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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年6月13日(金)9時35分~9時46分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。どうぞ。

【質疑応答】

問)

昨日報告がありました「(金融市場)戦略チーム」の第二次リポートについてなのですが、提言の部分で海外SWF(ソブリン・ウェルス・ファンド)の投資歓迎など、対日投資促進をかなり強調するリポートの内容になっていました。このリポート全体に対する大臣の評価と、併せてリポートの中で示唆をしていたのではないかと思うのですが、最近の空港外資規制やJパワー(電源開発)の問題も若干示唆していると思うのですが、これについて、金融庁として、政府内の調整も含め今後どのように金融行政に反映させていくのかという点についてお聞きしたいと思います。

答)

このレポート自体に副題として「開かれた金融力のある国を目指して」というサブタイトルが付いているとおりだと思います。日本は鎖国しているわけでは全くありません。しかしながら、「閉ざされた国ではないか」というイメージが付きまとっているのも事実であります。「日本はもっと開国を目指しているのだ」というメッセージを発する意味からもこのような副題が付けられたものと思います。内外無差別というのは、金融庁の大方針であります。したがって、外資をターゲットに規制をかけるなどということがあってはならないわけです。安全保障上の問題についても、外資を規制するというやり方以外に他のオルタナティブ(代案)がいくらでもあるわけでありますから、そのようなことを念頭にこの答申はまとめられたものと思います。

「できるところから金融行政に反映していただきたい」ということを髙尾(義一)座長(朝日ライフアセットマネジメント常務執行役員)からも言われておりますので、これをよく読みながらできるところを反映させていきたいと思っております。

問)

もう一つ、具体的に対日投資が既に起きている事例の一つとして、日本興亜損保の件についてお聞きしたいのですけれども、アメリカのファンドが業績の伸び悩みを理由に経営陣の刷新と合併・提携のようなことを株主として要求しているわけですが、「開かれた金融力」という立場からするとこの動きについてはどのように見ていらっしゃるのでしょうか。

答)

すみません、個別の話を私はよく存じ上げておりません。

一般論として、日本は閉ざされた国ではありません。まさに内外無差別、内であろうが外であろうが投資はウェルカムであります。日本の市場ルールとプリンシプルに則った投資行動をやっていただく限りは大いに歓迎であります。

問)

関連ですけれども、海外のソブリン・ウェルス・ファンドからの投資歓迎という中で、アメリカでアブダビとシンガポールのように投資向けの協定を結んだ例があるのですけれども、日本でも海外のソブリン・ウェルス・ファンドと投資向けの協定を結ぶ必要性について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

細かいところまで読んでおりませんが、一般的にソブリン・ウェルス・ファンドに対する姿勢がかなり変わっているのではないでしょうか。昨年まではアメリカでもソブリン・ウェルス・ファンドに対して大変冷淡な態度が割と見られたと思います。しかし最近、様変わりしていると思います。LCFI(巨大複合金融機関)に対する資本増強にソブリン・ウェルス・ファンドが貢献をしているという側面もあろうかと思います。また最近では、大統領と財務長官以外は発言をしないと言われているドルの問題についてバーナンキ(連邦準備制度理事会)議長をはじめ金融当局の関係者が発言をしていることからも分かるように、ドル防衛という状況が大変顕著になってきていると思います。そういたしますと、富が移転をしている先の国のソブリン・ウェルス・ファンドというのは、大変影響力のある存在になっているわけでありますから、そのような観点からこうした協定が進められているものと思います。日本においてこうした協定が必要であるかどうかという点については、まだそこまで考えは及んでおりません。

問)

日本版SWFについては報告書の中では設立の是非については盛り込まれていませんが・・・

答)

たぶんこのレポートはその先を行っていると思います。つまり、日本の金融資産というのは、個人にせよ、例えば公的年金の財産にせよ、かなり大きな規模になっています。例えば、年金の財産でいきますと、自民党の方では伝え聞く話によりますと10兆円規模のSWFを創設してはどうかというお話があるようでございますが、このレポートにおいてはその先のことを言っているわけです。つまり、今、独立行政法人がまとめて運用しているものを個人の選択に任せてしまったらどうかという話です。つまり、10兆円くらいの規模のSWFを創設するのではなくて、年金の運用そのものを個人の選択に任せてやってみたらどうかという提案です。例えば、確定給付を維持するにしても、個人で運用先を選べるということです。確定拠出ではありませんので、運用成績がいいところはどうするのかという設計はまだ書いてございませんけれども、確定給付であっても個人の選択に任せるというのは大変おもしろい発想です。SWF議論の先を見据えた議論をこの「(金融市場)戦略チーム」で行っていただいたと思います。

問)

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)については廃止するのが望ましいとお考えでしょうか。

答)

それは、まずはSWFといいますか、運用のより効率化を求めていくということでありましょうから、この提案は報告書ではその先の議論をやっているということだろうと思います。

問)

今日から大阪でG8財務相会合ですが、金融安定化とか原油高の問題などが取り上げられると思いますが、大臣はどういう議論を期待されていますか。

答)

やはり、ドル防衛がかなり課題になっているわけでありますから、そのあたりでどういう議論が行われるのか注目をしたいと思っています。早い話が、金融資本市場のみならずコモディティ(商品)の世界で大変な、原油マーケットに見られるような異常な高騰を示しているわけです。その背景にやはりこのドルの問題というのが少なからず絡んでいるわけでありますから、G7としてそのあたりの議論をどう整理されるのか見守っていきたいと思います。

問)

公務員制度改革に関してなんですけれども、推進本部の事務局長を、民間を含めて公募から登用するという考えを先に大臣は示されましたけれども、その方針というのは今も変わらないでしょうか。

答)

これは国会の議論でも再三やっていただいたように、与野党を問わず、推進本部事務局長以下の人事については公務の内外から、まさに公務のみならず民間の人事制度もわかった人材を登用すべきであるというご意見がたくさん出ております。この基本法自体、政府提案が国会において議員提案で大幅に修正をされたという経緯がございますので、やはり国会の意思というのは尊重しなければならないと思っています。私としては是非公募を実現したいと思いますが、今政府内で調整中でございます。

問)

国会の状況なんですけれども、民主党が福田総理の問責決議案を可決して、事実上国会は会期を残した状態でストップしている状況ですけれども、こうした民主党の対応といいますか、国会対応を大臣はどうご覧になっていますか。

答)

国会が開店休業というのはよろしくないと思います。もともと今週で終わるはずのものが例の日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済連携協定(EPA)の自然成立ということを目指して一週間延ばされたわけです。これは、一週間伸ばさなくても、いくらでも議論を尽くすことが可能だったのではと思います。何とか一週間伸ばしてこの成立を確実なものにしたというところでかろうじて日本の外交スタンスが面子を保ったということであろうかと思いますが、ちょっとお粗末な話だったのではないでしょうか。野党にはせっかく公務員改革などでは極めて建設的な結論をいただいたわけでありますから、日本の国益のかかる問題についてはより前向きで建設的な対応を求めたいと思います。

(以上)

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