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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年4月5日(火)10時2分~10時33分  場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

今日は、特別なことはございません。

【質疑応答】

問)

全銀協が、1日に被災地の地銀の預金の払戻しに、(被災者の取引銀行以外の)全国の銀行でも応じるということを発表しているのですけれども、信用金庫などもその前から同じようなことをされています。そうした業界の取組、こういう対応について、どうお考えかということと、もっと、こういうことができるのではないかとか、要望があれば教えてください。

答)

今度の東日本大震災と命名させていただいたわけでございますけれども、被災者を対象とした取引金融機関以外での預金の払戻しについて、3月11日、私と日本銀行総裁で、できるだけこういった地震、津波、当時、まだ原子力発電所の問題はそう大きい問題ではなく、最初は気がつきませんでしたけれども、そうしたことに関しても、できるだけ被災者の立場に立って、色々な項目について、(預金取扱)金融機関、あるいは保険会社、損保会社にお願いしたということは、皆さん方、よくお分かりだと思っております。今、質問がございました被災者を対象とした取引金融機関以外での預金の払戻しについて、これまで各金融機関において自主的にかなりやっておられたわけでございますけれども、今般、全国銀行協会において、避災地にある五つの銀行を対象に同様の取組が行われることになったと聞いております。金融庁といたしましても、今後とも金融機関に対して、被災者の便宜を考慮して、預金の払戻しを柔軟に行うように促してまいりたいと思っております。

また、今、そういう話も出ましたけれども、地方銀行のうち、東邦銀行、これは福島県の一番大きな地方銀行だと思いますし、常陽銀行、これは茨城県で一番大きな銀行ですけれど、地方銀行ですから、震災や原発事故に伴って避難されている方々への利便性確保を図る緊急性に鑑み、避難先における地方銀行の窓口を通じて色々なところ、福島県の方々が、埼玉県のさいたまスーパーアリーナに村ごと引っ越してきたということも私はマスコミで知りましたけれども、まさにそういう緊急性に鑑み、避難先にある地方銀行の協力を得て、窓口を通じて既に自主的な対応をしている、被災者への預金払戻しを行っていると承知しております。いずれにいたしましても、全銀協においては、まさに今、非常時でございまして、そういった意味でたくさんの被災者がおられるわけでございますから、その被災者の側の気持ちに立って、まさにその方たちの利便を図るために、今後、順次、取引銀行及び受付銀行の追加を予定していると聞いております。同時に、まさに着の身着のまま、津波で避難地に来られたという方が今、何を買ってもお金が要るわけですから、そういったことで非常に困っているという話が、今日も閣僚懇で出ておりまして、これは早急に、今後はやはり時間との争いですから、いろいろな方策がたくさんの閣僚から意見が出ました。これは、今の銀行の話とはまた別ですけれども、そういう生活支援の資金もとりあえずどうするかということを、当然、色々な事情はございますけれども、やはり政治としていの一番にこれが大事だという話に今日なっておりました。(避難地の)皆様方、着の身着のまま来ておられますから、とりあえずのお金が要るのです。総理もそれを受けて、今週いっぱいぐらいで何とか(すると言っていました)。昨日、テレビをたまたま見たら、本当にお金をほとんど持っていなくて来た方がおられまして、(その方の)妹が義援金を送ってくれたといって、涙ながらに冷蔵庫を買っていました。

まさに、そういう人の固まりですから、こういうときこそやはり国家というもの、政府というもの、政治というものが、きちんと被災者の側に立って、被災者の目線に立ってしっかりやっていくということが、非常に私は大事なことだと思っていますので、引続き皆様方から色々なご指導、またご意見、あるいは色々なこういうことがあるということを教えていただいて、特にまた私も金融を預かっておりますから、今から益々金融の問題が、生活支援となってきますと大事になってきますので、ぜひ皆様方からもいろいろ教えていただきたいと思っております。

問)

三菱UFJモルガン・スタンレー証券が、ディーリング関係だと思うのですけれども、800億円の損失を出したという報道が出ております。決算の最終のところでも損失が出る見通しということですが、これに対して金融庁としてはどういった対応なり、対応するのであれば、どういうタイミングでするのかということをお伺いしたいと思います。

答)

ご指摘の報道は承知いたしておりますが、個別の金融機関の経営にかかわることについては、原則としてコメントを差し控えさせていただきたいと思っております。

しかし、一般論として申し上げれば、各金融機関においては、市場動向等も踏まえて適切なリスク管理を徹底していただくことが、当然でございますけれども、重要であると考えておりまして、いずれにしましても、金融庁といたしましては、今後とも金融市場の動向及び証券会社の財務状況やリスク管理の状況等を注視してまいりたいと思っております。特に私は、3月11日(に決断し)、(週明けの)株式市場を開かせていただきましたが、地震、津波ということで、円高が非常に進んだわけでございますけれども、(日経平均株価が震災初日に)633円下がって(二日目に)1,050円下がったのです。しかし、また元に戻しまして、G7の協調介入ということもございまして、円安に傾いてきて、少し市場も落ちついてきていますけれども、こういうふうに証券市場が非常に動くときは、やはり色々な金融派生商品等々で、たくさんの利益や損失が出たりしがちですから、その辺は事務方にも、しっかり市場を注視しておくようにと、私からも改めて指示しております。

問)

世界日報の野村でございますけれども、ご指摘のように復興のための財源が急務であるわけなのですけれども、民主党内で復興増税が打ち出されている状況でございますけれども、この長期デフレ不況の中、しかも、電力の供給に非常に不安が出てきているということで産業界が混乱している中で、そういう増税を打ち出せば、復興上による景気刺激効果が、はるかにマイナスが上回って、復興自体も非常に厳しくなるのではないかと思いますけれども、やはり国債の発行を中心とした財源を考えるべきではないかと。日銀の直接・間接引受け等も含めまして、そういうことがあると思うのですけれども、国債の発行の仕方を工夫して、緊急に財源を調達するということが必要ではないかと思いますけれども、このあたりについて大臣のご所見をお伺いできれば思います。

答)

貴重なご意見をありがとうございました。財源については、基本的に財務省の所管でございますが、こういったときですから、やはり復興ということで、大震災が起きる前も、実はデフレ脱却ということがこの内閣の非常に大きな課題でございました。そこにこれほど大きな地震、津波、それから原発事故と起きたわけでございまして、また、電力の供給不足等によって、計画停電をせざるを得ないという状況に今あるわけですから、その辺をよく勘案しつつ、一方で財政規律の問題に関して、これはEUのギリシャあるいはアイルランド(の例もありますが)、日本は非常に国債が多いわけでございますけれども、千数百兆円の個人の金融資産もございますし、そういった健全な部分も、日本の経済にはございますけれども、しかし、同時に、この財政規律ということも非常に大事なことでございます。また、被災地、あるいは災害の範囲が3県にわたっており、大体500キロ、千葉の旭市からずっともう三陸地方まででございますし、非常に広いです。それからまた地震、津波、(とともに)原子力発電所の事故と重なって、これはもうスリーマイルアイランド(原発事故)、それからチェルノブイリ(原発事故)に相当するような、大変残念ながら、大きな事故になっています。一生懸命努力していただいておりますけれども、そういったことも含めて、優先順位が何かということ(を考え)、そしてやはり、当然、世界の中の日本、日本の中の経済ですから、そういったこともよく勘案しながら、慎重に、かつ大胆にやっていく必要があると私は思っております。

問)

今の質問に関連して、慎重かつ大胆にというお話はありましたが、復興財源の確保に関連して、日銀の国債の直接引受けについては、金融担当大臣としてどういうご所見をお持ちでしょうか。

答)

これは国会でも、この前の財政金融委員会で、財政法第5条(関連)でいろいろ国会議員から質問が出ておりまして、日本銀行総裁、財務大臣にはそういう質問がよく飛んでくるわけですけれども、日本が第二次世界大戦中、戦費調達ということで大量の国債を発行しまして、それを日本銀行が引き受けたわけです。そういった中で、戦後、ものすごいスーパーインフレになりまして、そのトラウマが日本銀行の中にもございます。日本銀行というのは基本的に物価の安定ということが、日本銀行の国家の中の一つの受け持ちです。しかし、財政法上で、衆参国会議員が半分以上賛成すれば、これは国債を日本銀行が買ってもよいという規則になっていると思いますが、しかし、現在、ほかのかなりの国では、実はこれを禁止してあるということを、日本銀行総裁がこの前、言っていました。やはり財政規律の面から、なかなか悩ましい問題ですけれども、これはまだ少し煮詰まってきてから、私は意見を申し上げたいと思っておりますけれども、私が言いましたように、デフレ脱却もございます中で、これはやはり被災者の生活支援、地域の復興、そういったことを一番優先的に考えるべきだと私は思っています。

問)

ということは、場合によっては、それも選択肢に入れるべきだと。

答)

それは、法律があるわけですから、法律があることを一切無視せよというわけには、当然ですが、いきません。

問)

議決を得れば。

答)

ご存じのように、可能な法律になっています。

私は、この質問を実は参議院の財政金融委員会で受けたときも、それは法律があるのですから、一切、ある法律を使うなとか使えとか、それはまさにケース・バイ・ケースできちんと判断すべきだと思いますが、やはり当然、世界も今、財政規律のことを強く見ていますし、そういったことも一面にあり、最終的には、今、判断するにはまだちょっと早いと思いますけれども、これは色々皆さん方のご意見も聞きつつ、それからまだ被害の状況も、何人被災されたかという(人)数も分かっていません。それから一応、幾らぐらい損失があったかということは、概算の段階です。それから今さっき言いましたように、とりあえず早くやることと、極端な話、概算払いでもよく、今日、明日、手を打たなければいけないというものと、それから中長期的なこと。長期的には、閣僚委員会で、きちんと、やはり東北地方というのは日本の中でどうあるべきかと。

日本も、昔は四全総(第四次全国総合開発計画)とか五全総とか、ブロック計画というのがあったのです。東北地方ブロック計画と九州地方ブロック計画というのがありまして、あれは日本国ではたった一つの国家が関与してつくった全国計画、国土計画、それからブロック計画、地方計画があったのです。私は22年ぐらい前、国土政務次官をしておりまして、当時、ブロック計画をつくるナンバー2の責任者でした。それは、東北地方は日本全体でどういう役割を果たすかとか、九州は、私、出身ですからよく覚えていますけれども、食料基地として、今からきっちり国家としての機能を果たしてはどうかとか(計画があったのです)。しかしながら、省庁再編で国土庁がなくなりまして、結局、ブロック計画というのは、なくなったのです。全部、各県の県知事を入れたような会議になってしまったので、東北も九州も同じような文章で、骨抜きになっていると思います。率直に言えば河川10カ年計画は、基本的に国土計画に書き込むようになっていたのですけれども、そうしますと、もう財務省は基本的にお金を固定されるわけです。それを財政当局は非常に嫌がりましたし、財政も厳しくなってきたということもありまして、各役所も、特に(当時の)建設省は、道路計画だとか河川計画とかの国土計画に決められますと、それで規定されるわけです。これは、本音では嫌だったのだと思います。ということで、省庁再編のときに、国土計画、あるいはブロック計画、国が関与して責任を持った計画というのは、今の日本国に残念ながらありません。この前も、私は対策閣僚会議、(この会議には)菅さんもおられましたが、やはりそういった、世界の中の日本、日本の中の東北地方、そういった一人一人の命を救う、一人一人の生活を再建させていくことが、困難なことですけれども、政治には極めて大事(だと思っております)。

同時に、やはりそういった意味で、水産業は大事ですから、一例を挙げれば、それは海のあるところに行かないと水産業はできません。しかし、寝泊まりするところは、何か少し小高いところに、要するに筑波(研究)学園都市とは言いませんけれども、筑波(研究)学園都市の何分の一かの都市をつくるとか、そういった大きな構想に基づいて(都市を作ったり)、あるいは、ある人に聞くと、「自見さん、そういうときは、海岸地方には何百メートルごとに高い津波が来たときの鉄塔のような堅牢な建物を置いておけば、そこで津波が来ても避災できる」ということを言う人もいます。やはりそういう周知を集めて、そして、高齢者も東北地方は多いわけですし、なおかつ、今度は原子力発電所の事故もございましたので、エコタウンだとか、高齢者が活き活きできる、やはり東北の新たな街づくりという、少しそういったところの哲学といいますか、基本的なコンセプトが必要ではないかということを私は思っておりますので、先週、閣僚17人と総理が集まった会で、最後に「誰か意見はないか」というから、そのことをきちんと言っておきました。

問)

通信文化新報の古田です。

日本郵政グループで、今回の大震災に対して、被災者への支援として、貯金に関しては通常貯金等の払戻し、また保険については、保険金の非常即時払いとか、それから移動郵便車で現地へ行くとか、いろいろなことをやっているのですが、ただ、国営時代の、例えば阪神・淡路大震災とか中越(沖)地震の時は、総合担務ということがありましたので、有機的なサービスの提供ということができたと思うのですが、今回、民営化法の下で、そういうことがやりたくてもできないということで、日本郵政からその辺の辛さというのですか、齟齬というか、また、現場の被災者からは、郵便を届けに来てくれたのはありがたいのだけれども、ついでに用立てもしてもらえないかとか、そういう声がもし大臣のお耳に上がっていましたら、ぜひご紹介いただければと思うのですが。

答)

そういう声はたくさん上がっておりまして、災害が起きて1週間、日本郵政の足立副社長を初め、元女(郵便事業会社専務)さん等々、幹部が行っていただきました。そういった意味でまさに今言ったように、明治以来、総合担務ということがありましたから、郵便を届けた人にお金を預ければ、そのまま郵便貯金をしてもらえるとか、あるいは、今、非常時ですから、ゆうちょ銀行が(上限)20万円まで、貯金通帳をなくしても、氏名、住所、生年月日、電話番号(で本人確認が出来れば)払い戻しさせていただいているわけです。その総合担務ではなくても、郵便局の人が来たといったら、明治以来ずっとこの間までそうでしたから、みんなそう思うわけです。非常にそこは現場から、いろいろな方面から声がたくさん来ています。

それからもう1個、移動郵便局、これも実は郵便事業会社のものと、それから郵便局会社のものがあるのです。そうしたら、郵便事業会社の移動郵便局が行っても、郵便しかできないわけです。そうしたら、郵便局が来たから、当然、自分の元々預けているお金から、お金をご用立てしていただけると思ったら(会社が異なるので、郵便事業会社からはお金を引出せない)、これはもう郵便事業会社が郵便局会社に移動郵便局を貸すということで解決させていただきましたけれども、国民のほとんどの方は、郵便局というのは当然、郵政3事業一体だと思っていますから、まさにこの5分社化ということが、今度の大災害の中で非常に矛盾を呈しています。それはもう、(被災地に)行ったときからすぐ、私は被災地に行った幹部の方と、いろいろ電話で聞いています。

それからもう1点、もうこれは本当に胸の痛む思いなのですが、やはり郵便局というのは1,900以上、東北六県にあるのです。あのリアス式(海岸)の奥まった町に、村に、郵便局というのは全部あるわけです。ですから、今、かんぽの宿でも3人の社員の方が不明になっておられますので、約60人の方が亡くなられたか、もしくは不明な方なのです。もうほかの金融機関に比べまして、本当に胸の痛む思いです。圧倒的に、死亡された方、不明の方が多いのです。それは、郵便局というビジネスモデルですから、昔は全国の3,300の市町村にみんなあったわけですから、今でもユニバーサルサービスはあるわけです。それが、本当に亡くなられた方、不明者を増やしておりまして、多分、報告だと、東北地方にあるいろいろな組織、NTTだとか、いろいろ巨大組織はありますが、一番被害者を出しているのは、やはり日本郵政らしいということを言っていました。だから、そういったことで胸の痛む思いなのです。やはり今さっき言いました5分社化、その弊害がもう実際、現実に被災者に非常に(広がっています)、また郵便の配達に来た人に、「何であんたたち、貯金を預からないのだ」、「いえ、会社が別会社になりました」と言っても、それは相手の感情として、郵便局は、昔からお金を預け入れていたわけですし、総合担務を廃止してまだ数年です。そういう意味でも、私は本当に、これはぜひ皆さん方にご理解いただきたい。やはり(郵便は)基本的な社会的なインフラだと思います。特に、こういった災害のときに矛盾が出てくるということを、私は実感しています。

問)

みずほ(銀行)の検査のことなのですけれども、4日に立入りをしたという報道がありまして、その事実と、今回の検査なのですが、確認なのですけれども、システム障害があったので、通常の検査とは別にやられるということでよろしいでしょうか。

答)

先週、4月1日金曜日でございますが、今、ご指摘のみずほ銀行に対して、銀行法第24条に基づいて、今回のシステム障害についての事実関係、それから発生原因等について報告を求めたところでございまして、当局といたしましては、その報告内容や検査結果等を精査した上で、厳正に対処する所存でございます。個別金融機関の検査、監督の具体的内容については、コメントは差し控えたいと思いますが、今後の対応については、現時点では予断をもって言及することは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

問)

みずほに対して検査に入ったかどうかという事実は、多分、お教えいただけるのではないかと思うのですけれども。

答)

ご存じのように、3月28日の月曜日に、当行に関して銀行法に基づいて立入検査を実施する旨の検査予告を行っておりまして、それに基づいて検査をさせていただくわけでございますが、いつどういう人が行ったといった詳細については差し控えさせていただきたいと思っております。

いずれにいたしましても、これは大変大きな問題でございますし、私は確か申し上げたと思いますけれども、こういう大自然災害のときに、みずほ(銀行)といえばメガバンクの一つですから、それが持っている社会的公共性、公益性は大変重たいわけですから、こういったところがシステム障害を起こしたということは、やはり私は大変遺憾なことだと思っていまして、そういったことを含めて、システム上の障害ということですから、やはりこちらもそれ相応の、原因追及していくのに能力のある者をきちんと対処させていただいておくということを、私は特に指示しておきました。法律に基づいて3月28日に、立入検査を実施する旨の検査予告を行っているところでございます。

(以上)

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