亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(雑誌・フリー等の記者)

(平成22年5月14日(金)9時03分~9時50分 場所:金融庁大臣室)

【大臣より発言】

今日の閣議等では、別に、皆さん方にご報告するようなことはありません。

下(記者クラブの会見)ではちょっと聞かれたから言ったのですけれども、今、決算が出ている中で、銀行も相当業績回復してきていますけれども、まだ税金を払っていないところが相当ですね。そういう意味では、ちゃんと税金も払えるような、そうした業績回復、それから社会的責任をきちんと果たしていくと。

かつてのバブル時代、ああいう無責任なことをやって一時的に荒稼ぎして、結果として大損して、その後税金も払えない、そんな状況もありましたけれども、私は、金融界はうんと反省をしながら、今度(の決算結果)が良かったからといって驕ることなく努力してもらいたいと。

今度の郵政改革についての反応、モラトリアム法案についての反応なんかを見て、短絡的な、エゴイスティックな対応が強過ぎますね、日本の金融界は。もうちょっと、そういう意味で、中長期的な視野に立って社会的責任を果たしながら、国民生活、日本経済全体が良くなっていかなければ自分たちの未来もないという、やはり、そういう視点を見据えながらいろいろと努力をするということをやらないと、エゴイスティックなことばかりやっていたら過去の二の舞になりますよ。

新生銀行、昨日、(事務方から説明を)聞いて、私は事務方を怒鳴りつけたのですけれどもね。外資が30%持っているからといって、政府だって25%持っているのですよね。ほぼ似ているのに、外資から派遣というか、外資が出資で持っている経営陣というのはべらぼうな報酬を取っているでしょう。2期連続、大変な赤字を出しているにもかかわらず。今期だけという話ではありません、前期も。全然修正していないですね。1億5,000万(円)とか、そういう報酬をズラーッと取っているわけですよ。社長は違って、自分だけがそういう努力をしているのですけれども、自分だけがやったって、(それで)良いという話ではないですよね。(外資が)30%持っているからといって遠慮する(ようでは)。政府だって25%持っているのですから、国民に対して遠慮してはいけません。そういう視点を欠いた経営をやっては駄目ですね。そういう意味で、昨日、きつく「今後、金融庁として適切な監督・指導をやりなさい」と強く言っておきました。

【質疑応答】

問)

保険銀行日報の片岡です。

保険監督行政についてですが、今の時点で大臣が考えていることがあればお話しいただきたいと思うのですけれども。

答)

やはりこれは、今、マスコミでもいろいろ晒されて問題になっておりますけれども、保険業務というのは、ただ単なる自分たちの利益追求ではありますけれども、ある意味では、社会保障の一端を担っているのですよ、保険業務というのは。そういう観点からも、私は、ちゃんとした営業姿勢を徹底してもらいたいと思いますね。契約者から見ると、最初はこんなはすではなかった、ということが、実際の支払いのときになって起きてくると。また、請求しなければ、支払事由にあたるにもかかわらず、それを知らん顔してほおかぶりしているというようなあれは恥ずかしい話なのです、これは考えてみると。それは、保険会社のほうから分かる話であって。そういうことを含めて、いわゆる誠実な国民に対して対応していくということをしなければ、私は、保険業界だって将来・未来がなくなると思いますよ。国民から相手にされるものでないと保険を掛ける気がなくなってしまうのですから。そういう意味では、私は、基本を踏まえてやってもらいたいと思います。

ただ単に、かんぽ(生命保険)の限度額が上がったから「けしからん、けしからん」と、そういう、競争相手が条件がちょっとでも緩和されたということだけで大騒ぎするのではなくて、やはり、自分たちが国民の信頼をきちんと得て、それで営業活動をきちんと上向きにさせていくのだと、契約者を増やすのだという努力をしないで、「競争相手の条件が良くなるのだったら困る」みたいな大合唱ばかりしていたら駄目ですね。

問)

フリーランスの上出と申します。

最初に(記者クラブの会見で)言われたのであれなのですが、今日、聞いていて、久しぶりに良い質問だなと思ったのですけれども、確かに、エコノミストの評価なんかで、かつての資本注入によって日本経済が生き返ったという話、もちろんそういう分析はありますし、そうした点もあるかもしれませんが、一般の国民から見て、特に、今、皆さん低い賃金で生活苦にあえいでいる中で、銀行の方たちの給与も含めた基本的な、そういう国民の共感を得るような、それが、新政権、連立政権の役割だと思うのですよね。

もうちょっと、きちんとオープンにして、オープンにできるところまで、そういうところまで食い込んで、国民の皆さんが納得できるように、資本注入はこういうふうになっているのだ、という辺りと、今、言ったような、国民がやはり納得いかないそういう高い給料、もうちょっと、きちんと厳しく徹底的にやっていただきたいと思うのですが。

答)

一般の中小企業は、経営がおかしくなっても国が税金を使って助けてくれるわけではないでしょう。ところが、そうした金融機関が経営難に陥った場合は税金で救済されるということ自体に、国民の皆さん方も「何で」という気があるわけですから、それだけに、資本注入した以上は、そこが責任をちゃんと感じながら経営をやっていく(という)ことについて、監督庁として、きちんと監督・指導していくということをもっともっとやるべきだと思いますね。

問)

大臣、頑張ってください、本当に。

答)

それは、昨日、びっくりしましたよ。社長は違うけれど、外資の(派遣で来ている人)は1億(円)以上です、全部ね。そういうことがなされていくということは、逆に言うと、日本人の経営者がちゃんとして…。ここは日本なのですから、アメリカではありません。日本において、日本国民にも影響のある銀行業務でしょう。日本国民に影響のある銀行業務をやっているという自覚にもっと立って、日本国民が納得する経営を自分たちがやっていくと。それは、役員報酬だってその一つでしょう。国民から見て「何だ」と言われないような役員報酬体系を作るということも一つ。それをやっていないのです。そういうことが、やはり一つの遠因となって、業績がうまくいっていないということもあると思いますよ。今、おっしゃったようにね。他の銀行なんか見ても、この前合併しなくなりましたけれども、やはり外資の報酬がバーンと抜けているでしょう、日本人の経営者に比べてね。

問)

フリーランスの岩上です。

先だっての会見の際に、外務省が郵政改革について随分圧力をかけて、条約局長までやってきて、非常に、圧力と言ってよろしいのでしょうか、そういうことがあったというお話がありました。

あの後、外務省の記者会見で、岡田外務大臣にこの件を、「と、亀井大臣がおっしゃっていますが」と…。

答)

言っていましたよ、岡田(外務大臣)が。

問)

そうですか。というふうに申し上げたところ、「いや、そうではなくて」と、「条約局長は確かに行ったけれども、これは加盟しているWTO(世界貿易機関)の規約にひっかかる点があるので、そこを変えただけだ」と…。

答)

だから、あれはおかしいのですよ。提訴もされていないのに「何を言っているのか」ということです。常套手段じゃないですかね、WTOで提訴すると脅すのがね。そんなことは、外務省は分かっているでしょう。国と国でせめぎ合っているのですからね。WTOと言ってみたところで、それに反するのか反しないのかというのは個々のケースによって全部違うわけですから。それをめぐって、国益を代表してそれぞれの政府がせめぎ合っているのが現実でしょう、日本だけではなくて。それを、最初から「WTOで提訴する」と脅していることについて、「外務省が片棒を担ぐとはどういうわけだ」と言っているのですよ、私は。

問)

アメリカだけではなく、EU(欧州連合)からもあったと…。

答)

EUにしても、世界はアメリカとEUが支配しているわけではないのですよ。

問)

岡田(外務)大臣とやりとりしたということですか。

答)

岡田(外務)大臣が何かむにゃむにゃ言っているから、「何だ」と言ったのですよ。本当にけしからんと。いろいろな根回しをザーッとして、異論を唱えるように根回しをされてしまったでしょう。それは、全部、大塚副大臣が、「そうではないのだ、こうだ、こうだ」と言って、各省に対しても異論が出ないように説明して、納得してもらう努力をやったのですよ。だから、それで提出が遅れているのですよ。

そこまで手順を踏んで、各省庁も「分かりました」と言っているのに…。外務省にも確かやった(説明した)のですよ、もちろん。押しかけてきたのですから、条約局長から経済局長が。それに対してもちゃんと、また、第三者委員会まで作ったでしょう。私は、そうやって皆さんが、マスコミが考えるほど乱暴な男ではないのですよ。第三者委員会も作って、そうしたことについて国民の目線でそういうことを、妙な民業圧迫が起きないようにという、それもちゃんとやっているわけなのであって、それをアメリカが一本調子に「民業圧迫だ」と。保険ですよ、がん保険。分かっている話。皆さんは分かっているでしょう。自分たちは「既得権益を守りたい」という一心なのですから。そういうことを、外務省が、局長まで押しかけてきてしまって、条約局長までやってきて、「WTOに提訴されるかもしれない」と脅しの片棒を担ぐなんていうことは、「本当に許せない」と言ったのです。

あの大人しい大塚(副大臣)君まで激怒してしまって、「外務省がここまでひどいとは思わなかった」と言ってね。私は昔から分かっていましたから。「残念ながら、国務省の日本支局だ」と私は前から言っています。本当ですから。私が、かつて運輸大臣のときに、航空交渉なんかをいろいろやりましたけれども、ずっとそうでしょう。

外務省というのは、外国の日本に対する要求を伝えることも大事ですけれども、逆に、日本国の国益を外国に向けて説明していく義務があるのですよ。日本の国益を外国に理解させて、日本の国益を守るという一方の責任が外務省にあるのですよ。それを忘れてしまっているのですよ。「アメリカの国益、外国の国益を損なわないように、そういう立法をしろ」とか(言っていて)、「どこの国の外務省だ」というのですよ。(これは)報道してくれていいですよ。私はいくらでも喧嘩してやりますから。腹に据えかねているのです。それほど郵政民営化が…。可決した衆議院まで解散して、ああやって憲法違反とも言うべきことまでやって郵政民営化をしてしまったというエネルギーが何だったのか、というのがよく分かります。あのときもやったでしょう。アメリカは、「対日年次要求に基づいた」と。その通りだということが今度のことでよく分かりました。「馬脚を現した」といって、前から現しているわけですけれども、そういうことを日本はやってはいけません。協調することはきちんと協調していければ良いと言っているのですよ。

タウンミーティングではないですけれども、この間のときも、「米国債を」なんて…。そういうことも、日本が、アメリカが困っている場合には助けるということはやれば良いと思っていますし、この地球上で日本だけで生きていけるわけではないのですからね。他所の国が困っているときには日本も助けに行くというのが当たり前ですけれども、日本の外務省みたいに…。外国の脅迫ですよ、脅迫に唯々諾々と加担するようなことを…。私も本当に怒っています。いつでもチャンチャンバラバラとやってやりますよ。鈴木宗男(衆議院議員)ではないですけれども(笑)。

問)

通信文化新報の古田です。

「民営化すれば何でもよくなる」と言っていらっしゃる民営化教の熱心な信者だと思うのですけれども、竹中平蔵氏が、文藝春秋に「郵政国営でまた失われた10年が始まる」というふうにぶち上げていますが、おそらく亀井大臣に問うているのだろうと思うのですが、感想はいかがでしょうか。

答)

私は、「化石」と対話する気持ちはありません(笑)。あれだけ頭の良い人ですけれども、竹中さんの頭は「化石」になってしまっているのです。あの小泉時代のままで。時代はどんどん進んでいっているのです。人間の営みは進んでいます。惜しい人ですね、しかし。頭は良い、口も達者ですしね。だけれども、マスコミにとっては便利が良いですから、どんどん使っていくと、またそれで国民が騙されていってしまったら大変なことになるわけですけれども。

問)

東洋経済の浪川です。

大臣のほうから新生銀行のお話をしてくださったので、それに関してなのですが、私も、数回、大臣にこの銀行の問題をずっとお聞きしてきて、もし必要だったらもっと事情をご説明しても良いくらい分かっているつもりですけれども、いっそのこと、国はもっと公的資金を注入して、新生銀行の筆頭株主になってしまったらいかがなのでしょうか。30%以上を持って筆頭株主になるというお考えはないのでしょうか。

答)

私は、何もそんな、これ以上に税金を注ぎ込むということよりも、今で25%、発言権は十分あるのですから。それは、30%に対抗するには足りないかもしれないですけれども、やはり、経営陣がちゃんとやっていけば、やっていけることで。金融庁から取締役を派遣するわけにはいかないのですからね。いくら資本注入を増やしたところで、やはり、新生銀行自体の努力でやってもらわないといけません。しかし、「もっと、うち(金融庁)の立場で指導しろ」ということも強く言っておきました。

問)

ということは、大臣が、今日、特に強調なさったことからすると、前にもおっしゃったように、金融安定化法か何かで公的資金をぶち込まれて再生過程に入った銀行なのですが、大臣の今のお話だと、大臣からすれば、全然再生できていない、というふうに見ておられるということでよろしいのですか。

答)

2期連続あんな状況では、「再生できている」とは言えないでしょう。

問)

リベラルタイムの大沼と申します。

改正貸金業法についてなのですけれども、金融庁の調査によれば、総量規制に抵触する人数が960万人、72%の貸金業者が配偶者貸付を廃止すると。個人事業主貸付については、47.4%の業者が廃止するという結果が出ておりまして、要するに、完全施行後、大規模な影響が出ることも予想されているわけですが、それに対する混乱が生じないようにどのような手を打っておられるか、どの程度実効性のある対策を打っておられるのか、それをお聞きしたいと思います。

答)

これは、非常に、実態を知れば知るほど悩ましい世界ですね。借手の中でも、良質、悪質とは言わないですけれども、やはり、いろいろな借手が混在してしまっていますから。そういう中で一つ、プロジェクトチームでも大塚(副大臣)君が中心になってやってくれたのですけれども、特に、個人事業者の緊急な短期の借入れについては、一般の金融機関にしても政府系金融機関にしても応じてくれないという現実を貸金業が埋めているという実態がありますね。

「高い利息を取って」という批判があるわけですけれども、しかし背に腹はかえられないという中の、そういう実需の部分が、6月の施行以降、スパッと切られていくことについての大変な不安と、また、批判もあるわけですけれども、そこらを、個人事業者についてのグレーゾーンも含めて、できるだけ配慮するような運用上の考え方を、今、表に出していると思いますけれどもね。示していますので、金融庁としても、その辺りはグレーゾーンがあるわけですから…。「グレーゾーン」といっても、お金の貸し借りの話ですから、はっきりしなければいけない面もあるわけですし、そこらを精力的に金融庁としては注視をしながらいきたいと思います。

また、一般の金融機関も、こういう問題に対して、自分たちがそういう部門に対して直接手を下さないでダミーを使って利益を得ていたわけでしょう。メガバンクが子会社を作ったり。そういうところに高利でお金を貸して、利益をずっと吸い上げていたわけですから。そうした本家本元ですよ。そこが、こういう事態に対して、金融機関の本来の姿の中でそういう緊急小口のものに対応していく態勢がとれないのか、とかね。「うちも、そろばん勘定でやっているのですから、金融庁がそんなことを言ってもそう簡単にできません」ということになるかもしれないですけれども。「かつて、自分たちもそういう形で荒稼ぎしていた」とは言わないですけれども、やっているでしょう。

新生銀行だって、大きくやって、あそこでバーンと注ぎ込んでいったでしょう。荒稼ぎしていたのですよ。それが、こんな状況で、ギューッとしまってきていることによって打撃を受けているという面もあるのですけれども、やはり、そこらの法律を施行するという一つの枠の中で、そこらを金融機関がどう応用動作としてやっていくのか、また、政府系金融機関がそういう形に対してどう新たな工夫ができるのか…。(大塚)副大臣、悩ましいところでしょうけれども取り組まなければいけないことであることは間違いないと思いますよ。これは、社会福祉の分野まで広がってくる分野なのですね、個人の場合は。私も、黙って座ればピタリと当たるなんていう、残念ながら、あれはないですけれど、こういう優秀な副大臣がおりますから、彼(大塚副大臣)は、本当に「打出の小槌」だと思いますよ(笑)。皆さん方もいろいろあれして…。

副大臣)

(亀井大臣は)花さかじいさんになってしまいます(笑)。

対策は、今、パブリックコメントに付していますので。緊急避難的な対策をどうするのか、というのは、今、パブリックコメントに付している最中ですので、一回、それをご覧ください。

問)

不動産経済研究所(不動産経済ファンドレビュー)の中澤です。

金融円滑化法案の、もうそろそろ取りまとめが出ると、5月末に向けて。これは、中小企業金融円滑化法案と書いてありますけれども、むしろ、我々、不動産に関係ある住宅ローンに対する…。皆さん、冬にかけてボーナスが減って、この1月から3月にかけて皆さん困っていらっしゃったところに、非常に良い影響があったと思って評価しているのですけれども、今の金融機関の取組みについて、亀井大臣は何か、どう思っていらっしゃるのか教えていただけばありがたいです。

答)

私は、当初に危惧(きぐ)していたよりも、やはり、金融機関自体がこの法律の趣旨をきちんと踏まえて、現場でちゃんと対応してくれている面が強いのではないかと思っています。まだ、一部不満の声がありますけれども、全体としてはうまくいっている面があるのではないかと。

それよりも、何度も言うように、深刻なのは、仕事が相変わらず、特に零細企業、その辺りのところについては無いと。商店にしても物が売れない。そういう面での金繰り、狭い意味での金繰りもですけれども、とにかく、先行き儲けがないという事態が、今、「だいぶ良くなった、だいぶ良くなった」と短観その他を含めて言っているのですけれども、大企業のそんな盛況が、残念ながら、モラトリアム法案のほうの対象になっているようなところについてまでは、今、及んできていないと。ムード的にも及んできていないという実態があると思います。

住宅ローンについては、本当に、相当な需要もありましたし、金融機関も、それはちゃんと対応してくれていると思いますね。

問)

フリーランスの高橋清隆と申します。

大臣は、次の時代の政治家を育てているのかなと思うのです。下地(衆議院)議員や森田高(参議院)議員の活躍、前面に、むしろ力を発揮できるように促しているように傍からは思えるのですけれども、大臣が望むこれからの政治家に求められると考えるのはどんな資質でしょうか。

答)

この2人(大塚副大臣、田村大臣政務官)(笑)。

政務官)

大臣、あれだけ元官僚議員を…。

副大臣)

(大臣も)元官僚だから(笑)。

答)

「脱官僚」とか言っていますけれども、官僚は能力があるのですから、その能力をいかにフルに国民のために発揮するようにするか、というのが、政治主導だと思うのですよ。そういう意味では、私は、政治家にそういう能力が欠けていたり、一方的に、役人に「これやれ」、「これやれ」、「お前たちは要らないことをするな」と言っているのであれば、行政は死んでしまうのです。そういう点は、大塚(副大臣)君にしても、田村(大臣政務官)君にしても、日銀と財務省にいたという経験がそれをさせているのかもしれないですけれども、うまくそういうことをやっていると思いますよ。そういう能力が今後の政治家に求められると。役人と対決するようなことは、国民は喜びますけれども、それで日本の政治というのはするべきではないと。

今の国民の方は、残念ながら、自分たちの所得が増えないでしょう。(所得が)増えないから、「役人はいいな」という感覚があるのですよ、非常に素朴な。だから、政治家、また党なんかが役人叩きをバーッとやると、直接自分の懐には関係なくても、それで癒されてしまうのですよ。それで支持率が上がるという面が、悲しいかな、ありますね。

だけれども、結局は、自分に降りかかってくるのですよ。自分たちの生活そのものを良くしていくにはどうするのか。政治家がいちいちやるわけではないでしょう。地方自治体、それから国の役所、そういうものが具体的な生活に関係のあることをやるわけですから。政治家が出てきて直接やってくれるわけではないのですから。だから、そこで役人を、ある意味では大事にして育てなければいけないという意識が国民の中になければいけないと思いますけれども、残念ながらないですね、あまり。

今度の郵政民営化の見直し反対と言って、「非正規社員を正社員にすることに対して反対だ」という声が強い原因の一つそこなのですよ。「郵便局の人はいいな」、「給料がいいな」と思っていると。確かに、年収600万(円)ぐらいあるでしょう。うち辺りの年収は200万(円)いかないですから、「いいな」と思っているわけですよ。非正規社員の人たちも、大体、200万円か300万円でしょう。それが「こんなに600万(円)になるのか、あの人たちだけなって反対だ」と。「隣に蔵が建てば腹が立つ」、その感覚なのですよ。それを産経新聞は喜んでしまって取り上げて、「反対するぞ」と言うのですけれども。

だから、ちょっと話は長くなりましたけれども、倒錯していますよ、今の国民感情というのは。だから、国民新党は言っているでしょう。「倒錯した感情の国民の方から一票も入れてもらう気はない」と宣言しています。ちゃんとした意識を持っている人から支持してもらいたいと。だから、間違った考えを持っている人に、「あなたの考え方は間違っているよ」と(言って)、それを徹底的に訴えて、その考え方が変われば変わった人の一票をいただいて、この参議院選挙を戦うというのが私の信念ですから。媚びたりしません。民主党も媚びたら駄目なのですよ(笑)。そうしたらマニフェストで苦労しなくてすむのですから。私は大事な点だと思うのですけれどもね。

副大臣)

民主党は、まだ結党10年ですから。亀は万年。敵わないですね(笑)。

問)

フリーランスの畠山です。

5月12日水曜日なのですが、大臣は、普段のマスコミに向けた記者会見ではなくて、一般市民70人からの質問を受けるオープンな市民会見を…。

答)

皆さんがやってくれたのですよね。

あなた(大塚副大臣)の後援会長が来ていましたよ。「せっかく来たのにいない」と私が文句を言われたのですから。

問)

大臣室の会見というのはオープンなのですけれども、普段の記者クラブの会見というのは参加者がクラブの方に限定されているのですが、誰からもオープンな市民との会見に出られて、質問の質であるとか、大臣を追及する姿勢ですとか、その辺りで何か違いを感じられたようなご感想があれば伺えればと。

答)

一つあります。これは、一般のマスコミ陣、日刊紙の記者なんかみたいに、間違った考え、先入観みたいなものが、脳の奥までまだ刷り込まれていません。だから、割と、ちゃんと説明すれば素直に理解してもらえるというところが非常に強かったですね。

そういう点、ちょっと、この16階の記者会見(記者クラブの会見)でいくらしゃべっても…。これこそ化石です。「時間の無駄だ」と感じることが多いのですけれども、それは、社の立場ということがあるからそうなるのでしょうね。個々の記者の考えは違うのでしょうけれども、あのときの皆さん方は、そういう意味で、素朴に、こちらが「こうではないですか」と言えばそのことを、そのときまでは考え方が違っていても、「そうかもしれないな」という考え方になっていただけるという意味では非常に良かったと。

問)

逆に、頭の硬い記者クラブの方々に、頭を柔らかくするアドバイスがあれば教えていただけますか(笑)。

答)

それぞれの社がひっくり返りそうになればそうなるかもしれません。「家貧しくして孝子出(い)ず」というのですよ。良い給料に安住して、上から下を見るような目で取材していては駄目ですよ。今のマスコミの目線は、上から下を見ているのですよ。だから無理もないです。上から下を見ようにも、自分たちが上ではなくなったら、否応なしに下から見るようになるのですよ。

問)

日本証券新聞社の田口です。

先ほど、「公務員叩き、役人叩きがあまり建設的ではない」というようなお話もされましたが、一方では、先ほどの銀行なんかも比較的給与水準が高い業界として知られておりますが、まだ税金を払っていない金融機関はいくつもありまして、新生銀行の一部の高額な報酬もあると。そういう中で、報酬水準についてどういった形で監督・指導していかれるおつもりなのでしょうか。何か具体的なお考えがあればお伺いしたいと思います。

答)

本当は、経営陣のポケットにまで手を突っ込んで、財布の中の札まで勘定しながら、「あなたは貰い過ぎている」とか、「もっと与えろ」とか、金融庁はそんなことやりたくないですよ、本当のことを言って。やはり、それぞれの金融機関が自主的にそれを判断してやっていくべきだと思います。私が新生銀行でびっくりしたのは、それをやっていないのですよね。

問)

「やっていない」というのは…。

答)

世間の目を気にしないで、一部(の人)が高額な報酬を取って(いて)、それを金融庁が黙って見ていたから、昨日、私は雷を落としたのですよ。だけど、それは、いちいち「役員の報酬をこれにしたい」と(言って)金融庁に持ってきてお伺いを立てるみたいなことはしてはいけないと思います。そんなことはしてはいけないですけれどもね。

問)

一般的に、世の中の目としては、比較的外国人の給与が高いのが当たり前というか、少し慣れていると。金融機関に対しても給与が高くなるといった世の中のコンセンサス的なことにつきましては、何かお考えというのは…。

答)

それはおかしいと思います。「アメリカから来ている人たちだから特別な給料を払わなければいけない」と言ったって、それだけの特別なノウハウを持っていて、それだけの力を発揮しておられるのであれば、それなりの報酬として高くてもしょうがないと思いますけれども、そうではなくて…。別に、白人崇拝の時代ではあるまいし、ここはやはり日本なのですから、日本の社会において果たしておられる貢献に見合う報酬を得られるということが大事なので、それが嫌ならアメリカで働かれればいいのであって、と思います。私は、「(報酬を)高くしているのが悪い」と言っているのではありません。それに見合う俸給でないといけないと思います。

問)

フリーランスの早川と申します。

先週金曜日の会見で、公正貿易のコーヒーのお話が…。

答)

(私のコーヒーは)取るようにしましたか。ここで買うことにしたのですか。

副大臣)

大臣室はどうされました。

秘書官)

買うようにしています。

答)

早速ね。おいしいですか。

秘書官)

おいしいです。

問)

今日のコーヒーはもうフェア・トレードのコーヒーを…。

事務方)

フェア・トレードのコーヒーを早速注文しまして、調達してやっています。ブランド名は知りませんけれども。

答)

私は、味が分からないのですよ、何を飲んだって(笑)。

問)

おいしいですよ。

答)

だから、味が分からないから、味わって…(笑)。

問)

かなり、亀井さんが公正貿易に対して理解を示したということで、地域一般市民も非常に評価していると思うのですけれども…。

答)

そうですか。では、金融庁が使っていると、どんどん宣伝してください。

問)

政治アナリストの佐藤と申します。

最近、中国のめざましい発展がございまして、先日のGDP(国内総生産)も日本を抜いて世界2位になりましたし、昨年末、小沢(民主党幹事長)さんが訪中して議員団を連れていったときにも、日本ではすごい大ニュースになったのですが、中国では全く小さいニュースにしかならなくて、NHKのような中国の放送局では、逆に、そういったニュースではなくて、新幹線のスピードが世界1位になったと。ある意味で、超日、「日本を超える」ということをアピールしていたらしいのですけれども、そのほか資源戦略ですとか、国家戦略に基づいていろいろな、各国との、世界の競争力に基づいていろいろ活動していたりするのですけれども、そういった、中国に対して日本はこれからどのように関与していくべきなのでしょうか。

先ほど、「外務省は日本の国益ではなくて、何か言われたことを(そのまま)言うことが多い」というふうに私も思いますし、外務省以外の省庁の方々も、みんなどこかに一回留学というか、大使というか、ちょっとどこかの国に行ったらそこの国のワンコになって帰ってきてしまうというふうに言われているのですね。そんな中、外務省はあてにならないですし、岡田(外務大臣)さんもあまりリーダーシップを発揮していないと。亀井さんしか日本を引っ張っていってくれる方がいないのではないかなと…。

答)

いえいえ、私は…。

問)

どう付き合っていくべきか、ご意見を頂戴したいと思います。

答)

やはり、小沢(民主党幹事長)さんがあれだけヒステリックだったら…。あなたたち(大塚副大臣、田村大臣政務官)は(中国へは)行かなかったのですか。

副大臣)

行きません。

答)

あんなに大勢連れていかなくても、あのおっかない小沢(民主党幹事長)一人行くだけで十分なのですよ(笑)。どういう意図でそういうことになったのかは知らないですけれども…。とにかく、皆さん方は別でしょうけれども、難しいですね、これは。やはり、日本が戦争に負けたということの負の歴史というのは、まだずっと引きずっていますね。経済的に焼け野原になったとか、国の財産が全部パーになったとか、そういうこと以上に日本人の心が、そういう意味では、完璧に過去まで否定してしまったでしょう。過去を否定してしまって、では否定の中から新しい自信を持つ価値観を持ったのか、というと、それも持っていないのですね。すぐアメリカ流とか外国流にパッと飛びついているだけで、自分を失ってしまったのですよ。過去を否定した上でね。自分たちのものを過去の経験の中から作り上げていくという努力をしなかったのですよ、簡単に言うと。日本の教育もそうでしょう、いろいろな面が。

だから、それをずっと引きずっていますから、「一挙に」というのは難しいので。安全保障の面でも、この間も言いましたけれども、「抑止力」といったら米軍になっていますよね。短絡的でしょう、みんな。マスコミだってそうですよ。普天間の問題を海兵隊の抑止力(という観点)でやっておられると。海兵隊の抑止力と言う前に、本当の抑止力とは何なのか、ということを考えなくなってしまっています。やはり、「日本を自分たちが守る」という決意ですよ、心ですよ。これが抑止力なのです、核心部分というのは。それを考えないで、「海兵隊の都合が悪いような状況にしたら抑止力が落ちる」みたいなことを考えているでしょう。マスコミの論調もそうなのですけれども、もう救いがないですね。国民自体がそうでしょう。あちこちに行って聞いても、みんな大体そうです。「アメリカに守ってもらっているのだから、アメリカに都合が悪いことをしたら困るでしょう」と、みんなそれですよ。ほとんどそれですよ。(あちこちに)行くと、おじいちゃん、おばあちゃんもそうです。戦争に負けた挫折感が尾を引いていますからね。

でも、今の若者はどうかというと、これもアメリカに守ってもらっていて、「楽ちん、楽ちん」という雰囲気でいますから、その温室から出たくないという気があるわけですからね。そういう感じでしょう。普天間(の問題)で温室に穴が空けられて冷たい風が入ってきてはかなわない、という感覚でしょう。

だから、そういう問題を今からどう乗り越えていけるのか。私が総理に言ったのは、「ある意味では、普天間はチャンスなのだ」と、日米が対等の関係を取り戻していく(という)。だから、決着を急ぐということではなくて、日米間が対等の関係でこうした基地問題を決着していくという一つのチャンスなのですよ。今までのように、アメリカに都合が良いことを決めれば、自民党が「はいはい」と言っている。これが日本の精神状況を悪くしている。精神状況は、今、悪くなっているでしょう。

「それから回復するには一つのチャンスだ」と私は総理に言ったのです。総理も「そうだ」と言いました。従属的立場をとらない。歴代の総理でそういうことを言ったのは初めてですよ。だから、日本のマスコミから叩かれているのですよ。日本のマスコミは、そういうスタンスをとらないですからね。アメリカ追従の立場がマスコミの基本的立場ですからね。そうではないという姿勢をとってしまったから…。アメリカも日本のマスコミに乗っかってしまっている面がありますけれども、「違う」と言えばそれまでなのです。

アメリカは、誰が考えても、客観的に見てもそうですが、日本列島に勝手に基地を作ることはできないのです。本当はこれが現実なのです。「ここが良い」、「ここが良い」なんてできないでしょう、現実的に。だけれども、「そういうようにしないといけないのだ」みたいな感覚が日本人自体にあるのですよ。アメリカはそれをできると思っていないのに、日本自体が「そうしてあげないと日本が成り立たないのではないか」と思っているのです。だから、沖縄県民の悲痛なそういう思いとか何とかというよりも、そういうことが先行しているからいけないのです。そういう意味で、この沖縄の問題というのは、一つの良い契機ですから、私は総理に「原点に戻りなさい」と言っています。「時間がかかっても良いから」と。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る