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中川財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成20年12月16日(火)10時16分~10時45分 場所:金融庁会見室)

【冒頭発言】

今日の閣議では特にご報告するようなことはないと思います。

閣僚懇談会で先週の金曜日の総理の「生活防衛のための緊急対策」についてのご意見がございまして、例えば年内に一体どういうものが出来るのかとか、あるいは国交大臣からは例の不動産向けの事業費貸付ですか、住宅金融支援機構からの貸付、こういうのも緊急対策ではないかというご議論が出ましたので、私からも総理の方にこれはもう、まさに百年に一度ということを前提にした対策ですから、8月末の第1次補正予算を作るための政府・与党の決定事項というのは百年に一度まではいかないにしても急速に世界的な金融経済状況が厳しくなっていくという状況の中で始めた第1弾でございますし、10月30日の「生活対策」は第2弾ということでありますし、そのうちに資金繰りの問題が出てまいりましたので年内の日本政策投資銀行にお願いを今しておりますCPの買取りの作業と同じように、この不動産事業者向けの貸付も同じように扱われるというふうに判断をいたしましたので、総理からも今執行中の一次補正分、特に(セーフティネット保証制度の)使用については、今日二階経済産業大臣からも現状の資料をいただきましたけれども、まだ8,500件、2兆円ぐらいしか実行されていないという状況で、まだまだ年内に関しても残り2週間ということで、まだ4兆円分の枠があるわけでございますから、これを大いに年内向けにも活用していただきたいということも含めて、これはまだまだ現時点での緊急対策として十分活用していただきたいということでございます。

いわゆる金曜日に発表いたしました23兆円というものを、国民向けには第1次補正予算の真水ベースで2兆円弱、それから先程の不動産関係の事業資金融資500億円、更には特別保証等々で約30兆円、第2次補正でも追加をしていきますので、こういったものも全部合わせてやっていくことによって23兆円が30兆円の保証、それから融資、更には第1次補正予算の真水の2兆円プラス500億円と、こういった55兆規模で今回の世界的金融経済危機に対応する日本の財政金融対応として位置付けて国民の皆様方に理解をいただきたいというふうに考えて、総理からそれをよく国民の皆様にご理解をいただけるように、活用していただけるようにという指示が改めてございました。

それから金融機能強化法につきましては本日公布して明日から施行ということで、これは金曜日に成立した法律であり、施行は2カ月以内ということでございましたが、一気呵成に極めて異例のスピードで12月中旬中に、これが活用出来るような体制を整えることが出来ました。昨日はこれに関連して、全国にこの法律の趣旨を徹底していただきました。一部新聞報道等では是非これを活用したいというような金融機関もあるやに承知しておりまして、これはある意味では審査の結果、資本参加が出来るということは健全性が証明されているということとも言えることでございますので、大いにこれを活用していただいて、必要な資金を全国の中小企業に活用していただきたいというふうに思っております。

もう1点、10月に自社株規制、自社株買いについて、過去平均4週間の平均の25%まで、それから取引終了の30分までという規制を年末まで緩和というふうにしておりましたけれども、これを年度末まで延長することを決定いたしました。

【質疑応答】

問)

予算編成についてですが、まだ原案等まとまっておりませんが、現段階で一般会計の歳出規模が過去最大に膨らむ公算が強くなっております。12日に発表された緊急対策等の影響もあってシーリングの枠組み自体の維持が極めて困難な情勢になるという見通しになっておりますが、これまで財政規律を維持する安全弁の役割も果たしてきたシーリングが達成困難になっているということについて大臣としてどのようなご認識を持っておられるか伺えればと思います。

答)

どういう形で予算が、政府原案が作られるかは、これは今作業中ですし出来てみないとわかりません。しかし現時点においてはあくまでも閣議決定されました「予算編成の基本方針」というものに基づく概算要求基準というものを我々としては前提としております。これは現時点においてもいささかも変わっておりません。ただ、その上で例えば経済緊急対応予備費みたいなものも特にこれから万々が一何が起こるか分からない、その場合には社会保障関係、中小企業関係、社会資本整備関係に緊急に財政出動をする必要がある、無いことを期待しておりますけれども、そういうことも世界の状況を見ると可能性が全く無いわけではないということに果断に対応するためにこういうものを総理のご決断で今回は用意をしたいというふうに考えております。前回の記者会見でも何回かやりとりをいたしましたけれども、これはあくまでも概算要求基準を守るという前提ではありますけれども臨時異例の、極めて異例の現在の世界の日本の経済状況を見たときにこの予備費は私は必要であるというふうに考えておりますので、それはそれとしてその原則をしっかり認識しながら異例の措置としてこういう予備費を用意させていただいたということであります。

問)

「中期プログラム」の関係なんですが、昨日の国会答弁等でも総理は3年後の消費税引き上げというのは是非明記したい旨の意思表明をされておりますが、今回の「中期プログラム」は将来の歳出欠陥の穴を防ぐためにもかなり重要な計画になると見込まれているんですが、大臣としては総理の意思どおり3年後というような具体的な年数の明示等が必要だというふうに考えていらっしゃるかどうか、この点について伺えればと思います。

答)

まさに今あなたがおっしゃられましたように、これから基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1にして、それを制度化していくと。あるいはまた年金、医療、介護、さらには少子化といった、もう数十年、百年単位の制度設計をきちっとしていくということにするならば、今まさにあなたがおっしゃったように財源の穴というものがどうしても生じるわけですから、それを毎年ばたばたつぎはぎでやっていくということは、平成 21年度、22年度はそれをやるべく努力はいたしますけれども、しかしいつまでも出来るものではありませんし、そもそも制度上の安定性の観点からもこれは社会保障、あるいは国庫負担の2分の1という体制の安定のために極めてこれは問題だろうというふうに思います。ですからこれは21年度、22年度と2年間は暫定的に2分の1にいたしますけれども、安定的な恒久的な2分の1体制等々を構築していくためにはどうしても消費税も含めた税制の抜本改正が必要である、これは既に決められていることでもありますし、特に財政当局としてはその方向で作業を進めていくというのが私の考え方です。

ただし、総理もおっしゃっておられるし、また党の方でも議論があるように経済状況、経済動向といったものももちろん十分配慮しなければいけないわけで、経済がもっともっと悪くなったときに税率を上げたって税収は伸びませんから、ですから経済動向があくまでもよくなるということ、それから党の方の税制大綱の中にも党の色々なご議論もございましたから、そのご議論というものも十分踏まえて、そのお考えというものを踏まえた上で、そういったあるべき姿というものも考える上で経済状況あるいは党での結論、こういうものも十分検討の中の要素として見ていきながら作業をしていく、「中期プログラム」を、これは主に与謝野大臣のところでやっておられますけれども、やっていきたいというふうに考えております。

問)

日産のゴーンさんが日本の自動車メーカーも円高に苦しんでいるので何らかの政府の支援が必要だというような趣旨の発言をメディアの前でやられたんですが、その発言については何かご感想というか。

答)

具体的に何をおっしゃりたいのかがもう少し、ゴーンさんが何を言いたいのかが私には、GM的な支援が必要なのか、あるいは短期の急激な円高、あるいはまた落ち込みに対しての支援が必要なのか、よく分かりませんので、それについては一般論としては自動車業界、大変今急速に業績が悪化しているということは知っておりますので、その辺は我々も十分状況の厳しさというものは認識をしております。

問)

少し関連するかもしれないんですが、今週末に日銀が政策決定会合を開くんですが、日銀に対して何か対応を望んでいたりとか、そういうことはありますでしょうか。

答)

昨日、今日、アメリカで政策決定会合が行われるようであります。その見方というものも1つの要素になるのかなと私自身は思っておりますし、それから昨日の短観のオイルショック以来の悪化、これも当然私共も日銀も重く受け止めていると思います。そして景気が非常に悪化を現在している状況です。さらには年末というものを控えております。こういう状況の中で我々としてはやれることはあらゆることをスピーディに今やっているつもりでございます。日銀には日銀の独立性というものがあることは十分承知しておりますけれども、日銀は政府とよく連絡をとって、そして正確ではありませんけれども、協働してという言葉までいっているかどうか分かりませんが、よく連絡をとって経済運営をしていきなさいという、これは我々に課せられた法律上の義務もあるわけであります。ですから総理が金曜日の緊急対策の中でも言い、それから私も金曜日申し上げましたが、日銀に対する期待というものがあるわけでありまして、こういった状況の認識は同じだとするならば日銀はこういった経済状況あるいはまた流動性の問題等々について、2日間かけてじっくりと検討して、そしてあるべき結論を出していただけるものと期待しております。

問)

経済緊急対応予備費の件ですが、これは非常に異例の措置であるというふうにおっしゃいましたが、昨日の次官会見でもシーリングを決めた後に状況の変化が出てきたものであるということから閣議でも何らかの対応が必要ではないかということを次官もおっしゃっています。今日の閣議で何らかのそういったことに対応するということはあったのか、もしくは金曜日あたりにそういうことを予定されているのか伺えればと思います。

答)

閣議で何らかの対応というのは閣議了解という意味ですか。これ、閣議了解は多分必要でしょうと。予備費というのは前年度と同額にするというふうな閣議了解になっているわけですから、経済緊急対応予備費というものも予備費ですから、ほかの予備費と違う予備費を新たに導入しようということであれば、これは閣議了解が必要になると思いますけれども、今日のところはそういう議論は出ておりません。

問)

「中期プログラム」に関してですけれども、昨晩の麻生総理の会見で「中期プログラム」そのものの法制化についてはその必要はないんじゃないかというふうに総理はおっしゃっていますが、一方で与党がまとめた大綱の中では法制化ということがしっかり明記されていると。このあたりどういった姿が望ましいと大臣はお考えでしょうか。

答)

中身から言えば、さっき言ったように2011年から抜本的な税制改正をやって消費税を上げていくということは条件付きである。経済動向あるいは党の考えも踏まえた上でということになっているわけですけれども、2010年代の半ばまでという「中期プログラム」を法定化した方がいいとは思いますけれども、私個人は、これはあくまでも総理のご判断に私は従います。

問)

日銀の話に戻るんですが、そうした中、日銀が今回の決定会合で何らか追加策を出さなかったと、仮の話なんですが、そういう結論になった場合は、これは日銀の判断として大臣は尊重するということになるのか、それとも例えば議決延期請求とか、そういったことも判断としては考えられるのか、この辺はどういうふうにお考えでしょうか。

答)

仮の話はお答え出来ません。

問)

昨日の短観の結果、先程も戦後2番目という悪化ということでしたけれども、その結果について率直にどう見られているかということと、先程のお答えでもあったあるべき結論というか、日銀に対して具体的に金融緩和だとか、あるいは企業の資金繰り対策で合意などを念頭に置いておられるのか、そのあたりのところを聞かせていただけますか。

答)

日銀に対して?

問)

はい、あるべき対応、具体的なあるべき結論という具体的なものとしてどんなことを念頭に置いていらっしゃるのかという。

答)

昨日の短観は、さっきも言ったようにあれは第2次オイルショック以来の下げ率ということで、しかも製造業の数字が非製造業よりも一段と悪い。それから在庫にしても売り上げにしても利益にしてもみんな悪くなっている。中小企業の方が一段と悪い。先行きはもっと悪いという状況ですから、これを今の日本の経済が下向きになっていると思わない人は誰もいないというふうに思いますね。それは共通認識だと私は思います。その上で日銀が日銀として、さっき申し上げたように政府と協働して、協力して、よく連絡を取り合ってですか、詳しいことは忘れましたけれども、経済運営をやっていくという責任が両者に、しかもこの件に関してはばらばらではなくあるわけですから、是非こういう認識であるとするならば、これを回避することも日銀の大きな義務だろうというふうに思っております。その上で金利政策あるいはまた流動性対策等々の本来の日銀のやるべき仕事というものをどういうふうにしていくか、これは日銀の判断だろうというふうに思っております。

問)

金融機能強化法の関係なんですけれども、明日金融業界の代表の方とお会いになって直接強化法の趣旨をご説明されるというふうに聞いているんですけれども、まだまだ金融機関側の方に公的資金注入アレルギーがまだ強いと思うんですけれども、その辺どのように、せっかくの12兆円を見せ金に終わらせないようにどのように金融機関側に活用を促していくか、何かお考えのところはありますでしょうか。

答)

さっきも言ったように、一部の地域の金融機関は是非これを活用して地域に資金を供給したいというような新聞報道を私昨日ちらっと読んだんですけれども、そういう金融機関、地域もあるでしょうし、今日の新聞では北海道の金融機関は「うちは必要ない」と言っているという報道もございました。色々な思惑でもってやっているんでしょうけれども、あくまでもこれは金融機関のためにやっているわけじゃないんで、さっきも言ったように中小企業、地域経済のために金融機関がきちっとその役割を果たすかということですから、健全であってその資格があるにもかかわらず、それをやらないということになると逆にこれは批判が出てくる可能性すらあると私は考えておりまして、どこまでその辺を強く言えるかどうかは別にして、少なくとも資本参加を国がするということは、今回はおかしなところにはしないわけですから、逆に言うと申請して却下されればこれはまた問題でしょうけれども、最初から申請しないんだということになると逆にあの金融機関はおかしいんじゃないのと、ちょっと言い過ぎかな、ぐらいの金融仲介機能、この厳しい厳しいと日本中で借り手が言い、金融機関も色々苦しいんだ苦しいんだと言っているんであれば、自己資本を充実して、そして少なくとも年末に向けて金融機関が地場のよく知っている中小企業等のそのニーズに応えていくというのは私は金融機関の本来の果たすべき、これこそ金融機関ならではの社会的責任だろうと。

私も日曜日、地元で色々な中小企業の人の話を聞きましたけれども、いまだに、個別な話ですけれどもそういう話を聞きますし、また昨日の委員会でもそんな話も出てまいりましたし、個別には色々とあるんだろうとは思いますけれども、いまだに信用保証協会がどうだとか金融機関がどうだとかという話が出てきているというのは、私はやっぱり、これは信用保証協会の方の話にスリップしてしまいましたけれども、是非これを活用して、そして金融機関が必要な企業に対して資金を提供して、そしてそれでもって企業も金融機関も社会的な責任以前のビジネスとしての成功に貢献をして、活用していただきたいというふうに思っております。

問)

社会保障費の削減のことなんですけれども、一部では道路財源から充てるというような案も出ているようなんですけれども、この案についてはどう思われますか。

答)

2,200億円の話ですか。2,200億円についてはまだ決着がついておりませんで、財務省だけではなく厚生労働省も今一生懸命知恵を絞って、両者協力をして今やっている最中でございます。もちろん予算の内示までには決着したいというふうに思っております。

(以上)

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