渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年12月24日(月)10時38分~11時03分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

クリスマスなのにご苦労様でございます。

今朝、閣議に先立ちまして行革推進本部の会合がございました。私の方からは、先に取り纏めました独立行政法人整理合理化計画について説明をいたしました。続いて閣議では、同じくこの計画について説明をいたしました。

また、平成20年度における国家公務員の配置転換の内定状況について報告をいたしました。平成20年度が2年目となりますが、各府省の受入れ目標数を704人と定めて取組みを進めてまいりました。その結果、国の行政機関内で754人、国会、裁判所等の機関を含めると783人の受入れが内定しました。配置転換は、平成22年度まで継続して行うことになっております。後半を迎えるこれからが正念場であります。つまり、後になればなるほど、こういった配置転換は難しくなっていくということでございます。閣僚各位の協力をお願い申し上げました。

それから、「金融・資本市場競争力強化プラン」について説明をいたしました。これは、先週ご報告申し上げたものでございます。総理からは、「なぜ日本の市場の国際化が遅れ、競争力が高まらなかったのか、橋本内閣のときにこうした構想はあったではないか、その理由は何か」というご下問がございました。できるだけ早い機会に、なぜ遅れたのかを改めて報告をしたいと考えております。

私の方からは以上であります。

【質疑応答】

問)

独法の整理合理化計画ですけれども、今日ご報告なさった中で、まず総理から改めて全体の評価、どういうお話があったのかということと、大臣にとって、当初、かなり高い目標を掲げていらっしゃいましたが、その目標から比べて、最終的にどう評価なさいますか。

答)

まず、これは総理もよくおっしゃることでございますが、独立行政法人改革については非常に前向きに取り組んできたと思います。私一人が突っ走ったのではなくて、まさに総理の指示に従ってやってまいったわけでございます。各大臣折衝というのも、総理のご発案に基づいて始まったわけでございまして、今日は総理から、「プレッシャーをかけたのは私であった」、総理ご自身であったと。「渡辺君」とは言いませんでしたけれども、そういうことで、「不快な思いをされた大臣もいらっしゃったかもしれませんが」という前置きで、「プレッシャーをかけたのは自分であります」と、そういうことをおっしゃっておられました。今回、改めてこの問題を振り返りまして、いろいろなうまくいったこと、うまくいかなかったことがあったかと思います。

まず、うまくいかなかった点でございますが、当初、我々が考えました各府省を超えた統合といったものが、残念ながらできなかったということでございます。いかにこの独立行政法人という組織が各省の紐つきになっているかということを、改めて感じた次第です。やはり、これは総理がおっしゃるように、独法というのは国民のためにあるのだ、各省のためにあるわけではないでしょうということを、根本に立ち返って考え直していく必要があるかと思います。今回は、この点につきまして、ガバナンスの内閣一元化という観点を盛り込みました。したがって、これが芯を食って実現していきますと、まさに各省の関連会社、子会社という位置づけから、国民共有の機構へという大転換が行われていくようになるかと思います。

また、大どころにつきましては、それなりにメスは入ったと私は考えております。先送りではないかという評価をいただいているのはよく分かっておりますけれども、例えば都市再生機構(UR)にしても住宅金融支援機構にしても、これで独法のまま未来永劫いくということが確定したわけではないのですね。住宅金融支援機構などは、2年後の株式会社化、特殊会社化も踏まえて結論を出すということを、はっきりと明示しております。URにつきましても、この3年間、スリム化を図っていくと同時に、3年後に改めて結論を出すということでございますから、これは延長戦であるということが言えようかと思います。

また、役割を終えたというものについては、廃止の結論が出されたと思います。例えば、万博機構などはその典型例であって、1970年の万博の跡地を管理している独法というのは、もはや役割を終えたでしょうという、シンボリックなものであったと思います。

また、無駄遣いの象徴としては、雇用・能力開発機構が挙げられるかと思います。これは、雇用保険特会が大変潤沢な資金を持っているがゆえに、いわばその埋蔵金が独法の方に流れ込んで、御殿に変わってしまった、あるいは使われてしまった、こういうことではなかったかと思います。こういったところについても、組織の廃止も含めた見直しについて、1年後に結論を出すということでございますから、こうしたことから考えても、当初、我々が考えた大どころについては、かなり思い切ったメスが入ったのではないかと考えております。

また、「絶対にこれはできない」とさえ言われていた日本貿易保険(NEXI)については、我々の当初の主張どおりの株式会社化が認められたわけでございまして、こういったことからしても、決して世間で言われるような低い点数ではないのではないかと申し上げたいと思います。

問)

改めて、他省庁の大臣との折衝、または官邸も含めて、この折衝、調整というのは難しいというふうに感じられたのではないですか。

答)

私は、調整の役割ではございませんで、調整は官邸でされるわけですね。私は、自分の与えられたミッションに従って、各大臣に我々の考えをお示しして、とにかく岩盤を突破しようというところが私の使命だったわけでございます。最後の段階で、官邸、官房長官、総理に乗り出していただいたことについては、大変感謝申し上げております。これから、いろいろと積み残しの課題もございますので、こうした問題については、逐一、フォローアップしてまいりたいと考えております。

問)

競争力強化プランですけれども、これも今回の年末にまとまりましたが、改めて当初の大臣のお考えと今回の金融審一部会、二部会を通じてまとまった今回のプランの評価をお聞かせ下さい。

答)

これも古くて新しい課題ではあるかもしれませんが、世界経済が一体化して久しいわけです。まさにその頃、橋本内閣においてビッグバン構想が出てきたわけでございます。残念ながら、日本がその直後、金融危機に見舞われデフレ経済に陥ってしまいました。メガバンクの不良債権問題は片付いたとはいえ、地域経済には大変な過剰債務が未だ残っているという状況でございます。デフレ経済からの脱却宣言は未だにできていない、国民の金融資産がいわば塩漬け状態になってしまっている中で、おそらくこの橋本内閣当時の構想が相当遅れ遅れになってきたと思います。しかし、官から民へという流れを確実なものにする一方で、国民の富について「貯蓄から投資へ」という流れを作っていくということが確実になっていくならば、日本の市場の国際競争力が強化されていく仕掛けを必ず同時に作っていかなければならないわけでございます。そういった意味で今回の「金融・資本市場競争力強化プラン」というのは、まさに時宜にかなったプランでありまして、戦略的にも今の実情を踏まえたよいプランになっているのではないかと思います。

問)

国民からみてわかりやすく一言お答えいただければと思いますが、今回の強化プランに即して考えると、日本の金融機関、銀行、そして取引所が、何年後にどのような姿になっているのが望ましい、今回の強化プランを上手く活用すれば、国際的に考えるとどのような姿になっているというものなのでしょうか。

答)

何年後とは申しませんけれども、国民の金融サービスを享受する利便性は格段に向上していくものと思います。全部の垣根が一律に取り払われるわけではありませんけれども、今後、相当使い勝手は良くなっていくだろうと思います。一方、銀行の優越的地位の濫用や利益相反などの心配については、きちんと歯止めをかける仕掛けもございますし、塩漬けになった国民の富というものに、さらにいろいろなチャンスが生まれ、投資の機会が増え、そして国民がいろいろな選択肢を手にする、その中で自分の選択はこれだということが判断しやすくなるものと思います。同時に、日本という市場に入ってくる世界中の投資家の活動は、さらに活発になることを期待いたしております。既に日本の株式市場においては、シェアの6割以上が外国人であるという現実がございます。ぜひ、日本人が日本の力の見直しをしていただければ、大変ありがたいと私は思うわけであります。そのような観点からも、今回のプランが、そう長い年月がかからずに、10年もかからずに次の未来が切り開かれていくという時代になるのではないでしょうか。

問)

サブプライム問題についてですが、先週、アメリカの金融機関からの要請がありましたサブプライムの基金についてですが、日本の3メガバンクも協力の見送りを表明して最終的にこの基金はなくなりました。また、今、決算が発表されているという時期で、かなり動いている時期でもありますけれども、改めてこのサブプライム問題について年明け以降の見通しをお聞かせ下さい。

答)

個別の問題については申し上げませんけれども、日本でも共同債権買取機構というものを作った時代がありました。残念ながら、これが問題の本質的な解決までには至らなかったわけです。中には「飛ばし機関」などと言われたこともありました。結局、この10年間を振り返って、流動性の危機の背景にはソルベンシーの問題があるということが、いつも申し上げるように我々の歴史の教訓なのです。そういたしますと、おそらくこのような危機の背景にあるものに対しては、流動性の供給だけではなくて、資本の強化というところに相当焦点を充てていかざるを得ないということがあろうかと思います。したがって、日本では、公的資金の投入という大決断をしたわけであります。サブプライム問題は、そのような段階にまではまだ至っておりませんで、公的資金の代わりにソブリン・ウェルス・ファンドが資本増強に協力をしているという構造ではなかろうかと思います。結局、アメリカの巨大な三つ子の赤字のファイナンスをやっている国々のソブリンが、資本増強に協力をしているという構図であろうかと思います。こうしたことが来年どうなるのか、我々としては油断大敵である、という思いでこの問題には対処していかなければならないと考えています。

問)

独法なのですけれども、先ほど大臣は「延長戦」という言葉をお使いになりましたが、都市再生機構について、総理に先日提案された天下りの禁止とか埋蔵金の吐き出し、このあたりはどういった手順で、今後、進めていくおつもりなのでしょうか。

答)

これは、今日改めて冬柴大臣にも、閣議の前だったか、官房長官にお渡ししたのと同じペーパー―ペーパーといっても単なるメモでございますが―をお渡しして、ぜひ近々、こうした問題について御相談にお伺いしますということを申し上げております。つまり、今回の整理合理化計画の中で、URについては随契の廃止ということがうたわれたわけであります。随契の裏側にありますのは、独法からの天下り、緑資源において典型的にあったような、そういう人の流れなのですね。

これについては法的に禁止というわけにはいきませんけれども、ぜひこれはやめるということを、率先垂範、やっていただきたいと、私はかねて申し上げてまいりました。そのことは、総理や官房長官にも申し上げたわけでございまして、改めて今日、冬柴大臣にそのことを申し上げ、近々ご相談にお伺いしますということを言ったわけでございます。

また、整理合理化計画の中で、抽象的な書き方ではありますけれども、埋蔵金の召上げの問題についても触れております。つまり、過去の随契の結果、ファミリー企業に流れ込んだお金、利益が内部留保として蓄積されているわけでありまして、独法としてスリム化を果たしていくという今回のURの3年間の指針に照らすならば、こうした埋蔵金は召し上げる、何らかの形で独法本体に返還させるべきではないかということを私は言っているわけでございまして、そうしたことについても、冬柴大臣と話し合っていきたいと思っております。

問)

その話合いというのは、年明けにもやるということですか。

答)

できれば、早い方がよいのではないでしょうかね。今日はクリスマスですから別として、クリスマスが終わっても、まだ仕事はやるわけですから。先方様の御都合もあるでしょうけれども。

問)

「金融・資本市場競争力強化プラン」のことですが、総理の方からなぜ遅れているのかと下問があって、改めて報告したいという話でしたけど、これは何か報告書のような形を考えているのか、いつ頃どういった形で報告するお考えでしょうか。

答)

大々的な報告書という形よりも、だいたいなぜ遅れたかはちょっと考えればわかる話です。むしろ、これからこの強化プランが再び同じ目に遭わないための歴史の教訓として、改めて再確認をしておくべきではないかと、そういう主旨であろうと思います。したがって、そんなに時間をかけずに、私の方からできるだけ早い機会に総理の方には報告をしたいと思っております。それについて、まだ納得が得られず、更にもっと深く追求せよと言うのであれば、その時はまた考えたいと思います。

問)

確認なのですけれども、先ほど独法改革で、プレッシャーをかけたのは自分だという総理の言葉があったという話ですが、これは閣議の席での発言ですか。その前のご発言でしょうか。

答)

本当は、私が言ってはいけないのですけれども、閣僚懇談会の席での発言です。「独法というのは、国民のためにある組織だ。国民のためになっているのかを、常に考えていかなければいけない」ということを、よく総理はおっしゃいますね。今日も、改めてそのフレーズを言われたということであります。

(以上)

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