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中川財務大臣兼金融担当大臣記者会見の概要

(平成20年10月27日(月)12時10分~12時28分 場所:財務省会見室)

【大臣より発言】

それでは、先程総理に呼ばれまして、今の株価情勢等の大きな動きに強い懸念を示されました。実体経済、あるいは金融システムに影響を与えかねないということで、あらゆる手段を講じて市場の安定と円滑な金融機能の確保を図るようにというご指示が私と与党、自民党、公明党の政策責任者にございました。それから与謝野大臣、官房長官も同席されておりました。

具体的には以下のものを申し上げますが、とにかく政府とマーケットの信頼関係を再構築するようにと。これは日本だけじゃございませんが。それが非常に大きなポイントであるということで、度胸を持ってやれるものをやれ、可及的速やかにやれということで、今日、あるいはいつからやれるものというものも含めてお示しをしたいと思います。

まず、総理からのご指示、第1番目。株式市場安定のために私に対して株の空売り規制の強化、これは金曜日の閣議ということになると思いますけれども、それから出来るだけ早く。11月の連休がございますので、11月の第1営業日をメドにこれを発動したいというふうに考えております。それから、銀行株式保有制限の弾力的運用についてもすぐ対応をしたいというふうに考えております。

それから2番目に、金融機能の一層の強化ということでございますけれども、私に対しましては、銀行の自己資本比率規制の一部弾力化、この一部というのは、国際基準と関係のない国内基準行が該当すると思いますけれども、自己資本比率の規制を弾力化するということでございます。次の2番目が、適正な金融商品会計に向けた努力へのサポート、公認会計士協会の方でご検討いただいておりまして、パブリックコメントが近いうちに出るというふうに承知をしております。それから3つ目が、金融機能強化法に基づく政府の資本参加枠の拡大の検討でございます。これは、法律と関係するわけでございますけれども、この法律についても出来るだけ早く成立を国会の方にお願いを申し上げたいと思っております。

それから3番目として、証券投資の裾野の拡大ということで、私に対して、これは特に総理からのご発想でございますけれども、従業員持株会による株式取得の円滑化を進めたいということで日本証券業協会の方に検討をお願いをいたしましたので、これも直ちに実行出来るというふうに考えてございます。

私に対しては以上ですけれども、与党に対しては、与党の方のご説明があると思いますけれども、例えば銀行等保有株式機構での活用、これは株の買取りということ等だろうと思いますけれども、これを検討してくれと。それから証券税制の軽減税率等の延長、あるいはまた内容を更に充実すると。少額投資者優遇をするということで証券市場の拡大というようなことの指示もございました。

以上が総理からのご指示でございまして、繰り返しますけれども、出来るものからやっていってもらいたいということで、今日から、明日から出来るものについて申し上げました。

それから、もう1点、ご報告がございます。朝、為替に関する私の考え方を表明いたしましたが、大事なのはG7との協調ということでございますけれども、G7として財務大臣、中央銀行総裁の声明を共同で発表させていただきます。本日付で、「我々は、強固かつ安定した国際金融システムが我々の共通の利益であることを再確認する。我々は、最近の為替相場における円の過度の変動並びにそれが経済及び金融の安定に対し悪影響を与え得ることを懸念している。我々は、引き続き為替市場をよく注視し、適切に協力する。」以上が、本日付のG7の共同声明でございます。

私から以上です。

【質疑応答】

問)

これはパッケージとして今日、これで固まったということで、政府で月内にまとめる経済対策というものがあったと思いますが、それとは別の扱いで公表されたという趣旨になるんでしょうか。

答)

昨日も申し上げたように、緊急第2弾の一つではございますけれども、時系列的に言うと、さっきから何回も申し上げているように、これはもうやれるものをどんどんやっていくということで、パッケージの時期とは時系列的には関係なく、どんどんやっていきたいというふうに考えています。

問)

内容については海外の当局、アメリカとかにご報告されていますか。それで何がしかの反応をいただいているでしょうか。

答)

これは当然、今発表しましたので、G7の各国等には事務的に報告したいと思っています。

問)

与党との役割分担というのは、特に何かあるものでしょうか。

答)

与党の方は税制の問題とか、あるいはまたかなり議論をしていただいていい案を作っていただきたいという総理のお気持ちだろうと思います。私の方は、私の権限内で、と言っても金融機能強化法が出来ないと出来ない部分もございますけれども、財務大臣・金融担当大臣としてやれる範囲で出来るだけ早くやれというご指示でございました。

問)

色々案を出していただいたんですけれども、過度のマーケットに対する規制というのは、マーケットを歪めることになるという意見もあろうかと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

答)

それは空売り規制のことをおっしゃっているんですか。

問)

銀行保有株の取得制限と、あと取得機構を活用するというのは一見矛盾しているようにも見えますし。

答)

いや、これはあくまでも緊急経済対策ですから、規制を強化しているというふうに思われる部分もあるのかもしれませんけれども、逆に規制を緩和している部分もあるわけですから、是非その目的達成のために、トータルパッケージとして総理からご指示があったというふうに理解していただきたいと思います。

問)

対策ですけれども、昼にこういう形で発表になりましたけれども、本当はマーケットが開く前に出すべきなんじゃないかと。何か後追いになっているんじゃないかという気がするんですが、如何ですか。

答)

別に後追いだとは思っておりません。総理のご指示をそのまま帰ってきて発表させていただいているわけでございまして、もしもそういうご議論があるのであれば、総理に言っていただきたいと思います。

問)

金融機能強化法の公的資金の注入枠の話なんですが、昨日、与謝野大臣は、テレビ番組で10兆円程度が望ましいという考えを述べたんですが、大臣としての考えがあるのかということと、あと、G7についてドルやユーロについても何か宣言が出たのかというのを教えていただきたいんですが。

答)

まず2番目の宣言は、さっき読んだ…。

問)

円についてのみなんでしょか。

答)

具体的通貨としては円のみです、今回のやつは。それから、その注入資本枠のことについては、私としては今、数字は考えておりません。というのは、どの程度予想されるかという精査というか、ある程度予測を前提にして、それに十分対応し得るようなという定性的な考え方を持っていますけれども、数字はまだ決めてもおりませんし、考えてもおりません。

問)

日本の金融機関は健全だと今までおっしゃっていたわけですが、これだけ大規模な対策を発表するということになると、本当に日本の金融機関は今の株価水準で大丈夫なのかという不安がやはり出てくるんじゃないかと思うんですけど、その辺りについて。

答)

金融システムは、欧米に比べて私は今でも健全だと思っております。ただ、ご指摘のようなご懸念に対応するために、迅速に事前にやるべきことを今日やったということで、そういう懸念が実現しないようにするためにやったということでございます。

問)

今朝、急激な円高に対して懸念を表明されましたけれども、それに対して相場はいまいち反応はなかったと思いますけれども、今回のG7の声明で対策は十分だと思われるでしょうか。

答)

いや、別に反応がなかったかあったかは、これは物事の考え方ですけれども、急激な変動に対しての懸念を示したわけですから。前場はほぼ横ばい状態ですから、私の懸念は、少なくとも前場に関しては幸運にもその懸念が実現しなかったというふうに思っています。

問)

追加で更なる対策の必要性をお感じになられていますでしょうか。

答)

それはマーケットの様子を見て。今から何をするということは決めておりませんけれども、それはマーケットを見て迅速に対応したいと思います。

問)

メガバンクは相次いで資本増強するというような報道がありますけれども、それについて情報として把握してらっしゃるのかどうかという点がまず1点と、金融機能強化法をメガバンクが活用するような事態というのはあるのかどうかというのを少し教えて下さい。

答)

多分メガバンクというのは3つだと思いますが、私の知っているのは1つでございまして、そこが資本増強をするということは、体力の強化、そして、ひいては貸出余力の強化につながりますので、私としては歓迎したいというふうに思っています。

問)

メガバンクが金融機能強化法を使うということはあり得ると思っていいんですか。

答)

金融機能強化法の目的は、特に中小企業に対しての金融機関等の体力の一層の強化のためにということでございますから、その法の趣旨に則れば、メガバンクも地方の中小企業にも融資をされているということですけれども、ここはかなり、これから審議の段階で多分いろんなご意見が出てくるんだろうというふうに思っております。

問)

総理の方から為替に関して具体的に懸念の言葉とか、または何か行動に関してこういった措置をとるべきだとか、そういったご指示みたいなものはなかったんでしょうか。

答)

昨日も申し上げたと思いますけれども、とにかく大きな乱高下が続いているということは、実体経済、日本の金融システムにも影響を与えかねないということで、非常に緊張感を持って見ているというご発言はありましたが、具体的にどうするとか、どうしろというご指示はございませんでした。

問)

先程のG7の為替の件なんですが、これは日本が呼び掛けてこういう宣言に至ったということでよろしいんでしょうか。

答)

そうです。

問)

先程更なる対策ということで、迅速にということですが、これは為替介入なんかも考えておられるんでしょうか。

答)

声明ですか。

問)

いや、先程大臣のお答えの中で、為替について更なる対策をマーケットの様子を見て対応したいというふうにおっしゃった…。

答)

必要があれば、更なる対策を当然打たなければいけないと思いますけれども、それが何かについては、現時点ではその動きを見て判断をし、迅速に対応していきたいということです。次、何をするかについては決めておりません。

問)

銀行保有株の買取りのことで、与党に取得機構への再開を要請したと思うんですが、政府として日銀に対しては、要請されるおつもりはあるんでしょうか。

答)

これは日銀のご判断ですけども、我々としては、政府・日銀と一体となってこの事態に対応していきたいというふうに思い、日銀の方もその考え方を共有していると思います。ですから、日銀に効果的な対応を色々とっていただけるものという期待はしております。

問)

金曜日に日銀の金融政策決定会合があるんですが、金利政策に対する大臣の期待といいますか、一部には利下げを視野にという意見もあるようなんですけれども、それについてはどうお考えですか。

答)

金曜日の会合までに決めたいと思います。

(以上)

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