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自見内閣府特命担当大臣初閣議後記者会見の概要

(平成23年1月14日(金)22時54分~23時16分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

菅内閣は、国民新党と民主党の連立内閣でございまして、今日昼間、菅直人民主党代表・内閣総理大臣と亀井静香国民新党党首とお話をされた結果だと思いますけれども、今回、菅総理から郵政改革担当大臣、それから内閣府特命担当大臣(金融)というのを三度(目)でございますけれども、所掌の分担を任じられました国民新党の副代表でございます自見庄三郎でございます。また引き続き皆様方に非常にお世話になるわけでございまして、よろしくお願いをいたします。

菅総理から、この郵政改革担当大臣としては、総務大臣と密接に連携し郵政事業改革の着実な推進に取り組むこと、それから金融(担当)大臣といたしましては、金融機能の安定を確保するとともに、地域金融の円滑化に向けた取り組みを進めることの二つを総理大臣からご指示をいただきました。

まず郵政改革に関しましては、小泉構造改革により脆弱となった郵政を再生させるために、私も何度も申しますけれども、10年に3回ほど経営形態が変わりまして、10年前に260兆円あった郵便貯金が90兆円減少しまして、今170兆円になっております。1ヶ月(間)に1兆円郵便貯金が流出した月もございます。それから、簡易保険も全盛期で8,500万件ありましたが、4,000万件減って、今、大体4,500万件簡易保険の口数がございます。それから、12年前に、私が郵政大臣をさせていただいたときは、手紙、はがき、これは大体250億通あったのです。これが電子メールの進歩もあり、50億通減っておりまして、大体今年では200億通ぐらいに減少いたしております。

そういった非常に脆弱となった郵政を再生させるために、やはり5分社化というのを小泉さん、竹中さんがされましたが、この分割によるデメリットが非常に顕著にあらわれているというふうに思っておりまして、そういった意味で、真に国民のための郵政とするための改革は、今取り組むべき大変大事な課題だと認識しております。

5年前、小泉さんの構造改革の本丸が郵政改革だと、こういうことが言われたわけでございまして、当時、ほとんどのマスコミが小泉さんの郵政改革、民営化を支持したわけでございまして、(その結果)選挙では3分の2以上の与党で議席をとったわけでございますが、この前から私が申し上げておりますように、日本で非常に有力な全国紙の社説でも、「郵政改革法案たなざらしは国民利益に反する」というふうな論説を書いていただきました。これは1社ではございません。数社にわたってそういうふうに書いていただいておりまして、大変世の中も変わってきたと思っております。

そういったことを踏まえて、改革のために、先の臨時国会に提出して継続審査となっております郵政改革関連法案を次期通常国会において速やかに成立を図ることが、この郵政改革担当大臣として喫緊の課題だというふうに考えておるところでございまして、菅内閣総理大臣のリーダーシップの下に内閣が一丸となって国民、利用者の視点に立った郵政改革の実現に全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

また、金融(担当)大臣としてでございますが、金融庁の任務としては金融システムの安定、それから利用者の保護、それから利用者利便の向上、それから公正・透明で活力あるマーケットの確立ということが、金融庁の大前提でございますが、今日、総理大臣から頂きました金融の円滑化ということもございまして、3年前のリーマン・ショック以来、大変世界的に不況でございまして、そういった中で中小企業金融円滑化法を亀井前大臣が作られたわけでございますけれども、これを先般皆様方にも発表させていただきましたように、1年間延長するということを、東京、大阪、名古屋、福岡、北九州、仙台と、色々な日本の地域に行って中小企業4団体あるは地域の金融機関から色々ヒアリングをさせていただいて、確かに金融の規律ということも一面にはありますけれども、今の状況において政策というのは、太陽があれば月があり、光があれば陰があるということを私は何回か申し上げましたように、やはり1年間延長することが、今の金融の行政(機関)の長としては、正しい決断だと思って判断させていただいたわけでございまして、次期通常国会に提出し、その早期成立に全力を挙げたいというふうに思っております。

それからまた、新成長戦略でございますが、このアクションプランを昨年12月に取りまとめましたが、金融も経済・産業の金融仲介機能としても大変大事でございますけれども、金融機関そのものが成長するということも大事だということも、新たな概念でございまして、金融は成長戦略の中に入っております。そういった意味で、法律の改正事項については一括化法案として次期通常国会で提出、成立を図るほか、総合的な取引所については、昨年12月の中間整理というので、意見集約できていない論点がございますから、関係各省ともよく協議しつつ、政治として各関係省庁ともよく協議しつつ、政治主導で最終的にきちっと検討を進めて、結論を出したいと思っております。そして、国会の方に提出をさせていただきたいというふうに思っております。

それから、もう一点がまさに金融システムの安定でございまして、これはもう世界的な話でございまして、ギリシャ・ショックあるいはアイルランド危機の問題を見ても、非常に通貨というものが世界全体で今まだ、非常に不安定な状態でございます。そういった意味で、先般バーゼル銀行監督委員会、あるいはそれを包含しての、11月のソウルサミット、G8、G20である程度合意ができたわけでございますけれども、まだ詰めていないところもございますので、そういったところを勘案して、益々金融は極めて重要な役割を果たしていることに鑑みて、金融規制に関する国際的な取り組みが益々重要になってきたというふうに私自身も実感するわけでございます。今後とも金融危機再発防止、それから金融システムの強化に向けて、G20サミットで合意された幅広い課題に対する国際的な論議に、引き続き積極的に日本国としても、(GDPが世界第)3番目になったというようなお話もございますけれども、世界で2番目、3番目の経済力を有している国でございますし、特にリーマン・ショックの後も、アジアの経済的な進展が著しいという時代において、大変日本が置かれた経済における国際的な地位の重要性というのは、ある意味で重要になってきていると、こう思うわけでございますから、そういったところで積極的に参画をしてまいりたいというふうに思っております。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

3期目に当たっての豊富を今色々とご披露いただいたわけですけれども、ちょっと幹事社から1点だけ。

今お話のあった総合取引所の件なのですけれども、こちらの方はちょっと取りまとめの時期をめぐっても1月中にすべきだという金融庁と、6月でいいのではないかという農水省の間で、まだその時期についても開きがありますし、その法案を提出するかどうかについても、まだ意見の隔たりがあると思うのですけれども、これは大臣としては、あくまでも1月中にまとめた上で通常国会に法案を出されるというお考えでよろしいでしょうか。

答)

当然ですね。これは政治主導でございまして、農産品と申しますか、その取引については明治時代から(存在し)、米の相場を始めたのは江戸時代であると。それから一番古い先物取引は、大阪で始まったという話もあるわけでございます。穀物の取引というのは大変古い歴史と伝統がありまして、それは昔で言う農商務省、農林省がきちっと農業政策の一環としてやっており、それから、原油をはじめ鉱物資源につきましては、私も20年前、通産政務次官をしましたので、これはまた通商政策の一環としてやっているということです。しかし、一番大きな金融取引等々につきましては、(その)先物取引は金融庁の所管でございますから、これはやはり各省縦割りというのが今まであったことは、もう私も重々知っておりますし、また各省は、縦割りの中で来たというのが現実でございまして、そこはまさに私は政治主導の必要があるというふうに思っておりますので、きちっと3大臣で話をして、大所高所に立ってきちっと国際競争力もこれは大事なときでございまして、東京のマーケットそのものの地位を高めるということも、今の経済戦略の中で大事な課題でもございますから、やっていきたいというふうに強く思っております。

問)

郵政改革法案については、一度通常国会そして臨時国会と、成立せずに流れた経過もあります。改めて成立にかける決意を伺いたいのですけれども。

答)

もうこれは(昨年)12月2日に、民主党の幹事長の岡田幹事長から国民新党の下地幹事長に、もう皆様方にも公表しておりますけれども、両党の連立政権で強い意思を岡田幹事長自身も表明していただいておるわけでございまして、これはさっきから申し上げましたように、一昨年の選挙の前、政権交代の選挙の前から3党間の共通の六つの公約の一つでございまして、この公約を受けて政権交代をさせていただいたわけでございます。そして3党連立内閣というのは小泉・竹中さんが推し進めた、余りにも行き過ぎた規制緩和・市場原理主義・小さな政府論、これはアメリカの影響、新保守主義の非常に大きな影響を受けたもので、フリードマンのずっと昔からある基本的な考えでございますが、政治的にはブッシュさん、経済的には経済のグローバル化、金融のグローバル化、それを中心に推し進めたのがウォール街の投資銀行でございまして、これもトッド・フランク法によって、3年前の投資銀行というのは形態を変えまして、一般(商業)銀行に変わったわけで、それほど大きな世界史的な変化でございますから、そのような世界史的な事件を受けて、日本もそのリーマン・ショックの余震を受けており、今でも世界の通貨の不安定さがあるわけですから、今の時代に合ったように、きちっと郵政改革をやっていかねばならないというふうに思っております。

問)

東洋経済の浪川です。

続投でいらっしゃるので、去年からのことについて伺います。今、武富士の更生手続が進んでいるわけですけれども、武富士の破綻に伴って、金融庁は貸金業の登録を抹消していないわけですから、監督の意思を示していることだと思っているのですけれども、今回の武富士の再生のスポンサーの選定に関して、監督当局としてチェックする必要はあるとお思いになりますか。

答)

武富士については、(昨年)10月31日に東京地裁から、会社更生手続の開始決定を受けておりまして、引き続き裁判所の関与のもとで管財人によって会社更生手続に則った対応が行われているものと承知いたしております。

このような報道がなされていることは承知をしておりますが、当庁といたしましては、管財人の対応について逐次コメントすることは差し控えたいと思っております。

問)

貸金業法上の金融庁当局としての役割というのは遂行できるのですか。

答)

それは、要するに会社更生法での決定は、裁判所の関与のもとに行っていますので、そこら辺はそこら辺で、当然きちっと役割分担というのはこの中で、法治国家でございますから、あるというふうに私は認識いたしております。

問)

もう一つ、日本振興銀行、大臣は検証委員会を作るとおっしゃっていましたけれども、それはその後具体的なスケジュールはどういうふうになっているのでしょうか。

答)

検証委員会を作るということを午前中申し上げまして、そのときには私が引き続き金融担当大臣をするということは、それは菅総理と亀井静香党首が決められることだということでございましたが、引き続き3度目の金融(担当)大臣を拝命させていただきましたので、きちっと検証委員会を作らせていただきまして、これはもうしっかり私が申し上げましたように、金融というのはやっぱり国民の信頼が一番大事ですから、色々皆様方からのご質問を受けたことをきちっと検証する必要があると思っておりまして、今、人選中でございます。まだ発表するまでには至っておりませんけれども、鋭意水面下でやっております。

問)

目途として、いつぐらいのスタートというのはあるのでしょうか。

答)

余り長く時間がかかってもいけないし、また短くてもいけないと思います。国民の信頼性の問題ですから、そこら辺は適当な時期にきちっとやっていきたいというふうに思っております。

問)

総合取引所なのですけれども、農水省側がそんなに消極的だったら、既存の取引所を統合しないで新しいのを作ったら如何かという、そういう発想はないですか。取引所間で競争させるというのは資本市場の一つの考え方なのですけれども。

答)

そういうアイデアもあるのかと思いますけれども、そういったことも拳々服膺(けんけんふくよう)しながら、しかし既存のマーケットは長い間の伝統、歴史を持っていますから、やはり三つ統合させていくのが実際的、現実的ではないかなというふうに私は思っております。

問)

東洋経済新聞の井下と言います。

システム上重要な金融機関の選定の議論が、今されているのですけれども、この選定手法について、日本として主張していくポイントとか強調しておきたいことというのはどういうことでしょうか。

答)

システム上重要な銀行、SIFIsと申しますか、これはどういう基準でやるかということは、今鋭意検討中でございまして、途中で色々な資料が出たと聞いておりますけれども、当然これはまだ、各国で協議の途中でございますから、この前も三國谷金融庁長官と、それから日本銀行総裁と先週、またバーゼルに集まって色々論議をしたようでございますけれども、まだこれは協議中でございまして、私から具体的にこうだああだということは申し上げる時期ではないというふうに思っております。鋭意協議中でございます。

どういうのをSIFIsにする、そして扱うのかということは、当然その基準をどういうふうに考えていくのかということです。預金規模が大きければ、それは重要だというふうに考える人もいますし、それから国際的業務をたくさん、昔で言う投資銀行的な業務をたくさんやっている会社ほど国際的影響力が強いから、大きいと考えるか、そこら辺も含めてしっかり基礎的な論議から始まっているというふうに私は仄聞(そくぶん)いたしております。

問)

消費税の件でお伺いします。国民新党は、昨年の参院選でも消費税絶対反対ということを掲げて、亀井代表も「国民新党が連立でいるから防いでいるのだ」というような主張をされていました。今回の2次改造内閣で与謝野さんが税と社会保障の担当で入閣されて、内閣として、政権として6月末をめどに税と社会保障の今後の方向性についてまとめると総理もおっしゃっておられるようですが、この中で消費税について言及がされる必然、蓋然性が高いと思われますか。

答)

想像でものを言うことは控えたいと思っておりますけれども、やっぱりこの3党合意というのが基本的な菅内閣の方針として「政権交代の原点に立ち返る」ということを一番に書いてあります。そういった意味で、できるだけこの消費税の据え置きということが当時の3党合意で亀井静香代表も言われたように、3党合意の基礎でございまして、要するに今回の選挙において付託された政権期間相当中においては、消費税を据え置くということが3党合意でございますが、しかし論議することまでは禁止しておるわけではございませんから、国民の各層、各党、超党派的に色々と論議して、これは租税のことでございますし、社会保障も絡んでいることでございますから、そういったことで税制をどうするのかと、財源をどうするのかということも浮かんでくるかと思いますので、論議することは、国民新党としても禁じているわけでは決してございませんから、そういう理解だというふうに私は思っております。

ぜひそのことは、国民新党党首の亀井さんが毎週記者会見していますので、その点も聞いていただきたいと思っていますが、私は菅内閣の閣僚の一員として、また国民新党の副代表として、私はそういうふうに思っております。

(以上)

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