渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成19年12月28日(金)10時35分~10時58分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。今朝の閣議についての報告はございませんが、昨日、年金業務組織再生会議の中間整理をいただきました。それにつきまして、来年5月を目途に最終整理を行うことにしております。お手元に資料をお配りしておりますが、この最終整理に向けた検討の参考とするため、国民からの意見募集を行います。職員採用の基本的考え方と外部委託の推進についての基本的考え方の二つについてであります。これは、信頼を失墜した社会保険庁を解体し、国民から信頼される日本年金機構をなんとしてでも作り上げるという決意の元に、社労士さんや企業事業所などで年金手続き業務に従事しておられる方々、国民年金受給対象者、社会保険庁職員、市町村職員の方々まで含めて、日頃年金実務に関わりのある方々から広く年金業務に関する改善・提案や業務の実態に関する情報提供をいただき、今後の再生会議における審議に生かしていこうという趣旨であります。皆様方からの積極的なご提案、情報提供を期待しております。私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

1年間お疲れさまでした。1年の最後の会見ということで、今年1年を振り返られまして、行革担当大臣、金融担当大臣としてこの1年間の総括をお願いします。

答)

今年は、まず政治的には国会がねじれてしまったということが一番大きな事件であったかと思います。参議院選の結果、このような状況になったわけでありますが、是非こうした状況から早く次の段階に進んでいくべきであると考えております。つまり、建設的妥協が行われるということが大事でありましょうし、そうしたことが行われていくようになれば、おそらく、より安定的な政治の次のステージが開かれて来るものと思います。

また、行革大臣としては、今年はまず、国家公務員法の改正を60年ぶりで行うことができました。今年の初めころ、国家公務員法改正が実現すると考えた人たちはほとんどいなかったのではないでしょうか。しかし、前政権の下での総理の強いリーダーシップもございまして、これを成立にこぎつけることができたというのは、私にとっても大変な喜びであると同時に、この路線を確実なものにしていく必要があると考えております。能力実績主義によって年功序列が打破されていく、天下り規制によって各省縄張り主義が打破されていくということを、後世代につけ回しをしない行政改革の突破口にしていかなければならないと考えております。

また、年末の独立行政法人改革にあたっては、反省すべき点も多々ございます。例えば、省庁を超えた統合というものが残念ながら一つも実現できなかった、また合併した省庁における合併前の仕切りというものが強く、こうした旧省間での統合も残念ながらできなかったという現実がございます。未だに各省割拠主義、縄張り主義の強さを物語るものであったと思います。しかし、全体として見ますと、大どころにはかなりメスが入ったのではないかと思っております。霞ヶ関の相場観を超えた着地点を見出すことが出来たと考えております。

また、金融大臣としてはサブプライム・ローン問題を、やはり相当大きな問題として考えていかなければならないことを身を持って感じてまいりました。これも去年の今頃は、ほとんど問題にされなかったのだろうと思います。しかし、今年この問題が相当深刻であるということに気づき、我々日本人はこうした金融危機を幾度となく経験してきたわけでありますから、是非日本の歴史の教訓というものを紐解くことによって、問題解決への糸口が見つかるのではないかと考えたところでございます。とにかく、あっという間に過ぎてしまった一年間だったという思いであります。

問)

今年1年間、例えば金融の話でいいますと、明るいニュースは何だと思われますか。

答)

こういうピンチの時にはチャンスが来るのだろうと思います。世界中で結構大変な状況が目の当たりに起きているということから振り返って日本を見ておりますと、株価はパッとしませんでしたが、やはりこの国には相当の潜在力があるなということを感じました。この潜在力を掘り起こすことが、もっと簡単に出来るようになれば、日本の未来は明るいということも同時に感じたところであります。おそらく、来年にはそういった潜在力の掘り起こしが最大の課題になっていくのではないでしょうか。

問)

この潜在力というのは、個人金融資産のこととかをおっしゃっていると思うのですが、もう少し詳しく説明していただけますか。

答)

ご指摘の個人金融資産もありますし、また先ほど申し上げた危機のノウハウといいますか、経験の蓄積というのがあります。これなども一つの潜在力に数えてもいい話だと思います。また、株式市場においては、外国人のシェアが6割を超えていますけれども、日本の構造として官の世界に相当、人、物、カネが集中しすぎてしまっています。この官に留まっているお金や資産というものを民に流し込むことによって、この国の潜在力は相当表に出てくるのではないかと思います。今年はご案内のように郵政民営化も行われ、まだまだ、よちよち歩きの段階だとは思いますが、官から民への流れというのは一進一退はあるかと思いますけれども、確実にその流れを築きつつあると考えています。したがって、そういうことを着実に実践していくということが大事だと思います。また、年末に日本市場の国際競争力の強化プランというものが出来上がりました。これも積年の課題ではあったのではございますが、これを着実に実践していくことによって、日本の潜在力は開花していくものと考えます。来年にはこの関連の法案を国会に提出をすることになりますが、ねじれ国会ではありますけれども、是非、建設的妥協を見出していきたいと考えております。

問)

来年の話でもう一点お伺いしたいのですが、来年春にFATF(Financial Action Task Force:金融活動作業部会=マネー・ローンダリングを総合監視している国際機関)が資金洗浄について、相互審査に来日すると思うのですが、金融庁としてどのように臨まれるのかというのと、民間の資金洗浄対策を進める動きもありますが、そういう取組みを金融庁としてどのように評価し、進めていかれるお考えでしょうか。

答)

詳しい話は承知しておりませんが、マネロンについては10年前とは比べものにならないぐらい、徹底した対策を取ってきております。つい先だっても、政府の中でこの問題を議論したところであります。こうした問題については、まさに政府機関が連携を取っていくということが極めて大事なことでありまして、昔でしたら、そうとうバラバラにやってきたところが、関係機関との連携は相当進みつつあると考えております。お金の場合は瞬時に国境を越えて流れていくという、人・物・金の流れの中で最もスピードの速い世界でありますから、そうした時代背景も考えながら、このマネロン対策というのは、やっていく必要があろうかと思います。いずれにしても、国際連携というのも極めて大事なことでありますから、まさにこういった問題についての国際機関、あるいはマルチの連携について進めていきたいと考えています。

問)

昨日、日本証券業協会の特別委員会が保有しているJASDAQの株式について、売却する協議を大阪証券取引所と進めるということを発表しておりまして、日本の新興市場を巡る取引所の活性化や発展にはどういう観点から当事者に議論を進めていってほしいのか、どういうふうにお考えなのか教えてください。

答)

JASDAQがせっかく良い潜在力を持ちながら、手数料が高すぎるとか、そういった問題がいろいろあって、その潜在力を発揮できないのは非常に残念だと思います。お互いの取引所同士が、まさに経営戦略をかけて、そして連携をしていくというのは大変結構な話だと思います。その連携の究極に合併とか統合とかそういったことも選択肢としてはあるのだろうと思います。それぞれの取引所の経営者がまさに生き残りをかけた選択をする場面があろうかと思います。ぜひとも前向きの努力で、そして足らざるところを補いあって、いただくことが大事かと思います。

問)

今日で大臣に就任されて丸一年がちょうど経ちますが、先ほど一年の総括というのがありましたが、行革大臣としての一年間の率直な感想と、ご自分なりにどう評価されるかお聞かせください。

答)

私も行革については、全くの素人ではありませんでしたけれども、実際、自分で責任者となってこの改革を進めてきました感想としては、やはり日本の霞が関の岩盤のような本音のルールが、相当時代遅れになってしまったなという思いであります。年功序列主義とか、各省縄張り主義とか、こういう時代ではもはやないのだと思います。ところが、民間とは相当隔絶したこういう本音のルールが、未だに岩盤のようにはびこっているわけでありますから、これを相当スピード感を持って変えていきませんと、この世界経済が一体化した状況の中で、本当に10年後、日本は大丈夫なのかと、そういう思いにかられることもあります。行革大臣として、まさしくスピード感を持って改革に取り組むことが必要だなと思った一年でございました。また、やはりこの種の問題というのは、相当戦略的にやっていく必要があろうかと思います。つまり、行政改革というものを政治の方だけで全部決めることが不可能なわけです。霞が関を巻き込んで、彼らの知恵も借りながらやっていかなければならないということは、ある意味で一種の利益相反的な場面が出てくるわけであります。喩えて言えば、まな板の鯉に包丁を持って自分でさばいてみろと、こういうのに等しい場面がないとは言えませんので、そういたしますとなかなかこれは難しいことだなとつくづく思いました。したがって、やはり、次の公務員改革において求められるというのは、本来、国家公務員の任務で大事なことは何なのかと、こういう発想を持っていただくことが必要だと思います。まさしく、こういった問題については、霞が関からある程度中立的な人達によって、スピード感を持って立案される、そういう仕組みが大事であろうかと思います。国家戦略スタッフとか大臣スタッフという議論も併せてやってきたのでありますが、こういう制度はできるだけ早く実現をしていくことが改革にとっては非常に大事だと思った次第であります。

問)

11月の全国消費者物価が前年同月比で0.4%上昇と、生鮮食品を除くベースで跳ね上がっています。大臣はかねてから「貯蓄から投資へ」の流れのためにはデフレ脱却が必要だと強調してこられましたが、足元の物価の動きはどう評価しておられますでしょうか。

答)

これは、デフレ脱却というのとは少し違うのかもしれません。コアコアのCPI、つまり生鮮食品とエネルギーを除いたCPIでは相変わらず下落をしているわけでありますから、そういたしますとこれはデフレ脱却宣言というには、まだ至っていないということが言えようか思います。一方、生活実感として物価は上昇しているといのは誰しも感じることだと思います。まさに、食料・エネルギー価格が高騰をし、経済活動を圧迫し始めているという非常に厄介な状況に陥りつつあるのではないでしょうか。そういうことを考えますと、日銀が思い描いてきたメインシナリオというのが、果たしてそのままの形で続いていくのだろうかということについては、おおいに疑問を持たざるを得ないと思います。

今年一年ありがとうございました。来年も宜しくお願いします。良いお年を。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る