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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年1月25日(火)11時20分~11時50分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

本日、「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出させていただく運びとなりました。本法案は、本年3月末に期限を迎える中小企業金融円滑化法を1年延長するものであり、現下の厳しい経済情勢のもとで、我が国の経済の支柱である中小企業の資金繰りを支援するための重要な法案であるというふうに考えております。したがって、今後国会において早期の審議・成立を図っていただきたいというふうに考えております。

また、金融機関による貸付条件の変更等に際しては、金融規律も当然考慮し、実効性のある経営再建計画を策定・実行することが重要でありまして、金融庁では法律の延長とあわせて、私が何度も申しておりますように、金融機関が持っているコンサルティング機能の発揮を促進するための監督指針の改正等を行うこととしております。

このほか、これまでの中小企業金融円滑化法の施行状況に鑑み、金融機関の事務負担の軽減を図る観点から、開示・報告資料の大幅な簡素化等の改善を図ってまいります。これは、実際現場の声を聞いていますと、金融庁に出す資料は非常に多いということを聞くものですから、私から強く指示をいたしまして、開示・報告資料の大幅な簡素化の改善を図ってまいりたいと思っています。

金融庁といたしましても、こうした施策を通じまして、引き続き日本の企業の99.7%を占めております中小企業等の金融の円滑化に全力を尽くしてまいりたいというふうに思っております。

もう一点は、金融審議会委員改選公表でございますが、まず金融審議会については、本年1月24日付で委員の任期が満了したことを受けまして、新たな委員が任命されたのでご報告をします。新しいメンバーについては、お手元に配布しておりますPDF名簿をご参照していただければありがたいと思っております。

金融審議会については、金融庁設置法におきまして、その存在が義務づけられております。これまでの委員の方々の任期が今年満了を迎え、新委員を任命するに当たり、審議会のあり方やメンバー構成について検討してまいりました。

その結果、金融審議会は、政務三役を中心とする金融庁の政策判断に資する検討、専門的な観点から行う諮問機関であることを明確化するとともに、委員につきましても、大幅な見直し・縮減を図ることといたしております。

今後のスケジュールにつきましては、3月中を目途に総会を開催すべく準備を現在進めているところでございます。

私から申し上げるところは以上でございます。

【質疑応答】

問)

今の金融審の関係でちょっと確認なのですけれども、金融審議会は民主党政権下において、その役割、位置づけが異なってきたと思うのですけれども、今後この金融審議会が政策決定に置いている中心的な存在になっていくと、今までの民主党政権の1年ちょっとの役割とまた異なってくるという理解をしてよろしいのでしょうか。

答)

政権交代をしたわけですから、政務三役が中心ということでございまして、政権交代をしたからには、審議会の各種あり方というのは当然変わってくるというふうに私は思っております。今後の金融審議会のあり方については、政治主導のもとで、政務三役を中心とする金融庁の政策判断に資する検討を行う諮問機関であるとの位置づけに沿って、その時々の具体的な政策課題についてご論議頂きたいと考えております。またその際、個々の具体的な政策課題に関する検討のあり方としては、当該課題に関するワーキンググループを設けて、審議会メンバー以外の有識者の方々にも参画していただきまして、柔軟かつ機動的に、そして深度のある専門的な調査・審議を進めていただくこととしたい、というふうに思っております。

問)

あくまで政治主導の政策決定の担保はされているという認識ですか。

答)

そうです。大事な点は今申し上げましたように、色々な専門的な問題につきましては、金融をめぐる問題の中には、金融法制全体の整合性、それから継続性を踏まえつつ必要に応じて、特に国際的な論議も鑑み、専門的な見地から一定の期間をかけて討議・討論することが必要な課題も当然ありますので、そのような課題の検討を行う場として金融審議会が適当だというふうに考えております。

問)

通常国会が昨日招集されました。政権の目下の最重要課題として、年度内の予算成立、予算関連法案の成立があると思います。ただ、参議院がねじれている中で、かなり苦境に立っているということも事実だと思います。この状況を打開するため大臣はどういった国会運営が必要か、ご所見を伺えればと思います。

答)

私は行政(機関)の長でございますから、国会運営は三権分立の立場から、各党・各会派のご指導によるところがあるというのが、議会制民主主義の基本的な姿であり、立法府の各党・各会派にお願いをするということが基本でございます。

金融庁としては、今申し上げましたように、中小企業金融円滑化法案、これは、野党からも結構延長含みの質問が出ておりましたし、そういったことで、やはり大事なことは、私ももう26年間国会議員をさせていただいておりまして、与党と野党とを交互にかわりまして、衆議院と参議院とかわりましたが、与党でも野党でも、国民生活が一番ということは変わりがないわけですし、今の憲法でも、憲法の前文の最初に、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」というようなことが、書いてありますので、そういったことで選んで頂けた国会議員の責務を、与党と野党という立場もありますけれども、それ以前に衆参の国会議員でございますから、当然、国民の生活あるいは国益を守るために国会議員に選んでいただいているわけですから、一致点というのは見いだせるものだというふうに思っております。

そういった意味で、金融庁といたしましては、中小企業金融円滑化法案、それから新成長戦略の実現に向けての金融関係の規制緩和を中心とした諸施策の実行に必要な法改正を一括して行う、また住専債権の回収業務を円滑に終了するための措置等を講ずるための法案の国会提出を目指して現在検討しているところでありまして、これらの法案を早期成立に向けて全力を挙げてまいりたいと思っております。

もう一つ、私は郵政改革担当大臣、国務大臣でもございますので、郵政改革関連法案については、郵政民営化すなわち5分社化によって生じたロスというのもございまして、非常に経営状態は脆弱になっているということを私も何回も申し上げていると思います。

約10年間で260兆円あった郵便貯金が90兆円減りまして、10年間に3回経営形態を変えましたので、多い月には一月に1兆円の郵便貯金が流出いたしました。それから、簡易生命保険、これは大正時代に作った制度でございますが、これが12年前、私が郵政大臣をやらせていただいたときがあったのですが、このときは8,500万口あったのが、今4,000万口減りまして4,500万口ということで減少いたしております。郵便ははがきを含めて250億通あったのが、電子メールとか、Eメールの発達もございまして、約50億通減少しまして、今年もやっぱり200億通ということでございました。そういった非常に厳しい状況になっておりまして、やはり経営の基盤が脆弱化しておりまして、そういった意味で、複数の全国紙、有力紙が郵政民営化について「郵政改革法案をたなざらしにすることは国民利益に反する」と(いう論調に変わっておりまして)、5年前はほとんど一色、郵政民営化大賛成というような論調が多かったと記憶しておりますけれども、今はやっぱり時代がそういうふうに変わっております。

また、郵便局長さんに遅配、誤配のことのクレームを持っていっても、5分社化でございますから、郵便局長さんは郵便事業会社と関係がないわけです。郵便局長さんに言っても「遅配、誤配のことは全然別会社のことですから、私は分かりません」と言われるわけです。一般の国民からしたら、明治以来、郵便局長さんといったら郵政三事業の責任者だというのは、国民の半分の常識でして、そんなことを言われたら、当然利用者の方、利便者の方が怒ります。

それから、また昔は、郵便、貯金、保険、3事業の共同担務といいまして、3事業一体でやっておりましたから、郵便配達をしてくれる方に、特に田舎、過疎地の独居老人、また名古屋等大都会の中でも、今お一人で暮らしておられる独居老人は大変多いのですけれども、そういった方が「郵便貯金にお金を入れておいてよ」と言ったら、昔は当然ですが共同担務でしたから、それは郵便配達の人が持っていってくれたというのが、明治以来の一つの、まさに国民生活の中に根づいた簡便な郵便の文化だったのです。そういったことが、今の5分社化の中ではでき得ないと、あるいはできるにしても極めて現実的でないというようなこともございますので、郵政改革法案を閣議決定して、前の国会でも継続案件でやらせていただいたわけでございます。郵便事業サービスの利用者の立場に立って、郵便局で一体的に利用され、全国で公平に利用できることを確保するため、民主党の幹事長名の書面により次期通常国会、予算成立を直ちに審議し成立させることとするとの約束をいただいております。私も国民新党の副代表でもございますので、今度こそ、必ず成立させていただかなければ、国民の皆様方に申しわけないというふうに思っております。

以上でございます。

問)

東洋経済の浪川です。

前触れもない質問なので、ここで答えていただかなくて次回のときに答えていただいても結構なのですけれども、(日本)政策投資銀行に関しての質問です。リーマン(ショック)の後に、株式の放出が凍結されています。つまり、民営化プロセスがとまっているわけですけれども、11年度末をめどにどうするかを検討するということになっていると思います。

あれは前の政権の時だと思うのですけれども、現政権は今凍結している政策投資銀行の民営化というものを今後どういうふうにしようと考えているのかがはっきりしません。つまり、凍結したまま郵政と同じように見直しをしていくのか、あのときの凍結というのは、リーマン(ショック)の後の大混乱に伴ったものだったと思うのですが、それが解消されたということであれば、民営化プロセスに戻すと考えているのか、その基本的な考え方を、今でなくて結構です、次回までにちょっと教えていただけたらありがたいと思います。

答)

次回までにしっかり勉強しておきますけれども、その話は今日閣僚懇でも実はそれに近い話が出まして、今、菅総理がベトナムに原子力発電所を売り込みに行ったということを、確か国会でも言っておられましたが、そういったときに、良し悪しは抜きにしまして、今は他の国の大統領や首相が先頭になって、韓国やシンガポールにしても、今のリーマン・ショックの後、特に「官から民へ」ということで、官はけしからぬと、全部経済というのは民に任せた方が一番効率的で、金やマーケットが中心で、公的権力はあまり口を出すなというのが、3年前のリーマン・ショックのときまでの大きな流れでございました。

すなわち民に完全に任せ、金融の場合は規制もあまりなく、自由に任せておく方が、富が大きくなって、富も一番必要なところに流れていくのだというような一つの思想がありました。これは新保守主義だとか新自由主義だという一つのミルトン・フリードマンを中心とする、30年ぐらい前のアメリカに発生した思想で、特に米ソの冷戦構造の後、そういう官から民へ、市場原理主義と、あるいは小さな政府といったような、政府はお節介を焼くな、自分たちは自分たちで決めるのだといった、大きな流れがあったわけです。

それが、3年前のリーマン・ショックで、私はそういった考え方が本家本元のアメリカにおいても、やっぱり破綻したと(思いました)。金融機関、投資銀行が自分の企業の中ですらリスクをカバーできなかったところが、この前アメリカで一番大きな民間の生命保険会社が、政府からお金をいただいて株を買ってもらっていましたけれども、これは返したようですけれども、世界で一番大きな民間生命保険会社をそういった、マネーゲームの保証をしていたというようなことで、アメリカ政府が、全部国有化をせざるを得ないとなったのです。

それから、ゼネラルモーターズについて言いますけれども、20世紀最大の企業は何かといえば、20世紀というのはやっぱり車の時代です。アメリカのハイウエー、そしてゼネラルモーターズ、キャデラックとありますが、その中でも一番のシンボルは、ゼネラルモーターズです。それが、その株を70兆円ほど、アメリカの政府が買わざるを得ない。オバマさんだって景気対策をせざるを得ないことになっています。それでもアメリカは非常に今、失業率がまだ高いわけです。

そういった状況でも、私は(今の状況を)もう何百年かに一遍の非常に大きな資本主義の変化というものを、パラダイムシフトといいますか、1929年のときのウォール街の大恐慌の後、世界の経済は全部ブロック化して、それが第二次世界大戦の遠因になったということを申し上げましたように、それに匹敵するか、あるいはそれ以上の、今変化の真っただ中に我々はあると思っています。

ですから、私は最初から申し上げておりますように、官民のベストバランスが大切だと思っています。民が絶対いいのだと、あるいは官が絶対いいのだというのは、私はどちらとも行き過ぎだと思っています。官が全部いいというのであれば、これを逆に言うと親方日の丸になって、それから言うなれば社会主義経済、共産主義経済が崩壊したように、効率性だとか能率性の面で劣るところもございます。しかし、今度は民だけがすべていいのだというと、この前のようなリーマン・ブラザーズのショックが起こります。特に日本の場合、150年近代化をしてきて、日本国を作ってきたわけです。65年前は、まさに国破れて山河ありで、310万人の国民を(戦争で)失いましたし、それから明治以来アジアでたった一つ近代化をした国家としては60%の国富をなくしたわけです。それから66年間ですけれども、この前、(GDPが)中国に追い抜かれた等々は言われながら、世界第2位の経済大国を作ってきて、人の寿命も世界で一番長く生きる国というのは日本国なのです。

そういった、20年前までは、1億総中産階級的な国家を作ってきたわけですが、3党合意にも書いていますように、小泉・竹中さんの改革によって、社会的、基本的な構造がすべて「官から民へ」競争して、その中で成功する人はいいけれども、成功しない人は、自己努力が足らないのだと、そういったことで、地方も高齢者も切り捨てられていくという社会を私は非常に危惧しているのです。それは高齢者あるいは地方の疲弊につながりますし、国民のそれを変えてくれという声が、私も実際、選挙の与党の幹事長をしましたから、あのころはそういう声が大変強かったです。

政権交代して、必ずしも十分ではないとお叱りをいただいておりますけれども、そういったことを考えたら、官と民とのベストバランスということを考えて、今、世界中がそういう流れですし、大きな歴史の流れというのはありますから、歴史の流れに棹さして日本国だけは生きていくというわけにいきませんから、やはりそういった意味で、世界の歴史が今大きく動いていることを、私はアメリカ、中国、ヨーロッパに行ってきまして実感していますので、そんな中で、政府系の政策金融機関を考えていくべきだというふうに思っております。

具体的には、政策投資銀行は色々ありますけれども、私は、当時の政調会長でもありましたし、この政権が作った3党合意が基本だというふうに思っております。

誤解がないように言っておきます。行き過ぎた規制緩和、行き過ぎた小さな政府、行き過ぎた市場原理主義がいけないのだと思っております。私は中小企業がしっかりアジアに、特に中国の中へ出ていきたいと思っております。金融庁と財務省と経済産業省、3省力をあわせてJBIC(国際協力銀行)、あるいはJETRO(日本貿易振興機構)、あるいは地方銀行、地銀協、場合によっては日本貿易会、そんなところと力を合わせて、特に日本の経済はやっぱりデフレ脱却ということが大事ですからやっていきたいと思っています。日本のやる気のある中小企業、外国に行きたいといってもなかなか行けない企業に行って貰いたいと思っています。もう私も国会議員を26年間しています。通産政務次官も21年前にしていますから、やる気があっても新たな外国に行くと、手なれた金融機関がないし、あるいはどういったところに商機があるか、ビジネスチャンスがあるか、それはなかなかそう簡単ではないのです。しかし、そういったところで、それはまさに官民ベストバランスが重要であり、そういったところで、日本国の官が養ったJBICにしてもJETROにしても、そういうところがしっかり応援体制を整えろということで、今度やりますけれども、思想の一環だというふうに私は考えております。

問)

ご高説の後に重箱の隅を突くようなことをお聞きしますが、今日の閣議でお話があったというのは、政策投資銀行についてですか、JBICですか、それとも政策金融全体についてですか。

答)

これは政策投資銀行ということで、他の大臣からもJBICの話が出まして、基本的にそういう話、系統的・統一的な話ではないのですけれども、閣僚懇でそういう話が出ておりました。やっぱり、そこのところをきちっとやらないと、うまく海外に進出できないとか、あるいは日本の企業が海外に進出するときに、基本的にそこら辺が大事ではないかという意見がベテランの大臣から出ていました。

問)

では次回、お答えを待っています。

答)

はい、どうも。

問)

今朝なのですけれども、下地(国民新党)幹事長が小沢さんの証人喚問について、国民新党として反対だという方針を民主党の国対委員長の方にお伝えになったというふうに伝えられているのですが、この点について何かありますか。

答)

私はその話は、実は今初めて聞きました。ただし、私は申し上げておりますように、民主党と連立を組んでいまして、基本的に民主党の内部の話ですから、私は(国民新党の)副代表で閣僚でもございますから、民主党のことについてはノーコメントだということを私はずっと貫いております。お話して頂いた通り、私は閣僚でもございますから、それは、党で色々な判断があるのかもしれませんけれども、その話は私は聞いておりませんので、やっぱり私としては、政党というのは内部の自治が大事だと思っております。お互いに連立を組んだ、他の政党のことを私の立場でとやかく言うことは適当でないというふうに思っています。

問)

預金保険料の話なのですけれども、金融機関が預金保険料を払っておりますが、引き下げの機運があったものが(日本)振興銀行の破綻により、このまま今の料率を維持する方向であるという見方が出ているようですが、現時点でのお考えはいかがでしょうか。

答)

預金保険料の話でございますが、平成22年度の預金保険料は、21年度末現在、欠損金が生じているという預金保険機構の財務状況等を踏まえ、これまでと同様の料率0.084%とされたと承知しておりまして、今ご質問の平成23年度以降の預金保険料については、預金保険機構の長期的な財務状況に加えて、現状及び将来の我が国の金融システムの安定化、また金融機関の負担能力、過度の負担の回避等を総合的に勘案して、預金保険機構や財務省と十分調整をしてまいりたいというふうに思っております。

今ご質問がございましたが、平成23年度の預金保険料の検討に当たっては、納税者の負担とならない破綻処理制度の構築を求めることは非常に大事です。どこに行きましても、アメリカでもフランスでも、特にどこの中央銀行の総裁も財務大臣も、預金者・納税者の負担によって破綻した金融機関を立て直すということは非常に、特にアメリカなんかは、強いアレルギーがありまして、今度のG8、G20の議長はフランスでございますが、フランスのラガルドさんという財務・経済・通商大臣、日本で言うと財務大臣と経済産業大臣を兼任したような女性の大臣でございますけれども、この人と話したときも、当然、民主主義国家において、納税者の負担とならないような金融破綻処理制度ということを非常に言っておられました。ですから、そういった国際的論議や、今お話のございました日本振興銀行の資金援助に伴う費用等を考慮する必要があるのかなとも考えております。

(以上)

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