中川財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年11月18日(火)9時38分~9時52分 場所:国会内)

【冒頭発言】

閣議では、総理からこの前のワシントンの金融・世界経済に関する首脳会合のご報告がございました。先進国と新興国の首脳が一堂に会し議論したこと、首脳宣言がまとまり金融危機への当面の措置、中期的措置を盛り込んだ具体的かつ行動的なものとなったことを評価したいと思うということで、あとは実際に麻生総理が提案されたことのご説明がございました。

補足をしろということでございましたので、私からは、麻生提案に対して、スピーチした後、各国から麻生総理のもとに何人かの首脳が来て、大変素晴らしい提案であり是非実現して活用したいというような光景がありましたと。具体的な数字を、つまり(IMFに対する)1,000億ドルとか私のIFCに対しての20億ドルとか、こういった具体的な案を持ってきたのは多分日本だけでありましたので、日本は非常に貢献をしたというふうに考えているということ等々の補足説明をいたしました。

以上が閣議等の案件でございます。

私から談話を発表させていただきたいと思います。自社株取得に関するインサイダー規制に関しまして、今率直に申し上げてインサイダーになると非常に厳しいことになるわけでありますけれども、逆にそれが自分の会社に対する株を取得しにくくさせているということでございますので、もちろんインサイダーはいけませんけれども、一定のきちっとしたルールのもとでやれば問題ありませんよと。もっと申し上げれば、そういうルールのもとで是非自社株を取得していただきたいという趣旨で、改めてQ&Aを公表して明確化していきたいと思っております。率直に言って、後になってQ&Aを出さなければいけない行政というのは、私は如何なものかと正直言って思うぐらいであります。周知徹底するとか、あるいは関係業界の方を集めて改めてご説明するというのは、普段順調な時はしなくていいのかと。私は決してそうじゃないと思いまして、こういう今の経済状況、金融状況が厳しい時に、もちろんやらないといけないとは思いますけれども、こういう時に改めて説明をするというのも、何となく行政が後手後手に回っているという感じも率直に私は思っております。従いまして、金融庁あるいは財務省に他にもこういうことがあれば、どんどんこの際、もっと具体的にファジーな部分があれば、皆しり込みしているようなものがあれば改めて点検をして、そしてここまでは問題ありませんよと。例えば、融資の問題に関しても色々と監督行政が分からないから貸せないみたいな部分があるとするならば、そこはきちっと、ここは問題ない、ここはルール上問題ありますよというようなことを、ファジーの部分を出来るだけ少なくしていくということが大事ではないかと思っておりますので点検をしたいと思っております。今回は、自社株をどうぞルールの範囲内であればお買いになりたい人があればどうぞ買ってくださいということを改めて周知徹底するという趣旨で、Q&Aを作って公表するということです。

【質疑応答】

問)

金融サミットなんですけれども、全体的に振り返られましてもう一度評価をお願いしたいと思います。

答)

まず私としては、率直に申し上げてよかったなと思っております。途上国は皆、一部の先進国が原因となった世界的金融危機の影響を受けて困っているんだと。先進国けしからんという雰囲気、これはもう感じられました。そういう中で、何らかの合意が出来るかどうかということについて率直に言って危惧を持っていたわけでありますけれども、合意が出来ましたし、それは極めて具体的であり、そして問題解決指向の合意だったと、宣言であったというふうに思っております。

2点目としては、その中で日本がさっき申し上げたように具体的な経験と具体的な数字も含めた提案をしていった。そして、この原因を作ったのは一部アメリカにも責任があると。あるいはまたグローバルなインバランスが問題である。これもある意味では具体的に示しているわけですけれども、そういう中でしかしドルの基軸体制というのはやはり今後も維持していく必要がある。だからアメリカも努力すべきであると。日本も努力をする、世界も努力をする。そして、IMFや私の提案のIFC等々に対しての具体的な貢献を出したということで、多分まとまったということと、日本が少なくとも最大、ひょっとすると唯一具体的な提案を出したということへの評価は、私は私自身に対しても麻生総理に対しても非常に高かったというふうに思っております。

問)

即効性のあるものとは思わないんですけれども、今回の金融サミットの宣言で株価に直接的な影響をあまり与えていないようにも思えるんですけれども、その点については如何でしょうか。

答)

仮にあの宣言が出なかったあるいは会合が開かれていなかったとするならば、アメリカのあの小売物価の状況とか各国の成長率の見通しとかを考えたら、もっと悪い方向に行っていたのではないかと。あれがあるからこそ、日本では昨日少しですけれど株価が上がりましたし、現時点では外国も日本も状況が悪いわけですけれども、あれがなかったらもっと悪い状況になっていたんだろうというふうに私は思います。

問)

今日こういうタイミングでこういった談話を出されたというのは、どういう理由があるんでしょうか。

答)

いや、出せるものはどんどん出せと前から言っていましたので。

問)

特に株価を受けてということではなく。

答)

ありません。他にも出来上がったらどんどんあれば出していただきたいと思っています。

問)

日曜日のテレビ番組で、自民党の柳沢税調小委員長が消費税の引上げについて名目成長率3%というのがコンセンサスになっているというふうに発言されたんですが、政府でそういう認識なんでしょうか。

答)

名目成長率3%を目指すための税制…。

問)

達成した段階で抜本改革がということです。

答)

とにかく景気を良くするということが最優先だということは総理もいつもおっしゃっておられることですし、今、税の議論は党の方にお任せしていますし、その責任者である柳沢さんがそういうふうにおっしゃったということは、それは我々も現時点ではそれを受け止めるということですね。

問)

国会なんですが、昨日小沢さんと麻生さんが会談をして今日の参議院の審議を民主党が受けないというような話も出ているんですが、このような状況の中でそういう動きになっている民主党の動きについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

野党が与党政権を倒して自分達が政権運営をしたいというのは、そのこと自体はある意味では当然だと思います。ただ、こういう世界的な金融危機、日本にもひたひたと押し寄せている状況、それから昨日GDP第2四半期の数字が出ましたけれども、こういう状況の中で国民の暮らしや企業が非常に苦しんでいる中で、金融機能強化あるいはまた生活支援対策を一刻も早くやっていかなければならないというのは、多分党利党略を超えた国会の責任だろうというふうに思いますので、これによって私は10時から委員会に出席するわけですけれども、仮に審議が他の委員会も含めて行われないとするならば我々は何もかじりついているわけでもなくて、総理も閣僚達も今の状況を打破するために一心不乱でやっておりますので、その作業が進まないとすればこれは国民に対して大変申し訳ないし、そうだとするならば野党の責任は大きいというふうに思います。

問)

それに関連して、野党側は2次補正を今国会に提出しろということを言っているんですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

今一生懸命作業をやっています。それから税収の見積もりなんかも今一生懸命計算しています。だから作業をすっ飛ばしてとにかく出せというのも、私の立場からはそういうことはできないと。大急ぎでやらせています。財務省も今必死になってやっております。

問)

物理的にそういうのが可能であれば、提示したいということですか。

答)

私としてはそういう立場です。総理のニュアンスと同じかどうか分かりませんけれども、私としては出来るだけ早く準備は整えておきたい。あとは総理のご指示を待ちたいと。ただ、まだその準備が出来ていないという状況です。

問)

海外の問題が日本にも影響を与えるという観点からお伺いしたいと思うんですけれども、アメリカにおいて、いわゆるゼネラルモーターズの問題が山場を迎えていると思うんですけれども、これがアメリカ経済ひいては日本経済に与える影響というのはどういうふうにご覧になっていますか。

答)

特定の会社のことは別にして、と言ってもアメリカを代表する企業が今非常に厳しい状況にある。これはアメリカ経済にとってもあるいは特にアメリカを代表するような企業であれば、アメリカのスピリチャルな意味でも非常に影響が大きいと思いますから、日本に対しても世界に対しても影響は、そうなるとすればですね避けられないのかなというふうに思います。それがどの程度になるかは分かりませんけれども、全くデカップルした状態ではないというふうに思っています。

問)

税金を投入しての救済という意見もあるみたいですけれども、一民間企業しかも金融機関じゃない企業に対して税金を注入するということについて、ご自身のご所見というのはおありでしょうか。

答)

それはアメリカの判断です。たしか昔クライスラーに対してもやったでしょう。それはアメリカの判断で日本も産業再生機構みたいなものが同じではありませんけれども過去に経験がありますよね。

問)

先程言われた2次補正ですが、大臣としては税収見通しはどの時点で確定させて、それを提出したいと思われていますか。

答)

昨日の決算委員会でも、見通しと実際が違うじゃないかという厳しいご指摘があって、それはそれとして事実としてはそうだったんで、ぎりぎりまで待つかというと、なかなかそれもこういう状況ですから出来るだけ早く、しかし今世界も日本も経済は激動していますからなかなか難しいですけれども、最後は出来るだけ早く見積もっていきたいと思っています。

(以上)

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