英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年1月18日(火)10時15分~11時03分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、特にありません。

【質疑応答】

問)

まず1点、日本振興銀行について、昨日、銀行が預金者に対して4月からの金利引き下げの通知を発送したということで、再建に向けたプロセスは着実に進行しているという状況だと思います。今後、経営を引き継ぐスポンサーが焦点になってくると思いますが、この一連のプロセスの進捗に関する大臣のご所見と、あわせてスポンサーに対してどういったものを求めていくかという大臣のお考えをお聞かせ頂ければと思います。

答)

ご質問がございましたように、日本振興銀行は昨年、戦後初めていわゆるペイオフをやらせて頂いたわけでございますけれども、日本振興銀行は、大変国民の皆様方に、特に1,000万円以上とその利子がカットになられる預金者もおられますので、私は担当責任者の大臣として申しわけないというふうに思っております。しかし同時に、これはやはり金融機関、銀行が破綻したとき一つのメインロードといいますか、メインロードは国際的にはむしろペイオフでございまして、金融の規律もございますし、全体的な金融システムの安定化ということは、金融庁に与えられた大事な課題でございますから、やむを得ないこととして、私が戦後初めてペイオフということを決めさせて頂いたわけでございます。

今、日本振興銀行の最終的な受け皿金融機関についてどう思うのかというお話があったと思いますけれども、今、法律に従いまして預金保険機構が一生懸命努力して頂いているというふうに認識いたしておりますから、具体的なコメントは差し控えるというのが一般論としては正しいのではないかなと思いますけれども、破綻金融機関の最終的な受け皿金融機関の問題が、銀行の事業を引き継いでいくものであるため、銀行として適切な経営を維持していく能力が必要だと考えております。

いずれにいたしましても、詳細については今鋭意、非常に熱心に田辺さんに(預金保険機構の)新理事長になって頂きました。私は、田辺さんと実は前の国会のときに参議院の財政金融委員会で横の席で、当時は理事長ではございませんでしたけれども、発言を聞かせて頂いておりまして、非常にしっかりした発言をされて、日本銀行出身だという話でございましたが、金融のことを非常によくご存じで、人格も立派な人だと、こう思って私は理事長に推挽(すいばん)させて頂いたわけでございます。国会で認めて頂きまして、お聞きすると非常に熱心に一生懸命、預金保険機構を率いておられるという話を仄聞(そくぶん)いたしておりますので、いずれにいたしましても、きちっと法律に基づいて預金保険機構において検討されていくものというふうに承知をいたしております。

問)

もう1点、先週末、内閣改造があって、与謝野大臣が経済財政担当大臣として入閣されました。ただ、年金制度改革など主な色々な政策において民主党と意見の隔たりがあるということで、野党側もかなり反発しているようです。一方で、民主党内でもかなり反発の声もあるようでが、これについて大臣はどういうご所見をお持ちでしょうか。

答)

私は、憲法上内閣総理大臣に閣僚の任命権があるということは、逆に内閣総理大臣にしか任命権がないわけでございまして、今度、菅第2次改造内閣になって、誰を任命するかということは、菅内閣総理大臣の大権であり、選任権でございまして、私がとやかく言う筋合いの問題ではないと思っております。特に、今の内閣は民主党と国民新党の連立内閣でございますから、2年前の8月14日に連立内閣にあたって、衆議院選挙に臨む当面の共通政策として挙げた6項目ということは、皆さん方よく覚えておられると思いますが、その中に郵政の民営化ということが、小泉さんと竹中さんが5年前の選挙で、いわゆる郵政の5分社化を当時の構造改革の本丸として国民に提示したわけでございますから、それに対して、アンチテーゼとして我々はきちっと6番目の中の一つに(郵政事業の抜本的見直しを)挙げたわけでございます。

今回の菅内閣でもよく見て頂きたいのでございますが、基本方針というのを内閣の最初の閣議で決定いたしまして、それも政権交代の原点を踏まえて最初に書いてあります。

そういった意味で、私はやっぱり政権交代の原点を踏まえるということは非常に大事だと思いますし、何で政権交代が起きたのかというのは色々な原因があるのでしょうけれども、皆さん方はマスコミの方ですから、一つには後期高齢者医療制度というのは大きかったと思います。私も本職は医者ですから、27年前から医療制度、社会保障制度、医療、福祉、年金、介護というのは、ずっと私のライフワークの一つとしてやってきていますけれども、最初に歳出削減ありきということで作った制度だと私は今でも思っております。どうにか高齢者医療が膨らむから、まず抑えなければならず、歳出を削減せねばならないという前提があるのです。

しかし、社会保障制度を考える場合、みんな相手は生身の、それこそ人生を送ってきた75歳以上の方というのは、本当にその人たちが、私も医者を40年間していますけれども、みんな当時はあまり問題にしなかったのですけれども、あれは大変大きな条項が入っているのです。65年前はこの国は「国破れて山河あり」ですよ。戦争に負けたという実際です。47都道府県知事は、自分のところは、後期高齢者医療制度に余りにも医療費がかさみ過ぎると、自分のところの県だけ、今小さな具体的な話で申しわけないのですが、実は健康保険の請求が1点10円なのです。何も健康保険というのは強制ではございません。医者と厚生労働省、すなわち国家との契約でございまして、ほかにも自由診療だけやっている人もいます。あくまで任意で健康保険医になりたいという人だけ国と契約して健康保険医になるのです。しかし、実際はほとんど健康保険医です。あの内容を見て頂きますと、戦後非常に厳しいことがあってもお年寄りだとか新入社員、社長、あるいは貧しい人とお金持ちの人で、日本は医療の質は絶対変えなかったのです。ただ、貧しい人だから、生活保護の人だからいい薬を使えないとか、新入社員だからいい薬は使えない、高齢者だからいい薬は使えないということだけは、日本の医療はしなかったのです。そこは、最後の踏ん張りだったのです。医者の方から言わせて頂ければ、世界で一番長生きする長寿国家ができたのです。それだけは日本の良心だと私は思っています。

アメリカに行くと世界一有能な国でありながら4,700万人も無医療保険者がいます。アメリカの病院に行ったら、私、現実に聞いていますけれども、病院行って金があるかと言われるのです。金がなかったら帰れと言われるのです。それがアメリカの医療の現実です。ですから、そういった制度も、アメリカのオバマさんも色々反対もあったけれども、去年、国民新党の幹事長としてアメリカに行きましたけれども、非常に苦労していました。結局、あの法案は通ったのだと思います。極端な話、日本が昭和36年に国民皆保険をしましたけれども、基本的にそのときに近づけようという制度なのです。

そういう意味では、何回もオバマさんが国会でも言っていましたが、日本のような医療制度をつくろうと言っています。お金がなくても、失業しても、誰でも最低医療だけは受けられる医療(制度)を作ろうというのが一つの目標なのです。そういった意味で、後期高齢者医療制度も一つの政権交代の目玉であり、やっぱり、していいことと悪いこととあるのです。人の命をお金持ちだとか貧しいからという理由で、同じ日本国民で差別的な医療をすることは法律上できるのです。後期高齢者医療制度は、非常に医療費が高まりますと、1点8円の医療制度にしたいと厚生労働大臣に申請しますと、厚生労働省、厚生労働大臣がそれを受けて社会保障制度審議会にかけて許可すれば、そこだけ後期高齢者医療制度を1点8円にてきるのです。今でもその法律はできています。ここはあまり問題にならなかったけれども、我々のように少し医療保険の経験ある、社会保障を知っている人は、日本もいよいよここまで来たのかなと、ぞっとしました。

2000年前にヒポクラテスというギリシャの医者の神様、今でもヒポクラテスは、ハーバード大学の医学部に行きましても、かつて米ソの冷戦構造のときのモスクワ大学の医学部に行きましても、(医者の)神様は当時でもヒポクラテスなのです。ヒポクラテスが4つのことを言ったのですけれども、医者というものは、同じ人間ですから相手が貴族であれ、奴隷であれ同じように診なければならないということが医療の基本です。命は一つしかないのですし、それが医療というものが持っている普遍性だと思います。

それがご存じのように、後期高齢者医療制度では、お年寄りになったら、若い人が受けているような医療を受けられないのか、姥捨て山ではないかと言って、全国燎原(りょうげん)の火のごとく後期高齢者医療制度に対する反対が広がりました。しかし同時に、今、非常に財政は厳しいので、社会保障制度の財政あるいは財源というものを一体的にやろうというのは、それは(当時)福田内閣総理大臣もそういうことを言っておられましたし、与野党超えての一つの国民的合意に近づきつつあると思っています。

ですから、そういう中でやっぱり社会保障制度、それから財政問題、それから財源問題、そういったことが持続可能な社会保障制度というのは、1回だけは受けられるけれども、もう来年この制度がどうなっているか分からないというのは、これはやっぱり安心・安全の危機につながってくると思います。

そういったことで、なかなか与謝野さんというのは、私も個人的なことを言えば、同じ中曽根派で27年前に国会議員になった時に、あの人は中曽根派で私の2級先輩でいましたし、非常に頭のいい人ですし、色々ご批判はあるけれども、やっぱり菅総理がそういうご判断をされれば、同じ内閣の一員として小異を超えてより広い、今国民が直面している大きな問題に向かってやっていくのが政治家としては正しいのではないかなと思っております。総理もそうされたわけですから、総理に従っていくというのが私の与えられた立場と、小異を捨てて大同につくというのが、私の政治家としての基本的な考えにも合致しているのではないかなと思います。与野党ありましても、我々は与野党である前に、みんな国権の最高機関の国会議員に選んで頂いている国会議員なのです。例えば、国家のことは、まさに勝海舟と西郷隆盛が幕府か反幕府か、この町を焼くかというときに、同じ日本ではないかということで、後ろに、イギリス、フランスが控えていましたから、江戸の町が戦火にさらされれば、多分、大体ほかの国が植民地化する方法を見ても、その町が、首都が焼き払われて内乱が起きて、そして列強の植民地になるというのが、残念ながら大体アジアの多くの国の歴史です。

(日本は)そこで踏みとどまって、西郷隆盛と勝海舟が江戸を無血開城した国です。そういったことを踏まえて、それは色々与野党の立場はありますよ。私も与党、野党、与党、野党、与党と来たのですからよく分かっています。そこはやっぱり社会保障の問題というのは、各日本人の最大の関心事の一つで、命は一つです。前の自民党・公明党の政権のときもそういうことを言っていましたし、今、菅さんもまたそういうことを言っておられるようですから、それは大きな方向として、皆さん方は政権交代で権力闘争というのも、新聞記事にはなるかもしれませんけれども、やっぱり政治に与えられた厳粛な任務というのを考えると、議会制民主主義の中でその辺をきちっとお互いに合意をしていくということも日本人らしい歴史を踏まえた英知ではないかなというふうに、私は政治家として思っております。

問)

車雑誌なのですけれども、マガジンXの神領と申します。

今日は久しぶりに会見に伺って、自賠責問題を承りたいと思います。審議会を今やっておりまして、今週の20日に多分正式に決まるのではないかと思いますけれども、料率を金融庁としては段階的に戻したいというふうに承知しているのですが、一部もう決まったという誤報を流しているところもありますが、まだ決まっていないと思います。

やはり今、車関係、車8,000万ユーザー、8,000万台あると言われています。国民生活に直結する話だと思いますが、この生活への影響をお願いします。

それからもう1点は、大臣ご案内のとおり(旧自賠責特別会計から)5,900億円一般会計の方に貸出しされていて、これが今回、国交と財務の両大臣の覚書で繰り戻しはされなかったのです。だから、5,900億円を一般会計に預けたままで料率が引き上げられてしまうのですが、この引き上げに対するお考えと国民生活への影響の程度を承ればと思います。

答)

自賠責保険審議会で自賠責保険の損害率の悪化が報告され、料率のあり方について議論がされました。自賠審では2段階で引き上げた方が望ましいというご意見が多く、その方向で検討する方針が示されました。一方、ユーザーの負担の削減に向けた努力を払うべきだという意見もあったというふうに私は聞いております。

具体的な料率については、今どこか早とちりしたというところがあったというふうなことを言われましたけれども、20日の木曜日に自賠審において損害保険料算出機構から提出される予定の新しい料率案に基づいてご審議を頂くことになるが、自賠審が2段階で引き上げの方針を示されたことは、激変緩和といいますか、適切な方向だと受け止めております。

いずれにいたしましても、料率については、自賠審の論議を踏まえて適切に判断をしてまいりたいと思っておりますが、今、質問の内容は非常に大事でございまして、今、車は8,000万台国民が持っているということでございます。私は子どものころ、当時北九州市小倉でしたが、松本清張の小倉祇園があったところで、米軍の船のような車があったので、小学校に上がる前、あれが車だと、みんなで見に行っていました。あれにまさか私が大人になって乗れるとは当時思わなかったです。船のような車で、ミリタリーポリスというMPというものに乗っていまして、「ほう、あれが車ちゅうもんかい」と言って、近くの町内に来た車を見に行っていました。それくらい、昔は、昔と言っても63~64年前です。ですから、それから言えば8,000万台も車を持つような時代に、おかげさまでなったわけです。

車は私も20代から車の免許を持っていますけれども、事故は絶対起こすまいと思いましても、私は個人のことを言って悪いのですが、2回事故を起こしました。こっちが悪くなくて、1点も引かれなかったけれども、向こうからぶつかってきたのです。事故というのは残念ながらどうしても起こるのです。私個人の感情ですが、どうしても防ぎ得ないのが事故だと、自分自身ではそう思っています。

しかし、車を運転する方々が、お互いにお互いを助け合おうというのが車社会であり、この流れはもう押しとどめることはできないわけですから、やっぱり私は、自賠責という強制保険に、強制加入で、対人をある一定カバーしようというのは車社会のあり方として必要なものだというふうに思っております。

しかし、ご質問された方もよくお分かりのように、今、日本も大変高齢者が増えてまいりまして、私は医者ですが、高齢者の方というのはどう見ても若い人のように神経の反応等々が遅くなってくるのです。残念なことに、どうしても、お年を取ってこられますと事故率が上がってくるというのは、人間が生物である限り防ぎ得ないようなところもございますし、そういった意味で、今、大変日本の高齢化社会が進むにつれて、高齢者のドライバーが増えてきており、それがまた、大変残念なことに事故率を引き上げている事実もございます。

それからまた、昔は車というのは年々増えたのです。毎年、今年より来年、来年より再来年と、毎年毎年、車は増えました。ところが今、大体先進国、アメリカでも、日本でも、国内の車の販売台数は減ってきておりまして、これは先進国において共通の事情でございますし、中国だとかインドはまだ伸びていますけれども、先進国の市場においては、車は大体飽和状態で、むしろ高齢化によって車が減少しているという状況でございますから、そういった中でやっぱり保険でございますから、保険と事故というのはお互いに保険料で、事故を起こす確率がございますから、事故を起こしたことをカバーするというのが保険でございますから、そういった中で、もし引き上げということなれば、私はそういった諸々の状況を申し上げましたけれども、勘案してやむを得ないのかなと思っています。

ただ自賠責が昔、5900億円の黒字の時代がありました。私たちも20年ぐらい前に国会議員になったころは、自賠責にお金があるから、どうにかならないかと言ったこともございます。しかし今、これはオーバーフロー分だと思って、国の一般会計200兆円も、県と市と国と公共団体と国債がある時代に色々な特別会計のオーバーフロー分を一般会計に歳入しているのです。

昔、道路の一般会計から4,750億円ぐらいオーバーフロー分といいますか、一般会計に歳入しておったことがございまして、私は当選2回ぐらいのときに道路を守る会というのをつくりまして、平沢さんという横浜銀行の頭取になった方に、当時、主計局の次長だったか主計局長だったと思います。他に吹田あきらさんだかとか自見庄三郎とか桜井新だとか、みんなまだ当選1回、2回でしたけど、文句を言ったのです。大体、道路のために取った税金を、何で道路に回さず他の一般に利用するのだと言ったら、平澤さんが、「自見さん、それは瀕すれば鈍するよ。入るを考えるのが与党の国会議員の責任ではないですか」と(言いました)。昔の大蔵省のお役人さんとは、それくらい度胸のある方がおりました。

確かにそれから、大平さんが亡くなられて中曽根さんが消費税で、間接税で政権が終わりまして、それから竹下さんのときに、それこそ3%が最初の消費税でしたけれども、内閣支持率が最後は3%になりました。リクルートの問題もございましたけれども、当時、私は議院運営委員会の呼び出し係でしたが、154回理事会を開きまして、それでも3泊4日、支持率3%の中で消費税をつくらせて頂いて、その次の選挙で、土井たか子さんが、山が動いたと言って、自民党が参議院で大敗北しました。私自身も衆議院の選挙で1万8,000票減りました。しかし、それでも渡辺美智雄先生から言われて、お前の信じることを言えと。それは落ちるかもしれないけれどもと言って、私もおかげさまで命拾いして生き延びて、やっぱり政治家というのは本当に国家のために、そのときはきつくても、長い目で見れば役に立つことを、勇気を持ってなんて言う、きれいごとは言いませんけれども、言うべきだという非常にいい学習をさせて頂きました。

私は医者ですけれども、確かに良薬は病に利あるけど口苦しと、口に苦くても病に利ありという言葉が古くから中国にありますけれども、確かに消費税の問題が非常に大きな問題で、そして我々も本当に痛い目に遭ったし、また第2次橋本改造内閣で3%を5%に上げました。北海道拓殖銀行が倒産する、山一證券が倒産するという目にも遇いました。そういったことを色々勘案しながら、何も消費税という歳入が足らないからすぐ消費税だとは、私は決してそんなに短絡的ではありません。国民新党はそういう立場でもございません。

しかし、私は、そういうことを含めて論議することは何も決定することではございませんから、国民的な論議をさせて頂くということが政治の立場だと思っていますので、そういったことを含めて社会保障の一体改革と、無駄遣い、これは徹底的に排除する必要があります。霞が関の埋蔵金というのは色々ここ1~2年大きな問題になってきましたけれども、そんな無駄を徹底的に排除するのは、同時に新たな税制のあり方であると思います。イコール消費税ではないです。やっぱり色々なことを考えて国民新党の立場としても、政治家が責任を持ってやっていくということは必要だと思っていますので、そういった意味で、少し長くなりましたけれども、今、非常に大きなテーマですから、持続可能な社会保障と、自賠責の安心・安全ということを、万が一のときの安心・安全ですから、そういった意味で5,900億円オーバーフローしているのに(料率を)上げるのはけしからんというお叱りだろうと思いますけれども、そういう事情もこれ勘案して、ひとつご理解頂けないかなというのが私の率直な政治家としての思いです。確かに皆さん方が言うことが筋は通っていますが、現実には非常に国の財政が厳しいというのもこれまた一面でございますから、そこら辺を含めて、決まったわけではございませんけれども、最終的には私の責任において(料率を)適切に決めさせて頂きたい。

今、一生懸命自賠責の審議会の方にご努力頂いておりますから、私が予断を持って言うことは大変失礼になりますけれども、そういうことを背景として考えて頂ければありがたいなというふうに思っております。

問)

5,900億円は保険料だというご認識はあるのですか。

答)

はい、そうですね。

問)

税金とは違うということですね。

答)

はい。申しわけないと思っていますよ。

問)

通信文化新報の古田です。

24日から通常国会が始まるのですが、郵政改革法案を何としても成立させねばならない局面に入ってくると思うのですが、ついては大臣、片山総務大臣とは協力関係とか色々な連携とか、法案成立に向けての話し合いとかというのは持たれたようなことはありますか。

答)

これは当然、総理からの指示の中にも、片山総務大臣と密接に連絡を取りながらということが入っていまして、実は日曜日の閣僚の勉強会のときにも片山大臣とお話をさせて頂きました。

そのときに片山大臣は、鳥取県知事でしたから鳥取の年賀状の出立式に行かれたようでして、鳥取の郵便局の事情を色々聞かれたようでして、私には、「自見君、郵便局というのは思ったより非常に今状況は厳しいのだね」ということを言っておられましたので、私は、この10年間で90兆円郵便貯金が減ったと。それから、8,500万口の簡易保険の口が4,000万口減って、4,500万口になりました。250億通の郵便はがきが50億通減って、200億通になったということを申し上げました。

それから郵便事業の方は、これは新聞発表でございますけれども、以前は1,250人採用したのだけれども、次年度はもう採用を中止せざるを得ない。そういう状態で、今、失業率は高い、あるいは大学の卒業生、あるいは高校の卒業生の内定率が低いといったときに、何が何でも5分社化の弊害がもろに出たところはありますから、やっぱり3事業一体で、金融サービスにもユニバーサルサービスといいますか、どういう田舎でも、また都市の中でも独居老人の方でも、きちっと郵政3事業というのは受けられるという最低限の国民の権利として受けられるというのを早く、今の新しい郵政改革法案で、私は何回も言いますように、今は5年前とは非常に時代が変わってきていまして、「郵政法案棚ざらしはむしろ国民利益に反する」ということを大きな民間新聞も社説で書いてくれました。今、片山大臣としっかり連絡をとりながらということでございますが、鳥取地方は雪が多く降って、片山大臣もお正月、出立式に行って閉じ込められたみたいです。そんなことを私と意見の交換をいたしました。

それは、しっかり綿密な連絡をとっていきたいと思います。そして、これは党派を超えて、やっぱり生活の話ですから、ぜひ色々従来各党各会派のお立場があったと思いますけれども、生活を守るということでぜひご理解を頂きたいということで、国民の方々が望んでおられますし、もう5年前と違って、国民の方々が望んでおられますし、強く要望しようと思っております。それから、この前フランスに行ってまいりまして、ラ・ポストのCEO(ラ・ポストというフランスの郵便の、政府と公法人が100%株式を持っているところのナンバー1)の方と1時間以上お会いしてきました。大変示唆に富んだ話がございましたけれども、ドイツとフランスは隣の国ですが、ドイツポストが民営化しまして、ツムビンケルさんという当時会長が、民営化の星だというようなことで、日本でも非常にもてはやされまして、小泉・竹中さんの時代に首相官邸の確か官邸カンファレンスにツムビンケル氏が呼ばれて、民営化の花だというふうに言われていました。当然、ドイツポストですから、フランスにもイギリスにも、またほかの国にも物流会社をM&Aで買収して、EUが合併して5億人の市場になったわけですから、ある意味では私たちは日の出の勢いの、郵政が民営化したらこんなに勢いがいいのだと(思いました)。欧州の各国を席捲する勢いだという話だったのですけれども、今度、ラ・ポストの最高経営者に聞きましたら、そのドイツポスト(のエクスプレス事業)が2008年から赤字になりまして、そしてドイツポストがM&Aでフランスに買っていた子会社もイギリスに買っていた子会社も全部売却したそうです。今、ヨーロッパ域内では、ラ・ポスト、フランスの郵便局が18%で、域内最高らしいのです。

そういったことで、実態というのは、私はスロー・アンド・ステディ・ウィン・ザ・ゲームという言葉を思い出したのですけれども、やっぱり郵便事業というのは、派手さはございませんけれども、アメリカでも憲法の中で、アメリカ国家が郵便事業をしなければいけないということは義務づけられていますし、アメリカ国民にも郵便事業を享受する憲法上の権利があるわけです。そういった意味で、郵便事業というのは近代国家において非常に大事なものですから、どういう過疎地であれ、田舎であれ、あるいは都市における独居老人にせよ、郵便サービスというのは基本的な近代国家の必要条件だと私は確信しています。

そういった意味で、ラ・ポストを見てきまして、ラ・ポストが今ヨーロッパ1位だというのを聞かせて頂きまして、私も正直言ってびっくりしました。当然、あの勢いのよかったドイツポストが今ごろヨーロッパを席捲しているのかと思いましたけれども、これはある意味で(エクスプレス事業が)赤字になって、全部フランスにM&Aで買っていた会社もイギリスで買っていた会社も全部売却したそうです。それで赤字になったということでございまして、今、ラ・ポストが18%でヨーロッパ1位なのです。そういうことを今度、フランスのラ・ポストの社長さんから聞かせて頂きました。社長さんから直接聞いた話でございますが、もう少し調べてみたいと思っています。そういう事情もぜひ皆さん方にヨーロッパの事情としてご理解を頂ければと思っています。

問)

質問は2点。1つは、消費税については論議することか大切というご発言もありましたけれども、今色々なものを見ていると上げる方向に議論が進んでいってもおかしくないような状況かと思いますが、実際上げるというふうになった場合に、これが連立の枠組み等に影響するというふうにお考えなのかどうか。仮定の話で恐縮ですがお答えください。

もう1点は、小沢一郎氏の問題が、国会でもかなり取り上げられると思うのですけれども、これが郵政法案や金融庁の関連法案の審議に与える影響等、どういうご所見をお持ちかお答えください。

答)

消費税の問題は、誤解がないように申し上げますが、3党合意では3党がもし政権をとれば、消費税はその政権期間中上げないというふうに明記してあります。しかしながら、税制ですから法律ができてから実行するまでは当然時間がかかるわけです。ですから、そういった意味で論議することまで私は禁止するのは、いかがなものかということを言ったわけでして、今から消費税の話をするわけですから、私は消費税に賛成だという立場ではございません。これはやっぱり国民の理解を得なければ、またましてや各党各会派のご理解を頂かなければできない法律だし、また得るべき問題だと思いますよ、こういう国民の生活にみんな関係がある話です。

しかし同時に、今これほど景気が悪いわけですから、こんなに景気が悪いときにさらに課税をして、それこそ私がいまさっき言いました第2次橋本内閣のときに、ちょっと景気がよくなったという判断で消費税を3%から5%にして、医療保険も上げまして、11兆円国民負担を増やしたのです。そうしたら、経済が下降線をたどりまして、北海道拓殖銀行、山一證券が倒産したという、痛い私の経験もございます。ですから、何も私は消費税賛成と言っているわけではなくて、そんなことを踏まえつつ、一方で、今度のギリシャショック、このアイルランド危機を見ても、大変国の借金が多いわけです。財政赤字ということは非常に国際的にも大きな問題になっています。

ですから、そういったことを踏まえて総合的に勘案せねばならないということでございまして、このことは誤解のないようにきちっと申し上げて、誤解があったらいけないと思いますので、それはきちっと私が消費税値上げに賛成と言ったわけではございません。やはり、そのことを話し合うということまで、禁ずるべきでないということでございますから、その点だけははっきりしておきたいと思っています。

それから、2点目の小沢さんの問題ですけれども、何回も言いましたように、民主党と国民新党は連立内閣でございますから、これはお互いに与党になる1年半前から、特に私は参議院でしたが、「民主党・新緑風会・国民新・日本」という統一会派を2年近く組ませて頂いて、さっき言った後期高齢者医療制度の反対法案も参議院では可決しました。それから、郵政民営化の株式凍結法案も参議院は通過したのです。

お互いにどうも小泉さんのやった新保守主義的な行き過ぎた市場原理主義といいますか、行き過ぎた規制緩和、行き過ぎた小さな政府論というのは、どうもやっぱり日本の地域を切り捨て、高齢者を切り捨て、地方を切り捨てるのではないかという認識を我々は持っていましたから、そういったことも一緒にやってきました。それに対するアンチテーゼといいますか、反対として我々は結束したわけでございます。

そういった意味で、やっぱり国民新党と民主党と長い間の歴史がありますから、小沢問題は大変国民の関心を呼んでいますけれども、これはあくまで民主党さんが解決すべき問題だということで、国民新党の副代表である閣僚である私が論評することは適当でないというふうに思っています。

問)

世界日報社の野村でございます。

市場原理主義、新自由主義のお話が出てきたところで、TPPというのは関税障壁あるいは関税を原則撤廃するということで市場原理主義、新自由主義そのものではないかという意見がございますけれども、私自身もそのように思いますが、TPPについての大臣のご所見をお伺いしたいと思います。

答)

TPP(環太平洋経済連携協定)も菅内閣としては今検討中ということでございまして、私は行き過ぎた市場原理主義がいけないのであって、それこそ貿易そのものは、日本国は貿易立国でございますので、いいことだと思っていますよ。新保守主義的というのは、行き過ぎることなのです。例えば、1万円持っていたらそれにレバレッジかけてこの原理で1万円を100万円の借金にしてバランスシートの上、資産を100万円持ってきて、1万円しか現金がないのに100万円借金して、バランスシートの反対側にも100万円持ってくるというカジノ経済といいますか、そういったのがアメリカのここ特に10年間、アメリカ・ウォール街の投資銀行を中心として、アメリカが金融を中心とした資本主義で、世界の一番強国はアメリカでしたから、世界を引っ張ってきたわけです。

それが一昨年破綻しまして、今大きな行き詰まりになり、金融というのは、実体経済が横から縦からきちっと助けるということで、これは何も自由主義経済、資本主義経済では変わらないことであります。孔子の言葉で、これは2,500年前から利の前に義がないといけないと。人を騙したり、人をごまかしてもうけていることはいけませんよと孔子が言ったということですけれども、やっぱりきちっと額に汗してまじめに経済活動をする、まじめにお仕事をするということを、私は尊いことだと思っています。

そういった意味で、やはり貿易というのは実物が動く話ですから、お互いに貿易で、世界が伸びてきたわけですから。私は貿易を促進することは、どこの国にとっても非常に大事なことだと思っています。ですから、まだ参加するとは決まっていませんが、何もTPPの精神が、基本的に新保守主義だとは私は全然考えておりません。

それからもう一つ、せっかくの質問ですから、日米貿易フォーラムにおいて米国側から、郵政関連問題についての提起があったと承知しているが、TPPの文脈ではなく、2国間の個別問題の一つとして提起されたものだということでございまして、これは新しいことだと思いますけれども、何かTPPの交渉の前提条件として郵政関連法案があるというふうにアナウンス(報道)されたこともございました。これは1月13日、14日、日米貿易フォーラムにおいて、米国からTPP交渉への我が国の参加条件として郵政関連問題が提起されたのではないかということが、しばらく流れていましたけれども、これは2国間の個別問題として提起されたものであって、そういうことではないということをお伝えしておきます。

どうもありがとうございました。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る