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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成22年12月28日(火)11時50分~12時26分 場所:金融庁記者会見室)

【大臣より発言】

今日は、地球温暖化に関する閣僚会議が延びまして、皆様方をお待たせして恐縮でございます。

今日は私から申し上げることは特別ございませんけれども、(今年)1年間のことを、(就任から)半年経ったので所感は如何にという質問が当然来るだろうと思って、大事なことですが、率直に言えば、私も40年間医者をいたしております。そして25年間国会議員をさせていただいておりまして、(今年の)6月11日から金融担当国務大臣、また郵政担当国務大臣を拝命しまして、久し振りの閣僚でしたから、拝命したときに、27年前、渡辺美智雄さんと中曽根康弘さんは(私の)恩師であり、中曽根先生はまだ生きておられますからご挨拶に行きました。

そうしたら、中曽根大勲位閣下から、「自見君、金融というのは経済のいい勉強になるよ」という言葉を大先輩からいただきまして、確かに私も半年経験させていただきましたが、本当に良い生きた経済の勉強になりました。

元々、少しおこがましい言葉ですが、小医は病を治し、病気を治すのです。中医は患者を治す、病を持った人を治す、大医は国を治すという言葉が中国の古い諺にあるのですけれども、確かにそういう諺があるように、私も40年医者をしながら、特に最初の十数年、当然ですが、プロフェッショナルな医者をやっていまして、医者というのは、最初の1年間、医者になりたての若い医者は、例えば胃が悪い患者さんに対しては、胃ばかり見ているのです。胃の病気のところだけ(見ているのです)。最初、大学に入って1年生の研修医の頃などは、上にオーベンといいまして、1年生の指導医に10年ぐらいの内科の医者がつくのです。それから、当然上に教授、助教授がおりますけれども、それから病棟主任というのがおります。

やはり最初の1年間は、肝臓が悪い患者さんに対しては、肝臓の病気は、肝臓の色々なところだけ見ているのです。それから、腎臓が悪い患者さんは腎臓だけ見ているのです。心臓が悪い患者さんは心臓だけ見ています。心臓が悪くなったらすぐ突然死なんかありますから、それは一生懸命心電図を勉強して、心臓だけ見ている。胃の場合なら、胃潰瘍といったら胃潰瘍ばかり見ています。それから、肝臓の病気というのは慢性肝炎だとか、今はC型肝炎、B型肝炎がありますが、我々の時代はC型肝炎という概念がなかったですけれども、肝臓でGOT、GPT(の数値)ばかり見ているのです。

ところが、医者も3年、5年、10年しますと、例えば肝臓であれば、当然ですが、肝臓と関連している臓器というのは、心臓、肺、血液、脳すべてが関連しているのです。脳が中枢神経ですから、その人の気分だとか、自律神経を通じて、「この患者さんは、今日は気分がいいな」とか、少し揉め事があるのではないか、心配ごとがあるのではないかと、大体(医者を)15年ぐらいしますと、患者さんが歩いて病室に入ってくるときに、顔を見てどんな歩き方をしてくるか、顔貌や、診察室に入ってきたときの患者さんの態度、顔つき、gesichtsausdruck(ゲジィストアウスデュック)とドイツ語でいいますけれども、これは非常に大事なのです。必ずどんなカルテでも最初は、我々が習った頃はドイツ医学ですけれども、gesichtsausdruckと言いました。非常に名医であれば、歩いて向かって来る間に、患者の病気がある程度分かるのです。

それから、anamnes(アナムゼー)といいまして、(患者の)話を聞くのです。痛みがあるか、それはどんな痛みか、どこが痛いかと(聞きます)。例えば、ずっと痛いだとか、鈍痛だとか、激痛だとか、周期性の痛みとか、それから、食事の前か、後か、空腹時か、満腹時かといった具合に聞きます。15年、20年たったベテランのある程度の医者というのは、聞いただけの情報で結構なことを見ているのです。

例えば、「私は胃が痛いのです」という患者で、入院しても、胃だけでなくて、胃というのは血液が通って生きているのですから、心臓や肺、すなわち肺なら酸素量、心臓なら心臓がちゃんと打って血液が回っているかとか、動脈硬化があるか等、人間の臓器というのは、たくさんの変数の塊なのです。例えば人間というのは、胃だったら、心臓・肝臓・脳・肺という臓器が、それぞれすべて有機的に結びついているのです。そういうことが分かってくるのは、10年ぐらい経って、内科で一生懸命勉強したら、勘のいい医者なら大体一人前の医者です。そうなると、とてつもない患者の(病気の)大きな見過ごしがなくなります。

例えば、一例だけ挙げれば、ホジキン病という悪性リンパ腫の病気がありまして、神経症状を起こすのです。私は九州大学ですけれども、九大の神経内科で、ホジキン病というのは神経ですから、神経だけ1カ月ぐらい見ているわけです。第一内科というところに来たら、これはホジキン病で、ホジキン病というのは基本的に悪性リンパ腫ですから、副作用として、一つの症状として神経症状が出ているのですが、神経のところだけ見ており、全体を見ていないのです。

あまり内科の医者のことは言えませんけれども、政治の世界も、特に金融(担当)大臣をさせていただきまして、金融というのは経済の一部分であって、(国会議員の)25年間、私は時々色々と怒られたりもしましたが、与党を22年(間)、野党で3年(間)させていただきましたけれども、全部に関連しているのです。

そのことを、金融一つとっても、例えば、中小企業金融円滑化法というのを出させていただきまして、今度(1年間)延長すると言いましたけれども、企業だって、人間だって、みんな生き物ですから、経済は生き物というように、これは例えば、日本の中小企業がうまくいくかどうかということは、まさに極端な話、ギリシャの経済財政がうまくいっているか、そんなことと実は関連しているのです。ですから、今、地球の経済はグローバル化しまして、経済、特に金融が非常にグローバル化して、瞬時に大陸をコンピュータマネーといいますか、お金が回るわけです。

そういった中で、中曽根先生が「金融が分かれば経済がよく分かる」と言われたことを、(大臣就任後)半年(間)、恩師の言葉をかみしめてみまして、確かに金融というのは経済の血液だということがしみじみ感じますし、不景気という病気、どこかが悪いとなりますと、それが非常にすべての世界が有機的に結びついているということを(感じます)。(私は)衛生統計をやっていましたから、少し統計学などもやりましたけれども、多変量解析では、変数がありまして、変数はみんな変化するのです。Xから、Yから、Zとありまして、全部変化していくのです。これを多変量解析といいますけれども、本当に人間の体も、腎臓・心臓・胃・肺の機能が変数なのです。頭はきちんと中枢神経が働くかどうかも変数なのです。だから、すべて人間の体というのは変数の塊なのです。

そういうことを感じまして、非常に人間の体と経済、特に金融が、特に似ているなということを、このような立場にならせていただいて、本当によく実感しています。

ですから、例えば初期症状で扁桃腺が腫れていると、扁桃腺を見ただけでは、普通は扁桃腺炎です。しかし、これが単球性白血病の初期であるということもたまにあるのです。そういうことを知っていないと、扁桃腺炎だったら扁桃腺炎という判断で、抗生物質と解熱剤を投与したら、白血病ですから、全然よくなりません。それははっきり言えばやぶ医者です。

そういうふうに、やはり一つのサイン、症状、社会の変化、それを見て、一体どういう経済の変化なのか、あるいは政治の変化なのか、それを見る目というのを、やはり本当に責任感を持って、私より上に、内閣というのがありますけれども、金融に対しては私が日本国の責任者ですから、そういった意味ではたくさんの金融庁のスタッフがいますけれども、非常にいい研究をさせていただきました。

特に今、金融はグローバル化していますから、8月にニューヨーク、北京に行ってきまして、今度(来年1月)はヨーロッパに行ってくる予定です。この400年間の世界の歴史というのは、言うなれば、イギリスで起きた産業革命、フランスで起きたフランス革命、これが大体近代社会の初めですから、本場のヨーロッパに行ってきて、(イギリスの)シティがありますし、フランスは独特な国です。

そういったことで、非常に一生懸命、金融庁が6月に改正貸金業法のフォローアップ、それから9月には日本振興銀行の破綻、これは戦後初めてのいわゆるペイオフをさせていただきましたし、それから、今月14日には、昨年12月に施行した中小企業金融円滑化法の1年延長を決定いたしました。

また、閣議決定されました平成23年度の税制改正大綱では、当初の一丁目一番地でございました証券の軽減税率、これも巌流島の決闘と言いましたけれども、財務大臣と一対一の勝負をしまして、おかげさまで金融庁の要求が全面的に通りまして、軽減税率10%で2年間(の延長)ということが通りました。

これは、不景気で、お腹の減った人がいるときに、魚を一匹与えるのか、釣竿を与えるかという違いなのです。魚を一匹与えれば、確かに魚を一匹食べれば空腹が少しはおさまります。しかし、もう少し知恵を働かせれば、魚一匹やるよりも、釣竿を一本やって魚を釣る方法を教えてあげたほうがいいのです。そうしたら、また海でも川でも魚を釣り、そのたびに食べられます。

政治というのも、魚をやるのか、釣竿をやるのか、そのことをきちんと考えておかなければならないと私は思っていますので、証券税制というのは、キャピタル、キャピタリズムであり、資本主義なのです。1,650万人の個人、日本人の3所帯に1人が今株を持っております。(国民の)70%は年収500万以下の方ですから、ごく一般の国民に株を持っていただいているのです。それはキャピタリズムですから、そこに波及して、お金がいき、株が上がるとどういう効果があるのか、株というのはキャピタルで、少なくとも自由主義社会ですから、そこに対する優遇税制というのは、ほかの優遇税制と違うのです。

ですから、そういうことも財務大臣によく話をしまして、ただ一匹魚をあげるのではなくて、釣竿をいただく話なのです。釣竿をやるようにしないと、このデフレの不況の中で、やはりより持続可能な波及効果のある政策をやっていくということが大事だということで、これは大変思い出のあるところでもございますが、軽減税率の2年延長措置が盛り込まれましたということでございます。

それから、これはあまり(新聞に)書いていただけなかったのですけれども、中堅・中小企業のアジア地域への進出等の整備・強化を盛り込んだ金融資本市場及び金融活性化のためのアクションプラン、これはJBIC(国際協力銀行)だとか、経産省が所管しているJETRO(日本貿易振興機構)、昔は輸出促進で一時輸入を増やすことに変えた有名なJETROとJBIC活用した方法でして、これは皆さん方にも地域の商工会、商工会議所にぜひこういった特集でも組んでいただきたいと思います。これは日本の戦後65年の経済財政、金融政策の中でこんなことをしたことはなく、多分かなり革命的なことです。

中小企業というのは、大体大企業についていればいいではないか、あるいはもう中小企業なんか海外なんか行かなくていいと、そうは言いませんけれども、そういう風潮が強かった中で、8月に中国に行きましたら、邦銀のメガ(バンク)が多いのですが、北京の支店長さんから、「自見さん、5月ぐらいから急に日本の中小・中堅企業から北京、中国に行きたいというので相談がふえた」ということを私聞いてきまして、日本の99.7%は中小企業ですから、やはり独自に、中堅企業・中小企業も、特にアジアに行かないと自分のところは生き延びられないと経営者は考えているのです。

ですから、そういう時期にきちんと我々が手を添えさせていただくということは、地方銀行協会あるいは信金信組、そういったところの組織体と、JBICとJETROが組んで、情報と金融を支援させていただくということは、非常に地方の商工会議所、商工会、あるいはそういったところや、中小企業団体について非常に大きな話だと思いますから、ぜひ皆さん方も、大変影響力のある、経済に精通しておられる方々ですし、ご批判があれば率直に受けますし、まく機能しなければ良くしますので(取り上げて頂きたいと思います。)

しかし、少なくとも65年間で中小企業が直接外国に行くことを公的金融機関、公的な経済産業省の外郭団体であるJETROがきちんとシステム的に応援するということは初めてです。

ですから、そのことはぜひ、不況の中ですし、日本で創業が少なくなって、廃業がふえていることは、非常に日本の問題なのです。「よし、おれが起業してやろう」と、新しい事業を起こそうという人は少ないのです。これが今日本の元気がない証拠なので、ぜひこういったことを皆さん方にご理解いただければありがたいと思っています。

最後に、今日私はブログに書きましたけれども、ドミニク・ストロス・カーンという人、これは世界IMF(国際通貨基金)の専務理事でございますが、フランスの社会党のときの経済・財政・産業大臣をした方でして、なおかつ有名なフランスのENA(国立行政学院)の教授もしていた方なのです。この方は、今IMFの専務理事でして、リーマン・ショックのときもIMFの専務理事でした。

この方の具体的な名前を出して恐縮なのですけれども、週刊ダイヤモンドの新年の合併号、12月25日号、クリスマス号で特別寄稿をし、これを書いていますので、今日ブログにも書かせていただきましたけれども、ぜひ、本当に私とぴったり合うとは、そんな大げさな大それたことは言いませんけれども、非常にこの文章に、金融担当大臣を半年した感想として共感いたしまして、そういった意味で、先ほど私は、人間の体と経済とを絡めて言いましたけれども、私が医者であることは40年変わりがない事実でございますし、金融担当大臣をさせて頂いたのもありがたい経験をさせていただきましたので、しっかりやっていきたいと思っております。

そして、全力を上げて皆様方のご理解もいただきながら、またお叱りもいただきながら、何が何でも本当にデフレの不況の中から脱出したいということを本当に強く望んでおりまして、その下働きに命を懸けて、全政治生命を懸けてやりたいというふうに思っています。

それからもう一個は、最初から言っております郵政民営化です。これはやはりお互いに伝統と歴史があり、手は手なのです。足は足なのです。皆さん方は逆立ちして歩けますか。大体逆立ちして10メートルも歩ける人なんか滅多にいません。やはり足は足なのです。足だと何キロでも歩けるでしょう。手は手なのです。しかし、足に何かちょっとした細工をせよといっても無理です。手には手、足には足の特徴が人間にはあるのです。

ですから、それと同じように、日本の国というのも、何も卑下することはない。しかし、のぼせ上がることもないし、いわゆるナローマインド・パトリオティズム、戦前の偏狭な愛国主義、あるいはそういったことになってはいけませんけれども、やはりそれぞれの国は、それぞれの歴史と伝統というのがありまして、それを踏まえた上での近代化、その上に、文化と歴史の上に、土台の中に近代資本主義だとか、近代合理主義だとか、そういうものを植えつけていかないといけないわけです。でないと、移植しましても大抵拒否反応を起こして駄目になります。

ですから、私は郵政三事業というのは非常に、前島密という人が、その特徴を踏まえて、明治最初の民活、明治最初のフランチャイズといいますか、フランチャイズとか民活という言葉はない時代にそのことを実行しましたが、私は(彼を)一種の天才だと思っていますので、そういったことのいいところは残して、悪いところはきちんと変えていくということは保守の基本だと思います。

この前のクリスマスに、上智大学のドミニコ教会に行きまして、ペーパーをもらい、聖書の中の一節に、「人間が変えられるものと変えられないものがある」というわけです。といいますのは、私は3年半前、選挙中に高知に行きまして、郵政の婦人部の女性の方から、「明日の天気は変えられないけれども、明日の政治は変えられる」という激励を受けたのです。今でも鮮烈に覚えています。明日の天気は変えられないのです。どんなに人間慌てても、明日地震が来る、明日台風が来るということは、人間にとってどうしようもないのです。そういったことは、冷静に受け入れなさいと書いているのです。聖書の中の何とか人の言葉なのです。しかし、変えられるものは勇気を持って変えなさい、変える勇気が必要だということです。

まさに私たち、ぶれない保守党と言っていますが、やはり変えられないところは従容として受け入れるが、明日台風が来る、明日地震が来る、これは人間どうしようもないのです。そういったことを多分従容として受け入れなさいということだろうと私は思いました。しかし、変えられることは勇気を持って変えていきなさいということは、クリスマスに行ったら、そういう聖書の文書の一節、大変有名な上智大学の名誉教授らしく、ドイツ人なのですけれども、それに人生が長ければいいというものではなく、人生は質が大事だというようなことが書いてありましたけれども、大変有名な先生らしいのですけれども、その先生のお言葉に触れたわけでございます。

やはり我々は、人間の営みというのはこの地球上でやっていますけれども、変えられない部分は、地球には引力がありますから、地球の上から逃げることはできません。ですから、台風だとか地震というのはどうしようもないのですけれども、しかし、変えられる部分は積極的にこの1万年変えてきて、文明とか文化を築いてきたわけです。

やはりその辺をきちんとやっていく必要があるのではないかというふうに、少し大げさな言葉になりましたけれども、私は人生観を持ちながら、しっかり皆様方のお叱りもいただきながら、声を聞きながら金融担当大臣をやっていきたいというふうに思っております。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

民主党の小沢元代表の政倫審の問題なのですけれども、総理が、政倫審の議決があったときに、小沢元代表が拒否された場合は離党を促すというお考えを示されていますけれども、これについてはいかがでしょうか。

答)

私は、民主党の問題には、いつも申し上げておりますけれども、これは野党のときから国民新党、民主党、社民党で三党合意の前に、6つの共通政策を去年8月14日に結ばせていただいて、8月30日の選挙において3分の2近い議席をいただいたわけでございまして、そういった意味で、野党の時代から、私は特に参議院議員でございますから、2年近く統一会派を野党の民主党、社民党と組ませていただいておりました。

そういった中で、我々は、当然ですが、民主党と一緒に海、山を越えてきたという歴史も、立党の精神、あるいは立党の背景も全然違いますけれども、しかし、そういった共通の歴史を共有しておりますし、そして、歴史的な政権交代をさせていただけたということでございまして、これはそういった意味で、国民新党と民主党とは大変強い信頼関係で私は結ばれていると思っております。

ですから、政党というのはそれぞれ自主性がありますから、民主党内部のことは民主党の内部で、国民新党のことは国民新党の内部で決めることというのが、私は政党政治の基本だと思いますので、亀井静香(国民新党)代表であれば、当然党を代表しての色々な関係もあるかと思いますが、私個人としても、他の政党のことは、他の政党の自主努力、これが私は民主主義の基本だと思います。政党というのは、やはりそれぞれの背景があるし、みんな違いますし、それぞれの政党を作ったバックグラウンドや背景がありますし、思想があるでしょうし、考えがあるでしょうし、貫く一つの何か理念というのは当然あると思います。

ですから、そういった意味で、お互いの政党同士、お互いの自治というのがありますから、私はそういったことで申し上げるのは適当ではない、行政(機関)の長として申し上げるのは適当でない、国民新党の閣僚として申し上げるのは適当でないというふうに思っております。

問)

たちあがれ日本が連立の打診を拒否したり、内閣改造も取りざたされておりますけれども、そういったことについて、民主党と連立を組む国民新党から唯一入閣されている閣僚としてのお立場でお考えをお願いします。

答)

たちあがれ日本には、たちあがれ日本の基本理念があるのでしょうから、私も新聞紙上でしか知りませんけれども、ああいう結果になったとこう思っております。

私は基本的に、国民新党と民主党と社民党、社民党は連立離脱しましたけれども、参議院議員で2年間の統一会派を民主党と野党の時代に組んでいたのです。私は当時参議院の幹事長でしたから、お互いに、例えば後期高齢者医療制度の廃止法案が参議院は通ったのですが、衆議院に行ったら、(当時の与党に)蹴散らかされましたけれども、そういう苦い思い出があるのです。この法律はよくない、後期高齢者医療制度、何とか衆議院で過半数をとりたいと必死の思いで、それぞれ選挙協力をして、短いけれども、共有した歴史があるわけです。共通の理念、我々は国民新党、保守党ですから、よく私が言いますように、「弱きを助け、強きをくじく」のではなくて、「弱きを助け、強きに責任を持たせる。」そして、やはりきちんと社会的に主導的な人には、それだけの果たさねばならない義務があると私は思っています。

そのことが、西洋ではそういう思想がありますが、そういったことがだんだんいい加減になってきて、上の人が責任を取る、それが人間の一つの真理だと思います。弱きを助け、強きは責任を持つ。俺さえよければ、物さえあれば、金さえあればどうでもいいという風潮が盛んですけれども、やはり私はそういう風潮では、どんな家族でも、集団でも、団体でも、国家でもやっていけないと、こう思っていますから、そういったことは2000年前も真実だったし、今も真実だし、多分50年後も500年後も真実だと思っていますので、そういう意味で、そういった部分は変わらない。しかし、変えない部分と変えていく部分はきちんと分けて、徹底的に変えていく部分は変えていくということです。

例えば、株式市場のコンピュータ化だとか、IT化だとか、それは積極的に今やっていますし、やる必要がありますし、そういうことはどんどん世界に伍してやっていく必要がありますけれども、しかし、人を騙して儲けていいとか、それから、嘘を言って儲けていいということは、孔子だって2500年前から利益の前に「義」があるのだということを子貢に言っていますから、それが基本だと思います。儲ければ何をしてもいいのだ、人を騙してもいい、嘘を言ってもいいのだということは、金融庁だって利用者保護ということで、法律で守っていますから、そういった真理は変わらないと私はそう思っています。

ですから、変えていいものは、すなはち温故知新といいますか、そういうことでやっていきたいと思っていますし、たちあがれ日本、彼らは彼らの判断でしょうから、それに対して論評するというのも私は控えさせていただきますが、しかし、国民新党と民主党とは、例えば後期高齢者医療(制度)廃止を私も発起人として、国会で答弁していますから、そういう残念な苦しい思いをしながら政権交代、連立をさせていただいたということずっと共有していますから、そういう長い間のある程度の信頼関係がないと、やはり政党というのは全然立党の基盤も、理念も、構成員も違うわけですから、この厳しい中でお互い与党を組んでいます。与党というのは決して楽なことばかりではございません。厳しいご批判にも耐えていかなければいけないし、国の責任があることは、たとえ支持率が下がってもやっていかなければいけない。

私も竹下内閣で、消費税をつくるときに、内閣の支持率3%になって、選挙区に帰ったらみんなから怒られる、だけれども、3泊4日徹夜して消費税を導入しまして、国家のために、その時はきついけれども、「良薬は口に苦し」「病に利あり」という言葉がありますけれども、政治家というのは、国会議員というのは、そういう判断をしなければいけないときもあるわけです。

そんなことで、与党というのは楽なことばがりでは決してないです。責任があるからには、やはりきちんと責任のあることはしなければいけませんし、そういったことで、共通のきちんとした行動を国民新党は少なくともやらせていただいたということだけはご理解いただきたいというふうに思っております。

決して数合わせとか、そういうことではなくて、「弱きを助け、強きをくじく」というようなところではなくて、「弱きを助け、強きに責任を持ってもらう」ということは、民主党の理念だとか、社民党の理念と合うところがあるのです。そういうことは、私は(国民新党の)政調会長をしていましたから、よく政策合意とか色々な法律をつくりまして、しみじみそうも思いました。

そういう経験があるから、色々とあっても、いいことばかりではございませんし、政権与党というのは、お叱りをいただくことも多し、我慢することも多いです。しかし、その中で国家をきちんと運営させていただくということが政治家の政権与党としての貴重な役割ではないかというふうに私は思っているのです。

問)

フリーランスの高橋と申します。

変えられるものは変えていく勇気が必要という言葉を聞きまして、日本振興銀行の検証にも期待を抱くのですけれども、検証委員会の設置についての進捗状況をお聞かせいただけますか。

答)

日本振興銀行の検証委員会は金融には信頼が必要だということを申し上げました。それにふさわしい人材を適時適切に選考中でございまして、もう引き受けてくれた人もいますけれども、これは年を越しますけれども、責任を持って、きちんと国務大臣としての責任においてやらせていただきたいと思っております。

問)

不動産経済研究所の中澤と申します。お世話になっております。よろしくお願いします。

大臣は、金融は血液だとおっしゃっているのですけれども、日本の経済をもし人間の体と例えると、元気がない、総需要が不足しているということでデフレになっていますが、そのためには、血液の流れをよくしなければいけないということだと思うのですが、金融政策は別にありますけれども、金融庁として、この1年やってきた中で、例えば血液の流れをよくしてきたものは何かということを教えていただけますか。

答)

25兆(円)需給ギャップがあると言われています。要するに、不況の中ですから、健全な臓器と健全な筋肉がないと血液というのは十分な機能を果たさないのです。そういった意味で、中小企業金融円滑化法、これはほとんど栄養があまり行かない部分にきちんと栄養をやったという意味で、経済全体から見て、99.7%が中小企業ですから、確かに東京、大阪、北九州、福岡、仙台等々、中小企業団体の生きた声も聞いてきましたし、そういったときは、いうなれば凍傷にかかったというか、雪の中で一時凍傷にかかりつつあるというときに、一生懸命温めて血液を流してやるということが、回復することも大いにあるわけですから、政治家には大事なことだと思います。

問)

財政出動についてはどうですか。

答)

財政出動は、国民新党は必要な財政出動はすべきではないかという党であり、亀井静香代表のときに2兆7,000億(円)の補正予算を7兆2,000億(円)にしたと思っています。私も基本的に賛成でございますが、同時に、国債が多過ぎてもいけませんし、そこら辺のバランスが人間の体と同様大事なのです。

ですから、できるだけ国民新党のほうもいろいろ財政出動というか、生きた経済、活性化すべきだということで、非常に努力していただいていると思っています。一番見えやすかったのは、2兆7,000億(円)を7兆2,000億(円)に亀井静香党首としました。そういったお金は大事ですし、バランスが必要だということをIMFのドミニク・ストロス・カーン氏も書いています。ということで、非常に共感しました。

どうぞいいお正月を。1年間お世話になりました。ありがとうございました。

(以上)

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