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中川財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年10月31日(金)9時56分~10時13分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

閣議では特にございませんでした。有効求人倍率とか失業率の報告がございました。

私からは、金融強化策の一環として既に発表しておりました一定規模以上の空売りのポジション報告公表、これを本日内閣府令という形で公表をいたします。実施時期はコンピュータシステムの関係等があって11月中旬と言っておりましたけれども、これも一刻も早くやる必要があるということで、前倒しで1週間後、11月7日の金曜日から実施するということになりました。以上です。

【質疑応答】

問)

まず昨日発表されました追加的な経済対策についてですが、発表後、野党は抵抗を非常に強めております。その財源となる補正予算の提出時期と成立の見通しについて改めて伺いたいと思います。

答)

昨日申し上げたことと同じです。

問)

昨日の麻生首相の会見で発言のあった抜本的な税制改正についてですが、総理は大胆な行政改革と経済情勢を見極めた後で3年後に消費税増税をお願いしたいと、こういう発言をしましたが、具体的に大胆な行財政改革、経済情勢というのはどういった状態を想定しているというふうに大臣はお考えでしょうか。

答)

総理の想定についてはお答え出来ませんけれども、総理が昨日おっしゃったように緊急経済対策、景気回復、そして中期的には財政再建、そして中長期的には改革による前進と、こういうタイムスケジュールの中で、多分3年後ということは第2段階ということだろうと思っておりますけれども、それを実際どういうふうに書き込んでいくのかと、党の方の議論も含めてですね。どういう法律にしていくのかというのは、私自身正直言って全く現段階では予想がつきません。

問)

それに絡んで基礎年金の国庫負担2分の1への引上げ、法律で決まっている方針についてですが、消費税は3年後に引き上げると。更に特別会計の積立金等は今回の経済対策で相当分は使っていると考えます。どのようにして来年度の引上げというものを実現していこうとお考えでしょうか。

答)

これも年度内の議論ということで検討してやっていかなければいけないということで、現時点ではこれからの議論です。

問)

本日日銀が金融政策決定会合を開きます。7年7ヶ月振りの利下げというふうな観測も出ておりますけれども、株安、実体経済の減速、そして国際協調等の観点から、現在大臣としてはどういうふうにお考えをお持ちでしょうか。

答)

何に対しての?

問)

利下げをするか否かの判断についてはなかなか言及出来ないかもしれませんけれども、政府としての希望と言いますか…。

答)

現在の経済情勢あるいは世界の金融情勢、私が認識している情勢と日銀が当然認識をされている情勢、お聞きしておりませんので分かりませんけれども、出来れば政府と日銀は独立しておりますけれども協力して経済運営、金融運営に当たっていくわけですから、共有出来たらいいなというふうに思っております。

問)

公的資金注入行に含み損が今出てきているという話がありますけれども、今度の金融機能強化法でも公的資金を入れることになりますが、こういった含み損が出ている過去の公的資金注入分について、政府としてどういった対応を今後考えておられますか。

答)

それはルールどおりじゃないでしょうか。注入行であろうが注入していない、つまりほとんどの主な銀行は注入されていた、あるいはいるわけですから、いるところはごくごくわずかですけれども、そこがマーケットの流れによって株の含み損が出ているということは、それは事実だと思います。他方あの法律は直接的にはそれと無関係に中小企業向けの融資を促進していただくための法律ですので、その目的のためにご判断をいただきたいと思っています。

問)

アメリカの議会では、アメリカの公的資金注入する、先行する9行に対して経営者の報酬ですとか社員の報酬とかの情報を開示するよう要請が出ています。これは高額報酬への監視というものが狙いだと思うんですけれども、今回金融機能強化法で同様に公的資本を入れるわけですけれども、例えば同様の措置と言いますか、同様の情報開示みたいなものを入れるというふうなお考えはないでしょうか。

答)

ありません。理由はそういう形式的に、アメリカがこうやっただろうと、だから日本もやんないのかというご質問だとすれば、桁が違いますよ、それは。2桁ぐらい違うんじゃないかな。そしてその会社がおかしくなってもちゃんと退職金をもらって辞めてしまうと、堂々と辞めていくと、また次のところに行くと。これで、はい、おしまい。はい、また他のところでというアメリカのシステムがさすがにアメリカにとって、これは問題ではないかということで、あの安定化法の中での所得制限という項目が出てきたんだろうと思います。日本の場合には一律には経営責任を問わないということにしているわけですけれども、それは日本の場合、委員会でも申し上げたけれども、場合によってはそれは経営責任もあり得るわけですし、またそれが高額所得であれば、それはご本人も判断されるかもしれませんし、まず皆さん方が黙っていないでしょう。今まではもう、とにかくアメリカは何十億円という所得をもらって辞めていく、会社はおかしくなる、それはやっぱりおかしいというのがアメリカの趣旨であって、日本は日本でこの件についてはきちっと過去の経験も踏まえて金融機関もやっていくでしょうし、我々もそういう行政をしていきたいと思っています。

問)

今回追加対策を発表されましたが、一番大事なのはこの対策でいわゆる経済、消費者の生活が元気になることだと思うんですが、その元気になることというのは今後どういうところの指標とか市場の動きで政府としてその効果があったというのを認識していくのかという点と、もう1点、金融に話が変わってしまうんですが、時価会計の話で色々な議論がありますが、今の議論は、これは今一時的な措置として見直しという意識が強いのか、それとも時価会計そのものがやっぱり金融システムにもう適しているものではないと、根本から考えを見直すという方針なのか、その2点をお願いします。

答)

元気が出た、生活対策が功を奏したという判断というのは確かに何かきちっとしたメルクマールを作っておく必要があるんだろうと思いますね。単にGDPがプラス何%になりましたとか、そういうことだけではなくて、例えば可処分所得が増えるとか住宅着工件数が増えるとか、自動車の販売台数が増えるとか、そういった実感として一般の人々、一般的に暮らしが良くなったということがある程度定量的に出せることによって目的達成と、効果があったというふうに言えるんだろうと思います。多分に、総理がよくおっしゃっている、景気というのは気分という部分もありますので、その気分的にも、それから実質的にもそういう実感が出るような基準、と言ったらおかしいですけれども、何らかのベンチマークみたいなものがあったらより明確でしょうね。

2点目につきましては、時価会計を云々の議論が2つあるんだろうと思います。緊急事態の中でやれることをやっていくということ、この前のASBJ(企業会計基準委員会)のご決定のような形でやっていくというもの。それからこれはあくまでもルールの範囲内ということになり、場合によってはルールも改正することがあると思いますけれども、それと総理が昨日おっしゃったように、世界的に「これでいいの」という問題ですね。いわゆる証券化商品のあり方とか格付のあり方とか会計基準のあり方、これはむしろこういう21世紀のコンピュータ化、グローバル化の中でのデリバティブ商品、レバレッジ商品を適正な位置付けにするためにはやはり根本的にルールの見直しというものが必要だと。僕は2つあるんだろうと思っています。

問)

先程総理の消費税の増税の発言に関連しまして、年末の税制改正論議等でどういう法律にしていくか、現時点では…。

答)

していくかしていかないかも、税制改正は法律ですけれども、私が法律と言ったのは中期プログラムなんていうのを法定化するのかしないのかとか、そういうことも含めて私は現時点ではお答え出来ませんということを申し上げました。

問)

昨日総理が会見で正式に解散先送りという判断をされて、その根拠として先程おっしゃった暮らしへの不安ですとか金融不安への対処ということをおっしゃったわけですけれども、この判断への大臣のご所見、そして今後そういった解散のタイミングをにらんで総理をどうサポートされていかれるか、その点についてお聞かせください。

答)

私はとにかく今、日本の暮らしが非常に、暮らしが暗いという、しゃれでも何でもなくそう思っておりますし、仕事をしている人たちも本当にワーキングプアとか、働けば美徳で、そしていい結果が出るんだという我々の良き伝統から見て一生懸命働いても報われないと言うか、結果が出ないという状況というのは非常にこれは、ある意味では日本の社会根幹を揺るがすような事態だと思っておりますので、そういう状況からさっき申し上げたように何をもってそれを脱却したとか、前に向かったかという定義はちょっと難しいけれども、そういうことをやっていくことが最優先であるということは前からの私の持論でございました。総理もそう思っていらっしゃいましたけれども、総理は総理のお立場ですから色々とご判断をされていたんだろうと思いますけれども、昨日はっきりと改めて暮らしが良くなることが最優先だと、この対策を実現することが最優先であるということをおっしゃいました。解散の時期については私は、総理が私が決めますと当たり前のことですけれどもおっしゃったんですから、それは総理のご判断だろうと思います。

問)

2週間前の会見で伺ったんですが、マルチ商法業者からの献金で大臣その後お調べいただくということだったんですが、その後調査の状況は如何でしたでしょうか。

答)

調べました、ありませんでした。

問)

銀行の自己資本比率の一部弾力化なんですが、大臣、国内基準行を対象にするということで有価証券含み損は自己資本から差し引かないというお話でしたけれども、一方で国際基準行については見送りということでいいのか、あるいは国際的に何か議論を呼びかけるというお考えはお持ちなのか、その辺り如何でしょうか。

答)

こういう表現をすると何か前向きに取られてしまいますけれども、前向きではありません、しかし後ろ向きでもないと。前向きではないけれども、何かないかということは正直言って考えています。というと何かあるのかとか何だとか言われますけれども、そこまで考えていないけれど、これは規模の大きな、あるいは国際基準行であっても地銀もありますからね。何とかこれによって融資に影響を与えるということになると、これは経済実体に困りますので、何かないかなあと今知恵は絞っておりますけれども、前向きだというふうには書かないでください。何かないかなあといって色々なところに今考えさせている段階です。展望はありません、今のところ。

問)

色々考える材料として、やはり国際基準行というのは世界共通のルールを採用しているということで、日本だけは動かしがたいというふうなことも要素としてあるんですか。

答)

だからBIS規制、バーゼル II のルールというものがあることは、これはもう我々もそれを前提にしてやっていますけれども、改正するというと時間がかかりますからね。だから、それはさっき言った麻生総理のあっちの方の世界に入りますけれども、緊急的に貸し渋り対策としてその原因がこれであるとするならば、何とか銀行救済とかということじゃなくて、融資維持拡大のためにこれが引っかかるということにならないような何か方法がないのかなと。正直、心の中で、と言ってもしゃべってしまうと日本中に聞こえるわけだけれども、今考えております。

問)

旧商工ローンのSFCGという会社がありまして、そこが今一斉に融資を貸しはがして困っているという問題が一部社会問題化しているんですが、これ自身は監督は基本的には都道府県だということなんですけれども、その辺について何かご所見があったら…。

答)

よく調べてみます。

問)

日銀の金融政策なんですけれども、今政策金利ののりしろがやっぱり少ないということもあって、金融面からの景気の下支え効果というのは限界があるんじゃないかという見方もあるんですけれども、先程大臣がおっしゃったように政府と協力してやって欲しいと。ここはやっぱり日銀としてもまだまだ今の金融危機を乗り切るために果たすべき役割というのがたくさんあるというご認識でいらっしゃいますでしょうか。

答)

いやいや、さっき私は一般論を申し上げたのでありまして、あと数時間後に私も知らないけれども答えが出てまいりますから、ただただそれを待っているという状況です。

(以上)

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