英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年5月10日(火)10時31分~10時54分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は特別ございません。

【質疑応答】

問)

(報道されている)金融庁が大規模農協への金融検査をする件についてなのですが、昨年、関係省庁でも議論したそうですけれども、現在どういう状況か教えていただけますか。

答)

農協に対する検査というのは、昨年6月の規制・制度(改革)に関する閣議決定を踏まえまして、農協法に基づきまして三者要請検査、(都道府県の)要請を受けて、都道府県、それから農水省及び金融庁の3者が連携して実施をする検査でございますけれども、この検査が促進されるよう、要請の基準・指針案を農水省と金融庁において共同作成しているところであります。他方、できるだけ早期に本基準・指針案を公表・実施した上で、本年7月以降、3者要請検査を実施していく予定であります。

今、基準・指針案として検討している内容は、まず(1番目に)都道府県が、貯金量が1千億円以上、または貯金量が当該都道府県の農協の平均以上に該当するか等を勘案して、そんなに大きくない県の農協もございますので、ですから、(貯金量が)当該都道府県の農協の平均以上の農協を、(つまり)地域の金融システム・経済に与える影響が大きいと考えられる農協、それから2番目に不正・不祥事の再発が認められる農協、のいずれかに該当する農協について、都道府県からの要請を受けて、都道府県、それから農林水産省及び金融庁の3者が連携して検査を行うものであるということになっております。

問)

先日、七十七銀行頭取のインタビューが(新聞に)出ていましたけれども、金融機関が持つ被災企業向けの債権を、整理回収機構(RCC)など国が買い取るという考え方について、どう受け止めていらっしゃいますか。

答)

ご存じのように、RCCは預金保険機構の協定銀行でございまして、破綻金融機関からの不良債権の買取及び回収を業務の中核としているということは、皆様方ご存じのところでございまして、RCCは破綻金融機関でない民間の金融機関から債権を買い取ることについては、RCCの業務範囲の考え方との関係を整理する必要があるというふうに思っております。

また、買取りの主体に関わらず、国が貸出債権を買い取るに当たっては、被災者の状況は千差万別である中、買取価格や損失が生じた場合の負担のあり方等をどうするのかといった検討課題が少なくないと考えられます。

しかしながら、菅総理も国会で申し上げておりますように、いわゆる(被災者の)二重ローン問題については、大変重要な課題と認識しておりまして、民間金融機関だけでなくて、私が国会でも申し上げておりますように、民間金融機関というのは、基本的に他人から預かった預金が原資でございまして、それからまた貸出をしている個人なり企業、これはもう千差万別でございます。当然、自由主義でございますから、色々な企業があり、零細企業・中小企業・大企業や個人でも所得の多い人・少ない人と当然色々あるわけで、そういった千差万別であるということがございますから、リスクをとるのは、民間金融機関というのは一定の限度がございます。しかし、それを超えることができるのは、私が国会でも申しておりますように、政策金融です。

例えば今回でも経済産業省、都道府県に言えば無利子のお金を貸していただけると。それは無利子にするために、当然、税金で利子の補てんをするため、今度の補正予算に入っていますから、無利子という世界が政策金融の場合は実現できるわけです。

それから、確か住宅金融支援機構、昔の住宅金融公庫です。これも確か最大5年間まで(返済)猶予、そしてこれも無利子というお金が入っておりまして、それは当然ですが、政策金融でございますから、基本的にその分は歳出で補てんするという仕組みに基本的になっております。また、さらに被災者支援措置等、すなわち被災者生活再建支援金というのは、例えば家が全壊した場合、また再び建てたいということを言えば、300万円が財政出動で税金そのものから出るということもございますので、そういったセットで被災者を考える必要があるという風に、以前国会で答弁申し上げましたように、大事であります。

また、被災者間の公平性の問題も留意しつつ、政府全体で取り組んでまいる所存だということを前にも申し上げましたように、これは官房長官を窓口に、私は民間金融機関を主に所掌させていただいておりますけれども、それぞれの政策金融というのは大体各省が持って(所管して)おられます。それから当然、財政のことが絡んでくれば財務省でございまして、そんなことを政府一体となって、きちっと取り組んでいきたいというふうに思っております。

問)

保険毎日の園田です。

共済事業に関する保険業法の一部を改正(する法律の一部を改正する法律)の政令が今日閣議決定されたということなのですけれども、それについての所感をお願いします。

答)

今日、私も署名してまいりまして、保険業法改正の政令が(閣議)決定されたわけでございますけれども、保険業法は、皆様方ご存じのように、平成17年の保険業法改正前から共済事業を行ってきた団体等のうち、一定の要件に該当するものについては、保険業法の規制の特例を設けて契約者等の保護を図りつつ、当分の間その実態に即した監督の下で事業の継続を可能とする法律でございます。これは平成22年11月12日に成立し、19日に公布をさせていただいたわけでございまして、今日その政令が閣議決定されたわけでございますけれども、改正法に係わる政省令おいては、特定保険業の認可基準や認可特定保険業者の業務・経理等に関する規制の細目等を定めており、改正法とあわせて5月13日から施行することとしております。

金融庁といたしましては、今後とも関係団体からの相談に丁重に対応してまいる等、制度の適切な運用を図るように努めてまいりたいというふうに思っております。

これはご存じのように、(認可特定保険業者の監督官庁は、)色々な公益法人につきましては、法律上、旧主務官庁でございますから、そういったところともしっかり連絡をとりながらやっていきたいというふうに思っております。

問)

中部電力が浜岡原発の停止を決めました。総理の要請を受け入れた形になりましたが、これは非常に複雑な問題だと思いますけれども、経済閣僚の一人としてどういうご見解をお持ちでしょうか。

答)

私の率直な感想を申し上げれば、あそこは地震のプレートがありまして、私も21年前、国土庁の政務次官をしていましたから、9月1日は関東大震災の(起こった)日で防災の日でございます。私は(当時)東京に行きましたけれども、石井一(元)国土庁長官は、確か、東海沖地震が発生したという想定のもとで静岡に訓練に行かれまして、あの地域は非常に確率的にも飛び抜けて地震が起きる確率が高いということは当時から言われております。(今回の)福島の原発事故は大変遺憾な話で、今、一生懸命、現地の方々、あるいは世界の方々の協力を得ながら全力を挙げて、この原子力発電所をコントロールしようということを必死でやっておりますけれども、やはりそういった大局的な考えからいけば、特にあそこ(浜岡原発)は静岡県でございますから、東京と大阪、東海道メガロポリスのど真ん中でございますから、マグニチュード8クラスの地震が来る確率が非常に高いという話です。もし(地震が)来たときは、たしか、私は確実な知識はございませんけれども、津波を防ぐ防波堤を作るのに、2年か3年ぐらいかかるという話でございますから、やっぱり国民の安心・安全が一番ですし、今、福島県で約6万人近い方が避難しておられまして、本当に私も政治家として胸が痛むわけでございますし、きちっと、これはもう賠償させていただかねばならないと思っております。そんなことを含めて考えれば、総合的判断として、私は総理大臣の判断というのは、やむを得なかったのかなというふうに思っております。

問)

逆に、中部電力が要請を受け入れる決断に3日かかったと思いますけれども、この中部電力の判断・決断については。

答)

それは当然、中部電力も、当然大きな組織・機構ですから、やっぱり総理大臣が要請をしたから「はい、そうですか」というわけには(いきません)。色々な部署、部署でそれぞれの話し合いをして、確か2回取締役会を開いたと思いますが、取締役というのは技術屋さんの方もおれば、経理の方もおられれば、多分営業の方もおられ、(大きな)電力会社ですから当然色々おられるでしょう。そこで当然手順・手続や、それから大株主、あの辺の地域は、電気の供給を受けているトヨタをはじめ大きなビッグビジネスがあるわけですから、そんなことを色々勘案して総合的に(判断されたのだと思っております)。これは法的な根拠はないというふうに、私は新聞・テレビで見た程度でございますが、大所高所に立った要請を苦渋の決断だったと思いますけれども、受け入れてくれたということは、2万数千人の方が、本当に大震災、大津波で命を落としておられる、1万人近い方がまだ行方不明というような状況で、こういったときですから、やむを得ない、中部電力も苦渋の選択だったのかなというふうに私は思っております。

問)

世界日報社の野村でございます。

郵政改革法案の審議のための特別委員会が設置されて3週間ぐらい過ぎているわけですけれども、自民党さんが委員会の名簿さえ出さないというふうなことで、審議さえ始まっていないという状況で、また果たして、今国会でも郵政改革法案の審議、ないし成立の可否の決定がなされるのかどうか、非常に不安視されておりますけれども、この点について、対策とか大臣のご所見をいただければと思います。

答)

郵政改革法案、これは閣議決定して国会に出させていただいておりまして、郵政改革特別委員会を衆議院で作らせていただきました。

公明党は名簿を出していただいたそうですけれども、自由民主党だけ名簿を出していないということでございますが、国民新党、民主党は水面下で国対委員長、あるいは幹事長を中心に非常にご努力いただいているから、私はやはりこういったときですから、絆ということが大事だと思います。菅総理も、外国の新聞に「絆」という言葉を出したので、絆ということを中心に、明治4年からの民間活力というのは、まさに私は郵便局だと思っていますし、東北6県に1,932の郵便局があり、59人(の職員)が亡くなり、行方不明だという状況でございます。

これは、かつて(三井)住友銀行というのは、東北6県に何箇所支店があったかといいますと、仙台だけしか支店がなかったのです。これは(三井住友銀行の元頭取の)西川さんが以前に(日本郵政の)社長だったときに、確かめたら、東北6県に(三井)住友銀行は仙台市に、東北総支店しかなかったのです。

ですから、私はよく申し上げますように、郵便局は1,932局、三陸のリアス式海岸の奥深いところに(ある町・村に)も明治からあるわけです。しかし、(三井)住友銀行は東北6県で1つ。(郵便局と銀行は)役割分担が違うのです。だから、何も私は(三井)住友銀行を非難しているわけではないのです。銀行というのはそういう業態なのです。やっぱりお金が集まる、人が集まるところにきちっと銀行の支店を出すというのは、これは民間銀行経営者であれば当然のことであります。しかし、郵政事業というのは明治4年に国が始めた制度であり、そして特定郵便局制度というのは日本だけに特徴のある制度でございまして、特定郵便局長制度というのは、世界どこを見ても、自分の私有財産を国家に貸して、そして特定局長という国家公務員になるというような制度はありません。あれはもう、まさに明治初めの民間活力、民活でして、ずっと後から(英国元首相の)サッチャーさんが民活だとか何とか言いましたけれども、日本国では、前島密さんのような天才的な設計者が、民間活力を明治4年からやっていたと、私は思っております。

そして明治以来、村・町に郵便局、それから学校、交番、この三つを置いて日本国は近代化してきたということ。例えば前の愛媛県知事の加戸(守行)さんという、以前文部省の官房長をしておられた方ですが、3、4年ぐらい前の全国大会で言われました。まさに、明治以来の郵便局・学校・交番を置きながら江戸時代のすぐ後から日本国は近代化してきたのです。そういった意味で、絆、地域の絆、窓口でもございますから、そういった機能を東北で大震災が起きたときだから、私はやっぱり絆というのを大事にしている組織、使命感を持ってやっていく人たちが、きちっと3事業一体で金融(郵貯)銀行も、まさに今回も(上限額)20万円まで、郵便局では本人確認すれば(貯金を)出すというふうに(なり)、普通の民間銀行は(預金の引出し限度額が)10万円というのが多かったのですけれども、郵便貯金銀行は自主的に(貯金の引出限度額)20万円というふうにしていただいたということを私は報告を受けていますけれども、そういった公共性、公益性があるわけです。

私は言いましたけれども、石巻(市)の郵便局に行ってきました。そうすると、現実に郵便局長さんと郵便事業会社の支店長さんとがおりまして、これは一つの郵便局にいる郵便局長さんというのは、昔は全部の責任者です。ですから、もうあんな災害のときとかは指示命令が出しやすいのだけれども、現実に(今は、責任者が一人ではないので、)非常に苦労しましたと郵便局長が言っていました。郵便局長というのは郵便局会社の一番の責任者であって、郵便事業は全然別会社ですから関係ないのです。郵便を配達する人は、これは郵便局長の命令指示(の下ではなく)、(例えば)東芝と日立は違う会社であるように、全然、指揮命令系統が違うのです。

これはもう、しばらく5分社化が進んで、その壁の遠心力が働いています。だから、私は東北の復興のためにも、やっぱり日本の文化を考えて、絆ということを言うなら、やっぱりこの法律はこういった大震災の中だからこそ、私は国民のご理解をいただき、各党・会派からのご理解をいただいて、きちっと成立する必要があるというふうに郵政改革(担当)大臣として思っておりまして、ぜひそのことも皆様方にご理解をいただきたいと思うのです。

私は国会でも言っていますように、作るのには百数十年かかったのですけれども、今は5分社化で、(約)90兆円も郵便貯金が減っておりまして、もう昔の世界最大の、最強の郵便局のネットワークだった時代と違うのです。ですから、やっぱりそういった経営基盤も非常に脆弱になってきておりますし、そういった意味でも、ぜひ皆様方にご理解をいただいて、伝統と歴史のある自由民主党でございますから、こういった時期だからこそ郵政改革法案をきちっと、ご理解いただいてご協力いただきたいというふうに思っております。

連休が過ぎたから、その辺はかなり前向きに考えていただけるのではないかなというふうなことも、私は希望的観測も持っております。

問)

東洋経済の浪川です。ちょっと前の話のぶり返しみたいなもので、クレジットカード枠の現金化ビジネスというのが横行しているというのがあって、それをどう検討するかというような議論があったと思うのですが、それがどうなったのかなと思っていまして。

今、東北に行きますと、その業者たちの進出というのがちょっと話題になり始めているのです。金融機関から10万円なり20万円なり出た後に、金が出せない人たちは、金に困っているわけですね。それを狙って、そういう業者が進出しているという話も出ているのですが、その後、検討というのは進んでいるのかどうか。進んでいないのではないかなと思っているのですけれども、いかがですか。

答)

よくご存じのように、この前、貸金業法(施行規則の一部改正で)、総量規制は、(年収の)3分の1ということですけれども、「不要不急で、非常に社会的に必要であるという場合」は、その3分の1の規制を取り外しました。もうご存じのように、あれは急に病気になってお金が要る場合なんかもそれに該当しますけれども、今回も被災地を中心に、総量規制3分の1というのを非常に弾力的に(適用して)くれというような話を出しまして、今、東洋経済さんからのそういう話(クレジットカード枠の現金化)が出ましたので、もう一回きちっと抑えておきます。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る