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中川財務大臣兼金融担当大臣繰下げ閣議後記者会見の概要

(平成20年12月24日(水)11時41分~12時00分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

先程の閣議で「中期プログラム」、これは持ち回りということですけれども、それから平成21年度政府予算案が閣議決定されました。それから緊急雇用経済対策本部が閣議後行われました。総理からは先程記者会見が行われまして、第2次補正予算、それから21年度予算、間断なく「大胆実行予算」を出来るだけ早く遅滞なく執行していく、そして今こういう経済、雇用、金融情勢でございますから、何でもやっていくんだという新たな決意も発表されました。以上です。

【質疑応答】

問)

来年度予算の政府案が決定されましたが、当面は景気を優先するという政府方針が明確になった予算となっておりますけれども、しかも過去最大になるなどなっていますが、改めて来年度予算についてどのように評価されるかお聞かせ願えますでしょうか。それと麻生首相が先程の会見で、世界で最初に日本経済を不況から脱出させたいというご発言がありましたが、来年度予算を含めた、第1次、第2次補正も含めた景気対策でその実現は可能だとお考えでしょうか。その辺りについてご所感お聞かせください。

答)

総理からもお話しありましたように今は非常事態である、従いまして第1次補正、そして第2次補正、この中には年内住宅雇用対策等も、あるいは資金繰り対策等も含まれておりまして、予算だけではなくて税制も、あるいはまた資金繰り対策も生活支援も雇用支援も、これは単に皆様方も88兆円の予算が出来たというだけではなくて、トータルとしてこの危機対応に政府・与党挙げて臨んでいるんだという認識を是非取っていただきたい。あくまでもそれは重要ではありますが、1つのパーツにすぎないというふうに私は考えております。第1次補正の方で既にやっております例えば緊急保証6兆円、融資3兆円等々もまだまだ余裕がございます。これをあと14兆円、7兆円増やしていくわけでございます。それから住宅支援対策につきましても、まだまだ1,000戸程度というふうに聞いておりますので、是非まだ余裕もございますし、また非常にそうは言いながらも大変厳しい年末年始を暮らしている人々、とりわけ外国の方でお仕事が無くなって学校にすら行けないというお子さんにつきましては、昨日総理にもお話しして、総理から関係各省に何とか、せめて学校あるいは最低限の生活支援が出来るようにしろという指示が私からも出たところでございます。これによりまして、とにかくまだ世界の経済、この前の月例経済報告の報告を聞きましても、残念ながらまだまだ世界の状況あるいはまたその影響を受けた日本の状況が悪化をしかねないというのが多くの専門家の見方でございますから、まずこれを間断なく、つまり補正については1月の半ば、そしてまたそれによって金融の方は危機対応業務が新しい形で発動するわけでございますし、また住居支援とか、あるいはまた雇用支援というものが予算措置に基づいて対応が出来るということになってまいります。それを何とかやってこの危機を乗り切って、そして年度末あるいはまた新年度に第2次補正そして本予算が間断なく効果を発揮していく、その他の減税あるいは定額給付金等々も含めてやっていくことによって、日本としてこの前お示ししましたように破綻金融機関がないにもかかわらず、日本が非常に間断なく思い切った対策を取っているんだという自負、と言っても状況は厳しいわけですから自慢している暇もないんですけれども、やるべきことは私は麻生総理のリーダーシップの下でやっていると。そして出来れば先進国の中でいち早く、全治3年と申し上げておりますけれども、全治3年というのは上向くということから更に全治ということですから、上向きはもっと早く来るべきでありますし、また1990年代、あるいは2000年の初めにはちょっと上向いては政策を変更することによってまた厳しくなったという何回かの経験もありますから、そういう対応は我々としては絶対に取らない、徹底的に上向きが全快に、全治につながっていくという決意で、これからも緊張感を持って対策を取っていきたいというふうに思っております。

問)

来年度予算で社会保障費が前年度比14%増ということで30年振りに高い伸び率を示しました。年金の国庫負担比率の引上げが主な原因ということなんですが、それも含めて増大する社会保障費の財源を確保するために、今日閣議決定されました中期プログラムで、景気回復を前提に2011年度からの消費税率の引上げが示されたわけですが、その実現可能性についてどのように見ていらっしゃるか。それと税率の引上げ幅について、与謝野経財相が日曜日にテレビに出演されて、現行の5%からプラス3.5%から5%という見方を示していらっしゃいますが、この引上げ幅についても大臣のお考えをお聞かせください。

答)

まず今回の21年度の一般歳出予算は今ご指摘のとおり社会保障関係費が対前年度比で14%伸びているでありますとか、中小企業対策費が7.3%伸びているでありますとか、あるいはまた公共事業関係費はちょっとこれはやりくりの関係で数字がプラスになったり大きくマイナスになったりしておりますけれども、非常にメリハリのある予算を作ったというふうに我々は判断をしております。社会保障関係費につきましては、例の 2,200億円をどのぐらい維持するのかとか、あるいは来年度からは2分の1までやってくれということは皆さんおっしゃいますけれども、そのための2.3 兆円という財源をどこから持ってくるのかということについては、昨日ぎりぎりまで与党内でああいう形で議論があったわけでございますが、いずれにいたしましても、あれが2011年度から経済状況を見ながら安定財源を確保する、そしてまたそれまでの2009年度、2010年度については臨時異例の措置として赤字公債には頼らずに何とか財源をひねり出していくという形で決着をしたわけであります。2011年からということになりますと、当然あらかじめ準備が必要だということになるわけでありまして、そのあらかじめで大分ご議論があったやに聞きましたけれども、最終的には政府のあの案というものが私は維持されたというふうに思っております。その場合に与謝野大臣が3.5%ですか、ちょっと数字は私テレビ見ていないので分かりませんけれども、やはりそれは経済動向等々幾つかの非常に変動的な要素というものも、経済の状況を見るということになると非常に重要なデータでございますから、与謝野大臣はその専門家として一つの数字をお示しになったんだろうというふうに思いますが、私としては今から2分の1その他の社会保障の安定財源のために消費税がどのぐらい必要かということについては私自身も考えておりませんし、将来、政府からもきちっとした数字は伺っておりません。

問)

先程麻生首相が会見で景気回復が優先であって総選挙だ、連立だ、政界再編だと言っている場合ではないというご発言があったんですが、選挙よりも景気対策を優先するというこの方針についてどのようにお考えでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

答)

全くそのとおりだと思います。国会で法案を、議論を前向きにするということは麻生総理も言っていたけれども、大いに必要ですけれども、単なる審議妨害、議事妨害はこういう国民状況、世界状況の中だからこそ私は全く無責任だと思っております。

問)

最初に話がありました全体的な評価の関係でお伺いしますけれども、今回11月にワシントンで開かれた金融サミットの中で、その宣言の中で財政の持続可能性の確保を維持する、その枠組みを維持する即効的な内需刺激の財政施策を用いるというようなことが謳われているわけですけれども、今回の予算編成の中でこういった部分はどの程度意識されて、その結果どのようなものになったというふうに受け止めていらっしゃいますか。

答)

そのG20の合意文書にあるだけではなくて、2006年の骨太方針でありますとか、概算要求基準は維持しますという前提で何回もここでお話をしております。しかし完全にお釣りが出るぐらいに維持するにはあまりにも緊急的な歳入減、あるいはまた減税、そしてまた必要な歳出があるということで、これはやはり緊急的に即効性のある財政出動をするということも、G20でも認められているわけでございますし、またこの時に何もしないという予算を組むというのも我々としては全く無責任だろうということで、あくまでも臨時異例のことであると。これをもって財政規律の基準、原則を捨てたわけではないということだけはご理解いただきたいと思います。

問)

今回の第1次補正から当初予算に至る財政支出の規模が地方分も合わせると大体12兆円ぐらいあると。ここの点についてそれなりに規模はもう大きいわけですけれども、エコノミストの方の評価などを色々見ていると中には、よく目立つのは、規模はそれなりに遜色は過去に比べてもないんだけれども、中身を見てみるとばらまき的な要素が強いものが結構入っていて、景気浮揚効果が一時的に終わる可能性が大きいんじゃないかと。中期的なそういう自律的な景気回復に道筋をつけるための予算としては不十分なのではないかという評価もありますけれども、こういった点についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

エコノミストの方であろうとエコノミストらしい人であろうとマスコミの人であろうとテレビのコメンテーターらしい人であろうと色々な方が色々なことを言っておられまして、例えばエコノミスト的な方がもっと財政出動をやるべきだというご意見をやっている方もいらっしゃいますし、いやいやこういう時こそ財政規律をきちっと守るんだと。90年代、80年代のことを未だに墨守をされているような方もいらっしゃいますし、あるいはまたこの12兆円の出し方について、もっとやり方を変えた方がいいんじゃないかというご意見を毎日毎日色々なメディアで私も読んでいるわけでございます。我々としてはさっきから何回も申し上げておりますから繰り返しませんけれども、本当に困っている人に即効的にやっていく、あるいは企業の資金繰り、何もしなかったら本当にこの年末は私は厳しい状況に企業もあったんではないかと、まだ1週間ございますけれども、そういう状況でございますから、ですから批判するのはそれは甘んじてと言うか、しっかり受け止めますけれども、是非その辺は我々の、あるいは総理の思いというものを国会を通じてご説明をして国民の皆さんに、党利党略ではなくて国民の皆さんにご理解をいただきたいというふうに思っております。

問)

国債の発行の件でお考えをお伺いしたいんですけれども、今回の発行額、それなりの規模になっていると思うんですけれども、一方でその受け皿、需給の関係であるとか利率面で不利になるようなことはないとか、利回り面で不利にならないかとか、そういったことも考えられるんですけれども、需給面も含めてお考えをお聞かせ願えますか。

答)

これだけの33兆円ですか、過去4番目とも言われている国債を発行せざるを得ない、これは大手を振ってやむを得ないと言うつもりはございません。止むを得ずこれだけのものを、切り詰めて切り詰めての上での国債発行でございます。ただ幸いなことに10年物国債なんかを見ますとかなり金利も下がっているということなので、ここはうまくマーケットに影響を与えることなく、かといってこっちもコストもかかるお金でございますから、出来るだけバランスの取れた発行額、そして発行条件にしていきたいと。その辺はプロというか、民間のプロ、あるいは我々の方のプロがその辺をよく見ながら発行していくというふうに思っています。

問)

「中期プログラム」についてお伺いしたいんですけれども、諮問会議で認められた政府原案から2010年にもというところ、あらかじめ法律を作っておくというところが落ちたわけですけれども、結局2011年からやるとすれば、2010年には法律を作らなければいけないと思うんですが、何故最終的に無くなったというふうに理解されているのかという点と、もう1つ、先程質問があった税率の件ですけれども、これも結局その段階で早く法律を作るとすれば早急に議論する必要があると思うんですが、社会保障国民会議も1つの成果を出したということで、今後どういった形で将来の消費税の引上げの税率を議論していくというふうにお考えなのかお伺いします。

答)

2011年から経済状況を見ながら抜本的な税制改正をやって安定的な財源を得て社会保障を充実させていきますということが書いてあるわけであります。これについての作業というのは、これは法的担保が当然必要です。

(以上)

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