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中川財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年9月30日(火)11時02分~11時17分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

まず閣議の前に、緊急事態に対する初動対処ということを危機管理室で行いました。閣議では、我が省関連では直接のものはございませんでしたが、総務大臣から労働力調査、家計調査、それから厚労省から有効求人倍率のご報告がありました。いずれも悪化しているという状況で、改めて昨日の総理、私が申し上げたことを緊急にやっていく必要があるのだろうというふうに感じたところであります。以上です。

【質疑応答】

問)

まずアメリカの議会下院の方で、金融危機に対応するための対策を盛り込んだ関係法案が否決されました。これを受けて株式市場ではアメリカも日本も株価が急落し、為替の方でも円高・ドル安が進んでおります。この事態の受止めと、特にアメリカ政府にどういう対応を望みたいか、それと日本政府としてどのような対処をしていくのかご所見をお聞かせください。

答)

ご指摘のとおりアメリカ下院で否決されました。この後、上院でまた採決があるというふうに聞いておりますので、現時点では途中段階ということでございますので、いい結論が出ることを期待したいと。そしてそれを見守っていきたいと思います。日本といたしましては今ご指摘のとおりアメリカ、ヨーロッパ、そして日本の株が下がり、そして円高になっております。現在、東京市場でもそういう状況になっております。日本もアメリカやヨーロッパと緊密に連絡を取りながら冷静に状況を、とりあえずはアメリカ議会の、さっき申し上げたような何らかの成果が出るということを期待しながら見守っております。これは金融関連の不良債権問題が中心でございますが、日本におきましてはその影響というのはアメリカ、ヨーロッパに比べれば極めて小さいと理解しておりますので、日本のマーケットは是非その辺のリスク分析をしっかりしていただいて、冷静な対応をしていただきたいなというふうに思っております。

問)

関連ですけれども、この話題は今朝の閣議や閣僚懇の方で何かお話はあったんでしょうか。

答)

ございました。閣僚懇の方でございまして、私から今申し上げたこととほぼ同趣旨のことを申し上げました。その流れの中で、このアメリカ発の問題とは直接関係ありませんけれども、地方の経済が非常に厳しい、そういう中で地方の中小企業向けの金融機関により柔軟な、つまりリスク管理だけではなくてリスクテイクも、金融ですからバランス良くと言いましょうか、ある程度そういうところも配慮した形で地域密着型の金融というものをやってもらいたいと。そうしないと、いわゆる貸し渋りで非常に厳しい状況になっているというご発言が複数の閣僚からございました。それを受けまして、私は今金融庁の方に、こういうご指摘があったので、そういう趣旨で、既にそういう対応を私自身も着任早々指示をいたしましたし、また金融庁もそういう方向でやっているという報告は受けておりますけれども、それが相手にきちっと伝わるように更に努力してもらいたいという指示を先程改めて申し上げました。これに関連して、冒頭ご報告すべきだったんですが、中小企業金融の実態把握のために金融庁の職員、幹部も含めて全国に実態を見にヒアリングに行ってまいりまして、その詳細については後程事務方の方から皆様方にご報告をする予定でございます。

問)

関連でもう1つ、このアメリカ議会の話が伝わる前の話ですけれども、昨日10カ国ですか、中央銀行が市場へのドル供給の拡充を打ち出しましたけれども、これが今のこの状況の改善にどれほどの効果が期待出来るのか、どのように見ていらっしゃいますか。

答)

まず日本を含めて10カ国が協調して今ご指摘のような流動性供給を更に増やしたと。この主要中央銀行同士の連携が迅速に行われているという、このこと自体私は高く評価したいと思います。それから当面の資金繰り、あるいは年末に対しての資金繰りに対しての対応として、適時適切なものだったというふうに日銀の対応を評価させていただきたいと思います。

問)

10月1日に政府系金融機関が再編されて新たなスタートが切られるわけですけれども、一方で役員等に天下りが非常に多いというふうな批判もあります。現時点で大臣として新体制がスタートすることについてのご所見と、そういった天下りの数の多さについてはどういうふうにお考えでしょうか。

答)

民間の方も、それからいわゆる政府におられた方もいらっしゃるわけで、これは昨日総理が所信表明でも申し上げたように、人材という資産、政府の人材あるいは日本の重要な民間も含めた人材という貴重な資産を最大限活用するという趣旨でこういう人事になったわけでございますので、天下りありきとか、天下りと言ってはいけないですね。官僚出身の方が役職につくのは絶対に最初からゼロとかということになりますと、昨日総理がおっしゃられたように貴重な人材の有効活用という点からベストかどうかという判断もございますので、有能な人材を適材適所で選んだ結果こうなったというふうに私は理解しております。

問)

今回のアメリカ議会の否決で世界的な金融危機からの脱却というのが遠のいたという見方もあるんですが、大臣自身はどのようにお考えでしょうか。

答)

まずアメリカ議会ではなくて、アメリカの下院で否決されたということをあえて強調をさせていただきたいと思います。従って上院でどうなるのか、場合によっては議決が異なった場合にはまた次の対応というものも考えられるわけです。現時点においてその影響というのは、途中経過でございますので、私の立場からはどうなるかということについて今から予断を持って判断することは出来ませんので、お答えがちょっと難しいなというふうに思います。

問)

今回の下院での否決自体というのは、やはり想定外だったという理解でよろしいんですか。

答)

そうですね、土日かけて調整して合意が出来たというふうな認識を思っておりましたので、朝ニュースを見、また報告を受けた時は一瞬えっと思ったことは事実です。でも、あくまでもこれは途中経過であって、成果が出ることを期待をして見守っていきたいと思います。

問)

関連なんですが、フランスのサルコジ大統領がG8各国の首脳会議を今回の金融危機を受けて緊急に招集すべきではと提案されていますが、その提案についてどう思われますでしょうか。あと今度の10月のG7では各国どのような協調体制を打ち出すべきだとお考えでしょうか。その2点をお願いいたします。

答)

サルコジ大統領がおっしゃったということは我々も知っておりますけれども、特に日本としてそれに賛成とか反対とか今態度を決めているわけではございません。それから正式には私、まだ10月のG7について事務方から私に対しての報告というものは現時点ではございませんが、とにかく日々色々なことが起きているわけで、それに対して各国でもう常に今も連携を取ってやっているわけでございますから、日本としても、とにかく事態をよく日々見極めながら対応をしていくというのが現時点での考え方です。

問)

今日閣議などで、その前後でもいいんですが、総理から何か指示、コメントなどはありましたか。

答)

特に総理からはご指示はございません。閣僚懇で私から先程申し上げたように現状についてご発言を申し上げ、日本はそう厳しい状況じゃないんですから冷静に対応したいというのが私の考えですということを申し上げました。

問)

実体経済に対する影響なんですけれども、今日が9月末ということで、企業の保有する株式の減損処理による経営の圧迫、あるいは円高の進行による輸出産業の打撃等考えられますが、大臣は今回のマーケットの混乱による実体経済への影響をどういうふうにお考えですか。

答)

実体経済というのはいわゆる中間決算を見なければ判断が出来ないわけで、もう少し時間がかかるんだろうと思います。ただ現時点で言えることは、マーケットが日本も非常に弱含みというんでしょうか、下がっていると。さっき申し上げたように、しかし日本のリスクというものは欧米に比べて低いと私は認識をしておりますので、是非冷静な対応をしていただきたいなというふうに思います。

問)

話題が飛んで恐縮なんですけれども、明日の衆院の本会議で大臣の永年25年の表彰があるんですけれども、振り返ってのご感想と現在大変な状況に、ポストに立たされていると思うんですが、今後の決意というか、それをお願いします。

答)

ありがとうございます。そういう意識がもともと薄かったのに加えて、日々私も新米で勉強と日々の対応に追われていて、そういえば明日院で表彰をいただく予定になっている。ちょっと今の段階で振り返るといってもちょっと振り返る余裕がないんですけれども、地元の皆さんあるいは家族始め大勢の皆さんのお蔭で何とかここまで来ることが出来たなと。私はいわゆる親父が政治家であったということで、原点は父親でございますので、そういう意味で親にも両親にも感謝をしながら、よくぞここまで来ることが出来たと。皆様方にも大変お世話になってここまで来たなと、感想を言えと初めて言われたので、そうなんだとまず思って、現時点ではそれしか申し上げられません。ありがとうございます。

問)

今回こういう経済状況になって、解散の時期というのが少し遅れるんじゃないかという見方も出てきておりますが、もう一度補正予算と解散の関係について大臣のお考えを聞かせてもらえればと思うんですが。

答)

解散の時期というのは政治情勢、最終的には総理のご判断だと思います。私は総理から指名されて、今やるべきことは安心確保のための緊急対策、補正予算を、あるいは関連法案を一刻も早く上げるということが私自身は国会、あるいは国がやるべき最優先の課題だというふうに思っております。

(以上)

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