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中川財務大臣兼金融担当大臣記者会見の概要

(平成20年12月12日(金)18時46分~19時22分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

それでは今日お集まりいただいたのは、先程の総理の緊急対策の発表がございましたが、その中でも総理がおっしゃっておられますように、私に対して指示がございました。それについてのことでございます。

お手許に、まず改正金融機能強化法が今日成立をいたしました。それに当たっての私の談話をお渡ししていると思います。

まず会見に先立ちまして、私から、本日の株式市場、為替市場の状況については、直接的なコメントは差し控えますけれども、大きな変動があったということは事実でございます。この状況については、特に為替市場については、重大な関心を持ってこの大きな変動以降、ずっと見ているところでございます。現在のヨーロッパも注意深く見ているところでございます。現時点では90円台のようでございました。とにかく大きな変動は経済等に非常に大きな影響を及ぼしますので、好ましくないというふうに考えております。

さて、この生活防衛のための緊急追加措置でございますけれども、年末を控えまして雇用情勢が非常に深刻化してございます。また、国際的な金融情勢によりまして、短期の金融市場も非常に厳しい状況になってきております。この短期の金融市場ということは言うまでもなく銀行間、あるいはまたCP(コマーシャルペーパー)市場等々でございますが、財務省としてもこの問題について、例えば起債の環境が非常に悪化しているということになりますと、年末年始に当たっての資金繰り対策というものが、これはもう中堅、そしてまた大きな企業にも影響が出てくるわけでございます。こういった当面の、現在、現時点、この時点での雇用情勢、金融情勢というものを最重要課題、つまり雇用確保、あるいは生活確保、あるいはまた資金繰りについて、私に対する指示の中でも緊急の課題として、あらゆる対応が出来るようにということで指示がございました。先程総理からも具体的に日銀への依頼も含めまして指示があったところでございます。

第2次補正、それから21年度のいわゆる本予算は14カ月予算という位置付けで臨みたいと考えております。まず6兆円規模の生活対策を含む第2次補正を出来るだけ早い時期に提出して、ご審議、成立をしていただきたいというふうに思います。それから、本日の、正式にはこの後与党の方でお決めいただく税制大綱の中では、1.1兆円程の減税になっているということでございます。更に、先程も総理からのご指示がありました緊急追加対策として雇用対策約1兆円、それから地方交付税の自由度の高い、地方で使えるお金約1兆円を行います。特に、これは予算対応の部分もございます。従って、年を越してからというものもありますけれども、さっき申し上げたように、今まさにこの瞬間に雇用、あるいは内定取消し、更には住む家がないといった方々もいらっしゃるわけでございますから、こういう方々に対しての住宅、あるいは生活支援といったものも現時点においての対策としてやっていきたいというふうに思います。

次に、金融面につきましては、本日の金融機能強化法改正法成立によりまして、出来るだけ早い時期にこれを施行したいと。法律では2カ月以内というふうに書かれておりますけれども、来週中に施行したいと思っております。更に、保証枠につきましては、現在2兆円が本年度の予算で計上されておりますが、更に10兆円を追加して注入規模12兆円ということにしたいというふうに考えております。更に資金繰り対策としては、既に危機管理対応ということを発動をしておりますが、CPの買取りということも先程申し上げたような形で必要だというふうに判断をいたしまして、先程総理からもお話しいたしましたが、これを2次補正で3兆円、現在660億円程でございますけれども3兆円、それから、21年度の当初予算でも同じく3兆円の規模を維持していきたいというふうに考えております。それから年内の流動性対策としてのCP買取りも、これも作業に入っているところでございまして、これも資金繰りを付けて、指定金融機関にひとつ対応をしていただきたいというふうに考えております。それから、先程申し上げました日本銀行にも、年末の企業金融の逼迫状況の中で潤沢な流動性の供給のための施策を更に実行していただくように期待をしております。次に、年末、年度末資金繰り対策でございますけれども、中小企業については先程の緊急保証、さっきも総理がおっしゃっておりましたが、6兆円のうちまだ4兆円余裕がありますよということでございますので、是非これを活用していただきたいと思いますし、また今日、本会議場で数時間いた間に何人かの同僚議員が自分の地元でうまく中小企業にお金が回っていないというような話が私のところにも来ましたので、金融庁の方に改めてこの信用保証、あるいは融資をきちっとやっていただきたいということを分かっていただくような、金融機関に対する説明会と言いましょうか面談会を、出来れば私も出席して、もう一度金融機関の代表の方にお集まりいただきまして、早急にやりたいというふうに思っております。また、来週の月曜日には全国の財務局長に来てもらいまして、この金融機能強化法に基づく対応、あるいは年末対策等について財務局長に指示をしたいというふうに考えております。

「中期プログラム」に関連しては、先程総理からもお話しございましたが、与党税制改正大綱の考え方の範囲内で、2011年から消費税を含む抜本的な税制体系を実施するための作業を政府内で始めるように、総理から指示がございました。政府として、与謝野大臣のところでの「中期プログラム」の取りまとめ作業に、また私も協力をしていきたいというふうに思います。特に社会保障の安定財源の確保ということが大変大きな問題になってまいりますので、更に努力をしていきたいと思っております。基礎年金部分の2分の1の恒久化については、あくまでも安定財源の確保ということが前提になってくるというふうに考えております。また、2年間の恒久化の間のつなぎの財源につきましては、財源を出来るだけ、今かき集める作業をしているところでございます。

先程申し上げたように、渡した大臣談話は、これは特に強調したいんですが、これは役所が作った文書にも書いてあるんですけど、「一気呵成に」と。役所が作った文書で「一気呵成に」というのは、私は初めて見たわけでありますけれども、一気呵成にこの金融機能強化法の施行、そして金融機関側の円滑な資金供給のための申請をしていただければありがたいというふうに思っております。

私からは以上です。

【質疑応答】

問)

最初に生活防衛の緊急対策なんですけれども、財政上の手当てと金融上の手当て、対策規模23兆円ということでしたけれども、実際に真水としてかかる費用というのがどの程度でしょうか。

答)

年内に対応する生活あるいは雇用対策については、例えば年内にどこかの住宅に入りますという時に必要なお金、例えば入る時に敷金なんていうものは低利で融資をさせていただくとか、あるいはしばらく例えば社宅に住んでいただいて、その時には、社宅は基本的に非常に安いか、ただかということでありますけれども、一定の期間住んでいただいて、そこを何カ月後かに出る時に、精算する時に、その精算の時点での補助というような形で、今すぐ住むからお金が要るというものでないものと、それから今すぐ住むから必要なものと両方あるんだろうと思っております。いますぐ必要なものについては、既にございます1次補正の対応の中でやっていきたいというふうに思っております。

それから、年内のCP買取りのための資金は日本政策金融公庫がお金を調達いたします。これは政府保証付きで調達いたしまして、それを指定金融機関、先程室伏社長にわざわざ来ていただきましたけれども、日本政策投資銀行等に是非これをお願いしたいということで、公庫が集めたお金を指定金融機関にお渡しをしてCP買取りをやっていただくと、こういうスキームでやっていきたいと思っております。

失礼しました。公庫の部分については、これは保証ですから予算が関係いたしますので、これは2次補正ということになります。従って、そこは指定金融機関に資金をやり繰りしていただく。それを政府として支援をするということでございます。

問)

結局、今の問題というのは補正で組むのか当初に入れるのかというのはこれからの判断だということだと思うんですが、23兆円の対策に必要になる真水というのは、おおよそ現時点でどれくらいだという数字はあるんでしょうか。

答)

財政上の対応というのは10兆円、これは雇用対策あるいは交付税、あるいはまた新しく出来る経済緊急対応予備費、それから政策減税、それから生活対策、これは10月30日に発表した6兆円、合わせて10兆円。それから金融面では、金融機能強化法の追加の10兆円、それと今のCP買取り等のお金が3兆円、13兆円、合わせて23兆円という意味ですね。

問)

事業規模とそれに対応する国費ベースの数字として、事業規模が23兆円になっていますね。それに対応する国費ベースの金額というのはおおよそ幾らなのかというところです。

答)

(丹呉主計局長)ちょっと補足させていただきます。財政上の対応に10兆円というのは、基本的には財政資金です。手当ての中身としては先程大臣からお話がございました年末住宅、生活支援なんかが一部既存のものを使ったりいたしますが、今予定しているものとして1,500億円程度第2次補正に追加すると。それから、ここに書いてございます雇用保険料の引下げは21年度からですけれども、約6,000億円強。それから、その他21年度では特別会計で2,000 億円ぐらい。それから、2番目の雇用創出のための地方交付税増が1兆円、21年度予算に計上すると。3番目の経済緊急対応予備費1兆円も21年度予算に計上いたします。それから、政策減税が一部地方も入ってございますけれども、国・地方を通じて約1.1兆円ぐらいの減税が行われると。それから、最後の生活対策、10月30日の6兆円は、国・地方を含めました財政資金でございます。以上です。

問)

次は、先程出た経済緊急対応予備費の1兆円、これは2009年度の当初予算に盛り込みたいという話があったんですが、これはシーリングの枠内に位置付けるのか、それとは別の枠として考えるのか、そこはどちらなんでしょうか。

答)

これは、ルールとして予備費は前年同額と、こういうことになっております。財政規律というものを十分守りながら、しかし、さっき総理も言われておられましたけれども、何が起こるか分からないというもののために、特にさっき過去において総理も5,000億円規模だったよねと言っておりましたけれども、100年に一度というこの金融経済危機、今日のように、本当に世界から日本にどんどこ飛び込んでくるというようなことも含めて、今回初めてこういう形で、しかも1兆円規模でやったわけでございますので、あくまでも財政規律というものを前提にしながらの特別の対応だということでございます。

問)

対策の財源の部分なんですが、10月の生活対策の時は赤字国債に頼らないということを言われていたんですが、今回の緊急対策にかかる財源というのは今後どのような形で対応されていくお考えなんでしょうか。その場合、赤字国債も検討対象とするのか。

答)

さっき総理もおっしゃっておられたのは、あなた見てました。緊急対策あるいは生活支援は赤字国債には頼らないと。実際に雇用保険特会とか財政投融資特会等々、あらゆるところから言葉は悪いですけれどかき集めて対応していくということでございます。

問)

先程質問がありました予備費の1兆円とシーリングの関係について再度お尋ねしますけれども、シーリングに書かれているのは、予備費については義務的経費なので前年と同額まで要求してよいということで書かれていて、そういった諸々も含めて47.8兆円という基準額が出ていると思うんですけれども、今回1兆円が乗ることによって、これは1兆円分はみ出てしまうことは避けられないかと思うんですが、つまりこれはシーリングを変更するということなんでしょうか。

答)

今おっしゃったように、前年同額ということで閣議了解ということになっているわけであります。従って、それがシーリングがかかっていることも我々承知をしております。それを前提にして、しかしさっき総理も雇用関係等々は何が起こるか分からないと。世界初のこういう状況の中で日本の経済状況もどんどん良くないデータが出ている中で、雇用情勢とかそういうものに対して対応していくための対策としてやっているということをご理解いただきたいと思います。

問)

すみません、ちょっとお答えの中でよく分からなかったのは、くどいようで大変恐れ入りますけれども、つまり先般の来年度予算の基本方針で閣議決定されたものの中には「シーリングを維持する」というくだりがあったかと思うんですけれども、1兆円はみ出ているということではシーリングを維持したことにならないんじゃないかという疑問があるんですけれども、ここはどのようにご説明されるんでしょうか。

答)

ですから、閣議了解をして、前年同額という予備費ということであります。それは毎年の予備費があり、そしてまた今回あえて緊急対策としてこういう経済緊急対応予備費というものを1兆円設けることにしているわけであります。そこは、おっしゃっていることもよく分かりますけれども、何が起こるか分からないという状況の中での予備費、これは使われないかもしれませんけれども、そういう状況の中で総理のご決断でこれを作ろうとしているということでございます。

問)

つまりシーリングは維持しないのもやむを得ないと、そういう理解でよろしいんでしょうか。そういう諸々の予備費は必要なので、今回はそういうことで異例の対応をせざるを得なかったと。

答)

諸々が必要になるかもしれないというための予備費を積んだということであります。他方、閣議了解は閣議了解として存在をしているということであります。何回繰り返しても、この答弁は変えないからね。

問)

金融機能強化法の資本参加枠を12兆円に拡大するんですけれども、なぜ拡大する、その理由、必要性があるのかということをお願いします。

答)

これはどんどん健全なというか計画を出していただいて、そして審査をして第三者の皆様方のご判断もいただいてOKというところには、それを種金にして地域経済あるいは中小企業に対して貸し出しをしていただきたいという、これは金融機関に対してのお金ではなくてその先の、資金を必要としている地域の中小企業に対しての目的のお金でございますので、私はそういう意味で、基本的にはこちらから絶対資本をこの公的なお金を使ってくれと押し付けるわけにはいきませんけれども、出来るだけこれは多く使っていただいた方がありがたいというふうに思っております。12兆というのは過去の、確かバブル崩壊の後の資本注入が、目的は全然ある意味じゃ逆ですけれども、大体12兆円ぐらいだったとか、12兆にする根拠が3つぐらいありますけれども、それ知りたいですか、一つの目安としてなぜ12兆にしたかという。

問)

大臣が、一番これが理由だというやつを一つお願いします。

答)

さっき申し上げた過去の公的資本、90年代から2000年以降のいわゆる公的資本増強、これは何とか支援するという目的で、これとは違いますけれども、これは12.4兆でございました。それから、金融機関の半分の人達が、自己資本を例えば50%上げたいと。ティア1の自己資本、中核的自己資本を50%上げたいと言った場合に、自己資本がこれで大体12兆円というふうに我々計算しました。それから、リスクアセットを4%ということになりますと、これがリスク対象は550兆円として、これで11兆ということを計算いたしまして、ですから正直言って、少なければ少ない方がいいんじゃないかという人もいれば、多く準備しておいてどんどんやった方がいいんじゃないか、いろんな意見があるんですけれども、一つの12兆にした根拠としては今言った3つぐらいがございますけれども、いずれにしても、どんどんこれを活用して、ユーザーに使っていただきたいというのが私の率直な気持ちでございます。

問)

どのぐらい利用があると、資本注入の申請があると予測してらっしゃいますか。

答)

是非どんどんやっていただきたいと。もちろん審査が前提ですし、何か今日の本会議でも、野党の方々はいかにも新銀行東京に資本注入するみたいな前提で演説をされておりましたけれども、それは新銀行東京が申請してきて、そして我々が審査をした結果どうなるかという判断でございますけれども、いずれにしても申請、あるいは審査という手続が必要になりますけれども、私としてはどんどんこれを活用して、そして自己資本比率を維持しながら、必要なお金を提供していただきたいというふうに思っております。

問)

先程の為替のお話なんですけれども、為替の大きな変動は日本経済に大きな影響を与えるということで望ましくないとのお考えを示されましたけれども、市場介入についてはどういうお考えでしょうか。

答)

市場介入するかどうかということは、全く今は頭の中にございません。とにかく今日90円の底が抜けてしまったということは、多分マーケット関係者や他の方々にとっても非常に大きなショックというかびっくりした、私もびっくりしましたし、それによって株式市場の方で大きな、5.5%ぐらいの下落が今日あったわけでございます。ですから、急激な変動というものは決して良くないということだけははっきり申し上げておきたいと。これに対しては、私はこれは重大な関心を持って今マーケットを見ております。

問)

来年度予算の話なんですが、生活対策などもこれだけ大規模にやりますし、あとは減税もやりますし税収も減るという中で、今まで国債の発行額は30兆円というのを守ってきたと思うんですが、今回こういったことになってどの程度まで国債の発行額を抑えたいというか、そういう何か目安のようなものはありますでしょうか。

答)

生活対策あるいは年内対策としては赤字国債は発行しませんと。それから財政規律を守りつつ現段階の景気回復あるいは緊急対策として必要な年内あるいはまた2次補正、本予算と切れ目なくこれからいろんな対策を打っていくわけでございます。その中で全体としてはどうなるか。あるいは来年度の当初予算がどうなるかということは、まさにこれから作業に、まあ今やっていますけれども、今日また改めてこういう総理からの指示をいただいたので、その中でそれを受けながら予算編成を進めていって、もちろん最終的に公債がどのぐらいになるかということは気にしながらというか、視野に入れながら予算編成をしていきたいと思っています。

問)

大臣談話の中で、金融機関の自己資本比率規制についても実態に即した見直しを行う、というふうに言及されておられます。これは、先日の自己資本比率規制の弾力化を更に進めるということなんでしょうか。

答)

どの辺ですかね。

問)

パラグラフ3の後半部分です。「また、この機会に金融機関の自己資本比率規制についても信用保証協会による保証付融資の取扱いなどについても見直しを行う」と。

答)

これは、特に今新たに何かをということは考えておりませんけれども、いわゆる緊急保証付きというものについて、とにかくこれはうまくやってもらいたいということを改めて徹底したいということでございます。普通の貸し出しと緊急保証が付いた貸し出しでリスクプレッシャーは違うと。

答)

(三國谷監督局長)今、中小企業向け貸出は、1億円の中でありますと、リスクウェイトが75%になっております。ただ、その場合に信用保証がその中に幾ら入っても、1億円を超えてしまいますといきなり75%が100%になってしまうと。せっかく今回信用保証制度がありますので、信用保証がかかっている部分については、それは別枠で考えまして、残りの規模で75%にするか100%にする。残りの部分について1億までは75%、それを超えたら100%にしようという、実態に即した見直しでございます。詳しくはまた事務的に担当の方からご説明させていただきたいと思います。

答)

ですから、昨日か何かの委員会での質問の中で、緊急保証制度が出来たことすら知らない銀行の窓口があったというご指摘がありました。金融庁の方でも何かそういうことがあるやに一件報告がございまして、プロの人ですらまだ緊急保証制度が出来たことすら知らないということは普通信じられませんけれども、ということなので、今三國谷局長が言ったようなことを改めて周知徹底したいということでございます。

答)

(三國谷監督局長)改めてその辺はきちんと実態に即した手当てをさせていただくということでございます。

(以上)

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