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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成22年12月21日(火)10時58分~11時22分場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

「本邦金融機関、国際協力銀行(JBIC)及び日本貿易振興機構(JETRO)等の連携による中堅・中小企業のアジア地域等への進出支援体制の整備・強化について」ということでございまして、これは問題意識としては、この不況の中でアジアの発展、それをいかに日本の経済に取り込むかということが大事だということは皆さん方もよくご存じだと思っております。

私も8月に中国に行ってまいりまして、北京で日本の銀行の北京の支店長さんにお集まり頂きまして、今年の春ぐらいから中小企業が物凄く中国・北京に進出をしたいという話が急に増えたという話を私自身、その支店長さんたちから聞きました。

実は今、私の記憶が正しければ、メガバンクは北京に支店を持っております。しかし、地方銀行は、私が知っている銀行では横浜銀行(上海に支店がある)、それから山口銀行が確か大連に支店を持っていると思います。もう少しあるかもしれませんけれども、そんなに地方銀行は中国に支店がないのです。

しかし一方、中小企業は生き残りのために、是非有望なアジアの市場、特に中国に行きたいということが強いということがありまして、私はそういう問題意識をこの前から持っております。しかし、企業というのはメインバンクと言わなくても中堅企業・中小企業も馴染みの銀行があるのです。その銀行と長い間、もう5年、10年、20年、30年、長いところは40年、50年付き合っていまして、馴染みの銀行と色々相談しながら資金繰り、あるいは色々と経営のことを相談したりというのが中小企業の実態なのです。ですから、自分のなじみのある銀行が、例えば中国に行ったときについて来てくれればいいですけれども、それが地方銀行だったらばついて来られないのです。中小企業がメガバンクと取引しているということは、はっきり言ってあまりありません。

そういったことで、私も問題意識を大変強く持っておりまして、そこを何とか解決しなければ、日本の99.7%は中小企業ですから、この不況を乗り越えられないということです。ということで、今日お話しするこういったことは、事務方の人が大変よく協力してまとめたわけでございます。中小企業等のアジア進出支援体制の整備・強化につきましては、12月7日に公表しました「金融資本市場及び金融産業の活性化等のためのアクションプラン中間案」において、関係機関とも連携を図りながら具体的な方策について検討することとされたところであります。

また、金融庁といたしましては、これまで財務省、経済産業省や日本貿易振興機構、これは昔で言う通産省の外郭団体でございまして、輸出振興ということを一生懸命やりましたが、途中から日本の貿易黒字が大きくなりまして、今度輸入振興ということをやり出しました。いずれにしても非常に貿易に関しては長年のノウハウを持っている団体でございます。それから国際協力銀行、これは小泉さんのときに「官から民へ」ということで官の政策金融機関をみんな合わせろという話でしたが、どうもJBICだけは少し色彩が違うということで、JBICだけ独自にまた昔のように離そうかという話もあると聞いていますけれども、これも日本の経済の海外進出に対して戦後、実は非常に大きな役割を果たしてきたのです。

その国際協力銀行、それから地方銀行協会等とも連携・調整を行ってまいりましたが、今般、皆さん方にお配りしてあると思いますが、資料のとおり、地域金融機関を中心とする本邦金融機関がJETROやJBIC等と連携しながら、まず、情報提供・相談面、2番目として資金供与面で中堅・中小企業の海外進出を支援する体制の整備・強化を図ることと決定をいたしました。

今申し上げましたように、中堅企業・中小企業がどこか外国に行きたいと言いましても情報がないのです。大手の商社だとか大手の銀行だとかは、(情報を)持っていますけれども、中堅企業・中小企業が外国に行く場合情報がありません。ですから、そのような情報の仕組み・システムを官と民とのベストバランスと私は言いますけれども、そういったことを協力の中で仕組みを作っていこうと、日本国政府としても、金融庁としてもしっかり応援をしようということです。

まずは情報提供・相談、そして日本の中堅企業・中小企業はアジアへ行きましても、言葉も通じないし、どれくらい信用があるのかは分かりませんから、現地の金融機関はすぐには相手にしてくれません。だから、資金面でも中堅・中小企業の海外進出を支援する体制、これはもう自分のところの長年付き合っている地方銀行が、まさに国際協力銀行とか、日本貿易振興機構に地方銀行協会から人を出して、地方銀行の長い間お得意だった中小企業が外国に行きたいとなったら、大体全世界カバーしていますJETROや、資金的には、政策金融で非常に信用がありますJBICと連携しながら、日本の特に中堅企業・中小企業の海外進出、特に非常に大きな市場であるアジアへの進出を応援しようということです。

私はこのことは非常に大事な政策だと思っていまして、それをきめの細かい、現実にアクションする、そしてまた、こういうものを作りましたら同時に点検していく必要があります。どうしてもうまく流れないとか、うまく機能しないということが現実に起こる事があるのです。そういったところは頭を非常に柔らかくし、対応していきます。技術を持った、あるいはやる気のある中堅企業・中小企業に海外、特にアジアで活躍して頂きたいということで、こういう政策を決定させて頂いたわけでございます。

具体的には情報提供、そのための支援としては、本邦金融機関がJETROの国内及びアジア拠点に職員を派遣する等により本邦金融機関とJETROが連携して、中堅・中小企業及びその他現地法人に情報提供・相談等の支援を行う。

2番目として、JBICが本邦金融機関の把握した顧客ニーズ等を踏まえ、海外の地場金融機関等との間での覚書(MOU)を締結した上で、当該地場金融機関等内の日系企業担当窓口(ジャパンデスク)、このジャパンデスクというのは、その国の金融機関の中に置いて頂くという話で、これは当然ですが一定の日本の公的機関が少し援助をするとか、そういったことで手を添えないと長く持続可能ではないですから、そんなことを含めて本邦金融機関が職員を派遣する等、JBICと本邦金融機関が連携して、中堅・中小企業の現地法人に情報提供・相談等の支援を行うこととする。

それから2番目は資金です。強力で健全な持続可能な企業の発展のためには金融機関が必要であります。外国に行っても、アジアでも、例えば中国でも可能な資金の援助を受けなければ、企業というのは経済活動できませんから、そういった意味でも海外地場金融機関等に対する本邦金融機関からの保証等の供与、JBICからの融資等の供与により、中堅・中小企業の現地法人が、外国の地場の金融機関等から資金を調達しやすくする支援を行う。

当然、外国の金融機関にとりましては、JBICだとかJETROがきちっと間に立ってやっているのですから、これは言うなれは半官半民のようなものですから、安心できるということで、地域の金融機関もこの企業と付き合えるのではないかということになります。それくらいの支援も政府がさせて頂かないと、今、こういう円高の中で、この前から中小企業金融円滑化法は1年延長するということを決定させて頂きましたけれども、これは法律が通ることが非常に必要でございますが、そういった意味で中小企業を具体的に海外、特にアジアの市場に向けて安心して進出しやすくする。そして、官と民とのベストバランスが大事だということを申し上げている通り、官は官のいいところ、民は民のいいところ、それをお互いに助け合って、出し合って日本の経済を興していきたいというふうに思っているから、こういう政策を決定させて頂きました。これは事務方が非常によく頑張ってくれました。このような決定は、昔ならもう経済産業省は経済産業省、金融庁は金融庁、財務省は財務省、JBICはJBICとなりがちだったのですけれども、その縦割りの弊害をできるだけなくして、きちっとやっていきたいと思っておりまして、引き続き関係省庁と連携しつつ、具体化に向けた検討を進めてまいりたいと思いますので、このことはしっかりご理解頂いて、日本もこういう時代ですから、行政は行政でできることと、してはならないことと、せねばならないことと色々ありますけれども、自由主義経済において金融庁も官庁としてできることは、最大限させて頂きたい、そういう気持ちでこういう政策を立てさせて頂いたわけでございます。

今、日本の景気や雇用状態をどうにか良くせねばならないということは、国民の共通の願いですし、大学卒業生が来春の就職内定率が57%ということで、本当に私も政治家の末席としまして、申し訳ないと思っています。ですから、マスコミの方々のご理解も頂いて、日本の経済が、若い次世代の卒業生が来春、ピカピカの新入社員ですから、胸をはって、出来るだけ自分の希望のところに就職できるように、迂遠(うえん)のような気もしますけれども、日本の企業の99.7%は中小企業ですから、今は追い風が吹いているアジアに(これらの中小企業が)進出しやすいように、情報・金融面で、制度・システムとして、しっかり応援をしたいということでございます。

長くなりましたけれども、皆さん方にも是非ご理解頂いて、また「こういう点を、こういうように自見さん変えた方がいいよ」ということがあったら、こういう政策ですから、決して何もこれを決めたからという態度ではございませんし、皆さん方は経済のご専門家で、中小企業も色々と取材しておられますので、色々と各社各様に、これはもう少しこう変えた方がいいとか、ああ変えた方がいいとか、是非そんなことがあったら、お教えして頂きたいということを私からもお願いしておきます。

【質疑応答】

問)

まず、今の件なのですけれども、JBICが地場金融機関等に融資をするというのは書いてあるのですけれども、今、具体的にどこかの国で何かまとまっている案件とか、既に何かあれば教えて頂きたいのですが。

答)

私が総説(部分)を説明させて頂きまして、あとで事務方がしっかり説明しますから、ぜひともそのことは一生懸命やった事務方に聞いて頂ければありがたいと思っております。

問)

次に、総合取引所の問題なのですけれども、年末も近づいてきていますが、農水省とか経産省との調整の度合いも含めて、現在の状況についてお願いします。

答)

総合的な取引所検討チーム、年内に中間整理を取りまとめるために、一生懸命検討をいたしておるところでございます。いずれにいたしましても、これは簡単な話ではありません。商品取引は明治以来、先物(取引)を世界で最初にしたのは大阪の堂島です。一例を挙げれば、米の先物というのは江戸時代、これを始めたのは大阪の堂島で、お米の先物取引といえば、まさに堂島、大阪というくらいですから、やっぱり伝統と歴史があるのです。

そうしますと、農林水産省が農作物、お米に関して、今お米はそういうことを禁止されていますけれども、大豆だとか小豆等々は伝統的に江戸時代から農林水産省(の所管)といいますか、明治17年に日本国に内閣制度ができたときから、農商務省の所管でございますから、農水省は農水省で思いもあるし、これは基本的に許認可の問題でございますから、色々愛着を持っておられるということもよく分かります。また、経済産業省の石油等々の取引も産業政策の一環ですから、今率直に言ってなかなか難航いたしております。

実は今日ここに来るのが遅れたのも、我が金融庁の(東)副大臣から、昨日話をした結果の話がありまして、なかなか苦労しているという話を聞いてきたわけでございます。いずれにいたしましても、これは閣議決定したことでございますから、色々山やら谷やらがあり、政治の世界でもございますし、長い間の伝統と歴史を乗り越えて、新しい総合取引所を作ろうということですから、それは産みの苦しみはあります。しかしながら、民主党の直嶋さんは、私が国民新党の政調会長だった時に偶然、野党(時代の民主党)の政調会長をした人でございますけれども、(民主党成長戦略・経済対策プロジェクトチームの座長として)総合取引所の創設に関わる提言についてまとめられたということでございまして、政府を応援して頂けるということでありがたいと思っております。そういったことで、年が越えるまでもう少しありますから、頑張りたいとこう思っております。

問)

昨日、総理と小沢元代表が会談されまして、政倫審への出席を拒否するお考えを改めて示されましたが、これについてのお考えをお願いします。

答)

このことについては、私は一貫しておりまして、民主党と国民新党は連立政権でございまして、党と党とのことですから、基本的に亀井静香さんが(国民新党)党首でございまして、毎週1回公式の記者会見を開いておりますので、そちらに聞いて頂くのが私は筋ではないかと思いますが、いずれにいたしましても民主党の内部のことでございますから、私は閣僚の一人として、国民新党の副代表として、コメント差し上げるのは適当でないというふうに私は思っております。

問)

クレジットカードの現金化業者について、今朝一部報道で金融庁が貸金業とみなして無登録業者として取り締まる方向で検討しているというような報道があったのですが、それについての事実確認と、大臣としてのクレジットカードの現金化業者に対する方針を聞かせて頂ければと思います。

答)

本日、ご指摘のような決定を経済産業省との間に決定した事実はございません。法の適用はあくまで個別の判断によらざるを得ず、現金化については取引類型や関係者の関与、認識の形態が様々である等から、貸金業を含め一般論としての法律上の成否を現時点で一概に申し上げることはできないと考えております。

ただし、いずれにいたしましても金融庁といたしましては、利用者保護という観点から重大な関心を持っていくということだけは、(貸金業法の)所管の大臣として申し上げておきたいと思っております。

問)

保険銀行日報の片岡です。

一部の報道によりますと、年明けの自賠責審議会で保険料率の引き上げを決めるというようなことなのですが、その辺の事情についてお話をお願いします。

答)

自賠責の保険料の水準の問題でございますが、これは法律上、例年、損害保険率算出機構の検証結果を踏まえて、自賠責保険審議会において審議されるものだという仕組みになっております。したがって、自賠責保険料に関する報道があったことは承知しておりますけれども、来年度の自賠責保険の保険料については、確か来年1月になると聞いておりますけれども、私の立場からは、現時点では白紙だということを申し上げておきます。

問)

保険毎日新聞の園田です。

保険窓販なのですけれども、全面的に緩和の方向で進んでいるというような報道があったのですけれども、どのような状況でしょうか。

答)

園田さんからまたその質問でございますが、保険の銀行窓販にかかわる弊害防止措置については、現在、事務方にモニタリングの結果の収集や関係者からのヒアリングを実施させているところでございまして、これらの結果を踏まえて検討を進めていきたいと考えており、全面的な規制緩和に踏み切る方向で検討に入ったという事実はございません。そういう記事が出ていることは、私も読ませて頂きましたけれども、全面的な規制緩和に踏み切る方向で検討に入ったという事実はございません。

問)

(クレジットカードの現金化の件について)先ほど決定した事実はないと。ただ、重大な関心を持っていることはお話しされましたが、つまりこれは検討はされているということでよろしいですか。

答)

そこは皆さん方の取り方でございますけれども、なお、現金化を利用する者の多くは多額の債務に悩んでおられることが考えられることから、財務局をはじめとする多重債務者相談窓口に対する対応強化の指示等、多重債務者対策の一環として取り組みを今現在行っているところでございますが、いずれにしても金融庁としては利用者保護というのが金融庁の基本的な任務の一つですから、重大な関心を私は行政(機関)の長として持っております。

事務方)

先ほど大臣へのご質問の中に、ジャパンデスク設置、MOUの締結について、具体的な話があるかということでしたが、JBICはまだ具体的に海外の地場金融機関等とMOUを締結したことはありません。JBIC自身は必ずしも日本国内の中堅・中小企業との関係はあまりありませんので、まずは、(本邦)地域金融機関がこの中堅・中小企業のニーズを把握した上で、そのニーズを踏まえて、JBICとして、特にどこの地場金融機関等とMOUを締結するのかを決めますが、相手がある話ですから交渉の結果、MOU締結がなされれば、そこでジャパンデスクを設置して、地域金融機関の職員をJBICの職員として派遣するという段取りになると思います。ですから、JBICと地場金融機関等との間のMOU締結には少し時間がかかるとは思いますが、JETROに地域金融機関の職員を派遣することについては、少し早めにできるのではないかと思います。

実は、JETROにおいては、金融機関その他から職員を受け入れて、海外に派遣するということはこれまでも前例があるようで、その場合は通常、JETROの国内拠点で少しトレーニングを積んだ上で海外派遣しているようですから、直ちに海外に派遣するということではないかもしれませんが、まずは来年度早い段階でJETRO本体に地域金融機関から職員を派遣してもらい、できるだけ早期に海外に派遣できればよいのではないかと希望しておりますが、年明け以降、関係者間の事務方レベルの協議会において、検討していくことになろうかと思います。

(以上)

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