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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年2月22日(火)10時02分~10時31分場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は最初にG20の報告が野田財務大臣からありまして、それに関連して一次産品のことについて、G20で議題になりまして、小委員会をつくるということも決まったようですが、その話が終わった後、菅総理から、一次産品の高騰というのは、今、アラブ諸国で色々な政権の転覆が起きておりますが、これが一次産品の高騰の一つの遠因であるという国際的な見方をする人もいますので、そういったことに絡んでだと思いますが、一次産品の高騰というのは、特に発展途上国には極めて大きな影響があります。日本経済に直結します食料、原油の高騰、そんなことに絡んで、関係閣僚会議を今日11時20分からやるということを言っていました。まず狭いメンバーでの閣僚会議だけれども、やはりこれは全閣僚に関係がございますから、そういった意識で国務大臣として、しっかりウォッチするようにというご指示が総理からもございました。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

総合取引所を巡る議論について、先週末に副大臣、政務官級の会合が再開されました。これまで金融庁は、できれば1月中には結論をまとめたいという話だったのですが、今、2月になってしまったのですけれども、今後の議論の進め方について、大臣、何かご所見があれば。

答)

今、お話がございましたように、先週18日に開催された第7回総合的な取引所検討チームでは、当面、市場関係者からヒアリングを行うことを決定しました。ヒアリングに出席していただく方が、どなたになるかは調整中でございますけれども、現時点では来月3日木曜日、それから10日木曜日の日程が固まり、その後も何度か行う予定といたしております。

金融庁といたしましては、中間整理で残された課題について速やかに方針を固める必要があると考えておりまして、関係官庁ともしっかり連携をとりつつ検討を進めていきたいと思っております。

それから、今、菅総理のご指示もございました一次産品の高騰が世界的に予断を許さないところでございまして、総合取引所の問題ということで、これは成長戦略の中にも書き込まれたことでございまして、日本の成長という点でも重要なことです。まさに商品取引所の問題というのは、今、私が話したように、G20でも取り上げられて、全世界的に重要な課題にもなってきましたから、総合取引所というのは、より一段、優先度が高くなったと私は政治家としては思っておりまして、そういった意味でも、各省にはそれぞれ伝統と歴史があるのはよくわかりますけれども、総理からの指示、またG20でも共通の議題になるということでは、世界の政治上一番大きなことですから、そういった意味でも、しっかり関係省庁とも連携をとりつつ、検討をしていかなければならないと思っております。

問)

「速やかに」というお話がありましたけれども、この時期的な目途というのは何かございますか。

答)

「速やかに」は「速やかに」でございまして、できるだけ早く、「可及的速やかに」ということです。また、今、G20で議題になったということも新たな要素でございますし、そういったことを含めて、最終的にはきちんと政治主導でやるということでございますから、やらねばならないと思っております。

問)

先ほどの総合取引所のお話なのですけれども、一次産品の高騰が重要な課題になっているという観点からすると、例えば農業政策とか産業政策の観点から、市場に介入させろというような主張を呼び兼ねないのかなという気がするのですが、この点について如何お考えでしょうか。

答)

一次産品につきましては、私の所掌ではございませんけれども、政治家としての一般論として申し上げれば、確か2008年頃も、一次産品の価格高騰で投機筋の動きがあるのではないかということで、私の同期の尾身幸次さんが財務大臣のときのサミットでも議題になっています。主に、やはり国際投機筋、当時はリーマン・ショックの前ですから、国際投機筋も非常に勢いのあった時代でございますが、フランスとドイツが、そういった投機の話があれば、やはり少し規制を考えるべきではないかということでした。(これに対し)アメリカとイギリスが、投機というのも商業活動の一部だということで、それを規制すべきではないと。これは、サミットでも大変大きな議論になって、日本は最終的にはイギリスとアメリカの方についたという話を私は記憶いたしております。

しかしながら、一次産品の場合、特に農産物の場合、自給の問題がありますし、それから天候の問題があるのです。天候不順があると農産物はとれませんし、それからまた、これは私の一般的な知識で恐縮なのでございますが、やはり発展途上国は、今どんどん経済的に大きくなっておりますから、需要が非常に高まっている。だから、世界的な需給のバランスが崩れつつあるといったことが、市場の高騰につながっているのだという意見もあれば、またご存じのように、投機筋が、要するに商品先物取引、これは江戸時代に米の相場というものが、世界で最初に商品先物取引として日本でやったという歴史がございますけれども、そこもまだ要因がはっきり分析されていないところがあるのです。今日の新聞にも載っていましたが、国際決済銀行(BIS)で市場委員会の議長を務める日銀の幹部の方が、議長国フランスの要請でこの(小委員会の)議長に決まったということを、野田財務大臣も閣僚懇で話をしておられましたので、そういったことで、価格高騰の原因を明らかにするために色々と国際的に検討していくということが、G20でも合意されたということです。まだ、なかなか世界的にみんな考えがまとまっていないところもあるのです。ですから、やはりその辺をしっかりクリアにしていく必要があると思っています。

問)

政局の話なのですが、国民新党の亀井静香党首が、昨日、「内閣を再改造すべきだ」ということをおっしゃられたのですが、このアイデアについて、大臣のご所見を。

答)

今の時期、そういう質問が来るだろうと当然予想できるわけで、実は今日の朝も亀井静香さんと話をしまして、やはり私は、政治には小休止なしということで、私は行政(機関)の長でございますから、前から申し上げておりますように、まさにアラブの世界でこういうことが起きる、あるいはG20で今申し上げました一次産品の問題、あるいは日本の金融の情勢も、リーマン・ショック以来、非常に不安定でございます。私は国民新党から出た閣僚でございますが、何度も申しますように、政局のことについては亀井党首、あるいは下地幹事長もいろいろ努力しておられますし、そういったことで、まず何よりも、私はやはり今、金融(担当)大臣として、あるいは郵政改革(担当)大臣としてしっかりやっていかなければいけないわけですから、そういった行政上の目的をより優先する。私ももう(国会議員を)26年間しておりますから、ある意味では政局ということも、よく理解はしていますけれども、私の口から今発言することはお許しいただきたいと思っております。

当然、亀井さんは、毎週定期的に公党の、与党の党首として記者会見もされますので、そちらの方で(お聞きください)。私も新聞を読んでおりますけれども、私は亀井代表ともそういう話はしておりまして、今朝も話をしましたが、やはり郵政改革というのが、我が党の一丁目一番地でもございますから、そういうことで「自見君はきちんと行政的に邁進しなさい」ということを党首からご指示いただきました。

問)

確認なのですが、要するに、中東情勢とか原油価格の問題があるので、政局をやっているような状況ではないというお考えということですか。

答)

私は基本的に、日本国憲法の最初の前文に何と書いてあるか。日本国憲法には、第9条でもない、何でもない最初に、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と書いてあります。それには、「国会における代表者」と書いてありまして、衆議院も参議院も、与党も野党も書いてありません。私は、国民新党の議員だった時に国会質問が当たりまして、国会でもこのことを(答弁しました)。やはり、そこは日本国の一番基本です。今、国家の非常に大事な時期でもございますし、まさに国会議員であり、そして国務大臣でもございますから、その大変重たい責任をしっかり果たしていきたいと思っております。

問)

関連です。憲法の前文のことを話してくださって、いつも大臣の会見は、大変含蓄が深いなと思っているのですが、ただ、今のお話も、何を言いたいのかよく分からないです。つまり、先ほど、政局についてはお話をしないということですけれども、政局というのは、一体、大臣の中では何のことをおっしゃっているのですか。つまり、内閣改造するというのは、亀井さんがおっしゃったことですけれども、内閣のあり方を非常に基本的に規定するもので、自見大臣の金融(担当)大臣、あるいは郵政(改革)担当大臣としての管掌にも非常に大きな影響を与える事実であって、それを無視して自分の行政範囲の中に入り込むということは、論理的にあり得ないと思うのですけれども。

答)

それは、そういうご意見もあるでしょうけれども、まさに郵政民営化法案に反対して、亀井さんもよく言われるように、地獄の底をなめ回って結党した国民新党ですから、私は亀井党首、あるいは綿貫最高顧問・前党首にも、本当に政治家としての深く強い信頼関係を持っております。私は、ご心配いただいているのだけれども、きちんと政治家としての同志愛、あるいは信頼関係は持っております。

問)

政局と、金融(担当)大臣あるいは郵政改革担当大臣としての管掌とは、密接に絡んでいるのではないかということを質問したのですけれども。

答)

だから、そんなことは、政治家ですから、もう言わなくてもみんな分かっていることです。だけれども、それは口に出して言うべきことではないということを、私は政党人として、連立与党の閣僚として、きちんと申し上げているわけでございます。

問)

口に出すべきではないというのは、どういうことなのですか。関連していないとお考えなのですか。そういう説明をされているのだけれども、常識的には関連しているのではないですかと申し上げているのです。

答)

だから、私の立場としては、そのことについてはコメントを差し控えるということを言っているのです。それが、私の連立を組む政治哲学です。

問)

では、どの範囲では答えられないのですか。「政局」とおっしゃっている部分というのは、どこからどこまでなのですか。

答)

それは、私が判断することです。私は、選挙の洗礼を受けてきて当選させていただいた日本国の国会議員であります。

問)

前回も質問したのですけれども、それは要するに、都合の悪いことは話さないということだと私には聞こえるのです。そう思っている方は、多いと思います。

答)

いや。私は、そんな甘い話で言っていません。命懸けで連立政権をつくってきたのですから。

問)

東洋経済の浪川です。

ひたすら同じことを質問し続けるのですけれども、大臣、僕が(日本)政策投資銀行のことを質問してきた意味が少し分かっていただけたかなと思っていて、今日、一部の新聞などに記事が出ているのですけれども、その上で、大臣は政策投資銀行について、「官と民のベストバランス」という言葉を使っておられるのですけれども、その言葉というのは、要するに「政策投資銀行は官だ」というお考えに基づいたことであると理解してよろしいのでしょうか。

答)

「官と民とのベストバランス」というのは、私が申し上げていますように、官は官として、官でないと出来ないことはあります。例えば、よくご存じのように、採算がとれなくても、やはり公益性・公共性があるということもございます。私などは特に九州ですから、九州の高速道路は、昔、色々なことをして、確かに費用対効果ということになれば、それは東京、大阪あるいは名古屋に比べれば、九州は低いです。それなら九州は、何も政策をしなくてよいのかと言ったとき、例えば色々な大きなプロジェクトをする場合に、長期固定(金利)、低利で、そういったお金を貸していただけるということは、九州にとっては非常にありがたいことです。九州は色々な大型プロジェクトをしておりますが、例えば、ハウステンボスだとかというプロジェクトでは、当時、(日本)政策(投資)銀行が非常に厳しい審査をしてくれまして、これならやっていけるだろうといって、民間銀行と協調融資ということでやってきました。本当に(日本)政策(投資)銀行がなければ、九州などは東京の近郊で同じプロジェクトをするのと違いまして、やはり収益は低いわけです。それでは「九州の人は、もうそんな一切の利便にあずからなくてよいのだ。あなたたちはどうせ田舎ではないか」と(いうことになります)。(九州等は)経済的にも、確かに貧しいです。沖縄など、平均所得は東京都の半分ですから。それでも、やはり同じ日本です。

しかし、そうはいっても、そこでやはりバランスというものがあります。だから、過度に税金でやるというのもいけませんし、利益が上がることは、(日本)政策(銀行)が関与しなくても、民間だけでしっかりやって頂ければ立派に利益が上がって、雇用も増えると私はそう思っています。だけれども、やはり九州では、公共性のあるものであれば、全額国費です。そうすると、非常に公共性が高いのです。しかし、民間で行なうと、東京、大阪、名古屋では採算がとれるけれども、九州では非常にとりにくい、あるいはとれない。しかし、やはり地域の利便、その地域の国民を考えれば、やはり政策(金融)というものが必要であり、金利も長期固定の金利であれば、それを基にして、やはり東京、大阪ほど利益は上がらないけれども、何とか赤字にならなくてやっていけるということを、たくさんのプロジェクトで私は見てきましたから、そういう意味で私は申し上げているのです。

問)

大臣のおっしゃっていることはとてもよく理解できるのですが、その一方で、東京で流通業やデパートみたいなものをやっているところの転換社債を政投銀が引き受けるというのは全く両極の話で、さらに、去年などでも、随分と民間だけでできるシンジケートローンなどに政投銀が入ってきたりするわけです。これは、僕は政投銀が悪いとかと言うつもりはないのです。政投銀は、自分が何だか分からないからしようがないですよね。民間なのか官なのか分からないのだから。政治がちゃんと位置付けを決めないまま、1年間もやるということになってしまうわけでしょう。それを僕はずっと言っているのです。

答)

分かりました。やはり、そこが大事なところです。しかし、一遍、組織を作ると、率直に言えば、官がどんどん民の領域にも入ってきたというのも、かつてありました。だから、もう全部、官をやめて民にせよというような論議も一部、小泉さんの時代に繋がったのですけれども、やはりそこは私が言いますように、官と民とが役割をきちんと踏まえて、民でやっていけるところに、官が入り込んでいくことはないので、そこら辺は、やはり政治家が判断を決めることだと思っています。

よくご存じのように、小泉さんの時代に、もう何もかも官はやめて、全部民が良いのだといって、行き過ぎたところも率直に言ってありますから、今は、政策によっての見直しが修正点であります。例えば、一部を言えば、タクシーの規制緩和、これは当時、規制緩和をやりました。そうすると、もうご存じのように、10年間で運転手の収入が、大体、平均3分の2になっています。それから、やはり競争が激しくなりますから、働かなければいけない。しかし、実際には3分の2の所得になって、勤務時間が1.2倍になる。非常に嫌なことでございますけれども、タクシーの運転手はプロです。しかし、事故率が2倍になっています。これは、あまりにも行き過ぎだということで、自由民主党の政権の時だったと思いますが、少し行き過ぎた規制緩和を是正するような法律を作りました。

だから、そういうトライ・アンド・エラーということは、国にもありますけれども、その辺は時代ごとに官と民のバランスを考えて(やっていくべきだと思います。)それからリーマン・ショックというのは極めて大きな話で、これはもう、官が一切関与せず、全部民間に任せておけば一番富が大きくなるのだという新保守主義的な思想がアメリカにありまして、それでやったら、3年前、リーマン・ショックで64兆円の負債を持って、そのリスクで会社は破産したのですけれども、この倒産した副作用をアメリカ国家だけでも吸収できず、全世界にリーマン・ショックの影響が広がったわけです。やはりそれで、その後の金融規制改革だとか、G20につながったわけです。

ですから、やはりそういったことをきちんと踏まえながら、しかし同時に、自由主義貿易というのは、基本的に非常に富を増やしてきたのも事実ですから、その辺はきちんとお互いの自由主義経済のメリットも認めつつ、そこを今度は、公共の福祉や国家の利益と、どうバランスをとっていくのかということに、21世紀の課題はあると思っています。

問)

世界日報の野村でございます。

やはり、食料品、原油価格の一次産品の高騰は非常に大変な問題だと思いますけれども、これにつきましては、やはりアメリカの内需拡大のための金融緩和が異常な程なされていることが、かなり影響しているのではないかと思っているのですけれども、昨年のAPECの横浜会議では、経常赤字国は貯蓄増強ということで内需抑制、経常黒字国は内需拡大ということで国際協調すべきだということがうたわれましたけれども、そういう精神に則って、新たにG20間で政策協調を再構築していく必要があるのではないかと思いますけれども、この辺りについてはいかがでしょうか。

答)

G20の各国の経済の不均衡、それが非常に大きなリーマン・ショックを催した原因でもあったということで、それについて色々と指標を考えてきちんとやろうという話になったと、野田財務大臣からご報告がありました。詳細は不明でございますけれども、そういったことを踏まえて、アメリカの金融緩和のお金がどんどん発展途上国に流れ込んで、インフレを催していく原因ではないかという意見もあります。

そういったことも議題になったようでして、どういう指標を使ってやるかというのは、報道にあったとおり合意したようでございますから、やはりそういったことも、当然、議題になったと思っています。

問)

フリー(ジャーナリスト)の竹川と申します。

大臣の個人の資産形成の促進策について伺いたいのですけれども、例えば公的年金とか企業年金が揺らぐ中で、個人の自助努力ということがかなり叫ばれてきています。導入が延期になりました日本版ISA(少額投資非課税制度)についても、金融機関、個人ともに、非常に期間とか金額ともに中途半端ではないかという意見が多数を占めていると思うのですけれども、例えば公的年金とか企業年金を補完するような個人型の年金非課税制度、IRAといったものを長期的に導入するような横断的に官公庁で検討するといったお考えはないのでしょうか。

答)

一般論として申し上げれば、公的年金、あるいは公的社会保障制度も大事ですけれども、個人の自助努力による社会保障も、私は自由主義社会では非常に大事だと思っています。401k(確定拠出年金)がありましたが、私は自民党のときに厚生労働部会にいましたので、401kを作るときも検討委員会に入っておりました。なかなか401kも苦戦しているようでございますが、やはり基本的に自由主義社会においては、公的社会保障と自助努力で、私的社会保障とは申しませんけれども、自分の私的年金といったことも、非常に私は大事だと思っております。

そういったところで租税の優遇措置、例えば生命保険料の控除等というのも、そういうところに入るのではないかと私は思っています。そういったことは、一般論として申せば、きちんとやっていかねばならないと思っていますけれども、そこが一進一退で、なかなか思ったようにうまく普及していないということもありますが、問題意識としてはしっかり持っています。具体的にそれを今どうこうするということは、今、まさに社会保障と税の一体改革というのを菅内閣ではやっておりますから、その辺でも議題になるのかなと思っております。

問)

それによっては、例えば日本版ISAの内容について、拡充とか検討といったことをすることはあり得るのでしょうか。

答)

それは、与謝野さんを中心に今やっています。今、主になっているのは、公的社会保障ですから、そこまで行くのかどうかは分かりませんけれども、当然、その辺の分野に視野としては、入ってくるのではないかなと思っております。

(以上)

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