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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年5月6日(金)12時7分~12時31分  場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は久しぶりの閣議で、閣議の後、二つの震災と原発の対策会議(緊急災害・原子力災害合同対策本部)がございましたので、遅れてすみません。

今日は1点だけ、閣僚懇で玄葉(国家戦略担当)大臣から、福島県(出身)ですから、原子力発電所(関連で)市場(への影響)という話が出ましたので、私からも、60兆円の社債市場のうち5兆円は東京電力(の電力債)ですし、他の電力債というのも、非常にこの社債市場から資金を得ていますので、そういったことをしっかりウォッチしていただきたいと(申し上げました)。それから、社債は大体20%下落しておりますし、なかなか売り出せないという状況もございます。それから株式市場は、確か8割弱低下していると思っています。東京電力は責任があるわけですから、しっかり追及せねばなりませんけれども、電力の安定的供給、これは何といいましても日本の経済、特に東京電力管内(の経済)は、日本のGDPの4割、それから金融についていえば預金の45%、それから貸付金の5割が、実は東京電力1社管内といいますか、(いわゆる)首都圏を現実として担っているわけでございますから、非常に経済の発展にとりましても、東京電力というよりも、今は地域独占でございますけれども電力会社が、やはり外国人から見てもマーケットから見ても、きちんと安定的だというスキームをつくる必要があると私は思っておりますので、そういった意味で、そのことを一言、閣僚懇でも、私も金融担当大臣でございますから、これはしっかり発言していきたいと思っております。

以上です。

【質疑応答】

問)

東日本大震災の(被災者の)二重ローン問題に関してなのですけれども、一昨日、政府の復興構想会議のメンバーが被災地を視察した際に、南三陸町長から「これまでの借金を棒引きにしないと企業経営の再生はあり得ない」と徳政令にも似た要望があったのですけれども、金融担当大臣として、金融規律等の観点から非常に難しい課題だとは思うのですが、政府としてどのような踏み込んだ対応を考えていかなければならないとお考えでしょうか。

答)

これは先週の衆参の予算委員会でも大変頻回に出た質問でございまして、二重ローンの問題についてどうするのかということでございまして、これは佐藤南三陸町長より、まさにそういう話が出たということはお聞きしておりますが、震災当日、3月11日から、金融(担当)大臣(である)私の名前と、日本銀行総裁の名前で、銀行、生損保を含んだ全金融機関に対して、被災した中小企業や住宅ローンの借入れなどの貸付条件の変更等の申込みについて、中小企業金融円滑化法がございまして、これは(前金融担当大臣の)亀井静香さんが政権交代してつくった法律でございますが、これを1年延長させていただきまして、まさに貸付条件の変更に出来るだけ応じなさいということで、これは震災の前でも、(変更等の状況を)大体100万円単位で皆様方には発表いたしておりますけれども、そういった中小企業金融円滑化法の趣旨を踏まえて積極的な対応を、3月11日から改めて繰り返し要請いたしておりますし、それから確か局長名を入れて3回ほど、金融庁からも各金融機関にお願いいたしております。金融機関はそれらの要請を踏まえて積極的に、今のところ取り組んでいただいていると承知いたしております。

他方、今、お話ししましたが、私が所掌しているのは民間金融機関でございますから、民間金融機関の原資というのは、主に一般国民から預かった預金でございまして、預金には利子をつけて返すというのが大原則でございます。そういった意味で、あくまで私有財産権というのは憲法で保障されていますけれども、私的な預金でございまして、民間金融機関というのは、これを原資として基本的にお金を貸しているわけでございますから、そういったことと、(金融機関が)お貸ししている中小企業や、また(金融機関が)住宅ローンを貸している色々なところも、所得の多い人・少ない人、土地の(価格の)高いところ・低いところ、色々ありますから、これはまさにケース・バイ・ケースでございます。そういった意味で、民間金融機関に対し一律に被災者に対する債務免除を行うことを求めるということは、民間金融機関の特性を考えて、なかなか難しいということはご理解いただけると思います。

ただし、この二重ローンの問題は、非常に大きな政治問題でもございます。(参議院)予算委員会で総理大臣も、一工夫、二工夫、要るということを言っておられましたので、これは民間の金融機関だけでリスクがとれる(範囲)は、当然一定の限度がございます。公的金融機関、これだと当然、税金を入れることによって金利を減免し、いろいろ政策的な目標に沿ってできるわけでございますから、例えば今度の被災者生活再建支援金とは、もし家が全壊して、その家を建て直す場合、(支援金の支給額の合計が)300万円になります。これは、まさに財政出動そのもので、(松本)防災担当大臣も国会で発言しておりますし、その予算も今度(の補正予算で)、入っております。これは財政出動そのものでございますし、また、被災者弔慰金の問題などもございます。これは本当にお気の毒な方でございますけれども、そういった財政出動の世界と、それから政策金融、例えば住宅金融支援機構、これは昔でいう住宅金融公庫でございますけれども、これは、国土交通省、国土交通大臣の所管でございます。これも、思い切った震災特例というのが今度の補正予算の中に入っております。これで(災害復興住宅融資の元金を)据え置きをして、5年間無利子という制度、無利子の世界をつくらせていただいておりますし、それから中小企業についても、経済産業省の日本公庫あるいは商工中金、これも「東日本大震災復興特別貸付」という特例ということで、都道府県を通じて無利子の基金を創設するということで、新たに今週通った今度の補正予算で無利子の世界をつくらせていただいておりますので、そういったことを組み合わせてやっていくべきだと私は思っております。そのことは、前回の月曜日の閣僚懇で、私は(会見で)お話ししたと思いますけれども、こういうものを調整するのは官房長官で、私のところ(の所管)は民間の金融機関ですけれども。

それから、もう一個、大きいのは農林水産省です。昔から農業共済、漁業共済、これは無利子の金をある意味で一番たくさん(扱っており)、第一次産業ですから非常に復元力がない。しかし、生命産業ですから絶対必要だということで、これはもう昔から手厚く公的金融・政府系金融のあるところでございますから、そういった意味で、そういったところと併せて、これはこの前、話したと思いますが、農林水産大臣からも、「自見さん、三陸地方で漁船をなくした人の金融をどうにかしてくれ」などという話がありまして、当然、私のところ(の所管)は民間金融機関ですから、それは全部、官房長官のところでよく話をしてもらおうと(思っております)。私は、被災者の方の生活再建のためにできるだけ負担を減らすということは、大変大事な、大きな目的と思っております。そういった意味で、官房長官のほうで調整してくれということを強くお願いしている段階でございます。

これは昔からの大きな省は、大体全部、政策金融を持っていますから、そういったことも政策を駆使して、しかし、同時に民間金融機関というのは、確かに一定の金利をいただくということでございますと、これは量が多いですから、やはり最終的には民間金融機関が出ていって、事実的に利子の補給とか補助金とか、そんなものはなくてもどんどん経済が動いていくというのが、最終的な経済のあるべき姿でございます。被災がなければ、当然、東北地方だって、そういうことで基本的に民間金融機関を主にして動いていたわけでございます。しかし、今、大震災ということで、工場が流された等々(の問題があり)、そういったときはやはり政府の財政出動だとか、政府の無利子融資制度だとか、リスクが沢山とれるお金といいますか、そういう公的金融機関と民間金融機関、これも今言いましたように中小企業金融円滑化法を出していますから、できるだけ中小企業の立場に立ち、それから不景気でしたから、急にリストラになったけれども住宅ローンだけ残っている、そういったところに立って金融機関としてやってくれと、(監督指針・)金融検査マニュアルまで変えまして、(前金融担当大臣の)亀井静香さんのときにきちんと指導しておりますし、大体これを2年間やって定着してきていますので、それをさらに一層、こういった災害のときに徹底してくれということを金融機関にお願いしています。今、私は、ちょっとくどいようでございますけれども、やはり災害復興というのは、まさに財政出動、政府系の金融機関、それから、最後と言ったら悪いのですけれども、一番力強い、ボリュームが大きい民間の金融機関、それらが行けばもう自律的に経済が復興していく、自動的に大きくなっていくわけです。今、全部被災で流れてしまって、まさにそういう過程にないわけですから、そういうために全力を挙げて、政府の一員として私も働かせていただきたいと思っております。

ちょっと長い答えになりましたけれども、よくお分かりになっていただけたと確信しておりますので、そういうことで二重債務の問題は解決していきたいと思っております。

また、色々知恵があったら、皆さん方も「こういう知恵がある」とか、あるいは皆さん方、経済部、金融のこともお強い方が多いですから、「こういうところでこういうアイデアがあるよ」等々、色々聞いてこられたことがあったら、ぜひ教えていただきたいと思っております。

問)

みずほ銀行のシステム障害に関してなのですけれども、先月末に、みずほ銀行とみずほフィナンシャルグループから、銀行法第24条に基づいて原因報告などが出されたところだと思うのですけれども、その報告内容についての受け止めと、かつて大臣は、正式な調査報告に基づいて厳正に対処するとおっしゃっていましたけれども、今後の行政対応についてのお考えをお聞かせください。

答)

お答えいたします。報道については承知しておりますけれども、これは個別の金融機関の監督の具体的な内容に係る問題でございますから、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

ただし、当局といたしましては、みずほ(銀行)からの報告内容を精査する必要があると同時に、まだ金融庁で検査中でございまして、この検査が終わった後の検査結果も踏まえて対処していくことになると思っております。今後の対応については、まだ当行に対する検査も終わっておりませんので、今の時点で予断をもって言及することは、自由主義社会における銀行経営、規制当局と民間金融機関というのはそうあるべきだと私は思っておりますので、差し控えさせていただきたいと思っております。

問)

金融タイムスの大嶋ですけれども、金融機関が中小企業にお金を貸すときというのは、製品の出来具合とかコスト競争力がどうだとか、事故のリスクとか、経営者の能力はどうだとか、いろいろ厳しく見るのです。ところが、国債とか東電に投資するときは、「もう最終的に国が払うからいいや」という感じでモラルハザードが生じているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

答)

私は、まだそういう(賠償)スキームについて、決して最終的には煮詰まっていないと認識いたしておりますので、やはり東電にもきちんと、国会でも確か総理大臣が、第一義的には東京電力に(責任が)あると。しかし、政府も、原子力政策等々は国策としてやってきたところもございますから、そこで一切、国に責任がないということはないというようなご答弁をしておりますけれども、ただし、電力というのは東京電力を初め9電力でございまして、これは私の持論でございますけれども、やはり電力と鉄鉱と半導体、これは非常に大事な近代工業の基礎でございますから、基本的に東京電力の融資のことといった個別の金融機関に関わる状況については、金融庁として意見を述べることは差し控えさせていただいた方がよいと思うわけでございます。

しかし、今、言いましたように、産業の基本的な話でございますし、これは戦後、9社体制でやってきたわけでございますから、そういった意味で市中の動きを注視しつつ、各金融機関が東京電力にお金を貸したということも、報道では知っておりますけれども、最初に申し上げましたように、この社債リスク、それから株式市場、そういったこともしっかり注視して、適切なリスク管理が行われなければいけないということ、それは中小企業であれ大企業であれ、自由主義社会においては同じでございますから、そういったことをきちんと引続き監督してまいりたいと思っております。

ただし、電力会社の場合は、別に色々な法律がございます。当然、法治国家でございますから、そういったそれぞれの法律を遵守していただくということは、私から言うまでもなく基本でございます。

問)

フリーの浜田と申します。よろしくお願いいたします。

先日、貸金業法施行規則の一部が改正されました。これによって、緊急融資が貸しやすくなりましたけれども、既に年収の3分の1を超えて借りている方に追い貸しするという必要性よりも、むしろ債務の救済が先決ではないかと思うのですが、これに関しまして大臣のお考えをお聞かせ願えればと思います。

答)

私から申し上げますと、この前、収入の3分の1超ということは震災特例で、社会通年上必要とするお金というのは例外であると。私は医者でございますから、お医者さんに行ったら一定のお金を取られます。そういったときのお金は、社会通年上必要なお金であり、それは総量規制の中の例外だという項目があったと思いますが、今度の東日本大震災で、社会通年上どうしてもそういった規則で貸せないということになりますと、これはもう法律というのは、やはり国がよくやっていけるように、私は逆に言うと、多重債務になって非常にお苦しみの人を何とか救わせていただこうということで、この法律は基本的につくったわけです。そういった意味で、この前の例外規定をつくったということは、もし私の記憶が正しければ、東日本大震災を受けて、法令に定める貸金業を利用するに当たり、法令に定める手続等の規定が原因となって、逆に不都合が生じることがないように見直しを行ったものだと私は思っております。

問)

東洋経済の井下です。

先般、総理のほうから、(被災者の)二重債務の問題でファンドのようなこともあり得るという、海江田(経済産業)大臣のほうにも指示があったように聞いておるのですけれども、あの辺の話は、閣僚懇でもう少し突っ込んだ話し合いとか、あれ以降、出ているものというのはございますか。

答)

閣僚懇では出ていません。ご存じのように、ファンドというのは色々なところで今出ておりますけれども、閣僚懇では「ファンド」という言葉は出ておりません。しかし、どこの色々な新聞を見ても、雑誌を見ても、「ファンド」という言葉は結構こういうときに、総理も確か被災地に行って、県(知事)・市町村長から「官民でファンドをつくって」という話があったということを予算委員会でも紹介しておられましたから、そんなことも含めて、今度は官房長官のところでいろいろご論議いただけるものと私は期待いたしております。

問)

為替なのですけれども、昨日(1ドル)79円台になって、今日も80円台ぐらいになっているのですけれども、復興の過程で日本経済に与えるこの円高の影響というのはあると思うのですが、大臣はどのようにお考えになっているか。

答)

欧州時間で5日、ドルが一時的に79円台半ばまで、円高となったことは承知いたしております。ただし、外国為替については財務大臣の所管事項でございまして、私としては金融(担当)大臣ですから、今後の市場動向については、引き続き高い関心を持って、冷静に注視してまいりたいと思っております。

(以上)

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