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与謝野財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年9月11日(金)10時19分~10時37分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

閣議は案件通りでございました。特段ご報告することはございません。

【質疑応答】

問)

最初に民主党と社民党と国民新党による連立政権の合意文書ですけれども、この中で子ども手当の創設などが新たに盛り込まれる一方で、消費税率については5%に据え置くということになっています。国の財政状況は悪化しているわけですけれども、その中で今回の合意文書の内容というのをどのように受け止めているかお聞かせいただけますか。

答)

政権を樹立されて責任ある立場になられると、やはり別の色々な角度から財政を見ざるを得ないという立場に新政権もなると私は思います。その時にはぜひ良識を発揮していただいて、使うことだけに政策を集中させるのではなく、使うためにどうやってその財源を、すなわち誰にご負担をいただくのかという極めて率直なところもお答えを出していただかないと、日本国内の財政に対する信用も失われますし、諸外国からの日本の財政規律に対する信頼感というものも少しずつ落ちてくると。これは新政権の大きな課題であろうと思っております。

問)

自民党の総裁選についてお聞きしたいと思います。18日の告示まであと1週間になっているわけですが、名乗りを挙げる議員がいない状態が続いています。派閥が前面に出にくくなっているとか、世代間に対立があるんじゃないかとか、そもそも人材が払底しているんじゃないかという見方が出ているわけですが、大臣は党内の現状についてどのようにご覧になっていますでしょうか。

答)

昨日も当選3~4回の方が来られたので申し上げておきましたけれども、諸外国で政権政党が小選挙区選挙によって政権を失った場合にどういうことをしたかと。共通点を取り出すとやはり党首を思い切って若返らせる、これが共通点でありました。それでじっくり信頼回復のために努力をすると、そこが大事なので、いわゆる旧態依然たる党内力学だけで総裁を選ぶとまた失敗する可能性があるということで、30代、40代、50代の若い方が主導的に自民党を生き返らせるのは自分達だという気概を持ってやっていただきたいと思っております。

問)

政権移行に伴う21年度の補正予算の執行状況の調査についてお聞きします。一部で追加対策で打った15.4兆円のうち8.3兆円ぐらいが各省庁による交付決定がまだされていない状況にあるという報道が出ているわけですが、大臣が認識されている事実関係というのをお聞きしたいんですけれども。

答)

これは色々な段階があって、どういう観点から執行したと認識するのかという問題もあって、にわかにきれいな数字を申し上げられる状況ではないと。いずれにしても執行状況というのは国会から、あるいは内閣からお問い合わせがあれば財務省としてはきちんとお答えしなければならないことですが、現在は一部報じられているような数字がきっちり出てきているわけではございません。

問)

間もなくリーマンショックと呼ばれる金融危機から1年がたつんですが、その中でこの1年間、大臣は経済財政等全てを担ってこられたと思いますが、麻生内閣が作った対策について大臣として振り返ってみてどう評価されているかということ、大臣は歴史の評価に耐えるものでなければいけないということをおっしゃっていましたが改めていかかでしょうか。

答)

1つは、政府が日銀と協力しながら信用収縮を止めることができたと。これは信用収縮による経済の底抜けを防ぐことができた。今はCP市場も社債市場も本来の機能を回復しておりますし、企業の資金調達も1年たちますとはるかに改善されております。特に去年の暮れは、噂だけですけれども名前を聞けばすぐ分かるような会社が資金繰りの悪化に遭遇しているというような噂もあって大変心配をいたしましたが、日銀も日本の金融機関も政府系金融機関も、また政府の姿勢もそれぞれそういうものによく対応できたと思っております。世界的にも金融の状況は少しずつ改善されてきておりますので、そういう点ではこの1年間、政府・日銀あるいは日本の民間金融機関はよく努力したものと自己評価をしております。また、急激な輸出減によって有効需要が減少したということに関しては、累次の補正予算あるいは21年度の当初予算において全部を埋めることはできませんでしたけれども、多分大ざっぱに言うと半分ぐらいの有効需要の減は埋めることができたのではないかと思っております。確かにあれだけの世界的な金融収縮、あるいは経済危機、一時期はどうなるかという思いでやっておりましたけれども、無傷では決してありませんでしたけれども、一定のところでその傷を抑えることができたというのは、経済財政政策としては失敗ではなかったし、成功の方にいずれ分類していただけるのではないかなと思っております。

問)

補正予算の件なんですが、民主党は補正予算の執行停止を考えているんですが、その補正予算をまとめ上げた大臣として、次に決めるのは新大臣だと思うんですが、この補正予算を執行停止するに当たってどういう配慮を求めるか、そういうのがあれば教えていただけますか。

答)

予算というのは憲法に従い作られたものでございますし、また予算自体は国会の承認もいただいている。財政法、地方財政法等々の法令によっても縛られていると、そういう中で他の方々の正当な期待権を侵害しないでどこまで執行停止ができるかと、そういう問題も、法律論としても政治論としてもあるわけでございます。これは新政権がご判断になられたらいいことだと思っておりますが、補正予算の内容は我々としては最善のものを作って国会のご承認をいただいたと今でも自負をしておりますが、それについて足らざるところがあれば、それは新政権のもとでお考えになれば、それはそれでよろしいのではないかと思っております。

問)

この1年の金融危機を振り返って、財務大臣と金融担当大臣を麻生さんの考えもあって兼務をしてきたと思うんですが、やはりそれは振り返るとよかったと考えるのか、これから国際金融規制の議論がある中でもやっぱりこの兼務の流れは続けていった方がいいと考えるのか、新政権では再びまた元の分ける姿に戻すのではないかとも言われていますが。

答)

金融担当大臣というのは、普段は役があったり責任があったりしたら困るわけです。金融庁には金融庁長官という方がおられて、日常の行政判断というのは金融庁長官がやれば済むことであります。金融担当大臣が活動したり活躍しなければならないのは、危機が来たり何かした時だけでございまして、そういう意味では金融担当大臣が実際にお金を持っている財務大臣の近くにいるというのは、そういう金融危機の時には有効に働くと思っております。ただ、金融行政の独立という側面から疑問を呈される方がおられますが、実は金融庁というのは理論的には金融庁長官がトップであって、金融担当大臣は、1つは国会とのインターフェイス、1つは危機に際して内閣を含めた省庁横断的な政治的な判断を求められる時だけに働きをなすということで、兼務を否定するという根拠はどこにもないと思っております。

問)

今日GDPの改定値が発表になりまして下方修正となりました。理由としては在庫調整が大幅に進んだということで、日本経済にとってみれば必ずしも悪いことではないかとは思いますが、数字としては下方修正となったと。この下方修正ということと現状の日本経済についてどう大臣分析されていますでしょうか。

答)

若干ですけれども下方修正をいたしました。在庫調整のところでマイナス寄与度が大きくなったこともありますが、やはり全体としてまだ経済が本格的になっていないということはあの数字を見ればよく分かることで、これから景気が来年に向けて本格的にプラス成長軌道に乗っていくために、新しい政権も日本経済の行方については十分かつ万全の注意を払ってやっていただければなと思っております。

問)

宮崎県の東国原知事が補正予算が執行停止となった場合に訴訟を検討すると発言していて、もし補正予算の執行停止となった場合に、その訴訟リスクをどういうふうに大臣は考えるのか、あと国の勝算をどういうふうに考えるのか教えていただけますか。

答)

先程も申し上げましたように、地方の首長あるいは地方議会、こういう方々が地方の財政を預かる大事な場所におられる方々ですけれども、やはり国会で予算が承認されたと。執行され始めたか、まだ未執行かということには関係なく、地方には正当な期待権というものが発生するわけでして、国会で承認されたことを前提に地方独自の予算編成をしたり補正予算を作ったり条例を改正した、あるいは国会で予算が承認されたことを前提に関係諸団体と調整を始めた、こういうことを恐らく法律論としても政治論としてもなかなか期待権を侵害するということはできないのだろうと思っております。それは法廷に持ち出すまでもなく、極めて常識的な判断としてそういうものがあるのだろうと私は思っております。

(以上)

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