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渡辺内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年7月11日(金)10時43分~10時58分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今週7月8日に韓国に出張してまいりました。ソウル市で開催されました「世界電子政府フォーラム」に出席をし、日本の行政改革及び電子政府の推進の取組みについて、私の方から説明を行いました。

また、韓国の行政改革担当大臣―行政安全部長官、金融委員会委員長、そして財務大臣(企画財政部長官)等とも個別に会談を行ってまいりました。金融委員会委員長とは日韓の金融当局間の連携強化やサブプライム問題における対応において意見交換を行ってまいりました。日韓両国が同じ船に乗っているという感を高く認識した次第であります。つまり、交易条件が悪化をし、それが経済に大変な影響を及ぼし始めている。その点では韓国の方が更に日本より深刻であるということを感じた次第でございます。

私の方からは以上です。

【質疑応答】

問)

おととい閉幕しましたサミット、これについてのコメントをお願いしたいのですが、原油高の問題について、投機的なマネーの対策について議論されました。この議論についての見解をお願いします。

答)

サミットでは一次産品の価格高騰問題、それからインフレ圧力の懸念に対して経済の安定・成長を確保するために、引き続き適切なマクロ政策の運営を行っていくと同時に構造政策も行っていくことの決意が示されたと思います。具体的な取引規制とか、そういった問題については、これはおそらく首脳会議というよりは、G7(七カ国財務大臣・中央銀行総裁会議)の会合等に委ねられる問題だという整理であったのかと思います。この一次産品価格の高騰というのは、日本のみならず全世界的な問題でありますし、富が交易条件の悪化によって産油国等に移転をしているという現実を放置しておきますと、ジリ貧になっていくわけでありますから、何らかの対応策は必要であると思います。

一次産品の将来需要が価格に織り込まれているとするならば、その部分はなかかつてのような水準には戻らない可能性もございますが、投機マネーが起こしているバブル化した部分については、なぜそうなっているかを考える必要があると思います。かねて申し上げておりますように、株式市場の動揺というのがなぜ起こったのか、それはサブプライム・ショック以来顕著に起こっているわけでございまして、この問題は日本の歴史の教訓を参考にすべきであります。すなわち、リクイディティー(流動性)の危機の背景にはソルベンシー(支払い能力)の問題がある。それも、個々の金融機関のソルベンシーの問題にとどまらず、金融システム全体のソルベンシーの問題が関わっている。こうした観点から根本的な解決が行われれば、資本市場の動揺というのは相当解消されていくはずでございます。したがって、そういう資本市場の動揺から起こっている、より小さなマーケットである原油やコモディティのマーケットの異常な高騰というのは、それによって何がしかの正常化に向かうことが期待されると思います。

問)

アメリカのFRB(連邦準備制度理事会)の金融危機に関する権限を強化することについて、これについて如何でしょうか。

答)

日本の金融機関の破綻処理、あるいは破綻前処理については、10年以上前から突っ込んだ議論をやってまいりまして、この辺でも日本の教訓は大いに役に立つものだと思います。11年くらい前に、私が1年生議員のころ、私が提案した破綻処理・破綻前処理のスキームにおいては、一つは銀行のシャッターを閉めて破綻処理をするやり方、これはブリッジバンクですとかペイオフとかいろいろなやり方があるわけですが、一方、破綻前処理、銀行のシャッターを下ろさないまま、オープンバンク・アシスタンスという形で行うものもあるのではないかという提案をしたわけであります。つまり、金融の世界にはシステミック・リスクという金融特有の不安の連鎖反応が起こる可能性があるわけでありますから、まさに信用創造を担う金融システムにおいて、このような破綻前処理のオープンバンク・アシスタンスは認められるというのが私の発想でございました。日本ではそういったことがきちんと法整備をされているわけでありますから、このあたりのことは大いに参考にしていただいたらよろしいのではないかと思います。アメリカの巨大複合金融機関においては、投資銀行、日本で言えば証券会社でありますけれども、そういったところの破綻処理・破綻前処理のスキームが十分とは言えないのであれば、アメリカにおいて財務省、あるいはFRBがこうした問題を検討されることは大変結構なことだと思います。

問)

本日、国家公務員制度改革推進本部が立ち上がります。事務局長の辞令交付もありましたが、今後のスケジュール感、推進本部に期待することなどをお願いします。

答)

推進本部が今日立ち上がります。看板掛けも今日行う予定になっております。今日、閣議において事務局長の立花宏さんの人事が決まったところでございます。やはり、推進本部が基本法のミッションに従ってきちんと機能していくためには、事務局の人事が非常に大事であると思います。立花事務局長、松田隆利次長、岡本義朗次長のお三方ともに非常に改革マインドにあふれた方々ばかりだと思います。いずれも行革の経験豊富な方々たちであって、なおかつ今回の基本法が目指している官民の垣根を低くするということを自ら前倒しで実践するわけでありますから、この点においても画期的なことかと思います。

年功序列の人事も、この事務局長、次長の人事においては相当打破されていると思います。49歳の岡本さんと60歳の次官経験者である松田さんがともに局長を支える次長という立場でおやりになるわけであります。こうした「各省縦割り」や「官民の垣根」の打破ということをシンボリック(象徴的)に体現している事務局長、次長人事であります。

審議官以下の人事についても早急に決めていく必要がございます。総理ともよく相談をさせていただきたいと考えています。初回の会合はできるだけ早急にやりたいと考えております。

問)

年金機構の件でお伺いしたいのですが、先日、自民党の部会で年金機構の基本計画案が突き返されるという事態がありました。改めて再生会議を開催されるおつもりはありますでしょうか。

答)

再生会議のミッションは、日本年金機構法においては、「政府は機構の当面の業務運営の基本計画を定めるときは、あらかじめ中立・公正な判断のできる学識経験者の意見を聴く」というのが日本年金機構法の規定でございます。したがって、厚生労働大臣のところでお作りになる基本計画を定めるに当たって、学識経験者のお立場からいろいろ意見を申し述べたということですから、基本計画自体は既に私の手を離れている、すなわち有識者会議の手を離れているということでございます。基本計画の閣議決定に当たって、与党の事前審査を受けるというプロセスの中での話でございますから、与党においても活発な議論をいただくことが大事であると思います。

問)

関連ですが、一部報道で厚生労働大臣が「再生会議の最終報告の枠内で基本計画を修正できるか考えたい」と自民党の部会を受けて発言をされたという一部報道があるのですが、大臣は基本計画というのは最終報告の枠内にあるべきだと考えられますか。

答)

先ほど申し上げたように、「基本計画を定めるときは、あらかじめ中立・公正な判断のできる学識経験者の意見を聴く」ということが法律上の規定です。したがって、再生会議の最終報告の「枠内で」という規定が法律上課されているわけでは毛頭ありません。

問)

懲戒処分を受けた者を有期雇用するかしないかについて、党内では批判の声も上がっています。そのような声について会議を所管した大臣としてはどのような感想をお持ちでしょうか。

答)

党において与党の立場から、また国民を代表する国会議員の立場からいろいろなご議論をしていただくのは大変結構だと思います。有識者会議の方では、例えば労働法学者の方からもいろいろ意見が出されました。訴訟リスクの問題などです。そのような観点から最終的な報告書があのような形になったわけでございますが、党の方は政治のお立場からいろいろご意見がおありのことと思いますので、閣議決定の前にそのようなご議論をいただくことは大変結構だと思います。

(以上)

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