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自見内閣府特命担当大臣繰上げ閣議後記者会見の概要

(平成23年5月2日(月)17時22分~17時38分  場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は補正予算が通りまして、閣議がございましたが、延びましてちょっと遅れたことを申しわけないと思っております。

特別に、補正予算は全会一致で衆参(両院)とも通していただいて、まさに災害でございますが、この急ということで、力点を置いた補正予算4兆円強でございましたが、大変ありがたいことだと思っております。

以上です。

【質疑応答】

問)

震災の関係で、地銀などが公的資金申請の検討を表明するところが増えておりますけれども、ちょっと話がずれますが、銀行が破綻した場合に、通常はペイオフ制度で預金者1人(当たり)1,000万(円)と(その)利子が保護されるわけですが、万一、今回の震災の影響で破綻した場合に、1,000万を超える預金が保護されないという、そういう事態が万一起こった場合に、なかなか預金者は理解しないのではないかと思うのですけれども、そこは大臣はどうお考えでしょうか。

答)

これは私は前から申していますが、東北6県と主に茨城県でございますが、被災地に所在する金融機関を含め、今、我が国の金融機関全体としては十分な自己資本を確保しております。これは前にも申し上げましたように、地域銀行が自己資本比率11.6%、信用金庫12.3%、信用組合10.9%でございますから、今のところ全く自己資本に関しては心配をいたしておりません。

ただし、今回の東日本大震災という未曾有の災害が金融機関に様々な影響を与えることが考えられますから、国の資本参加を通じて金融機関にさらに一層、金融仲介機能を強化する枠組みである金融機能強化法について、これは前から私がアナウンスをさせていただいておりますが、適用要件に関わる震災の特例を設けるなど、法改正を含めた検討を現在行っているところでございます。法改正の検討に当たっては、地域における金融機能を維持・強化するとともに、当然(預金取扱)金融機関でございますから基本的に預金者がおられますので、預金者にも安心感を与えるような内容にしたいと思っております。

それから、ペイオフはしないのかというご質問であったと思いますが、今回の(震災は)、それこそ千年に一遍、マグニチュード9というようなことも言う未曾有の大震災であり、金融機能強化法の改正については、金融機能を維持・強化し、預金者にも十分な安心感を与えることができるものとするように検討してまいりたいというふうに思っております。

問)

東京電力に関してなのですが、東電の原発事故の補償が議論されていますけれども、東電の社債の償還について、一部、不安視されていると思うのですが、東電社債は国内社債市場にも影響を与えるということで、(東電社債の償還の)今後の状況について、どうご見解をお持ちか教えていただけますでしょうか。

答)

個別の社債の状況については、コメントをすることは差し控えさせていただきたいのでございますが、社債市場及びその他の債券市場の動向については、引き続き高い関心を持って注視してまいりたいというふうに思っておりまして、今、固有名詞が出たわけでございますけれども、個別の株価、あるいは社債の状況についてコメントをすることは、私は行政(機関)の長としては適当でないというふうに考えております。いずれにいたしましても、市場の動向につきましては、今後とも高い関心を持って注視をしてまいりたいというふうに思っております。

問)

改めてなのですけれども、(被災者の)二重ローンの問題なのですけれども、昨日、菅首相が、(参議院予算委員会で)法制も含めて検討するというようなことをおっしゃっていたと思うのですけれども、これについてどういうふうにお考えかということと、あと日弁連なんかは債務を帳消しにするみたいなことも言っていると思うのですけれども、そういったことに対してはどういうふうにお考えかということを。

答)

(被災者が)二重ローンで困窮しないために、どのような対策を講じるのかという話だと思いますけれども、ご存じのように金融庁では、これは被災当日、3月11日でございますが、日本銀行総裁と私の名前で、全金融機関、特に預金を持っておられる、あるいは融資をしておられる金融機関が主でございましたが、損保協会、損保、生保も入っておりましたが、お願い(要請)しております。特にローンの問題では、銀行、あるいは信金・信組でございますが、そういった金融機関に被災した中小企業や住宅ローンの借入者からの貸付条件の変更等の申込みについて、中小企業金融円滑化法案にきちっと書かれてあるわけでございますけれども、その趣旨を踏まえて、積極的な対応を繰り返し要請してきたところでございまして、金融機関はこの要請を踏まえまして、積極的に取り組んでいただいているものと承知をいたしております。

他方、ご存じのように、債務免除などの個別与信の話については、私も(国会の)委員会で色々答弁させていただきましたが、基本的には、各金融機関の経営判断でありまして、それを超えて民間金融機関に一律に被災者に対する債務免除を行うことを求めるということは、(民間金融機関の)貸付原資が預金でございますし、一人ひとりの預金に、それに利子をつけてお返しをするということが民間金融機関の大原則であることと、それから被災者の状況が、これは中小企業にしても、あるいは住宅ローンを借りておられる方についても千差万別であることに鑑みて、一律に(債務免除を行うことを求める)ということは困難であるということもご理解をしていただきたいと、こう思うわけでございます。

しかし、いずれにしても、総理自身も二重ローンについては、(参議院)予算委員会でも(答弁したとおり)大変大きな関心をお持ちでございまして、いわゆる二重ローン問題については、大変重要な問題だというふうに私も認識しております。民間金融機関だけでなく政策金融、これはご存じのように、住宅に関していえば、住宅金融支援機構、昔で言う住宅金融公庫ですけれども、これは確か1,460万(円)までだったと思いますが、震災特例ということで5年まで(返済金の払込みの)据置、あるいは場合によっては無利子という世界も、政策金融でございますからできますので、そういったことも含めて今度の補正予算に入っております。それからご存じのように、中小企業であれば経済産業省、中小企業庁でございますが、ここに中小企業向けの政策金融がございますが、今度は新しい震災特例の一部無利子の入った制度を作らせていただいて、その(補正)予算も今日通ったわけでございますから、そういった世界がございます。

金融庁としては、民間の金融機関を所掌する立場ですから、私のところだけではなかなか難しい、金融規律の問題もございますけれども、しかし、そういった政策金融とのセットで考える、あるいは場合によっては被災者支援措置、これは被災地で被災された方への(被災者)生活再建支援基金、これは家がもし全壊した場合、また新たに建て直すことは、確か300万円までの生活再建支援金が出るということで、今日予算もつきましたので、そんなこととあわせてセットで被災者の間の公平性の問題にも留意しつつ、政府全体で取り組むということで総理も言っておられました。金融庁も、民間の金融機関を所掌する立場でございますが、公的金融機関を持っている省庁、例えば今さっき言いましたように、国土交通省は住宅に関してのそういった公的金融機関を持っておりますし、中小企業対策に対しては、経済産業省が中小企業に対する政策金融を持っておりますし、農林水産省は、農林業・水産業というのは公的金融の非常に多い分野でもございますし、それから今さっき言いましたように、財政支出そのものといいますか、これは防災担当大臣のところにございます(被災者生活再建支援法に基づく)被災者生活再建支援金、そういったことと組み合わせて、これは各省庁にまたがりますので、内閣官房の方でやるという話でもございますが、大変大きな問題でございますから、我々も民間の金融機関を所掌する立場として、そういった公的金融を持っておられる各府省がございますから、そういったところとしっかり調整していきながら、この二重ローンの問題について、総理も予算委員会でも(おっしゃったように)大変大きな関心をお持ちでございますので、内閣官房を中心に調整をしていただきたいというふうに私は思っております。

問)

二重ローンの問題なのですが、大臣も今、被災者の公平性に留意しつつということをおっしゃいましたけれども、現金で買った人と住宅ローンを組んでいた人とか、あと過去の事例と今回ということで、公平性は色々と難しい問題があると思うのですけれども、民間金融機関だけにしわ寄せするという意味ではなく、今回どこら辺まで踏み込むべきだと大臣ご自身は思っていらっしゃいますか。

答)

未曾有の震災、津波、原子力発電所(事故)の、本当に大きな被害でございますから、私は、できるだけ被災された方の立場に立ってやるべきだと思います。具体的なことは今から我が庁でも検討いたしますし、それから今言いましたように、これは政策金融のところと、それから当然、財政出動のところは財務省ですから、そういったことで今日、実は閣僚懇でも私はこの話を出しまして、総務大臣からもこういったことは早くやった方がいいという話もございまして、官房長官も今日きちっと、そこで引き取ってやるというようなことを(おっしゃってました)。私も実は以前から官房長官と話をしておりましたが、農林水産大臣も農林水産委員会で、まさに重複債務といいますか、そういう問題が出たそうでございまして、今日の閣議の前も農林水産大臣とも、各省調整が要りますから、内閣官房長官のところでやってもらおうということで(話をしました)。閣僚懇で私も、それから総務大臣も発言していましたが、こういうことは早くやらないといけませんから、そういったことを色々考えながらやっていく必要があるというふうに思っております。

問)

今のお話は、閣僚懇では、もう少しどういうことを提言というか発言されたのですか。

答)

要するに、二重ローンの問題(については)、総理も(参議院)予算委員会で(答弁したとおり)、総理は総理の私案ですけれども色々言っておられましたし、各市町村(長)、県知事さん(からも)、色々なこういう話があるというようなことも紹介しておられたということは、もう皆様方は予算委員会でご存じだと思いますが、そういった色々なスキームをまた考える、どういうことが可能なのか。基本は私が言ったようなことでございまして、やっぱり色々知恵を出してやっていく。その調整は官房長官でございますから、そういったところに各省(庁)の調整といいますか、前向きな調整を委ねたいと思っております。

例えば、官房長官が言っておられたのは、(仙台平野における)土地(の地盤沈下)ですね。実は土地が、海面から1メーターぐらい(地盤)沈下しておるのですね。そうしたら、宅地を担保にして住宅ローンを組んでいた人(の担保物件)が、結局海になっているわけです。それは法務省と土地の問題ですから、その問題も実は官房長官とどういうふうに(調整すべきか)、要する仙台平野が沈下して土地が海面に沈んでいるわけですから、基本的な話でございますが、そんなことも実は(二重ローン問題に)絡んでくる可能性がございますから、そういったところの各省(庁)の調整が必要だと思っております。

(以上)

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