与謝野財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年7月24日(金)10時36分~10時50分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

ただいま閣議、閣僚懇が終了いたしました。案件は予定通りのものです。以上です。

【質疑応答】

問)

先日アリコジャパンの問題について、個人情報流出が明らかになりました。流出しただけではなくて、少なくとも1,000件に上る不正使用が既に明らかになっているんですけれども、原因も含めてこの事態をどう受け止めておられるかということと、政府として今後どのように対応されていかれるかをお聞かせください。

答)

いわゆる電子化された情報というのは、インターネットでも簡単に送れますし、またCD-ROM1枚で何十万人の名簿というものがすぐ流出してしまう。この名簿というのは単なる名簿ではなくて、それぞれ意味のある名簿であり、所有者以外が利用しても経済価値が発生するものです。こういう電子情報を盗む、あるいは大量に頒布してしまうという犯罪類型というのは今までなかったわけですから、こういうものもやはり法務省の法制審議会等で、これは刑法的に見ると単なる窃盗罪かもしれないんですけれども、その窃盗がもたらす社会的な被害というものは非常に大きいもので、どう刑法上対処していくのかということは専門家の間でご検討をいただきたいと思います。また、被害に遭われたアリコの方もやはり情報管理体制が十分であったかどうか、重要な情報を扱っている会社がたくさんあるわけですから、そういうところの情報管理には一段と厳しく対処していただければと思っております。

問)

先日、民主党の新しい政策集が明らかになりました。膨大な中で幾つかピックアップすると、例えば配偶者控除、扶養控除をなくして、その分を別な政策に充てるとか、消費税の財源を年金に充てる等々があって、財源をどうするかというところを考えているようではあるんですけれども、財源捻出の苦心ぶりについて大臣としてはどのようにお考えに、受け止めていらっしゃいますか。

答)

まだ実物に接する機会がないので正確なことを申し上げることは出来るかどうか分かりませんが、それぞれ当然、税制改正の中で配偶者控除を廃止するとか、扶養控除を廃止するというのは理論的にはあり得ても、それが公平な税制であるかどうかということは一歩踏み込んで考えないと、ただそういうものを廃止すればお金が出てくるというだけではなくて、税はやはり人間の営みの実態に応じたものでなければならないし、それから公平なものでなければならないと。そういう観点から自民党の中でも随分こういう問題を議論してきたわけですけれども、やっぱり扶養していることについては費用がかかるわけですし、配偶者は家にいて家事をやっておられると言っても、これもある種の労働を無償で提供しているという、そういう側面もあるわけですから、それを一律廃止してしまうというのは税の公平性という点から本当にそうなんだろうかと。むしろ不公平という声が出てくるんじゃないかと、そういうふうに思っております。

それから、子ども手当というのは気前のいい話なんですが、これについてはやっぱり本当にそういうことをするのであれば、5年、10年、20年と続く安定財源を確保するというところから議論していただきたいと思っております。

問)

昨日、財務省から貿易統計が明らかになりまして、輸出の数字がおよそ20カ月ぶりに好転しているんですけれども、これを経済全体の好転の兆しと受け止める向きもあるんですけれども、大臣自身は先日の結果をどのように受け止めていらっしゃいますか。

答)

結局、日本の経済は輸出依存だと言われているんですけれども、依存度というのは実際は15%前後、これは近くの国である韓国の依存度、あるいはヨーロッパの例えばドイツの輸出依存度、こういうのと比べると3分の1とかそのぐらいの水準で、日本の経済が決して輸出依存度が高いというわけではない。ただ、輸出をしなければ日本が必要なものは買えないという、こういう構造になっているわけですから、今後も輸出を一生懸命やっていくということで、昨年から今年にかけた不況の最大にして多分唯一の原因は輸出の不振なので、5割近くまで落ちた輸出が少しずつ戻り始めているというのは大変ありがたいことであるし、また景気回復にとってはうれしいニュースの1つであると思っています。

問)

選挙戦の序盤戦がスタートしているわけですけれども、大臣自身もご地元を回られていると拝察しているんですが、世論の風、声、風向きについてどう受け止めておられるかをお聞かせください。

答)

一昨日から回り始めたばかりなので、全体の雰囲気はまだつかめておりませんし、東京のことしか分かりませんけれども、東京の自民党の候補者となる方々はそれぞれ自分の支持者を中心に、とにかく必死になって政策を訴え、政治姿勢を訴えていきます。それ以外の方法はないわけですから、元気を出して愚直にやっていくということに尽きるのではないかと、私はそう思いながらこれからやろうと思っています。

問)

先程の民主党の政策集に関連してなんですけれども、民主党の方が国家戦略局ですとか、あと政府と党の税調を一本化するですとか、予算編成と税制改正のプロセスだとか組織を大幅に見直すということを打ち出していますけれども、その点大臣として、また自民税調におられたご経験を踏まえてご所見をお伺いしたいんですが。

答)

こういうことになっているのは組織が悪いという、そういう制度論に物事を帰するというのは私は取らない手法です。一番大事なのは物の考え方であって、どういう物の考え方で物事をやっていくかということが大事なので、どこかに組織を作るとかシステムを新しく構築するとかということが、いい結果につながるということを100%保証したものではないと思っています。

問)

選挙戦が概算要求などの時期に重なるということで、一部の要求官庁からは自民・民主が違う主張を戦わせている中で政策の方向性が固まりにくいというような声も一部聞かれるようですけれども、そういった点で政策面で選挙戦がマイナスに作用することがないのかどうかということについて、改めてになりますけれどもお聞かせ下さい。

答)

各省庁は、政治の動向に関係なく、与えられたシーリングの範囲内で自分達の信念と自覚に基づいて概算要求を今弾きつつあります。8月末に来る各省の概算要求は、それぞれ各省の信念と理念に基づいているものであって、政治に左右されるようなものが出てくるはずもないと思っております。

問)

少し前の話なんですが、両院議員懇談会で麻生総理の話を聞いて、どのようなご感想を持ったかお聞かせください。

答)

麻生さんは心情を吐露されていましたし、短い言葉でしたけれども、自分の言葉や行動が政治に対する信頼を棄損したということを率直に認め、それについての反省とお詫びを申されておりましたので、これは政治家にとってはなかなかつらいことなんですが、思い切ってあそこまで率直に語られたというのは見上げたものだと思っております。

問)

先程のアリコジャパンの情報流出の問題で、流出している件数が多くて、実際に不正利用されている件数も既に出ているということで、顧客保護のために金融庁なり監督当局として万全の措置をとらなきゃいけないと思うんですが、金融庁、行政当局として今後どのように対応していくのか、教えていただけるところがあったらお願いします。

答)

これはまだ相談しておりませんので、相談が整い次第ご報告申し上げます。

問)

山口県を中心とする豪雨の関連なんですが、林防災担当大臣が現地に視察に赴いた際に、一部財政的な支援についても検討する旨を話したということなんですが、現段階で財務省として中国地方各県に対する財政等々の支援についてどうお考えですか。

答)

やっぱり今一番大事なのは二次被害を発生させないことと、それから行方不明等になっておられる方の捜索、そういうことが当面の大事な課題であると思っております。災害復旧についての予算については、それは予備費もありますし、補正予算もありますし、総務省あるいは国土交通省等とご相談しながら、そのことについてはご心配をおかけするつもりは全くありません。

(以上)

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