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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年5月20日(金)8時35分~9時01分  場所:国会内)

【大臣より発言】

今日は、災害に関する閣僚会議(緊急災害対策本部)がございましたから、今、国会の委員会などでよく出されます二重ローン・二重債務の問題について、私の方から改めて、私は民間の金融機関を所掌する立場でございますが、公的金融、政策金融を持っている経済産業省、農林水産業、国土交通省、それから当然、松本(防災担当)大臣のところの被災者生活再建支援金というのが、ご存じのように、住宅ローンは二重ローンの問題でございますが、自宅が流れたときに、再建ということであれば、300万円の財政出動があるわけでございますから、財務大臣も非常に大事でございますし、官房長官のところできちんと調整するということで、先般、改めて官邸からペーパーも来ましたので、そのことを、私が全部カバーするところではございませんけれども、やはり民間(金融機関)の二重ローン、二重債務の問題は私の所掌でございますから、改めてきちんとその問題点、そして重要性を、意見として言わせていただきました。

以上です。

【質疑応答】

問)

参議院の西岡議長が、菅総理の震災対応の不手際などを挙げて、即刻退陣すべきだと主張されていますけれども、三権の長として非常に発言は重いかと思うのですが、大臣のご所感を。

答)

三権の長というのは色々お考えがあるのでしょうけれども、私は西岡参議院議長とは、私が自民党にいました26~27年前からの(知り合いで)、特に同じ九州(出身で)、私が当時福岡県、西岡議長が長崎県ということでございまして、ある意味でおつき合いがございました。大変信念を持った方でございまして、西岡議長は議長としてのご信念について発言しておられるだろうと思っておりますけれども、やはり三権分立というのは、行政府・立法府・司法。「国会は国権の最高機関であり、唯一の立法機関」であると、これは憲法の大前提でございますが、議長というのはどちらかといいますと、参議院議長でございますから、参議院の全体的雰囲気の中で、やはり調整役という面もあります。昔から大変はっきり意見を言われる先輩でしたが、参議院議員がどう考えるかということは、当然、憲法上の自由でございますけれども、それ(参議院議員の多くの考え)を体してのということであれば、あれなのですけれども、ある意味で、私も長い間(国会に)いますから、議長閣下の経歴だとかお人柄は、ある程度知っています。西岡さんらしいとまでは言いませんけれども、それは三権の長として三権分立の立場からいえば、ちょっと議長だけがご発言されるというのは如何なものかなという気もいたします。

問)

(第2次)補正予算に絡みまして、会期の延長論などの話とも絡むのですけれども、野党などからは東日本大震災の対応で大規模な補正予算をつくるべきではないかという意見もありますが、経済閣僚の一人としてどのようにお感じになっていらっしゃいますでしょうか。

答)

私は、4兆円規模の第1次補正予算に盛り込まれた瓦れき処理、それから仮設住宅、ライフライン復旧などの事業を迅速に、着実に実施し、復旧の基盤をつくることが、必要であるということでございまして、これは阪神・淡路大震災のときに、確か(補正予算額が)1兆円だったと思いますが、規模としては4倍ございます。

しかしながら、今度は災害(規模)そのものが、ご存じのように500キロ、青森県から茨城県まで非常に広い範囲に及んでおりますし、それから地震・津波、これは本当に大きな災害でございますが、同時に福島県で原子力発電所の事故も、これに付随して起きております。そういった意味を考えますと、阪神・淡路大震災のときも、私は(衆議院)逓信委員長でしたから、もう本当に地震の起きたすぐ後、神戸に行かせていただきました。例えば、1点挙げると、今さっき言いましたように、被災者生活再建支援金、住宅が流れた場合に、また同じ場所へ再建しようというのは、支援金300万円を出すのです。あの予算は、確か500億円だったと思いますが、あれは官民のファンド、都道府県と国との出し合った基金でございまして、すぐ底をついてくるのではないかと思いますので、必要性・緊急性、そういったことを見極めて、第2次補正予算の中身については、実情や災害の復旧・復興ということを見極めつつ検討していくことが大事ではないかと私は思っております。

問)

会期の延長については、どのようにお感じでしょうか。

答)

それは、今言いましたように、第2次補正予算について講ずべき施策の必要性、二重ローンのことに関して、さっき緊急性ということを申し上げましたけれども、そういったことで、その中身、時期を見極めて検討し、その結果、会期の延長をせねばならないということになれば、当然、延長するでしょう。会期の延長がまず先にあるのではなくて、もう、こういうときですから、まさにこの1次補正予算は全国会議員が賛成して通ったのです。私が何回も言っていますように、これは災害有事ですから、憲法前文の最初に、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」と書いてあるのです。ですから、そこには与党も野党も、衆議院も参議院もありません。やはり、国会において正当に選挙された国会議員を通じて、国会における正当な代表者を通じて行動し、と書いてあるわけですから、これはまさに主権在民です。そして、国会というのが「国権の最高機関であり、唯一の立法機関」ですから、そのことをきちんと自覚して、私は何回も国会の方でも申しておりますし、あるいは記者会見でも申しておりますように、未曾有の自然有事ですから、やはりそういったときは色々な違いがあります。当然、私もこのことを26年間していますから、与党と野党の違いがあって、私は与党、野党、与党、野党、与党で来ましたから、与党の役割、野党の役割はよくわかっていますけれども、非常に大きな未曾有の災害有事のときは、やはり国会議員というのは、小異を超えて、きちんと協力すべきところはやっていく見識が、私は必要だと思っています。

そういった意味で、まず最初に会期延長ありきとか、会期延長したらだめとかではなくて、やはりまず何よりも被災者の心に立って、被災者の側に立って、「どういう施策が必要だから、これはもう緊急に予算が必要だ」ということ(であれば延長する)、そう考えるべきだと、私は政治家として思っています。

問)

18日の党の議員総会での亀井前大臣の発言なのですけれども、東電の債権を放棄するならば新規融資しない、そういうことをする銀行であれば、免許を取消しすればよいとおっしゃっているそうなのですけれども、必ずしも大臣は同じ考え方ではないかもしれないのですが、実際、どうでしょうか。

答)

率直に言えば、時代が15年前と非常に変わってきたのです。私も15年前、住専のときに国会がありまして、あのとき、すったもんだの末、たしか大手行に3兆5,000億円債権放棄させました。それでは足らないというので、(故)梶山静六(元)官房長官が第2基金をつくりました。あのころは、率直に言えば、経済も金融も今のようにグローバル化していませんで、日本が日本だけの法律で、日本国内の銀行に債権放棄させるとか、色々ありました。

しかし、今はあれからもう15年経ちまして、私は何度も言っていますように、ソ連が崩壊して一極集中の時代になって、よくも悪くも経済がグローバル化したわけです。それは、やはり金融のグローバル化が一番中心でしたから、コンピュータの発達もこれあり、マーケットの発達もこれあり、世界全体が基本的に自由主義経済になりました。

その中で、私はそういった行き過ぎた傾向には批判的な政治家でございますが、やはりマーケットというものがあるわけです。マーケットというものは、日本にもアジアにも、自由主義社会であれば、アメリカだってイギリスだってヨーロッパだって、どこでも色々あるわけです。やはり、そのルールというのがあるわけです。

これは私、昔、国会で質問させていただいたけれども、やはりマーケットはよいこともたくさんございます。しかし、同時に、特に投機マネー、これは「投資」と「投機」というのは非常に区別しにくいところはあるのですが、例えばサブプライムローンなどを見ても、やはり行き過ぎた規制緩和で、非常にレバレッジをたくさんかけて、行き過ぎた投機的なお金ですね。結果、アメリカの投資銀行は、自分のところだけでリスクを負えなくなった。それが、アメリカ全土に広がったのみならず、今でもずっとまだ全世界にその影響があるわけでしょう。金融の不安定さというのは、もうご存じのようにヨーロッパでも、今、ギリシャ、アイルランド、今度はポルトガルだと、こうなってきているわけですけれども、それぐらい、金融というのは非常にグローバル化して、その中に一つのルールがあるわけです。

そこは、今からの時代というのは、投機マネーをいかに民主的にコントロールするかということが、私は人類の極めて大事な課題だと思います。やはり投機マネーといったことは、一国だけでは、残念ながらできないのです。だから今、G8、G20で一生懸命、金融規制改革を一緒にやりましょうということをやっているわけでございます。震災の後の前回の極端な円高のときに、G7で緊急電話会議をして、日本もヨーロッパもアメリカも、協調介入しました。ご存じのように、たちまち円が下がりましたね。ということで、世界の全政府が一つの目的に向かって一つの行動を起こせば、まだ市場に影響力はあるのです。だけれども、一つの国だけが市場に向かってやっても、一国の政治権力が及ばない社会という分野が、今、市場ルールにできているのだと思います。

例えば、アメリカというのは世界最強の政治権力を持っているでしょう。しかしあの国だって、結局、市場というものがあって、リーマンショックの後の一つの会社のリスクが、全世界に広がったわけですから。

ですから、私は今、そういう意味では、マーケットというのは、本当に経済が豊かになる、そういった非常に優れた原動力にもなるのです。なので、私は(マーケットの)ネガティブな面だけ言っているわけではございません。人類というのはやはりマーケットというものを、人間の英知によって民主的に、全世界の人たちが協働して、やはり人類全体の繁栄と福祉のためにきちんとやっていくかということが、人類に与えられた21世紀の最も大事な課題だと思っています。

そういう視点から、やはり今回の亀井静香党首が何か言われたということはありますが、私は後から非公開の席でやんわりと、そういったことを申し上げておきました。

だから、そこはやはり経済がグローバル化して、日本政府だけの決定で、例えば私は国会でも言いましたけれども、東京電力の社債というのは2,000億円、EU、ヨーロッパで社債を発行してるのです。そのヨーロッパの社債市場は、日本の政治権力がどうだこうだと言っても、そこにはヨーロッパという違う国の主権の下で、主権の影響の及ばないところかもしれませんけれども、やはり社債という一定のルールを持ってやっておるわけです。だから、特に経済の場合、金融の場合はグローバル化している。それはもう、政治的にみんなでまとまってやれば、かなり影響力はありますけれども、一国だけの政治の理由で色々言っても、マーケットのルールも非常に根強いですから、そういう時代に人類は入っているのだ、入りつつあるのだということも私は認識して、きちんと金融(担当)大臣をやらせていただきたいなと思っています。

問)

東洋経済の井下です。

二重ローンの問題は、政府全体で考えていくというところはあると思うのですが、金融庁としてその中で、(金融機能)強化法とか(金融)円滑化法もあるのですけれども、その辺はどのように追加的な対応が可能かと考えておられますか。

答)

そこは、もう私がよく言っていますように、民間金融機関ですから、やはりこれは、基本的には個人の預金が貸出原資ですから、そこは当然、利子をつけて預金者にお返しするというのが金融機関の一番基本的な原理です。

ただし、ご存じのように、資本の増強などをしますと、これは今度、金融機能強化法というのを可及的速やかに出させていただきたい。特に、東北6県、それから茨城県の民間金融機関の経営者が望めば、自己資本を増やすことができる。でも、これは相手が天災ですから、従来のような法律と違ってペナルティーなど、経営者の個人的責任を問うべき問題ではございませんから、経営者の責任は問わないということは、もう皆さん方の前で早くから申し上げておりましたし、それから効率性だとか、当然、公的資金を投入する場合に、今までの法律は色々なルールがあるわけです。そこは、やはりできるだけ、資本の増強をしやすくして、そして自己資本が大きければ、当然、金融機関の能力・効率性が高まりますから、そうしたら、ここは誤解のないように言いますけれども、今度は民間(金融機関)の経営者が、銀行として選び得る選択の幅が非常に広くなるわけです。そういったことで、やはり地域の面的な金融の仲介機能というのが高まるわけですから、そういったことを入れるというのが金融機能強化法の基本でございます。

しかし、そうは言っても、今日、私も関係閣僚会議で申し上げたのは、農水省の漁協、農協に対する金融、それから住宅金融公庫、今でいう住宅金融支援機構、これはもうご存じのように利子の補給を税金からしております。ですから、5年間(元金)据え置きでとか無利子とか、制度金融というのはそういう社会なのです。それから経済産業省も、これはマル経資金(小規模事業者経営改善資金)といいますが、私も20年ほど前は中小企業を担当させていただいておりましたが、当時から無利子・無担保という世界があるのです。そのためには、当然、税金で利子の補給などをしているわけです。そういうものが、ご存じのように政策金融です。

だから、当然、我々(が所掌しているのは)民間金融機関ですから、リスクをとる一定の限界があります。しかし、そうはいっても、私は昨日、申し上げておきましたが、民間金融機関というのは、やはり蒸気機関車のようなものなのです。非常に力強いのです。ただし、これはちょっと勾配があると、アプト式だとかループ式がありまして、もう登り切らないのです。しかし、やはり最後は蒸気機関車が自分で動き出さないと、経済というのはテイクオフしてきちんと力強い発展にならないと私は思っております。

ですから、今、二重ローン、あるいは二重債務、これはもうマイナスからのスタートだということを国会でも言われましたけれども、そのマイナスからのスタートをできるだけ政治全体でおこない、これは財政出動が場合によっては必要ですから、財務大臣が入っているのだと思っておりますけれども、そのことを組み合わせて、お互いに全部、よいところはそれぞれ出し合って、悪いところを補い合う。そのことでやはりきちんと二重債務、二重ローンのやり方、これは今まであまり個人の私有財産に税金を入れないという長い間の原則がありますから、なかなか簡単な話ではない。しかし、今回の、特に東日本大震災、それから津波、原発の事故、これはやはり非常に広い範囲ですし、今までの原則のままでよいのかどうかということを、しっかり論議する必要があると思っています。

問)

(日本)振興銀行の行政(対応等)検証委員会は、何回かやっておると思うのですが、具体的に何をやっているかとか、いつ報告書がまとまるのかよくわからないのですが、めどを教えていただけませんか。

答)

これは、(日本)振興銀行の検証委員会というのを金融庁でつくらせていただきましたが、これはやはり立派な社会的信用のある専門家、あるいは貝塚啓明さんのような立派な東大の経済学部の教授で、それから文化勲章をもらった湯川秀樹さんの甥子さんという、やはりそういう人格、学識のきちんとある方が顧問になっていただいておりまして、今、一生懸命やっていただいておるという報告はいただいておりますけれども、これはもうそこを信用して、当然、最後になったらきちんと報告書が政務三役に対して出てくるでしょうから、そのときにきちんと説明したいと思っています。この前も、確か(検証委員会を)作った時に申し上げましたように、途中の段階では色々発表しないという方針でございますから、やはりこの問題は大きな問題ですし、金融行政に対する不信を招いたのも事実ですから、やはりその辺を払拭するためにも、きちんとすばらしい報告書が出てくると私は期待しておりますけれども、途中経過はひとつご容赦いただきたいというのが、私のあのとき最初に申し上げた経過でございます。

問)

みずほフィナンシャルグループに対する立入検査が昨日で終了して、一方でまた、銀行も体制の刷新などを固めた模様です。現状認識についての大臣の受け止めと、どういう観点で銀行の対応に関心を持っていらっしゃるか。

答)

各社各様に、色々新聞、テレビで報道しておられますのは承知していますけれども、みずほフィナンシャルグループから、「当社のグループの組織再編に関する報道がありましたが、具体的な検討を行っている事実はございません」とのプレスリリースを公表しているところであり、当庁といたしましては、現時点でコメントすることは差し控えたいと思っています。

しかし、一般論としましては、これは当然、組織の効率化、適材適所の人事に向けて、金融機関が不断の努力を行うことは望ましいことだと思っています。今回のみずほ銀行のシステム障害も2回目でございますけれども、業務の公共性を有する銀行において、銀行の決済機能の信頼性を損なったものであり、極めて遺憾であるということは、私も申し上げましたけれども、みずほグループ自らが強い危機意識を持って、基本的に自主的に再発防止、社内改善に取り組むことがまず重要だと思っております。

今後の対応については、みずほフィナンシャルグループ及びみずほ銀行に対する検査結果、及びそれを踏まえた両者からの報告の内容等、まだ精査しておりませんので、精査した上で検討する必要がありますので、現時点では予断をもってコメントすることは、差し控えさせていただきたいと思っておりますが、一般論として言えば、問題が生じた場合であっても、行政処分を待つことなく自主的に改善に向けて取り組んでいくことが、やはり民間金融機関ですから望ましいと私は思っております。

(以上)

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