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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年2月15日(火)10時30分~10時56分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、特にありません。

【質疑応答】

問)

日本郵便、日本郵政グループの郵便事業会社ですけれども、こちらが3月末までに数千人規模で非正規社員との契約打ち切りを検討しているということなのですけれども、一方で日本郵便の方は亀井前大臣の肝煎りで、これまで非正規社員の正社員化というのを進めてきていまして、これは年末には6,500人を正社員化しているわけですけれども、こういった政策と今回の措置との整合性という点について大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

そのような報道があったことは私も承知しておりますが、1月28日に(総務省に)提出された収支改善施策については、総務省が検証しているものと理解をしております。

一般論としては、郵便事業会社については、厳しい経営状況で、今後、しっかりとした業務改善に取り組んでいく必要があると認識いたしております。

いずれにいたしましても、郵便事業会社を含む日本郵政グループの事業環境は、引き続き厳しい環境が続く中、将来にわたって、郵便・貯金・保険のユニバーサルサービスを、税金を投入せずに実施してもらうためには、経営陣をはじめ、全職員の一層の努力が必要であり、政府としてはそれを後押しする意味からも経営の自由度を上げる必要があると考えております。今国会の継続案件となっております郵政改革法案(に関して)一部の全国紙、あるいは複数の新聞社でございますけれども、社説で「この郵政改革法案たなざらしは国益に反する」というような社説を書いて頂いたところもございます。

5年前は、郵政改革に反対し、私自身も選挙に落ちましたが、新聞やほとんどのマスコミは小泉内閣、竹中さんの構造改革の1丁目1番地としての郵政民営化に賛成だったというふうに記憶いたしておりますけれども、そういった新聞社説の変化もあり、そういったことを踏まえて、ぜひ各党、各会派色々なお立場の流れはあると思いますけれども、やはり郵便貯金あるいは保険というものはまさに生活の一部ですし、生活インフラの基本でございます。僻地・山村に行きますと郵便局がなくなるのではないかということを私自身もよく聞かれますけれども、そういった不安をなくすようなことをきちっと保障するような金融サービスを広く受けられるよう5分社化ではなくて、今出している(法律案で)方法(である3社体制に再編する必要があります)。

それからよく申し上げますように、この前、直接聞いた話でございますけれども、独居老人が名古屋の真ん中でも、運転もできませんし、もう足もご不自由になったおばあちゃんから、今までだと「郵便配達の方に貯金を預けてきてくれ」と(言えたのですが)、そんな方にとっても、今の法律では5分社化でございますから、1人の郵便局員が郵便事業会社の社員であれば、郵便、手紙、葉書を配達するだけでございます。以前のように、郵便貯金のお金を預かってきて、それを郵便貯金に入れてあげるということ出来ないわけでございます。そういったことを総合担務と申しましたが、そういった意味でも、これは明治以来の一つの社会のインフラでもございまして、なおかつ私が色々申し上げましたけれども、高齢化社会に向かって、世界でも郵政事業というのは共通の政策の一つでもございます。5年前に色々郵政選挙、小泉劇場と言われました中で、色々な各党・各会派の立場があったと思いますが、小異を捨てて大同に就くことを考えて頂いて、ぜひご理解をして頂きたいということを、この法律(案)を提出した郵政改革(担当)大臣として強くお願いしたいと思っております。

それから、3党合意ということでございますが、一昨年、歴史的な50年ぶりの政権交代したわけでございますが、50年ぶりに政権交代した8月末の選挙の2週間前の8月14日に、民主党、社会民主党、国民新党でこの衆議院選挙に当たって共通政策というものを出したわけでございます。今、国会ではよく民主党のマニフェストが問題になりますけれども、これは、もしこの衆議院選挙で3党が勝たせて頂ければ、このような事だけは、きちっと共通の政策としてやりたいということを、国民の前に出した共通政策でございます。私は自分でスーパーマニフェストと申し上げているわけでございますが、その中でも郵政事業の抜本的改革として、1点は株式売却を凍結するということと、あまねく公平に郵政3事業を国民が享受できること、それから3事業の一体的なサービスすなわちユニバーサルサービス(を受けられるようにする)、ということを言ったわけでございます。(3党合意の)5番目(の項目)に雇用対策の強化、労働者派遣法の抜本改正ということがございまして、「男女、正規・非正規間の均等待遇の実現を図る」ということが書いてあるのです。

今でも1,760万人、日本で働いている人の3人に1人は非正規社員でございます。一昨日もテレビを見ていますと正規社員、非正規社員が色々とディスカッションをやっていましたけれども、これは非常に大きな問題でございまして、これを、どのように解決していくかというのは、今、日本国に置かれた非常に大きな課題というよりも、学者の中には、中国・インドの興隆は先進国における中産階級をすべて没落させるでしょうというふうな説を唱えている政治学者もいます。しかし、そうは言っても、国の中から移動できない事業も色々あるわけです。確かに工場を海外に移転すれば事足りるという業種もございますが、国内から海外に移動できない事業、例えば医療なんかはまさに移動できないわけです。

そういった意味で、そこは非常に今日的な課題だと思っていますが、私は参議院の予算委員会で質問させて頂いたときにも発表させて頂きましたが、韓国では、中小企業で非正規社員を正規に変えたら二十数万円税額を控除するという制度を作っております。そういったことも含めて、先進国におけるワークシェアリング等々、他の国でもやっていますが、そういったことを真剣に3党合意の6つの中の1つに当然雇用の形態ということを入れたわけですから、今の連立政権において、そういったことはやっています。

派遣事業法の改正ということが今政権の大きな課題になっております。特に国民新党は、郵政事業の改正と労働者派遣事業法の改正ということを強く言っております。経営者が、不景気になったらリストラを増やして人件費を下げれば、当然一時的には事業は回復します。そういった人たちは名経営者だと言われた時代もございましたが、結局、リストラしますと、あるいは正規社員を非正規社員にしますと人件費減るし、確かに一企業の目先の利益は改善するのですけれども、しかし一方で、リストラされた雇用者、あるいは非正規化された労働者は所得が減りますから個人消費に響いてきて、これがマイナスのスパイラルになりますと、自分の企業は確かに利益があるけれども、社会全体としては、経済が縮小均衡に入っていくという現象がございます。

そんなことも、政治家ですからしっかり目に入れつつ、この問題に関して、政府が株を100%持っていますから、亀井静香前大臣が、「非正規社員を正規社員にしなさいと。」そういったことを言われたというのは、基本的に政権交代したときの一つの理念であり、私もそれを引き継いでおりますので、そこら辺に重きを置きながら、しかし同時に、やはり企業体ですから色々な改善をしていかないといけません。

ただし、この前、政府で、質問(主意)書の答弁書を作った訳でございますが、郵政に関するある国会議員からの質問(主意書)でございますけれども、その答弁書の中で、「同社(JPエクスプレス(株))は、日本郵政株式会社の旧経営陣の主導により、平成19年10月5日に日本郵政株式会社と日本通運株式会社との間で締結を得た基本合意書に基づき設立されたものであるが、会社(郵便事業株式会社)は当該基本合意書の締結についてその直前まで知らされていなかったことが、総務省において平成22年1月12日から同年5月17日にかけて開催された「日本郵政ガバナンス検証委員会」において明らかになっている。会社としては、平成22年度中間決算及び同年度通期見通しにおいて明らかになった厳しい経営状況について改善を図ることが急務であると考えていると聞いている。」というふうに書いてありますように、そういったことを、これはいわゆる日本通運からペリカン便というのを日本郵政株式会社が引き受けたということは、基本合意の時に、実際事業をする郵便事業株式会社には直前まで知らされていなかったということ、ガバナンス検証委員会で言ったことを政府が正式にきちっと認めているわけです。そういったことにも、非常に関心を持っております。

問)

今回の措置ですけれども、非正規社員の正規化を進めたことで労働コストが高くなった分、それに漏れた非正規の方が切られると。いわばワークシェアリングの思想とはまさに逆のような措置であるように見えるのですけれども、大臣はそのあたりどうお考えでしょうか。

答)

それは今さっき言いましたように、非常に今の社会で、先進国が遭遇しているなかなか奥の深い問題です。ですから、そこら辺も含めてきちっと、基本的に経営は我々官庁がコメントすることではなく、株式会社にしたわけでございますから、与えられた条件の中で経営陣が最大限の努力をしていくということが大原則でございまして、これは今のところ政府が100%株式を持っていると言えども、これは株式会社でございますから、株式会社の経営陣が責任を持ってそこら辺の色々なことも勘案し、解決していく問題だと思っております。

問)

今の問題なのですが、郵便事業会社はしっかりした業務改善が必要であり、この中で経営陣の方が雇い止めを判断されるのは仕方がないのだという理解でよろしいのでしょうか。3党合意の中で、正規・非正規の均等待遇の改善というのが盛り込まれているというお話もあったのですが、この2つのお話は若干方向が逆のような気がするのですけれども、もう少しお願いしていいでしょうか。

答)

私は、総務大臣ではございませんから直接の所掌ではございませんけれども、少なくともこの3党合意を結んだときの国民新党の政調会長でしたから、そういう問題意識は強く持っています。

問)

ファクタの阿部と申します。

前々回の大臣の会見で、日本振興銀行の検証委員会について2月(いっぱいを)目途(に公表する)というおっしゃい方をされたのですけれども、金融整理管財人である預金保険機構は4月25日までに譲渡先を決めるということで、検証委員会は多分1回か2回会合をやったところで振興銀行の譲渡先が決まってしまうわけです。そうすると、要するに検証委員会の結論というのは、譲渡とは別に行われる。つまり、検証委員会では、竹中平蔵(元)金融担当大臣のときに振興銀行に対して銀行免許を出したことの是非を問うのではないかと思うのですけれども、それは譲渡先が決まった後にその結論が出るというのは、順番としておかしいのではないかなと。その点についてお伺いしたいのですけれども。

答)

第二承継銀行への事業譲渡後においては、預金保険機構が金融(整理)管財人として、また不良債権を譲り受けたRCC(整理回収機構)、これは預金保険機構の100%子会社で、このRCCにも引き続き必要があれば、刑事上、民事上の責任を追及する権限がございますが、それが回収業務を進める中で日本振興銀行の旧経営陣等の責任追及を引き続き厳格に行っていくという本質は変わりません。民間への譲渡先が決まるわけではなく、あくまでブリッジバンクでございまして、RCCに行く分もありますから、8か月間ルールというのもあると聞いておるわけです。そういったことで、そこで責任追及が終わるというわけではないと思っています。

問)

私の伺ったのは、責任追及は別途あるのですけれども、検証委員会の結論というのはどういう形で行政に反映されるのかという点についてです。

答)

それは、私は最初から申し上げておりますように、検証委員会の方々が明鏡止水な気持ちで決めて頂くことでございます。私は予断を持たず、きちっと納得のできる人が、納得のできる結論を、どういうふうに出されるかは検証委員になられる方々のご判断でございますから、今の段階では、最初から申し上げておりますように金融というのは非常に信頼が大事ですから、信頼を取り戻すためにこういうことを作るわけですから、私はどういうことになるのか、今主務大臣としての予断は一切持っておりません。

問)

もし検証委員会の結論が銀行免許の認可は正しくなかったという結論になった場合に、その銀行が既に譲渡されていたら、そういう結論は譲渡先にどういうふうに反映されるか。銀行免許は取り上げということになるのですか。

答)

私はそういった一切予断を持たず、仮定の問題に今お答えするのは適当でないと思っています。

問)

金融タイムスの大嶋です。

為替デリバティブなのですが、損失を受けた企業の数とか、損失を受けた理由とか、今後公表する考えがあるのかどうかということと、それによって行政処分というのも今後あり得るのでしょうか。

答)

ここで為替の変動が起きましたから、非常に損失を被った中小企業が、色々な苦情を金融庁に直接持ってきているところも事実でございます。しかしながら、これはあくまで金融庁といたしましても、デリバティブ契約で損失を受けた企業からの相談・苦情を分析いたしておりまして、平成22年にデリバティブ販売に関わる監督指針を改正してきたところでございますが、今後とも引き続き顧客保護上必要な事項については適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

なお、金融庁としては、前回の会見でも申し上げたと思いますが、個別の民事の紛争に介入することは適当でなく、中立的なADR(裁判外紛争解決機関)の場で解決を図られることが適切だというふうに考えております。

損失補填とか非常に微妙な問題に絡んだこともございますし、そういったことが大きな問題になったこともございますから、これは公平公正に個々の民事の紛争に介入することは適当ではないというふうに私は思っております。

あのとき、確か金商法の中にこのADRを作るということをきちっと法律上設置を義務づけてあるので、ADRということで解決を図られたという経緯がございますから、ADRの場で解決を図ることが適切であるというふうに思っております。

問)

保険銀行日報の片岡と申します。

今の金融ADRに関連するのですが、昨日、金融トラブル連絡調整協議会が開かれて、金融ADRの運用状況についての報告があったのですが、その点に関して大臣から何か感想をお願いします。

答)

昨日、当庁で行った金融トラブル連絡調整協議会において、今言われたように金融ADR制度が本格実施された昨年10月以降の3か月間の各指定紛争解決機関の業務実施状況が報告されたところであります。

報告によりますと、金融ADR制度の本格実施後、各紛争解決機関の苦情、紛争の受付件数が概ね増加しており、これは制度導入後、各指定紛争解決機関や個別金融機関をはじめ、各方面において金融ADR制度に関わる周知活動が行われたことにもより、制度が利用者に浸透してきたということによるものと考えております。金融庁といたしましては、今後ともこうした金融トラブル連絡調整協議会の枠組みも活用しつつ、指定紛争解決機関等の業務実施状況を適切にフォローアップすることにより、各指定紛争解決機関等の取り組み等を促して、金融ADR制度の円滑な実施定着に努めてまいりたいと思っております。

言外には、最近問題になっている、今さっき質問も出ました銀行の為替デリバティブに関わる紛争解決も増えているのかということだろうと思うのでございますけれども、全国銀行協会によれば、現在紛争申立件数は全般的に大幅な増加をいたしておりますが、最近は円高などに伴う為替デリバティブ等のリスク性商品に関わる紛争案件も増えていると聞いております。同協会としては、こうした事態を重く受け止め、今後紛争解決処理のスピードアップに向けた体制強化に取り組む予定だというふうに承知しております。

金融庁といたしましても、こうした銀行協会の取り組み状況を適切にフォローアップしたいと思っています。

私は、個人的なことを言って恐縮なのですが、ADRというのは医事紛争のときに、医療訴訟、医療過誤があり、この時に、国会でも当時の舛添(元)厚生労働大臣と医療過誤のADRについて色々と論争したことがあるのです。私は、元々本職が医師でございますから、医療過誤、それから医療過誤をめぐる日本とアメリカとの裁判の違い、あるいはADRのあり方といったことを、舛添さんとも論争したことがございますから、そういう意味でもADRということに大変関心を持たせて頂いております。

どうもありがとうございました。

(以上)

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