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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年3月8日(火)9時18分~9時38分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は別に私から申し上げることはございません。

【質疑応答】

問)

まず消費者金融のことなのですけれども、先日、武富士が過払い利息に絡んで、過去に払った法人税の返還を国税当局に求めるという動きがありました。どういう判断になるか分からないのですが、もし返還されるようになったら、かなり大きな影響があると思うのですけれども、このあたり大臣はどういうふうにお考えですか。

答)

ご指摘のような報道がなされていることは承知をしていますけれども、納税というのは国税庁、財務省の所管でございますから、個別会社の納税に関する対応については、逐次コメントは差し控えたいというように思っております。

ただし、これはこの前も質問が出ましたけれども、武富士の返還払いについては、個別のことは申し上げることはできませんけれども、(改正)貸金業法完全施行(22年6月18日)の4日後にフォローアップチームを作りました。今、1,500万人ぐらいの方が貸金業を利用しておられますし、自由主義社会の中では10兆円のマーケットはあるのです。

その中で、三菱東京UFJ系や三井住友系の貸金業者も、その過払い金の影響で、私は新聞しか読んでいませんけれども、増資をせざるを得ないというようなことの記事がありました。私はよく言いますように、個人の一人ひとりの生活を考えても、政治家というのは虫の目と鳥の目が大事だと言いますし、金融界全体としては、鳥の目の一つがこの改正貸金業法の問題であるし、また中小企業金融円滑化法案なのです。特に小泉さんの構造改革の影響で、10年間で国民の1世帯当たりの所得が100万円減ったということを麻生内閣の終わりのころに正式に政府が発表しています。昨日も菅さんは盛んに国会で言っていましたけれども、そういう小泉・竹中改革に基本的に反対するということをばねにして、我々は政権交代をしてきたのだということです。

福嶋瑞穂さん(社民党党首)と菅さんとの論戦というのを聞かれた方もおられると思います。すれ違いでしたけれども、私の感じとしては、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関する質問は味のある質問でした。一般論を言えば、そういった金融行政の中で、非常に関心及び注視をしていく必要がある問題だというふうに私は認識いたしておりますし、皆様方も感じておられると思います。

それから、鳥の目が大事だと、こう言いますけれども、鳥の目はバーゼル III だとか、それからSIFIs(システム上重要な金融機関)をどうするかとか、そういうグローバルな金融の問題もあります。それに関してもリーマンショック以来、ヨーロッパのギリシャ危機、それからアイルランド危機(の問題があり)、私は1月、ラガルドさん(仏経済・財務・産業大臣)にフランスでお会いしたときも一番に言われたのは、アイルランド危機でそれを救うためにユーロ債を出したわけです。(これに対して)いの一番に日本国政府が(ユーロ債を)買うことを表明しました。ユーロというか、ヨーロッパ政府には27か国が入っていると思いますけれども、(うち)17か国が統一通貨ユーロを使っています。(この日本の対応に)ラガルドさんからお礼を言われたということは、経済や金融がグローバル化して、世界の貨幣、通貨というのがお互いに非常に密接に連携しているということの左証だというふうに私は申し上げたと思います。そういうところも非常に大事です。

そこを何か間違ってしまうと、私がよく言いますように、1929年よりも人類は偉くなったと。1929年のアメリカの大恐慌の結果、各国の経済はブロック化して、結局それは第二次世界大戦の遠因の一つにもなりました。今度は、今のところ色々な違いがあってご批判いただいているけれども、何とかG8、G20で協調政策を各国で行い、国内の経済の事情も政治の事情も違う国々が、何とかここまで来て、日本も少し景気の状態が足踏み状態から明るさが見えてきたのかなと(いうところまできました)。失業率が高いということは、もう日本もヨーロッパもアメリカも先進国共通の状況ですけれども、ほんのわずかですけれども(改善しています)。しかし同時に、今アラブで、リビアの問題を中心に、これは旧来の伝統・統治の仕方とインターネット、フェイスブックといったものが出現してきました。人の価値を決めるというのは、やはり情報ですから、中近東というのは、非常に世界で石油が偏在しているところでして、日本はとても(中東に)石油を依存しています。確か「ホルムズ海峡依存度」というのがありまして、ホルムズ海峡を渡って日本に来る原油の数(量)ということです。これは第一次、第二次石油ショックの後、ホルムズ海峡依存度を減らそうと日本の国策で一生懸命やったのですけれども、何か喉元過ぎれば熱さを忘れるで、今となっては、中近東からの原油の依存度が高くなってきているのです。

そんな1970年代の後半の世界経済、金融緩和の基調の中では、オイルショックで原油が上がりました。世界全体が不況になってきましたから、中近東のアラブ連合だとか、エジプト、リビアや色々な産油国について、もしくはカタールの問題等は、実に目を皿のようにしてじっと見させていただいております。

そういったことで、今話は少し反れましたが、この改正貸金業法の問題も鳥の目の一つとして、非常に大事なものだというふうに私は認識を持っております。

問)

今おっしゃった日本の政治のことでちょっとお伺いしたいのですが、週末に前原(外務)大臣が辞められました。このことについて大臣の所感をお伺いしたいと思います。

答)

私も(22年)6月11日、亀井静香さんの後、閣僚にさせていただいて、当時、前原さんが国土交通大臣、それから外務大臣になって半年間、ずっと同じ閣内にいましたけれども、やっぱりスターです。有能な政治家だと思っています。だけれども、突然お辞めになられたのは、私は個人的には大変残念です。

私はいつも言っていますように、政治家の出処進退というのは、国民、主権者から選んでいただいているわけですから、議員本人で決めるというのが議会制民主主義の大原則なのです。多数決で辞めるとか、辞めるなとかではなくて、議会制民主主義というのは、一人ひとりの議員の良識といいますか、それが非常に期待されるものです。一人ひとりの議員は、当然ですが国民から選ばれた議員ですから、私はもう何回も言って恐縮なのですけれども、憲法の前文に「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と書いてあるわけですから、それには衆議院も参議院も野党も与党もないということをよく言いますけれども、それは一人ひとりがたくさんの主権者の負託を受けて国会に出てくるわけですから、一人ひとりの進退というのは、それぞれの議員が決めることだと思います。前原さんも色々考えたのでしょうけれども、菅総理が任命権者ですし、新聞報道ですけれども、菅さんと前原さんで長い間話し込まれて、結果がああいうことですから、それはそれで議員が決めることですから尊重します。けれども、私の率直な気持ちとしては、大変残念だというふうな気がいたします。

問)

辞められたことで、その政権運営というか、参院で自民党は月内に首相問責を出すというような動きもあると聞いているのですが。

答)

この前の参議院選挙で負けたときから、数の力では非常に厳しいのです。私は国民新党ですけれども、亀井静香党首も(国会議員を)30年以上やっていますので、色々と国会内でそこを補おうと思って、亀井先生も色々とやっておられるようですが、今さっき言ったように、一人ひとりが国民の代表で、憲法には衆議院も参議院も、与党も野党も書いていないと言いながら、現実には議会制民主主義です。「政党」という言葉は一言も憲法に書いていませんし、政党法という法律がない国が日本国なのです。

ドイツなんかは政党法という法律があるのです。だから、政党というのは、むしろそういったことが何も書いていないぐらい責任が重たいのです。憲法改正を発議できるのは基本的に政党ですから、議会制民主主義というのは、同時に政党政治、イギリス、フランス、アメリカを見てもそうなのですが、そういった中で、やっぱり数では駄目だけれども、私は与党、野党、与党、野党、与党をしまして、(野党議員にも)国民の生活が第一という良心があると思っています。何とか死中に活を求めるといいますか、夢と希望を私は持っています。必ずこの国はどうにかなるし、どうにかせねばならないと、「それなら一体、自見さん、どういう方法論があるのだ」と言ってお叱りを頂くかもしれないし、また方法論がはっきりしないと、皆さん方は「信用しないよ」と、お叱りを頂くかもしれません。私は最後の最後まで、今の国家にとってデフレ脱却とか、高失業率、これは少し雇用を増やした企業もあるようですけれども、来春就職する人たちが非常に不景気の影響で、雇用状態が厳しい状態、そんなところを見ながら、国民から選んで頂いた我々として共通の責務があるのではないかと、そのことをしっかり国会で訴えていきたいというふうに思っています。

問)

東洋経済の浪川ですけれども、いくつかお尋ねしたいのですけれども、今、大臣がおっしゃった「国会議員の出処進退はご自分で決める」ということなのですが、(日本)振興銀行で役員をやっていた平(将明)という国会議員の方がおられるわけです。振興銀行は無様なつぶれ方をしたわけですが、平議員もやっぱり出処進退は、ご自分でお決めになるということなのでしょうか。

答)

私は平さんが衆議院議員だということは、ペイオフのときから言っていますけれども、出処進退は自分で決めるべきだと、そう思っています。

問)

分かりました。

第2点です。武富士に関してなのですが、前も私がご質問したときに申し上げたように、金融庁は、貸金業登録を抹消していないわけですから、監督責任はいまだにあるわけです。そういう中で、現時点における再生作業というのは、監督する立場からして何の憂いもなく進んでいる、内容的にもタイミング的にも進んでいるというふうにお考えなのでしょうか。

答)

武富士の場合は、今、会社更生法に則ってやっているわけですから、これは裁判所の関与のもとで、例えば法律によって管財人、あるいは過払金の請求者を含む債権者からの債権凍結の受け付け等々、もう釈迦に説法ですけれども、全部法律に則って、主に司法がやっています。日本国は三権分立の国ですから、司法、行政、立法とありまして、今、司法のところに行って会社更生法の手続中ですから、会社更生法の手続に沿った対応については、逐一コメントしないのが、三権分立である民主主義国家の行政府(の中にいる者)としては、それが常識ではないかというふうに思っています。

問)

そうしますと、会社更生法手続が完了して、三権分立上の司法が終わったときには、武富士が何という会社名になるか分かりませんが、新武富士というのが生まれたときに、貸金業法上の登録の妥当性とかということを、行政として、もう一回は作業を行うことがあり得るのでしょうか。

答)

私は予断を持って言うことは控えさせていただきたいと思っていますけれども、やはりそこは法律がございますし、法治国家でございます。法に則って、金融庁の行政をやらせていただいているわけですから、きちっと厳正に、法律に従ってやっていきたいというふうに思っています。それと同時に、やっぱり民主主義国家ですから、国民の大多数からも納得をいただくということが、民主主義国家における行政、あるいは政治には非常に必要だと思っています。

問)

さっきの武富士の件で確認というか、過払金の返還請求の件数が2月末で77万6,000件、最大で100万件にも上ろうとするこの規模について、大臣はどういうご印象を持っていらっしゃいますか。

答)

規模については、最高裁判所の判断によって、過払金請求ということが起きてきたわけでございます。今お話がございましたように、2月末まで77万6,000件の債権届出があったということを公表したことを承知しているが、当面、当庁としては、会社更生手続に沿った対応については、逐次コメントすることは差し控えたいと思います。一般論として言えば、会社更生手続において、更生債権に対する弁済等は、更生計画がある中で正式に提示されるものと承知をいたしております。

問)

ただ、当初潜在的債権者として200万件超というふうに言われた中で、請求届け出が不着、はがきが届かなかったという話だった割には、多かったという印象を持つ関係者も多いと思うのですけれども、その辺について、大臣として何かご印象は。

答)

私が聞いているのは、130万人に対して(債権届出するための書類を)出したということで、手紙が着いたのを拒否したというようなこともお聞きしております。いずれにしても、武富士に対する過払金の返還請求権は、裁判所の関与のもとで、会社更生手続法に則って、公正・公平に取り扱われているものと承知しております。今は過払債権者への周知については、会社更生手続法に則った対応であり、私のところは行政庁でございますから、先ほどの浪川さんの質問にもお答えしましたけれども、当庁としては、コメントすることは差し控えさせて頂くことが、私は三権分立の中での一つのルールだろうと思っています。

(以上)

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