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自見内閣府特命担当大臣繰上げ閣議後記者会見の概要

(平成23年4月28日(木)9時29分~9時57分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、閣議の前に2回目の、実際3回目だったと思いますが、(経済情勢に関する検討会合において)日本銀行総裁、菅総理、経済閣僚が集まりまして、まず何よりも震災の復興・復旧ですけれども、それを含めて今、大変日本の経済、あるいは被災地の金融もなかなか厳しい状況にあるわけですから、そこら辺を入れて、各閣僚でも意思を統一したということでございます。

これは(経済財政政策担当大臣の)与謝野さんからきちっと記者会見があったと思いますけれども、金融担当大臣として出席をさせて頂きました。

以上です。

【質疑応答】

問)

大臣から強調されたことはあるのですか。

答)

私から強調したことは、国会でも言っていますように、特に被災された3県、それから福島県の原発の事故もございまして、一番公的色彩が強いところは財政出動でいくしかございません。この前から言っているように、例えばこの前、石巻市に行かせて頂きましたけれども、石巻市はまさに漁港がございまして、水産加工業のメッカでもございます。その漁港の修理なんていうのは、当然、公的資金でやらざるを得ません。

それから、多分、今日の(臨時閣議案件である第一次)補正予算に入っていると思いますが、昔で言う住宅金融公庫ですね、今の住宅金融支援機構、これが確か、今の予算案では1,460万円までが(融資の)リミットで、色々土地を買うときに加算がございますけれども、最大5年間までは先送り(措置)、無利子ということがございまして、震災特例でございますが、そういう制度をつくってくれております。

それから、経産省も、これは県の商工部だと思いますが、これも無利子の基金をつくるということで、当然無利子にすれば利子の補給ということで税金が要るわけですけれども、それが今度の予算にも入っております。無利子、据え置き、そういったことが、これはみんな震災特例ですから、そういった金と、私が委員会で申し上げておりますように、民間金融機関というのは基本的に人様から預かってきた預金が原資でございますから、公的金融機関に比べればリスクがとりにくいものですから、当然そういったことをうまく組み合わせて、最終的には、民間金融機関だけで経済が回っていくということになれば、これはまさに復旧・復興したということですから、最終的にはそこは目標ですけれども、各県、業種、地域によって、そのことを正しくというか、最適な方法で使い分けていくことが大事だというふうに私は申し上げておきました。

それからもう1点、今日は(補正予算の)原案の中に民間活力という言葉があったのです。それから、絆という言葉が原案にあったのです。民間活力と絆ということであれば、まさに明治4年以来の郵政事業というのは、皆さん方もよくお分かりだと思いますが、特定郵便局長というのは民間活力なのです。(英国元首相の)サッチャーさんが言い出して、急にサッチャリズムで有名になりましたけれども、あれは自分の私有財産を国に貸すわけです。だから、あれは民間活力なのです。

明治初年の民間活力は、前島密という、私は天才的な制度設計者だったと思っていますけれども、あの時代に日本国は大変貧しく、財政難でほとんど資力がありませんでした。それでも近代国家をつくらなければならないと。そして(そのためには)お金は使います。郵便貯金です。お金を使うと、どうしても間違いが起こりますから、その間違いは、要するにあなたの私有財産を売って補填してくださいというのが特定郵便局長の原則なのです。

ですから、当時明治時代の初年、江戸時代の後期からいわゆるマニファクチャーというのが起きていまして、田舎においては醤油屋、酒屋、大地主などというのは結構経済的に豊かだったのです。その人たちが、民間活力で自分の土地の一部を郵便局に貸すことになり、それと引き換えに、当時国家公務員になったわけです。

よく言うように、明治4年から昭和23年まで特定郵便局(長)は給料をもらっていないのです。国家公務員という名誉はもらいましたが、給料は貰っていないのです。これは世界中で日本だけの制度なのです。これが実に民間活力です。そういった意味で、民間活力の活用という話が原案の中にありました。何もこれはサッチャーさんが言い出した言葉ではございません。日本が100年以上前にきちっと実行しておりました。ですから10年ぐらい前まで、郵政3事業というのは世界で一番強力だったのは日本国なのです。その原動力はやっぱり民間活力だと、13年前に郵政大臣していまして、私は思っています。

郵便局は1,932箇所、東北地方にあるのです。皆さん方ご存じかと思いますが、(三井)住友銀行に東北の支店というのは何行あったかご存じですか、東北6県で。私は西川さんという(三井)住友銀行の(元)頭取で、日本郵政の(前)社長に直接聞いたのですけれども、東北6県で天下の(三井)住友銀行は1行しかないのです。仙台市だけです。今は2行ぐらいになっていますけれども。

民間銀行と郵便局は非常にビジネスモデルが違うのです。ですから、そこら辺はきちっと、それぞれの違いはお互いが補完し合うというか、お互いに助け合っていくべきだと思っております。政治は私がよく申し上げますけれども、鳥の目と虫の目ですから、鳥の目と虫の目でしっかり、法律の中にも地域の経済の活性化に資するということがありますから、虫の目ですけれども、絆、つながり、こういったことで、そういうことを言わせて頂きました。

それから、原案の中に金融市場、為替市場等々のマーケットのことが書いてありましたから、ご存じのように、(米連邦準備理事会(FRB)議長の)バーナンキさんが昨日記者会見しました。アメリカも急には金融引き締めしないけれども、激変緩和というか、2~3回の全体会議を開いてなどということを言ったようですが、私は今日、日本銀行総裁に偶然にお会いしましたので、そういうことと解釈していいのかというふうに聞いたら、日本銀行総裁も基本的にはそうではないかと言っていました。そんなことをきちっと、当然日本の震災の復旧・復興、今からの全体的な日本国の経済のかじ取り、これも当然世界経済にとって重要なもので、何といっても世界のGDPの3番目は日本ですから、当然世界のマーケット等は無縁ではございませんから、そのまさにマーケットとつながっているところは金融庁でもございますから、金融担当大臣としてもそういうことをきちっと書いてありましたから、それはそれで、了としたという、少し長い話になりましたけれども、そういうことでございました。

問)

みずほ銀行のシステム障害の件なのですけれども、26日に金融庁が持株会社のみずほフィナンシャルグループにも(検査に)入られたわけですけれども、そのねらいと、大臣としてはどのようにポイントを見ていらっしゃるかというのをお伺いできますか。

答)

みずほフィナンシャルグループ、4月26日だと思います、火曜日でございますが、これは銀行法に基づいて立入検査を実施する旨、検査予告を行いまして、同日、立ち入りを開始したところでございます。

また、現在みずほ銀行に対して銀行法に基づいて立入検査を実施しているほか、今回のシステム障害について、この「事実関係」と「発生原因」等について報告を求めているところでございまして、当局としては、まだ検査中でございますけど、これらの報告内容及び検査結果等をまずは精査する必要があり、今後の対応について現時点では予断をもって言及することは差し控えたいと思います。

そういったことでみずほフィナンシャルグループは持株会社であり、親会社でございますから、ご存じのように人事権等々は持株会社にございますから、きちっと検査予告を行って検査に入らせて頂いたということでございます。

問)

もう1点、三菱東京UFJ銀行が10年ぶりに法人税を納めるということなのですけれども、これについて大臣としての見解をお伺いできますか。

答)

これはご指摘のような報道は私も読ませて頂き、承知しておりますけれども、個別の金融機関の納税状態に係る事柄については、これは国税庁に聞いても、私も26年間(国会議員を)やらせて頂いておりますが、国会でも必ず、個別の納税状況については逐次コメントすることは国会でも避けておるところで、当局としては逐一コメントすることは差し控えるという、必ずそういう答弁になります。

しかし、一般論として申し上げれば、金融庁としては、各行が法人税の原資となる収益を適切に確保しつつ、納税を含めた社会的責任は当然、納税の義務というのは憲法上の義務ですから、しっかり社会的責任を果たしていくことが望ましいというふうに考えています。

これはご存じのように、繰越欠損金の(繰越期間は)確か7年間だったと思いますが、当時、1998年の金融国会のときだったか、全国に本当に金融機関の破綻法制と、日本の金融機関が大変厳しいということもございました。その中の大きな流れの一因として、繰越欠損金の問題があります。これは、他の自由主義の国でも資本主義の国でもこういうことはやっていますので、これは何年間かというのは各国によって違いがあるようですけれども、多分私の記憶が正しければ、7年間繰越欠損金でやっていいということで、その間、法人所得税は減免されるという制度をつくらせて頂きました。

いずれにしても、きちっと金融機関は法人税の原資となる収益を適切に確保して頂くということは、私は金融担当大臣として歓迎すべきことで、適切な収益を上げていただいて、そしてきちっと憲法に従って、法律に従って納税をして頂くということは望ましいことだと思っております。

問)

保険毎日新聞の園田です。

地震保険のスキームで、政府の負担割合を増やすというような話が出ているようなのですけれども、その所感をお願いします。

答)

東日本大震災に係る地震保険の支払いについては、国が再保険を引き受けておりまして、民間の損保会社において相当規模の準備金等を有しているため、今回地震が起きて最初の記者会見で申し上げましたように、確実に支払われます。損保会社各社の純利益が2,162億円、それから純資産が5兆6,000億円、それからこれは異常危険準備金が3兆8,000億円ございますし、ソルベンシー・マージン比率が697.1(%)ということでございまして、その他、ご存じのように国が1,150億円までは民間のそれぞれの損保会社の拠出でございますが、1兆9,250億円までは、これになりますと国が半分、民間の損害保険会社が半分、それを超えますと5兆5,000億円までは国が95%、民間損保会社が5%負担するということを、法律によって再保険を国が引き受けております。

昨日も中央防災会議がございまして、私も閣僚として出席させて頂きましたが、東京大学の阿部名誉教授が、確か地震に関する委員会の委員長でございましたが、色々な説明がございまして、マグニチュード9というのは1900年以降でも6回しか起きていないという話で、それが日本で起きたというのは想定外だという話が、東大の名誉教授から学者としてありました。そういった地震・津波で、それから原子力の発電所のことで亡くなられた方には本当に心から哀悼の意を表したいと思いますし、また、まだ不明者の方がたくさんおられるわけでございますから、これに全力を挙げてやるというのも非常に大事でございますけれども、同時に自分の家が全部流れ、火災保険の地震特約に入っており、あるいは企業でも、当然損害保険に色々入っているわけでございますけれども、今回の東日本大震災においてはきちっと国が再保険をかけていますし、また、私の記憶が正しければ、損害保険会社等々が2,200億円をもう既に出していただいておるのです。

もう何回か言いましたように、(通常)損害保険会社というのは立会人が1件1件確認して全壊、半壊だとか一部損傷というのを決めていくのですが、今回、大変強いお願いを日本銀行総裁と私でさせて頂きまして、非常に協力して頂きまして、各社別々にせず、航空写真でまとめてその地域が全壊だという判定をして頂きました。非常に損保会社それぞれが災害に遭った方々の立場に立って、そういったことをやって頂けたというふうに思っております。もう既に2,200億円、まず災害に遭った人の当座のお金として必要だという趣旨でございますから、その点は非常に、よくやってくれたと感謝いたしております。一方、今後新たな地震が発生した場合、そんなことは滅多にないと思いますけれども、また大地震が、余震等々もありますから、そのときに地震保険支払いの確実性を引き続き保険契約者に安心して頂く必要があるというようなことで考えて、これに関して地震再保険の官民の負担額については、今回の地震については、さっき何回も申し上げましたが、全く心配要りません。さらにまた、余震も1年以内続くなどという話もありますから、そうすると何かまた他の地域でも万が一ということで、官民の負担増について、民間の負担力の変化に応じてこれまで随時改定してきたところです。地震再保険制度は、基本的に財務省の担当でございますけれども、そういったことについては、財務省を中心に地震再保険についての官民それぞれの負担額について再検討しているということは、金融庁としては伺っております。

いずれにいたしましても、地震保険あるいは国家の再保険ということは、何よりも契約者の安心のためにやらせて頂いておるわけでございますから、そういった意味で契約者の安心を確保するために役に立つということを期待いたしております。

基本的にご存じのように、地震保険は財務省の仕事でございますので、我々はそういう報告を頂いているところでございます。

しかし、さっき言いましたように、契約者の安心につながればいいことですから、そういったことになるように期待をいたしております。

問)

通信文化新報の古田です。

郵政をめぐる動きなのですけれども、12日に衆院(衆議院)で特別委員会の設置が可決されたのですが、その後、一向に自民党から委員の名簿が出てこないということで発車できないという状況にあると思うのですが、担当大臣としてそのような状況に対してどのような思いでいらっしゃるのか。

答)

(自民党からは)今は名簿を出して頂いておりませんようですけれども、委員会設置というのは、きちっと合法的に議会のルールに則ってやってきたわけですから、いずれ私は自由民主党もきちっと名簿を出して頂けると思っております。多分私の記憶が正しければ、一つの組織として亡くなられた方の人数をNTTに聞いても1人だという話ですし、JRに聞いてもそれほど多くの方は今回の被災で亡くなられたり、不明の方はおられませんけれども、日本郵政グループ全体として関連企業も入れて、これはユニバーサルサービスですから、現地で聞いた話だと、一つの組織として59人亡くなられたのは、JRとかNTTとかより一番多いというのです。それはユニバーサルサービスですから、津波が押し寄せてきたリアス式海岸の奥の町、村に郵便局はあるわけです。ですから、本当に郵政改革担当大臣として胸の痛む思いですが、そういったことを含めて、今さっき言いましたように、ネットワークといいますか、人のつながり、絆ということを今日言いましたし、明治以来、国に100年以上根付いてきた民間活力の一つのシステムですから、やはりそういったことを勘案して、自由民主党は、ぜひ早く名簿を出して頂きたいと思っております。むしろ(野党)第1党として早く出す義務があると私は思います。やはり論議をしましょうということです。

問)

もう一度みずほ(銀行)の件ですけれども、さっき事実関係中心にご指摘ありましたけれども、大臣としてどういう姿勢で臨まれるかということをもう一度お伺いしたいのですが。

答)

これはやはり事実関係、それから発生原因をまず調査、そこをきちっと分かってからどうするかということを考えるべきで、今から予断をもって考えていくことは適当でないというふうに思っています。

今のところは予断をもって発言するのは、担当大臣として適当でないと(思っております)。まず、向こうから報告も求めていますし、こちらもきちっと検査、調査に行かせて頂いておるわけでございまして、私は前回たしか申し上げたと思いますが、ITに関する専門家もチームの中に入っているという話をしましたが、これはシステムダウンですから、そういった極めて技術的な能力のある職員も金融庁には今おります。今、金融業というのはご存じのように、コンピュータといいますか、そういうことが非常に大事になってきていますから、そんなこともきちっと分かる人もこの検査に行っているという話でございますから、そこら辺まず事実関係と発生原因が大事だと思います。

問)

また、みずほ(銀行)なのですが、先ほどの大臣のご発言で、(みずほ)FG(フィナンシャルグループ)に(検査に)入った理由で、人事権等は持株会社なのでというご発言があったと思うのですけれども、この意味するところというのはどういうことなのでしょうか。

答)

まさに持株会社というのは一番上が人事権を持っております。基本的に持株会社(の法律)をつくった張本人の一人は私なのです。当時、自民党の政調会の副会長でしたけれども。最初にたしか持株会社を作ったのはNTTだったのです。NTTが今持株会社で、分割民営化(の議論)で12年間大変すったもんだしまして、最後に結局、持株会社にしようというようなことでしたけど、持株会社というのは、ご存じのように戦前、三井・三菱という財閥ができて、結局、それが遠因となって非常に富の偏在が起きて、五・一五(事件)、二・二六(事件)が起きて、日本が大陸進出をせざるを得ない、あるいは軍国主義の温床だと言われることで、GHQにより財閥は全部解体されたわけです。そんな思いもありましたので、これは大変抵抗が強かったのですけれども、持株会社というのは法律を変えまして、自民・社民・さきがけのときでしたから、日本社会党がなかなか強硬でしたけれども、何とかご理解頂いて、たしか持株会社の法律のときの第1号の適用はたしかNTTだったのです。

当然株主ですから、株主権があるから、株主権の行使として色々な義務があるし責任もありますから、そういったことを踏まえて、みずほフィナンシャルグループというのは親会社といいますか、持株会社でございますし、株主でございますから、株主権の行使という責任があるということを人事だとか何とか申し上げたわけでございます。

その後、NTTが持株会社になった後、たくさんの金融会社がこの法律を活用して、今は、フィナンシャルグループというのはかなりの活用をして頂いているということは、最初、私は下働きで力仕事をした人間でございますが、非常にこの持株会社の法律に関して私自身、ちょっとずれたかと思いますけれども、非常に強い思い入れがございます。

問)

今の確認で、みずほフィナンシャル・グループは人事権もあるし、持株会社で株主でもあるわけだから、今回の問題についても責任が、あるというふうに見ていらっしゃるということですか。

答)

そこはシステムとか何とか、やっぱり株主としての責任があるわけですから、やっぱり株主としての責任があったら、持株会社として持って支配している会社に対して当然、責任があるわけでしょう。

どうもありがとうございました。

(以上)

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