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与謝野財務大臣兼金融担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成21年9月15日(火)10時18分~10時38分 場所:財務省会見室)

【冒頭発言】

閣議は予定通りの案件で短時間で淡々と済みました。特にご報告することはございません。

【質疑応答】

問)

いよいよ明日、首班指名と組閣がありまして政権が交代するわけですけれども、大臣におかれましては今年2月から3閣僚兼務という形でこの金融危機、経済危機の大変厳しい状況の中で麻生内閣を支えてこられてきたわけですけれども、改めまして在任期間を振り返って特に印象に残ったこと、もしくはやり残したと思われること、次の大臣、藤井さんの名前が挙がっていますけれども、是非取り組んでいただきたいことがございましたらお聞かせください。

答)

去年から経済財政政策担当をやっておりましたので、2月の中川昭一財務大臣の後を次いだからといって別に仕事の内容がそこで変わったわけではありません。日本の経済と財政を本当心配しながらやってきた1年だったと思っております。先日も申し上げましたけれども、一応日本の経済の底抜けは防いだと同時に各国からも日本の金融政策あるいは財政出動は一定の評価をいただいているものと確信をしております。しかしながら昨年の暮れから非常に悩んでおりましたのは、やはり日本の財政の将来については思いが残るというのが正直なところでございまして、次の財務大臣がどなたになるかは分かりませんけれども、恐らく財務大臣になられた方は国の財政の将来というものを非常に心配される立場になられると思います。そういう意味では我々中期プログラムを閣議決定し、法制化して財政再建目標、これは骨太2006に比べると随分緩いものでございますけれども、一応財政再建目標を作ってあります。新政権におかれましても、それをそのまま踏襲するかどうかは別にいたしましても、やはり財政再建目標の重要性というものはいささかも変わらないということで、次の財務大臣には歳出改革に取り組まれるとともに、日本の財政を破綻させないような目標を設定する、歳出歳入を一体的に改革するということをしていただければと強く期待をしているところでございます。

問)

続きまして本日をもってリーマンショックと言われましたリーマン・ブラザーズの破綻から丸1年経つわけですけれども、改めまして金融危機が世界経済にどのような教訓を残したのか、まだ途中ですけれども、それとともに今後の世界経済の見通しについて今現在の大臣のご所見を伺わせてください。

答)

結局、金融機関の、一つはリスク管理の問題を考えなければいけないと思っております。これは二通りありまして、一つは本体の持っているリスク、それから簿外債務となり得るリスク、こういうものは一定の透明性を持ってやりませんとリーマンのようなことが起きますし、今しきりに議論されていますけれども、リスクを取った方が報酬が増えるというあの方式ですときりなくリスクを取ってしまうという、そういうもの全体を金融規制の中できちっとやらなければならないと思っていますけれども、1年経つと世界の金融界の一部の人は「もういいじゃないか、治ったから」、そうは思ってないのですけれども、この間各国政府が投入した救済の資金、つなぎの資金、アメリカ、ヨーロッパ、トータルするとGDPのおよそ5~6%に及んでいるのではないかという説もありまして、金融界は際限なく守られるということを期待して金融証券業務をやっていただいては困る、そのように思っております。この間、日本経済にとって幸いだったことは日本の銀行があまりデリバティブ等に突っ込んでいなかった、全損で2兆いかないぐらいのところで、割に控えめにやっていた、しかもリスクを取ったのは非常に分散された形で取っていたという、そういう意味では日本経済はその部分は幸いだったと思いますけれども、バブルの教訓というのは20年ぐらいするとすぐ忘れる傾向にある。今月か来月、慶応大学出版会から日本のバブルの歴史の本が5冊か6冊出ます。是非そういうものも目を通していただくと、後の世代にこういう金融危機やバブルの教訓というものを残しておかないと、17世紀、18世紀から始まったバブルの繰り返しというのは、人間というのはどうも懲りない性分で、いけないと思いながらやってしまうという、その部分だけは日本ではなかったと、これは幸いであったのではないかなと思っています。

問)

JALの再建に絡みまして、米国の航空会社との提携の話が今あるという中で、JALの再建計画については国交省とともに財務省としても支援していくという姿勢を示されてきたわけですが、このアライアンスの話を含めまして大臣として今後のJALの再建はどうあるべきかについてご所見をお伺いします。

答)

航空会社の経営というのは特にこの1年間、やはり経済危機あるいは原油等の高騰、色々な影響があって、多分世界中の航空会社は全部経営が苦しくなっていると思います。中でも日本航空は高コスト構造になっている、不採算路線をたくさん持っている、機材が古いとか問題はたくさんあって、そういうものは直していかなきゃいけない。日本航空というのは、今フラッグキャリアという言葉はなくなりましたけれども、日本で戦後割合早く出来た最古の航空会社、最初に国際路線を運営した会社ですから、私としては生き残ってほしいと。外国の航空会社との提携というものも、それで経営が改善されるのであれば一つの望ましい選択肢だと思っておりますし、また政投銀なんかも相当JALにコミットしておりますから、日本政府としてはこれからもJALの行方は大きな関心事であると思っております。

問)

交渉の中身については何かご報告は受けていらっしゃいますでしょうか。

答)

一切聞いておりません。

問)

リーマン・ブラザーズから1年ということなんですが、来週には金融サミットがピッツバーグで開かれると思うんです。そこには新しい大臣が出るわけですが、どのような引き継ぎをされて交渉に臨んでいただければいいかと、そのあたり引き継ぎをスムーズに、国際交渉ですから、されるのか教えてください。

答)

今、世界中で言われている金融に対する規制等々は、日本としては全部受け入れることの出来るものであると思います。ただ資本規制のところ、量、質、これは日本の金融機関の実情とかけ離れたものになっては困るので、それは交渉事でありますし、今回も一定の歯止めをかけた表現になっておりますから、そう心配は私はしておりませんけれども、日本の金融機関の経営実態に即した自己資本比率等々が決められることは大変大事なことだと思っております。その他の情報開示とか報酬の制限とか、諸々のことは多分日本において比較的スムーズに消化できるものばかりでございますから、大きな障害が目前にあるというわけではないと思っています。

問)

民主党が政権をとったら事務次官会議をやめたり、副大臣とか政務官を どんどん増やしたりという、政と官の関係を変えるというふうに言っているんですが、大臣がやられてきて政と官の関係について何か思っていることがありましたら教えてください。

答)

民主党は民主党としてそれが望ましいということであるので、そういうものをやられたら私はいいと思っております。ただ、そういうことをやられる以上、それは政治が責任を持って物事の方向性とか内容とかを提示しなければならないという責任は発生しますし、その結果どういうことが起きても政治が責任を取ると、そういうことでないと間尺に合わない話になります。日本の官僚組織は政権が変わっても官の道として粛々淡々と自分の責任範囲をこなしていくと思いますから、そこは何の心配も私はしておりません。ただ、船頭多くして船山に上るというふうなことは賢明な民主党の皆様方はされないと思いますので、これも杞憂に終わることを望んでおります。

問)

円高が進んでいるんですが、景気に与える影響はどのように見られていますか。

答)

円高になれば輸出産業を中心として売り上げ等には大きな影響があります。円高が進めば総合的な国際競争力は落ちてくるということで輸出環境自体が悪化するという問題があります。ですから、円がどのぐらいが適正かということは分かりませんけれども、急激な為替変動は好ましくないということだけは言えるのではないかと思います。

問)

ちょっと変わった質問というか、不愉快かもしれませんが、千代田区で選挙違反事件があって、会社の社長さんが住民票を移動させて特定の政党に投票させたという事件が今警視庁で捜査されていますが、当該会社の社長さんとかそういう方とご面識とか、後援会の関係でおつき合い等はございましたか。

答)

あの会社の先代の社長とは千代田区の経済会の会合なんかでよく存じあげておりましたけれども、今の社長は存じあげません。

問)

では、特にそういう投票の依頼とか、投票関係とかでおつき合いがあったということはございませんか。

答)

神田というのは狭いところですから、報道によれば1991年から始まっている話で、そういうことに関する知識もなければ、むしろ、えっという、こちらの方で驚いたぐらいのことでございます。

(以上)

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