったわけでございますが、むしろ、今はその逆でありまして、先進国のマーケットに新興国の資金が流れて来つつあるという様な、新たなモデルの世界の市場のあり様になっております。そうした中で、いわば新興国が強い経済的な伸びを示しているわけでありまして、その代表がBRICsの中でも中国企業等々でございます。そうした中国企業の好調ぶりというものを反映する中国の銀行の時価総額ということに対しましては、私どもも敬意を表しているところでございます。ただ、いつか来た道、一昔前にも日本の大手行でもそうした傾向がありました。いくつかのこれから乗り越えなければならない課題も中国側にもあろうと思いますが、いずれにしましても、メガコンペティション、国際的な金融市場の大きな競争の中で、日本の金融機関、特に大手銀行の活躍、特に収益力の向上という意味での活躍が期待されるところであることは間違いがないわけでございます。そうしたことからしましても、今後、彼らのイノベーションや、或いはインテリジェント機能の強化、そうしたものに対しての、こちらも期待やお願いをしていきたいと思っております。また、大手行が買収されるというような局面があるや否や、というご質問でございますが、それは、それなりにかなり巨大な時価総額を示しておりますので、こうしたものを容易に買収する企業が、或いはファンドがあり得るかどうかについては、私の方では、今のところはそうした大胆なことは起こらないだろうと思いますけれども、今後の収益力の格差が、やがては時価総額の差になって、そうしたことが5年、10年後にないとも限らないというように思っておりますので、そうした点におきましても、やはり、対外試合で伍して戦える日本市場ということを考えました時に、人材の育成等が急務であることには間違いないだろうと思っております。

(以上)

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