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茂木内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年8月26日(火)10時43分~11時07分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

本日の閣議におきまして、明日8月27日から30日までの日程で米国に出張することについてご了解をいただいたところでございます。

今回の出張は、ワシントンDC及びニューヨークを訪問し、現下のグローバルな金融情勢や当局の取組み等について、バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長はじめ米国政府要人等と意見交換を行うものです。

【質疑応答】

問)

今の訪米の件ですが、概略はうかがいましたが、特に国際金融市場の混乱が続いている中でバーナンキFRB議長と会談するというのは非常に注目も高いと思いますが、特にバーナンキさんやコックス議長と具体的にどういうテーマについて会談したいと考えていらっしゃるのか、踏み込んだ形で教えてください。

答)

基本的には、サブプライム・ローン問題等現下のグローバルな金融情勢について、トップレベルで率直な意見交換を行い様々な課題について議論することになろうかと思います。同時に我が国としましても、金融・資本市場の競争力強化ということでロンドンやニューヨークと並び立つ市場にしていくという観点から、相手方からも東京市場をどのように見ているのか率直な意見を伺う予定です。更に、例えば国際的な会計基準の収斂(しゅうれん)の問題など個々の課題もあるので、例えばコックス(米証券取引委員会)委員長等と意見交換をしたいと思っております。

問)

先週の会見でも金融情勢はまだまだ警戒水準とおっしゃいましたが、この1年間見ていても決算期のたびに波が訪れるといいますか、人によっては日本の10年前の金融危機の状況を再び見ているようだという人もいますが、そうした中でアメリカにおいても日本と同じように公的資金を導入すべきだという意見もあり、日本としてもアメリカに強く訴えたほうが良いという考えや意見もありますが、大臣はどのように考えていますか。

答)

基本的に当局の判断になってくると思いますが、おそらくアメリカ、ヨーロッパ、日本の情勢は若干違うと考えております。アメリカの場合はサブプライムローン問題等がまず金融機関に波及し、金融機関から実体経済に跳ね返るということになっております。それに対しまして、再三申していますように、サブプライム・ローンの問題そのものでは日本の金融機関は痛んでいないものの、その一方でサブプライムを契機として世界経済が厳しくなる中で日本の実体経済に陰りが見え、それが金融機関に波及するということで、若干順序などが違うのかなと考えておりますが、まずは米国当局が現状をどう捉えているのか、例えばGSE(政府支援機関)の問題であったり地方銀行の問題であったり、最新の情勢を踏まえて、当局としてどんな判断を考えているのかきちんと情報収集や確認を行いたいと思っています。

問)

昨日、経済財政諮問会議で福田総理が中小企業金融の件について懸念を示されましたが、金融庁としても今月対策を発表されると思いますが、あらためて現在の検討状況を教えてください。

答)

昨日午前に福田総理とお会いしたときにも、現下の経済情勢の中で中小企業金融に万全を尽くしてほしいとご指示もいただいています。ご案内のとおり、昨年の9月から中小企業向け貸出残高はマイナスという状況でありまして、6月時点でその要因等を分析すると、金融機関の貸出態度の変更によるよりもむしろ原油・原材料高等で企業の業績の不振、営業面の問題が指摘されていますが、さらにこれが8月にどうなっているかについては直近の状況を確認しないといけないので、地方財務局を通じたアンケート、更には金融庁の幹部が各地域に行きまして、金融機関だけでなく、地域の中小企業、さらに申しあげますと零細企業の声を聞くように私が直接指示していまして、おそらく来週早々ぐらいにはある程度の感触をつかめると思います。もちろん適切なリスク管理の下でという前提はありますが、金融機関が中小企業に対する金融仲介機能をしっかりと果たしていくということは現下最重要の課題と考えております。

問)

公務員改革ですが、顧問会議が9月に開かれると思いますが、内閣人事局の関連法案を通常国会に出さないといけないという段取りの中で、予算関連法案は年内にも骨格が見えてくるかと思いますが、顧問会議で議論していく頻度はどれぐらいでしょうか。

答)

第1回目については、9月の上旬に開催するよう最終的な日程の調整をしているところです。頻度については、顧問会議でありますから、別に定例で月1回開くというよりも必要に応じて顧問の方々に集まっていただき、ご議論いただき、いろいろなかたちでご示唆をいただく形になると思っております。どれぐらいの頻度で開くかどうかは率直なところ決めていません。ただ11月末ぐらいまでにはある程度来年の内閣人事局のあり方などについて骨格を決めたいと思っておりまして、事務局の作業も進めながら、全員で集まってもらうこともあるでしょうし、個々にご意見をいただくこともあるでしょう。

問)

米国市場についてですが、先週末にアメリカの地銀が破綻して、今年に入って9件目ということです。依然としてGSEの問題も不安が指摘されている状況ですが、訪問を前にして米国市場の動向についての現状認識を改めてお聞かせいただきたいのですが。

答)

サブプライムに端を発した米国市場の問題は、米国の地方の銀行の破綻にも波及していることですし、主要な金融機関やGSE2社を含めたところで株価が大幅に下落しています。まさに、サブプライム・ローンに端を発する問題の深刻さが改めて認識されたという状況だと思います。そんなこともありますので、直近の状況について確認をしていきたいと思っておりまして、それではどんな状況かといいますと概略は今申し上げたようなことで、来週になるとよりビビッド(明確)な結果をご説明できるかと思います。

問)

雇用・能力開発機構の関係ですが、昨日総理ともお話しされたと思いますが、既に大臣は解体の方向ということはおっしゃっていますけれども、3日の有識者会議に向けて、現在の検討状況についてお聞かせ願いますでしょうか。

答)

総理とも昨日、このテーマを含めてお話をさせていただきました。また、先日、有識者会議の茂木(もぎ)座長を訪問させていただきまして、話合いをさせていただきました。有識者会議ではすでに3回にわたりまして議論を進めていただいておりまして、ある程度これまでの議論の収斂といいますか論点整理ができるところまできておりまして、9月3日には論点整理、これは事務方のほうからまず報告をさせていただきまして、つまり、今まではこういうことでしたということから、今後の方向について議論をスタートしていただくということです。そして、総理のほうからもこの問題は早急に結論を出すように強い指示がございました。この点については茂木座長とも意見が一致しておりまして、9月後半にもう一度有識者会議を開催するときには何らかの方向はきちんと打ち出せると思います。

問)

総理からスケジュール感は確認されたということですが、結論に向けて総理のほうから何かご指示はあったのですか。

答)

今申し上げたようなスケジュール感について、早くということでありましたので、このようなスケジュールで考えておりますという報告を総理にいたしまして、総理も、わかった、という話であります。

問)

9月3日の有識者会議で、雇用・能力開発機構の廃止の案を出すのは厚労省になるのでしょうか、それとも行革本部事務局で準備することになるのでしょうか。

答)

9月3日につきましては、今申し上げたように、論点整理という形でありまして、その中にはこれまでの議論を踏まえて、方向性というものは出てくると思います。そしてそこの中では、雇用・能力開発機構が行っている現在の事業というかむしろ機能について、それぞれ個別に「こういう方向ではないか」という議論に入っていきたい、とそんなふうに思っておりまして、そういった意味でも一旦機構を解体して、それぞれの機能についてどういうあり方がふさわしいか、廃止になるものもあるでしょうし、それから、移管になるものもあるでしょうし、そういった議論を進めていきたいと思っております。

問)

証券税制についてお聞きしたいのですが、昨日、講演で高齢者と小口投資家の優遇ということをおっしゃったわけですけど、なぜ、高齢者優遇が今必要なのかということについてお聞きしたいのですが。結局、説明では個人金融資産(保有)の6割以上が高齢者であり、だから優遇して活性化につなげるのだということだと思うのですが、むしろ、政策としては、蓄えのない層に優遇措置を設けるべきではないかと思うのですが、その辺は大臣、どのようにお考えでしょうか。

答)

昨日は英語で講演しましたので、十分説明できていなかった点もあるかと思いますが、今まさにこの証券税制につきまして、8月末の要望に向けて最終的な調整を行っているところでありまして、おそらく、確定拠出型年金、401k制度の充実であったり、いくつかの項目が出てまいりますが、大きな柱としましては、今言いました高齢者の投資の税率の軽減なり、非課税の制度の導入の問題、それからもう一つは、小口投資家の育成のための優遇措置・特例措置、言ってみますと、日本版のISA(個人貯蓄口座制度)といったことが二つ目の柱になってくると、そういうふうに考えておりまして、単に高齢者優遇だけではなく、広く一般の投資家を育てていくということも非常に重要な観点だと、こんなふうに思っているところであります。

それから高齢者につきましては、確かに今、個人の金融資産1,500兆円、GDPの2.9倍にあたるわけでありますが、その資産につきまして、高齢者が6割を保有している、特に、株式投資信託でいいますと7割を保有しているとこういう現状もありますが、同時に、高齢者の側に立って見ますと、今の利子所得が減少する一方で、家計における配当所得の割合というのが増加しているわけであり、まさに高齢者にとっては、これが「第二の年金」としての重要性が高まっていると、こういう観点を考えております。その一方で、若年層につきましては、ご指摘のように、株式投資信託の保有も少額であり、小口の継続的、長期投資を通じた資産形成が重要な課題だと、こんなふうに考えております。証券税制につきましては、どうしても「金持ち優遇にあたらないか」というご批判なりご懸念が出るところでありますが、実際問題で申し上げると、株式、それから投資信託等の投資家、これは7割が年収500万円未満の方であり、特に最近で申し上げると、投資を増やしているのも同じ年収500万円未満の世帯ということになってきますので、そういった意味も含めて、小口の投資家を増やしていく、それから、「第二の年金」として配当所得等が特に重要になっている高齢者への対策を取る、これが二つの大きな柱ということになってまいります。

問)

今日報道で、太田農水大臣の事務所費が報道されているのですが、これまでも事務所費の問題でそのまま辞任する閣僚がいたりということがある中で、このような問題が出ていることについて、一閣僚としてどのような受け止め方をされていますでしょうか。

答)

これは、閣僚というより、まさに、政治家として収支報告書等々を提出する問題であります。閣僚として、非常に高い倫理観が求められるというのは間違いない事実だと思っており、そういう意味で自分としても政治資金ないし収支報告書等々につきましては万全を期していきたいと思っているところでありますが、まさに、個々の政治家の収支等々の報告につきましては政治家として処すべき問題でありますので、私の方からはコメントは控えさせていただきたいと思います。

問)

証券税制に関連してなのですが、小口投資家の拡充策については、昨日の講演で日本版ISAという話が出て、英国を意識されている発言をされていましたが、英国のISAは当初は時限的な措置で始まって、恒久化ということになったようですけど、今度の小口投資家の配当の優遇策については、ある程度時限的なもので行うのか、それとも恒久的なものを施行していくのか、ということについてはいかがでしょうか。

答)

イギリスの場合、1999年、ブラウン財務大臣の時代ですが、この制度が導入されて、10年間の時限措置ということでありましたが、相当な効果も生むということで、時限が切れる2007年に恒久化の措置になったわけであります。そして、イギリスの場合は、インベストメント(投資)とセービング(貯蓄)も含めてという形でありまして、日本版ISAといいましても、形そのものは違う性格のものもあるのかなと、こんなふうに思っているところでありますが、将来的な日本の税制の方向としては、金融所得に対してニュートラル(中立)であり、一体の課税、ゲイン(利益)もロス(損失)も含めてという長期的な方向というのは間違いない方向だと思っております。そうしますと、今の検討している項目につきましては、そういった長期的な方向も考えますと、ある程度時限的なものになってくるのかなと、こんなふうに思っております。

問)

不動産市況が益々悪化していまして、昨日も不動産開発会社が民事再生法の適用申請をしたということで、破綻(はたん)が相次いでいるわけですが、その背景には金融機関が貸出姿勢を急変させていると、いずれも資金繰りに窮しているという事情があると思いますが、金融機関が不動産関連企業の選別を今進めている現状について、これはバブル解消に向けた健全な調整だとお考えなのか、あるいは、これが景気に悪影響を与える現象として大臣も懸念されているのか、一つ一つ改めてお伺いしたいのと、もう一つは不動産流動化市場において、そもそもこのバブル的な現象はあったと大臣はお考えになっているのか、この二点をお伺いします。

答)

先ほど若干申し上げたのですが、今まさに、現下の状況につきましては各地方におきまして、それぞれの業種も含めて、どのような状況にあり、それに対して金融機関の貸出態度はどうなっているか、条件はどうなっているか、こういうことを含めてきめ細かい聞き取りをやっております。それを聞いた上で回答させていただいた方が、正確な話になると思いますので、来週以降ちゃんと答えさせてください。

問)

税制改正について一点だけ、高齢者の優遇についてですが、高齢者の定義はどういうものを考えられるのですか。

答)

高齢者の定義というのは、正確な定義というのはないのだと思います。何をもって高齢者という正確な定義はないのだと思いますけれど、一般的には例えば、いろいろな統計に出てくるのは、60歳以上とか65歳以上とか、何らかの区切りというのはあるのではないかと思っておりまして、これまでそういった形で高齢者ということで議論してまいりましたので、これは額の問題もそうでありますけれど、おのずと当然与党ともいろいろな話を進めなければなりませんし、最終的には財務省とも調整、こういうこともありますので、そういった中でおのずと決まってくる性格のものではないかなと思っております。

問)

つまり、要望の段階では何歳以上とか、そういうのは盛り込まないということでよろしいのでしょうか。

答)

今、最終的な詰めを行っておりますが、「高齢者(○○歳以上)」という書き方はされないと思います。

(以上)

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