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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年1月21日(金)11時05分~11時42分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、閣議で規制改革のことが出まして、蓮舫(内閣府特命担当)大臣からも話がございました。これに対して鹿野(農林水産)大臣、それから私も同じ意見でございましたが、規制緩和、これは社会的規制と経済的規制がございます。鹿野大臣も言っておられましたが、タクシーの規制緩和を10年ぐらい前にしたわけでございますが、それまではタクシーというのは参入の規制をやっておりまして、人口が100万の都市であれば、大体何台ぐらいタクシーが必要で、それ以上のタクシーは基本的に認めないというのが、長い間の日本国の運輸省の行政でしたが、そんなお役人がお節介をすることはもうよいと。もう規制緩和をすべきだと。ある一定の要件を満たした会社は全部タクシー会社として認めるということになりました。

その結果、どういうことが起きたかといいますと、それは過度の競争になりまして、大体運転手の給料が10年間で3分の2に減りました。皆さん方タクシーに乗られて運転手に聞いたら、大体10年前に比べ、(給与が)3分の2になりました。それから、勤務時間は1.2倍になりました。この統計を当時の運輸省陸運局が出していました。それから、嫌なことに交通事故が2倍に増えたのです。

これは行き過ぎではないかということで、確か自由民主党政権の時だったかと思いますが、タクシーの規制緩和の行き過ぎだということで法律を変えました。民主党、国民新党の新しい政権での規制改革というのは、やらねばなりませんし、反対しているわけではないのです。経済的規制緩和というのはやるべきところはやる必要がございますが、そこは社会的規制緩和と英知を働かせないと、今言いましたように、何でも規制緩和がいいのだということでやりますと、結果、タクシーの運転手さんの生活が成り立たなくなります。

地方都市に行ってタクシーに乗られて、運転手の給料どれくらいか聞いてください。この前、私、松山に行きまして運転手さんの給料どれくらいか聞いたら、大体17万円といいます。17万円だと、今、男性が多いのですが、それだけではなかなか暮らしていけないわけです。(現代では)女性が働くことは非常に大きな流れですけれども、そのような状況だと、必ず奥さんが一緒に、働かざるを得ないというようなことを言われたことがございます。

極端な話を言いますと、私の一般的な感覚から言えば、大体タクシーの運転手できちっと飯が食えるのは東京の周辺ぐらいです。大阪に行っても厳しいです。私の北九州市なんて構造的不況ですから非常に厳しい。それもやっぱり規制緩和にあるわけです。

非常に強いタクシー会社はどんどんM&Aで大きくなりまして、中小(規模)の、大体20~30台(車を)持っている何十年続いていた伝統的なタクシー会社は、今ほとんどありません。規制緩和で大きなところは大きくなりまして、一番大きいところは、私の選挙区にある昭和35年に5人で始めた、タクシー会社が、M&Aにより今7,000台持っています。規制緩和をしたら、国民生活の安心・安全に本当に障害があって、あるいは今さっき言いましたようにタクシーの運転手さんの生活を破壊しかねません。

規制緩和というのは、なかなかここ10年から15年くらいずっと、規制改革会議を小泉さんの時につくりましたけれども、ある意味で、あれは恐ろしいことにもなっています。2004年の労働法の過度の規制緩和は、私は医者なので、27年前に(国会議員になって)最初に入ったのは社会労働委員会ですから、労働法制も少しは勉強したつもりでございますが、実は戦後、マッカーサーの時代に一番民主的な労働法があったのは日本国なのです。

それがずっと続いてきたのですが、規制緩和や労働者派遣事業法により(派遣期間制限のない業務が)26業務あったのだが、2004年、(派遣期間の制限が撤廃され)工場現場にも、産業の現場にも派遣社員を派遣していいということから、非正規社員が増えてきて、今、1760万人非正規社員がおるのです。ここには非正規社員の方は余りおられないかと思いますけれども、労働者の3人に1人は非正規社員です。50代になっても60代になっても平均所得は200万円です。以前、労働省に予算委員会で私は質問しましたけれども、(平均所得が)200万円です。

そういうところだと、3人に1人が非正規社員ですから、社会構造を直さないと、本当に非正規社員だと職業訓練なんかも、社内教育なんかもございませんし、これが今非常に大きな問題です。総理が郵政改革法案と労働者派遣事業法をきちっと今回の国会で通すというふうなことを1月4日にも言われましたけれども、そこを皆さんぜひ、色々な問題点はありますけれども、やっぱり行き過ぎた規制緩和というのは極めて大きく社会を変貌させるのです。我々はその恐ろしさと深刻さというのを知っています。

しかし、規制緩和によって非常に果実が大きくなった分野もございます。私の経験では、携帯電話です。信用されるかされないかは別にして、ミスター規制緩和といったら自見庄三郎なのです。実は携帯電話の料金を規制緩和して、今では3社体制になり、料金は社長が決めることになりました。社長が決めた後、紙切れ一枚、当時の郵政省、今の総務省に持ってくればいいのです。倒産するか否かは、民間のモバイル会社の社長のご判断によります。それによって大きくなりまして、この20年間で、一番大きくなったのは移動体通信です。あの料金の規制緩和をしたのは、私が郵政大臣の時にしたのです。そういったことには積極的に規制緩和していいのです。

実は昔は、電話機1台1台全部郵政省の外郭団体が検査をしていたのです。だけどもう今の時代に大手が携帯電話を作って、何十台に1台か何百台に1台とれればいいので、1台1台定期検査するという時代ではありません。そして、もう自分のところはよくない、消費者のニーズに合わない携帯電話を出したら、そこの会社は売り上げが落ちてしまいます。それから、今は色々なサービスをつけています。携帯電話3社で今、激しく競争しています。その基本は、明治以来電話料金は郵政大臣が決定しておったのです。それは許認可料金でしたけれども、それをやめて届出料金にしたのは私です。皆さん方信用しないかもしれないけれども、当時、ミスター規制緩和って、私は言われていたのです。

そういう規制緩和は積極的にすべきなのです。非常に大きくなりますから。そこら辺がきちっと政治家が英知をもって判断すべきだということを、今日私はちょっと長くなりましたけれども、規制緩和で鹿野大臣が言われましたのでお話しました。私は鹿野さんの意見に100%賛成でございまして、そういうことを言っておきました。

いずれにしてもきちっと規制緩和をオープンにして、蓮舫大臣もオープンにしてやると、全部オープンで何も構いません、オープンでやるということを言っておられます。これは引き続きやっていい、これは、そういう理論というか意見を国民に分かって頂いて、国民に、何か知らないけど、何かお役所が決めたよとか、政府が決めたよではなくて、やっぱり国民に参加して頂き、規制緩和していくことは、見える行政といいますか、正しい方向だと思って、民主主義社会においてより一歩、半歩進んだやり方だと思いますので、そのことは大賛成です。

蓮舫さんは、そのことを国民に見えるようにやると言っているから、その中でしっかり論議を交わしていくことはいいことですが、やはり何もかも社会的規制も規制緩和すればいいものでもないということも世の中にはあるのだということを、私は閣僚として申し上げてきました。

ちょっと長くなりましたが、以上です。

【質疑応答】

問)

来週からいよいよ通常国会が始まりますけれども、郵政改革法案について民主党の中で、さきの臨時国会に続いて総務委員会は色々法案を抱えているものですから、郵政改革法案の成立を確実にする上で特別委員会を設けて審議すべきではないかという意見も出ているようなのですけれども、この点について大臣どのようにお考えでしょうか。

答)

私も報道で郵政改革関連法案を特別委員会で審議するか否かについての記事を読みました。それは国会でお決めになることですから、行政(機関)の長として私がとやかく申し上げることは適当でないというふうに思っています。しかしながら、昨年度12月2日、民主党の岡田幹事長の名前によって、もう皆さん方に公表してありますけれども、次期通常国会で予算成立後、直ちに審議し、成立させるとの約束を改めてなされているものであり、それからもう一つ申し上げますと、1月1日に菅総理が140年ぶりに年賀状の出発式においで頂きまして、そのことを1月4日の初閣議で私はお礼を郵政改革(担当)大臣として申し上げたら、是非この郵政改革法案と労働者派遣事業法をぜひ通したいという決意を述べられまして、各閣僚もそれはよく心してやって頂きたいというふうなことを言われましたので、必ず次の国会では、私は、これは国民の生活の話ですから、過去には色々経緯・経過がございましたが、必ず理解をして頂いて、次期国会では約束して頂いたことでもございますし、成立されるものだというふうに私は信じております。

問)

フリー(ジャーナリスト)の岩上です。

今冒頭に、大臣、規制緩和の問題についてお触れになりました。TPP(環太平洋経済連携協定)が締結される、進んでいくということになりますと、農業に影響が出るのではないかということが懸念されておりますが、実はTPPは農業だけではなく、金融庁の所管になる保険とか金融関係にも影響は出るとも言われております。それ以外の様々な不動産業とか、色々な領域、業界に影響が出てくると思われますが、これらは、行き過ぎた規制緩和に相当するような事態を招くようなことになるのでしょうか。この辺、大臣のお考えをお聞かせ頂きたいと思います。

答)

菅総理も第3の改革だということを言っておられますし、私も菅内閣の一閣僚でございますから、そのことは了といたします。

ただし、私は何回も言いますように、政策というのは光があれば必ず影があるのです。しかし、大きい目で見て、日本国は多分硫黄以外の資源はない、自活できない国でございますから、他は全部、ほとんどのものがエネルギーから、鉄鉱石から、石炭から、もうありとあらゆるものを輸入に頼って、そして輸入せざるを得ない状況です。また、それを製品にして基本的に輸出する加工貿易をしている国でございます。

これは、日本の政治形態が、与党が野党になり、あるいは政治体制が変わっても、日本が150年前の江戸時代に鎖国をしまして、江戸時代250年間は3,000万人から人口が増えていませんけれども、ああいう時代をつくろうというのだったら別ですけれども、やっぱり1億2,500万人の、今は世界で一番長寿国家であり、そして(GDPが)中国に追い抜かれたという報道はございますが、それでも世界で2番、3番の経済的に大きな国でございますし、1人当たりGDPも3万ドルぐらいあり、アジアでも大変大きな国であり、世界でもG8・G20、これは三木(赳夫元首相)さんのときに(フランスの)ランブイエで(第1回サミットが)ありましたけれども、アジアでただ1か国、最初から加入した国ですから、大きな意味で、自由貿易によって大きな利益を得ている国ですし、それはそれぞれに今言われたように、色々な業界・団体に影響があると思いますが、そこら辺はまだ決めたわけではございません。

今、特に農業問題が非常に大事ですし、私は医者ですから、農業というのは生命産業だと昔から申し上げています。人間は、食べ物と水と空気があったら生命維持できるのです。150年前は、電灯もなければ、車もなければ、テレビも何もなかったのです。しかし、人間は文化を築きながらやってきたのです。しかし、食料品がなければ、天保の飢饉のように、生命として維持できません。ですから、やっぱり生命産業でございます。

しかし同時に、農業というのは一番大事な基本的な産業でもございますし、一番古い産業でもございます。なおかつ日本はアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア等々に比べて農地が狭く、大体平均(耕作面積は)0.9ヘクタールです。しかし同時に、日本は農業でも安全で非常に美味な農産物をつくる極めて高い技術もございますし、そういったいいところは、伸ばしていって、輸出しています。同時に農業というのは量も必要ですし、それから安定性も必要ですし、食料の安全保障と言われますように、いざとなったら食料がなければ、政治も成り立たないわけでございます。国の安全保障も成り立たないわけですから、そういったことを踏まえて、総合的に、農業については半年ぐらい、鹿野(農林水産)大臣はじめ閣僚挙げて、色々な団体のご意見も聞きながらやっておられるようですから、最終的には総理大臣、閣議で判断することかと思います。やっぱり大きい意味では、自由貿易というのをやっていかないと、「自由貿易というのは、自見さん、それは市場原理主義ではないか」というご質問頂きましたけれども、私が言いましたように、何も市場原理主義ではございません。適切な利潤を持って、きちっと輸出、輸入をやっていくということは今の経済の基礎でございますから。

そういった正しい意味での自由貿易、これは大いにやるべきでありまして、それをしっかりやってきたから、日本は焼け野原の中からこれほどの国家になれたわけでございます。そういったことをしっかり原点を踏まえつつやっていく必要があると思っています。

特にTPP(環太平洋経済連携協定)、農業の問題についてはよく言われますけれども、今、保険だとか、言われましたけれども、そういったことにしっかり目を配りながらやっていかせて頂きたいというふうに思っております。

問)

現実に保険問題に関してはどうですか。この影響はどのような形で出そうだと。また、その影響が看過できないような形で出る場合、どのような保護といいますか、例外的な措置とか考えていらっしゃいますか。

答)

今、保険ということのお話がございましたが、保険というのは国によってかなり保険のありようというのが違っておりまして、そこら辺を含めて専門的なことをしっかり勉強させて頂きながら、色々な皆さん等のご意見も聞きながらやっていきたいと思っています。

問)

フリーランスの高橋といいます。

先回、消費税の引き上げについて、約束違反だから反対だが、借金の問題もあるというようなことをおっしゃったかと思います。そこで1点確認させて頂きたいのですが、デフレ下で政府の債務を減らす場合、歳出を減らすのがよいと思われますか。それとも積極財政で景気をよくして税収を増やしていく方がよいと思われますか。

答)

国民新党の党の方針としては、綿貫先生や亀井先生の時代から積極財政をやるべきだという意見が、国民新党としては強いのですが、同時に、今現実的に債務の問題、これはギリシャの金融経済危機、あるいはリーマン・ショックを克服するために各国みんな財政赤字を抱えております。自由の国アメリカでも70兆円近い財政出動せざるを得なかったわけです。そういったことで、そこら辺はバランスをとって見ていく必要があるというふうに思っております。

特に今度、ヨーロッパとかアメリカにも行かせて頂きましたし、ヨーロッパでは今年G8、G20の議長国がフランスでございまして、特にEUでございますから、ギリシャもアイルランドも抱えておりますので、非常にそこら辺は色々な論議がございますので、世界の個々の国の状況も大事でございます。同時に、銀行は、市場が世界だという話を聞きましたし、金融の場合、特に、ヨーロッパの情勢が、すぐ日本の経済にも反映してきますから、まさにそういったことをしっかり注視しつつ、一概にゼロまたは1というふうな厳しい質問を高橋さんから頂きましたけれども、そこら辺はバランスをとってきちっと見ていく必要があります。いずれにしても、デフレを脱却することは非常に大事なことだと思っています。

問)

(報道があった為替)デリバティブの損失を受けた顧客に対する特例の融資を求めているということですけれども、行政が介入をするような分野なのかという疑問がありますが、事実関係と大臣の考えをお聞かせください。

答)

昨今の市場環境の急速な変化は、一昨年のリーマン・ショックで世界の金融市場、経済市場、急激な変化が来たわけでございまして、背景として為替デリバティブ契約等により影響が出た契約者から、金融庁に対して、多くの苦情が寄せられているところでございまして、こうしたことから金融庁としましても、中小企業と銀行が過去に締結した(為替)デリバティブの契約の状況を把握するため、中小企業との契約の状況や顧客との悪影響等の調査に取り組んでいる段階にございます。

これまで金融庁としては、デリバティブ契約で損失を受けた企業からの膨大な苦情を分析し、平成22年4月にデリバティブ販売に係る監督指針を改正したところでありまして、今後とも引き続き顧客保護上必要な事項については適切に対応していきたいというふうに思っております。

問)

融資をするようにというふうに求めたことや、そういう指導をするつもりはないということですね。

答)

それは、リーマン・ショック以前の契約に係る苦情が相当多いことですから、金融機関が自発的にとるべき対策について検討を(進めており)、基本的に自由主義社会ですから、自発的に採用すべきとるべき対策について検討を進めているところでございまして、こういったことを背景に、当局としても問題意識を持って金融業者との定期的な会合等の様々な機会を利用して意見を交換してきているところでございまして、これまでも金融庁としてもデリバティブ契約で損失を受けた企業からの相談・苦情を分析し、平成22年度4月にデリバティブ契約に係る監督指針を改正してきたところであり、今後とも引き続き顧客保護上必要な事項については適切に対応してまいりたいというふうに思っています。

しかし、顧客の金融商品取引において、損失を金融機関が補填することは損失補填ですから、これは金融商品取引法上、原則禁止されているところでございます。また、中小企業に対して本件についてどのような対応が考えられるかについては、現在、金融界との間で幅広く意見交換を行っているところでございまして、いずれにいたしましても、為替、デリバティブの問題に限らず、顧客からの金融取引に関して相談、苦情が寄せられている場合は、金融機関として誠実かつ丁寧に対応して頂く必要があるというふうに思っております。金融庁としましては、自由主義社会ですから、個別の紛争に介入することは適当でないというふうに思っております。しかしながら、中立的なADR(裁判外紛争解決機関)等の立場で解決を図られることが適切であるのではないかというふうに思っております。

問)

大臣が何か指示されたことはないのですか。

答)

そんなことはございません。

これは法律に則って、ADRというのは作るようになっていますし、そこで紛争解決ということをやって頂くということが適切だというふうに考えています。私が指示したことは、この問題についてはございません。

問)

中小企業の資金繰りについてなのですけれども、3月末に緊急保証制度が終了することで、町工場の方がかなり倒産する懸念を聞いてきました。これについて、今後具体的にどのような考えがあるかお聞かせ願えますでしょうか。

答)

これは保証の話ですから、所掌は経済産業省(所管)の信用保証協会の話です。当然、中小企業金融円滑化法は延長するということを、ぜひ次の国会に出したいということは申し上げたと思いますが、これは融資と保証という問題、信用保証協会の話であり、経産省は経産大臣が国会でも色々答弁しておりますので、今、密接に金融庁と中小企業庁が、連絡をとり合っていますので、適時適切に向こうは向こうの所掌がございますし、目的は今の経済をどうにかデフレから脱却させるということが非常に大事ですし、それからこの前申し上げましたように、中小企業は特にアジア、中国に進出するときに、積極的に政府としても、または経済産業省、財務省を含め、金融庁としても、JBIC(国際協力銀行)とかJETRO(日本貿易振興機構)(との連携)という話をしたと思いますが、積極的に応援をするスキームをつくって応援したいということで今申し上げております。また成長戦略の中にも、リーマン・ショック以降、非常に世界の経済は停滞しているところもございますが、アジアはその中でも非常にまだ好調な部分が多いわけでございますから、アジアの成長を日本の経済にも取り込むということが、非常に日本の経済の今後の運営にとっても大事ですから、そういった意味でこの中堅企業、中小企業が外国に進出しやすいようにぜひやっていきます。

そして、この前、たまたま日本貿易会の新年賀詞交歓会に出ましたら、貿易会というのは、日本の商社の集まりでございますが、私も20年前は通産政務次官をしておりましたので、色々商社の方にも知った方、当時古手の通産官僚のOBなんかでも知った人がおりますけれども、そういう話をしてみると、三井物産の会長が、「自見さんそれはいいですね」ということで、商社でも自分の系列の中堅企業、中小企業を外国に連れていって商売しようというふうなことをずっとやっているのだけれども、是非金融庁、あるいは経産省、あるいは財務省、JBIC、それからJETRO、そういったところと歩調を合わせてしっかり応援していくと言ったら、それはありがたいなという声も聞いておりますので、しっかりそこら辺と連携をとりながら経済の浮揚のためにやっていきたいと思っております。

問)

東洋経済の浪川です。

先ほど、質問が出た(為替)デリバティブに関してなのですけれども、どうもずっと取材していまして、損が出ているのは、圧倒的というか、100%非上場企業です。なぜかというと、上場企業にはヘッジ会計という会計制度が入っているので、決算期末には値洗いしなくてはいけないので、損失が一定限で終わるわけです。構造的に中小企業にヘッジ会計が導入されていないので、損失が繰り越されて、たまったからこういうことが起きているわけです。ということで、少なくとも中堅クラス(の企業)にこういう金融商品を売る場合には、大企業並みのヘッジ会計とかそういうのをきちんと導入するというような会計制度のあり方を検討なさるお気持ちはないでしょうか。

答)

今のところ、そういうご意見承っておきます。貴重なご意見ですから。

問)

フリー(ジャーナリスト)の岩上です。

大臣は、これまで就任以後、橋本政権時代の経験をたびたびお話しになってきて、不況下においてもし消費税を上げる、そうした国民負担を上げるということは逆に景気を腰折れさせることになるのだと、この経験を忘れてはならないという忠告を何度もお話しなられてきました。

にもかかわらず、菅政権は、増税の方向性を強めているように見えます。今回の内閣改造によって、増税論者である与謝野さんが経済財政担当大臣に入りました。かなり強引な起用だったと思います。年頭会見でも、財政再建を3つの柱のうちの1つに挙げると、並々ならぬ強い姿勢をもって増税の方向性を色濃く示しているように見えるのですけれども、大臣、改めてあの橋本政権の時代の経験を踏まえて、今現在の日本の経済状況で消費税増税は可能なのか、大臣はどのようにご見解をお持ちなのか、もう一度お聞かせ頂きたいのですが。

答)

非常に今、日本の経済全体的に本当に綱渡りの状態にあると思っています。景気が20年間のデフレ(経済)、10年間の停滞だと言われています。一方、財政赤字は非常に進んでいる、これは事実でございます。それから、少子高齢化による人口減少といった客観的要因がございますし、確かに橋本内閣のときに(消費税)3%を5%にする、それから医療保険も上げて11兆円の国民負担を増やしたら、北海道拓殖銀行が破綻し、山一證券が破綻したということを鮮烈に記憶しているのをしばしば申し上げたと思います。

国民新党の亀井静香代表も、昨日、何か財政再建イコール増税イコール消費税だという単純な思考でなくて、そこはディスカッションすべき時は、ディスカッションすべきだというふうに思っています。まだ、何も閣議ではそういう話はございませんし、最終的には亀井党首と菅党首の話を月に1回やるということが、両党で合意していますから、それから両党での政策合意もございます。それは連立政権のいい面でもございますから、そういったところはしっかり我が党の立場というのも主張していく方が、むしろ国民の論議を深めるためにもいいのだろうというふうに思っております。

問)

消費税は反対だということですね。

答)

そういうことでなくて、論議をすることがいけないということではないと思っていますよ。

問)

容認ということですか。

答)

容認ではありません。論議をすることは、いけないということではない。論議をすることは、自由だと思っています。むしろ論議をすることの方が、責任があると思います。

(消費税の)良し悪し、それから法律を作ってそれを実行する、実行しないかはまた別(問題)です。しかし、論議をすることまで封じてしまうことはいけないということを、この前申し上げたつもりでございます。

どうもありがとうございました。

(以上)

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