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中川財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年1月23日(金)10時49分~11時10分 場所:財務省会見室)

【質疑応答】

問)

昨日、自民党の財金部会と政審で了承されました税制改正法案の附則についてです。その中で消費税を含む税制抜本改革について、2011年度までの法整備ということですが、実施時期についてはやや幅を持たせた表現ということで後退という見方も出ているところですが、この結果の受け止めをお伺いしたいのが1つ。それから、党内手続が順調に進みますと国会提出ということでありますが、消費税問題については野党との間でも厳しい論戦になることも予想されると思いますが、どのように審議に臨まれたいかという点についてお伺いいたします。

答)

2つ一緒の答えになるかもしれませんけれども、そもそも中福祉・中負担という原則については多分国民的コンセンサスがあるんだろうというふうに思っております。この福祉については、安定的に制度を維持していくためにはどうしても財源が足りない。そうすると税制の抜本改正、これは消費税だけではなくて法人税あるいは所得税等々についても、抜本的にほかの税制も見直しをしていかなければならないと、場合によって値上げもあり得ると、やらざるを得ない。さっき言ったように、中福祉・中負担を維持していくためにはそういうこともやらざるを得ない。ここまでは与党の方も、また国民の皆様方も頭では理解をしていただいていると思います。それをやるためには準備が必要ですねということも、これは準備というのは、より具体的な個別の税制についての議論というものをやっておかなければならないと。そして議論をやるということと、それから実際にいつから上げるということについては、これは2011年度までに準備をすると同時に2011年度からもう財政的には来年と再来年、2009年度と2010年度については色々な特別会計等々からの繰入れということでやらざるを得ませんけれども、特別会計の方も本来の目的上の財源として、もうこれ以上のことは出来ませんから、だからやはり税というもので安定的にやっていかざるを得ませんと、その作業をさせていただきますと。じゃあ実際に税を上げるか上げないかについては、これはやはり経済的な状況、経済状況の回復というものを見極め、そしてまたこれを2010年代半ばまでやっていくという、段階的にやっていくという場合であっても、経済状況、あるいはまた国際的な経済状況を見据えていくということが前提になっていくわけであります。今逆算した言い方をしましたけれども、ですから作業としては2011年度までにその準備のための議論、そしてまた法案化をしていくと。そして2011年度には消費税を含めた税制の抜本改正をやって、長期的な社会保障制度を確立していきますが、ここで経済状況等々の好転がなければ出来ないということについて、総理は一貫して主張され、党の方でもう一度議論がここ数日あったわけでございますけれども、最終的にはそういう状況の中で「中期プログラム」に基づいた所得税法の附則という形で大変なご議論がございましたし、それぞれ皆さん大変ご努力いただきましたけれども、そういう形で政調レベルでは、税調というのは政調の下部機関でございますから、政調あるいはまた具体的には税法の担当である財金部会でそういう形で取りまとめが行われたというふうに思っております。今後国会で大いに議論がこれは出てくることをある意味では期待を、当然出てくると思っておりますけれども、是非そういった中福祉・中負担の社会保障の安定的な制度の維持という観点から大いにこれは議論をしていき、福祉は中負担以上そして負担は考えないというような無責任な議論に対しては、我々としてはきちっと国民にご説明をしてご理解をいただき、条件が整えばそういうふうにさせていただきたいということで党の方もまとめていただきましたし、これは総理も今までも一貫して主張されていたことを改めて確認をしていただいたというふうに理解しております。

問)

金融機能強化法に基づく公的資金の申請についてですが、過日南日本銀行が検討の意向を明らかにされたということでこの件の評価と、それから株安ですとか地域経済の状況というのは、業界ある程度共通したものがあるということで、可能性としては今後も申請が続くこともあり得るのかなと思っておりますが、その辺りの状況のご認識は如何でしょうか。

答)

金融機能強化法につきましては何回も申し上げておりますけれども、金融機関の体力が更に強化されることによって中小企業、地域経済への資金供給という職務を果たしていただきたいというのが法の趣旨であり、それは金融機関自身のご判断、そしてまた公的資金の参加を求める場合の申請ということになっているわけでございます。北洋銀行、それから南日本銀行がこれについて検討をし始めたということを発表されているということは、この趣旨にかなって、特に北海道あるいは鹿児島といった経済状況が非常に厳しいところでこれを活用して円滑な資金供給が出来るということは、私は申請をしていただいてそういうふうになれば非常にありがたいことでありますし、ほかの地域あるいはほかの金融機関でも是非こういうことをやっていただければありがたいというふうに思っております。

問)

三井住友海上火災保険など損害大手3社の経営統合が本日発表される見込みということであります。発表前の報道が前提でということではございますが、この件について評価や期待する点などがございましたらお聞かせいただきたいと思います。

答)

報道しか知りませんし、個別のことについてコメントは控えたいと思いますけれども、一般論として言えば、こういう金融情勢の中で経営判断をされて、良かれということでやるということについては、一般論としては私はいいことであると。やれともやるなとも言う立場にはございませんけれども、正式の発表というものを待って改めて判断をしたいと思っています。

問)

先日オバマ政権が始まったわけですが、以前お伺いしたこともありますけれども、オバマ政権が立ち上がった後、2月に正式な会合が予定されているわけですけれども、その前の段階として大臣がまずアメリカの財務カウンターパートナーもしくは事務レベルでどのように接触を計ろうとなさっているかということと、先程消費税の話が出てきましたけれども、昨日日銀の政策決定会合の中で当面少なくとも2年間はちょっと厳しい状況が続くんじゃないかと受け取れるご発言があったわけですけれども、消費税を考えていかなくちゃいけないうえで大前提となっている経済状況、かなり厳しい状況にあるようですけれども、改めてその所感、現状認識を教えてください。

答)

オバマ政権が本当にアメリカだけではなくて世界の期待を担ってスタートしたわけでありますが、他方スタートの日に、就任した日の株価としては史上最大の下げ幅を記録したという、これはアメリカの金融機関、自動車産業、あるいは住宅、消費、雇用等々が非常に悪いというデータが次々に出ていったと。昨日は多少戻しているようでございますけれども、やはりアメリカとしては経済を良くするために本当にオバマさんに、ちょっと言い方が良くないかもしれませんけれども、藁をもすがる気持ちで経済を良くしてもらいたいということがあるんだろうというふうに思っております。日本は昨日日銀がああいう決定をされ、そして経済見通しを実質マイナス2%というふうに判断されたということは承知しておりますが、我々としてはとにかく日本の経済を日本の力で出来るだけ上向きにしていきたい。この第2次補正あるいは本予算、場合によってはその後に何か起これば緊急に対応していくということもやっていきたいと思っております。特にここのところ、前からそうなんですけれども、ここのところアメリカの金融機関の大変な経営悪化、あるいはまた自動車産業の3月末に向けた再建策がどうなるのか、あるいはイギリス最大の金融機関が3兆円規模の政府支援を仰がなければいけないとか、ドイツがマイナス2.8%ですか、経済状況が非常に悪いとかといった状況、つまり90年代のように日本だけの問題ではなくて、グローバル化の中でアメリカ、ヨーロッパが非常に悪いということで日本にも影響が出ているわけでありますから、それが為替や株価に影響しているという面が私は大きいというふうに思っておりますので、是非アメリカもヨーロッパもしっかりした対策を取っていただく。もちろん日本もやるべきことはやっていくということにしていかないと、日本のマーケットにも悪い影響を与えるということになりますと、これに対しては我々としても適切な対応を取っていかなければいけないということで日々のマーケットを注意深く緊張感を持って、そして必要があれば迅速な対応を広い意味で取っていかなければいけないというふうに考えています。

消費税との関係におきましては、仮に経済状況が悪ければ、これは消費税を減税ということであればまた話は別でしょうけれども、消費税あるいはまたほかの税制も含めて増税をするということは、これは景気に与える影響がプラスにならないと思いますので、仮にそうなった場合にはさっき申し上げたように税制改正は経済の好転が前提だということではっきりしておりますので、その時にはまた別の方法、別の選択というものにしていかなければいけないというふうに思っています。

問)

消費税の話なんですが、2011年度までに準備をするということで、その準備のための法案には、経済状況が回復すれば消費税を含めた税制抜本改革ということになると思うんですけれども、大臣の中では経済状況の回復とはどういった状況を指すのか、何か定義のようなものを考えておられるのか。

答)

これは非常にある意味じゃ難しい。90年代、2000年代、色々と景気が良くなったということで、例えば財政を健全化するため、あるいは消費税を上げる、いずれもうまくいっていなかったですね、結果的に。だからこれは非常に難しいと思っております。総理は全治3年と言っておりますので、これは経済状況というのは色々な見方があって、専門家の方々に言わせると潜在成長率を上回るものが持続的に続くとか、あるいはGDPが何%伸びるとか色々あると思いますけれども、この判断というのは今、私の段階で定義付けをきちっと出来るということは出来ませんけれども、とにかくそこでの判断ということとして経済状況の好転というものが、非常に抽象的であることは私も認めますけれども、経済状況が好転しなければ少なくともやらないと。好転した時に、じゃあどういう場合に好転したのかということについては、これは多分その段階での専門家の皆さん、あるいは最終的には総理を含めた政治判断というものがその状況を認定するんだろうというふうに考えています。

問)

その準備のための法案ではそこまで細かくは定義しないということなんですか。

答)

準備のための法案というのは、例えば10年展望とか「中期プログラム」とかで色々試算が出ておりますので、その試算に基づいた前提の作業というのは多分進めていくんだろうというふうに思っております。

問)

経済の話と離れるんですが、オバマ大統領と麻生総理の人物像について似ている点、似ていない点についてご感想を伺えればと思うんですが。

答)

麻生総理は嫌という程知っていますけれども、オバマさんについては正直言ってあまりよく分からない、お会いしたことがございません。ただ、就任の時の演説なんかで非常に感動的だったのは、やっぱり自分の祖先が60年前にはレストランにすら入れなかったのに、今はアメリカで最も権威のある場所に今自分はこうやって立っているというようなこと、あるいはまたリンカーン、あるいはケネディといったアメリカにとっての歴史上の大半のアメリカ人が尊敬している人を自分もそういう形でやっていきたいんだということ、ある意味では非常に柔軟であり大胆である。全く細かい話かもしれませんけれども、あの演説をプロンプターがあるのかどうか私は分かりませんけれども、本当に右左を常に見ながら自分の言葉でお話をされているということについては、本当に人に言葉あるいは中身、心を伝える政治家としての素晴らしい才能を持った、私よりも若いリーダーとして、やっぱりリーダーとしての1つの大事な要件である人を引っ張っていくという能力が非常に長けた人だなと。それから選挙の時のオバマチーム、あるいは今度の政権としてのオバマチームというものも非常に柔軟かつ有能、適材適所な人を選んだということで、ご本人だけじゃなくて非常にスタッフも立派な人がいっぱいいらっしゃるのかなというふうに思っておりまして、こういう非常に厳しい状況、百年に一度じゃなくてアメリカ建国以来の非常に厳しい状況だと大統領もおっしゃっておられるわけでありますから、だからこそ独立の時、あるいはまた南北戦争の時、あるいは大恐慌の時と同じような厳しい未曽有の、未体験ゾーンの中に入っていくという中でのオバマチームというものの体制というものとしては、多分非常に強力なチームとして、まあ厳しいですから、すぐに成果が出るかどうかは別にして、あまりアメリカのことは詳しくありませんけれども、素晴らしいチームとしてスタートしたのかなというふうに思っています。

麻生さんとの比較というと、2人とも自分の言葉でしゃべるということ。自分の信念を曲げないで自分の言葉でしゃべるということと、両方とも年は若干違いますけれどもスタイルがいいということじゃないですか。

(以上)

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