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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年5月27日(金)9時23分~9時45分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

本日は、金融機能強化法(等の改正案)でございますが、これを閣議決定させていただきましたので、読ませていただきます。

本日、東日本大震災に対処するための金融機能強化法等の改正案の国会提出について、閣議決定をさせていただきました。本法案は、東日本大震災により、今後、金融機関に様々な影響が生じうることを踏まえ、1.地域における面的な金融機能を維持・強化するとともに、2.預金者に安心していただける、万全の枠組みを設けるためのものであります。

具体的にどうするのかということでございますが、1.国の資本参加の適用要件に係る震災の特例を設ける、2.今後の財務状況の見通しが、必ずしもつきにくい協同組織金融機関については、国と中央機関が共同して資本参加を行う特例を設ける。それから、3.国の資本参加の申請期限を、平成29年3月まで延長するといった措置を講ずることといたしております。

この金融機能強化法はあと1年(申請期限)がございますから、その後プラス5年ということでございますから、結局、平成29年3月まで延長させていただくということでございます。

このような特例を設けることにより、地域における金融機能の確保と預金に対する万全な保護が図られるものと考えております。本法案について、今後、国会において早期の審議、成立を図っていただきたいと考えております。

それからもう一点でございますが、これは今日の閣僚懇で松本龍環境大臣からもちょっと出ておりましたけれども、これは昨日の新聞(報道)、今日もいっぱい載っているということで、筑豊の絵、炭鉱画がユネスコ(国連教育科学文化機関)の記憶遺産に正式に(登録に)なりまして、これは日本では初めてだということでございました。

実はこれは田川市でございまして、私は38(歳)から50(歳)まで、福岡県4区の衆議院議員でございましたが、まさに田川市田川郡というのは、私の選挙区のど真ん中にあったわけでございまして、(ここは)旧産炭地でございまして、今日このことについて松本龍環境大臣が言われました。

私の母方は炭鉱経営者でございまして、母の弟は通産省の官僚もしていました。この絵は山本(作兵衛)さんという、炭鉱夫の方が書いた絵でございまして、(母方の)祖父は、約500点(のその絵)を田川市に寄贈したわけでございます。私は昨日、田川市長ともお会いして、言うなれば「大阪城はだれが作ったか」と、昔子供のころ言っていましたが、「大阪城は豊臣秀吉が作った」と。「ペケです」と。「大阪城は石工さんと大工さんが作ったのだ」と、こういう話がございましたけれども、まさに日本が近代産業革命を起こしたとき、石炭、鉄鋼というのは基本でした。特に私の福岡県には、筑豊炭田という日本で最も大きな炭鉱があったわけでございます。

まさに明治政府(官営)、三菱炭鉱、三井炭鉱、色々ありましたけれども、現場で炭鉱夫の方々は、劣悪な労働条件にかかわらず、まさに石炭を掘っていただいたということが現在の近代国家につながったわけでございまして、そういった視点でユネスコが見て、これは「人権宣言」だとか、「アンネの日記」と一緒に、日本で初めてユネスコの記憶遺産に登録されたということは、私は、まさに日本国がアジアの中で最初に産業革命をしたわけでございますが、その陰の部分だけでなくて、まさにそういった第一線で、骨身を削って、命をかけて働かれたたくさんの方がいたという意味でも、私は大変意味があることだと思っております。たまたま今日、松本龍環境大臣がそのことを閣僚懇で言われましたから(お話しますと)、あれの写真になっています米騒動が最初に来たのでございますが、当時あれは明治炭鉱と書いていますけれども、明治炭鉱の坑長をしていたのは私の母方の祖父でございまして、私の母は明治生まれでしたが、坑夫の方々が攻めて来られたので、何か裏山に逃げたなんという話を、昔に死んだ母が、そんな話を(私の)子供のころしておりましたので、やっぱり日本の近代化を考える、ユネスコはそんなところにきちっと視点を当ててくれたということは、私は一つの時代の流れだろうというふうに思っております。

ちょっと余談のようになりましたけれども、たまたま松本龍環境大臣が、同じ福岡県(出身ということ)で、言われましたので、私からも一言そのことを申し上げておきました。

以上です。

【質疑応答】

問)

日本郵政、郵政改革の件なのですけれども、昨日、日本郵政の決算発表がありまして、経営陣の方から郵政改革の成立を求める声も出ていたのですが、実際、会期末まで1か月切っている状況で、特別委員会の審議が全く進んでいないと。この状況について、改革担当大臣としてどのように見ていらっしゃいますでしょうか。

答)

今ご質問がございましたように、郵政グループの決算発表が昨日あったわけでございまして、決算内容については、基本的には総務省の所管でございますし、また日本郵政も発表したということでございますが、これは郵政改革(担当)大臣として、特に速やかに郵政改革関連法案を成立させることが必要であることを強く促す内容になっているというふうに私は思っております。

前々から申しておりましたように、また国会でも答弁しておりますように、日本郵政グループの22年度連結決算でございますが、色々数字はございますが、経常収益はマイナス6.9%、経常利益がマイナス5%、詳しいことは言いませんけれども、当期純利益がマイナス7%、いずれも減少しているわけでございまして、減収・減益の状況でございまして、非常に私が申しておりますように、5分社化しまして、一つひとつの財務基盤が非常に脆弱になってきたということを申しております。また、郵政事業の経営基盤の根本とも言うべき、総引受郵便物数、それから郵便貯金残高及び簡易保険の資産が、いずれもこの10年程度の間で減少傾向となっておりまして、さらに一層、郵政事業の経営基盤が脆弱となるところを、残念ながら今度の決算は示しているところだというふうに思っております。

また、日本郵政グループの事業環境は、引き続き厳しい環境が続く中、他の国ではもう税金を投入しているところがございますが、イギリスなんかも税金を投入していますけれども、将来にわたって郵便、貯金、保険のユニバーサルサービスに税金を投入せず、実施してもらうためには、経営陣をはじめとする全職員の努力が一層必要でありますが、政府としては、それを後押しする意味からも経営の自由度を上げる必要があると思いまして、郵政改革法案の成立に向けて、ぜひご理解をいただきたいと思っております。

それから、マスコミでも今度の法律(について)、あと会期末が1か月切ったから、如何にということであったと思いますが、郵政改革法案は郵政民営化によって生じた諸問題を克服して、郵政事業サービスや利用者の立場、国民の立場に立って郵便局一体で提供され、将来あまねく公平に利用できることを確保している法律、ここが大事でございますが、私はこの前、仙台・石巻にも行ってきたということもございますし、ここ2、3日、非常に全国紙にも色々書いていただいておりますが、今回の地震、それから津波災害において、現地で郵政関係の方々から、5分社化が実際、被災したときに、(例えば)石巻の郵便局長から石巻の一つの郵便局に郵便局長、郵便事業会社の支店長がいますし、指揮命令系統が5分社化していますから、非常に困ったという話を(聞いたと)、私はたしか皆さん方の前で発表させていただいたと思います。

この大震災の中で、5分社化の弊害が非常に顕著になってきたということは、全国の有力紙にも書いてありますように、そういった意味で、この郵政改革関連法案の棚ざらしは国民利益にも反しており、将来どうなるかによって、今回、被災した郵便局等の再建する郵便局の規模も変わってきますので、どこかの新聞記事にも書いていましたように、総務部とか企画室というのは、3事業一体になれば一つでいいのです。ところが、5分社化のままであれば、総務だとか経理だとか、石巻郵便局程度の大きいところは、場合によっては四つ(室を)とらなければいけませんから、そんなことでも、なかなか将来設計、被災をされた郵便局の再建にも、苦労しているという記事を皆様方は書いておられましたけれども、まさにそういったことを、私から強く、まさに速やかな審議を強くお願いしたいというふうに思っております。

問)

(日本郵政グループの決算)関連ですけれども、前の西川(日本郵政)社長のもとでは増収・増益だったわけですよね。法律も大切かもしれませんけれども、(前郵政改革担当大臣の)亀井さんが主導して経営陣を交代させた結果、こういう決算になっているということは言えないのですか。

答)

私は、郵政3事業というのは、やっぱり郵便・貯金・保険のユニバーサルサービスというのが私は基本だと思っておりますし、この前申し上げましたように、東北6県で1,932か所、郵便局があるのです。かつて住友銀行というのは非常に大きな銀行でしたが、東北6県には、仙台にしか支店がなかったのです。

ですから、私はいつか申し上げたと思いますが、郵便貯金事業というのと、民間の金融機関はそれぞれに利点はあります。それぞれの目的はありますから、非常に形態が違うものですから、やっぱり金融二社のユニバーサルサービスの保証がないというところは、やっぱり私は非常に問題だと思っております。

問)

いやいや、大臣、質問に答えてほしいのですよ。

答)

分かっています。そういった意味で、郵政3事業、かつて日本郵政公社が国営のときは、私は郵政大臣でしたけれども、1年間、そのときは郵政3事業で2兆円、国に上納したのです。国鉄の27兆円の長期債務のときに1兆円、郵便貯金のお金を出したのです。それから、日本郵政公社を作ったとき、4年間で50%上納しましたけれども、約1兆円お金を上納しました。その頃は、世界で一番お金を生む経営が、うまくいっていた郵政事業だったと思います。

問)

国営に戻した方がいいとおっしゃるのですか。

答)

それを小泉さんの改革で西川さんが(社長に)なり、少し従来の惰性でうまくいっていた部分もあったけれども、どんどん本質的な5分社化の矛盾が出てきたというふうに私は思っています。

問)

いや、決算が悪くなったことについて、聞いたのですけれども。

答)

だから私は今申し上げましたように、(郵政事業は)10年前も十数年も前も合計2兆円、郵政3事業で上納するような、完全に独立採算制の特定郵便局を中心とした組織体だったのです。

そのときに、私は郵政民営化そのものを反対した人間でございますが、その後、西川さんになったときに少しは赤字が黒字になって、それからまたどんどん悪くなっています。昔は、それは企業ではなかったですけれども、まだずっと優秀な組織体だったというふうに私は思っています。

問)

だから、決算が悪い理由を説明していただきたいのですけれども。法律とは関係なく、それ以前と条件は変わっていないわけですよ。

答)

いや、違いますよ。法律はどういう組織体を与えるかによって、物凄く士気は違います。

問)

士気が上がるのであれば、だって、それが見えてきているのであれば、決算はよくならなければおかしいではないですか。

答)

それは、決算はどんなときでも、今さっき言いましたように、実際当たってください。石巻市(の郵便局)に行っても、一つの建物の中に何人もトップの人がいるのです。郵便局長がおれば、郵便事業の支店長さんがいるし、それでもう現場ははっきり言って、おろおろしています。本当に指揮命令系統ははっきりしていません。

問)

時間もないようですから、ほかの方に質問してもらったらいいのではないですかね。

答)

いやいや、ちょっと待ってください。非常に基本的なことですから。

問)

だとしたら、基本的に答えてください。西川さんのときと同じ条件だったのですよ。そのときの成績の方がよかったわけですよね。

答)

その前の方が、まだよかったです。

問)

だから、そういう弊害があることは別に認めないつもりはないのですよ。

答)

私は西川さんの前の方が、ずっとよかったと思っています。

問)

決算との関係で、どうなのかという説明をして欲しいといっているのです。

答)

益々、じり貧になっていくと思います。この5分社化であれば。その前は2兆円も、少なくとも国家に上納した組織だったのが、西川さんの民営化になって少し落ちて、またこのまま行けば、本当に私は残念ながら、厳しいことになってくると思います。例えば、被災地で郵便を届けている人に、郵便を届けた人に郵便局の貯金だとか保険のことを言えるとみんな思って言うのです。ところが、郵便を届けた郵便事業会社の人にそんな話をしても、それは別の会社のことでと、断らざるを得ないと。これは、マスコミの方も書いています。

それから、例えば日本郵政、5分社化したが、昔は3事業一体で担務というので、郵便局の配達人が行っても、郵便貯金も預かるし保険の話もできたのです。ところが、今それをしたら違反ですから、皆さん方が怒られて帰ってきていると、マスコミも書いています。私も実際見てきました。

それから逆に、郵便局会社の移動郵便局車が行けばいいのですけれども、郵便事業会社も移動郵便車を持っているのです。これは郵便事業しかできませんから、お金を持ってきても預かれないのです。だから、普通、郵便局の車が来たといったら、明治4年以来、郵便局は3事業一体ですから、郵便局の郵便を配りに来た人に貯金をすれば、貯金を預かっていきましょうと。今までは、担務だったのですから、そういった意味では、非常に私は機能的なことを考えても、5分社化というのは非常に矛盾していると思っています。

ですから、残念ながら、西川さんのときは、ある程度今よりよかったけれども、それだからって民営化が、5分社化がいいという理由には、私はならないというふうに思っています。

問)

東洋経済の浪川です。(金融機能)強化法の改正等というのは、要するに預金者保護、元々預金者保護の法律であると思うのですけれども、これによって資本基盤が強化されて、金融機関の体力は強化されるかもしれないのですが、かといって、それによって金融機能が被災地で果たされるかどうかというのは、全く不透明なわけですね。それをもって、さらに金融機関がきちんとした金融機能、つまり貸出とかを果たせるようになるようなことをするために、どうしたらいいのかというのは、大臣は今、事務方に具体的な指示をしていますか。

答)

もうご存じのように、中小企業金融円滑化法がありますから、今でも非常に、確か3月と4月はローンがあっても返済は受けていないところが多いと思いますが、そういった意味で、まさにこの貸し付け条件の変更に積極的に応じなさいということを今言っております。

問)

それは既存貸出に関する条件緩和措置だと思うのですけれども、それは貸出余力というか、与信能力が向上する話とは全く違うわけですよね。

答)

私は金融機能が強化すれば、要するに、例えばそれはケース・バイ・ケースですけれども、私は金融機能が強化されれば、民間の銀行をはじめ経営者の方々が、債務免除を含む幅といいますか、場合によっては債務免除をしようという選択の幅も広がると思います。

問)

おっしゃるとおりだと思いますよ。だから、既存貸出の条件の緩和はなるけれども、新規の与信能力が高まることにはなるわけではないでしょう。

答)

それは昔から言っていますように、民間の金融機関と公的な金融機関、それからまさに財政出動そのもので、今鋭意、政府全体としてやっていますので、私は今政府として、これはもう何回も(被災者の)二重ローン・二重債務の問題は国会で質問が出ていますし、官房長官を中心に総理の指示も出ておりますし、中小規模の事業者に対する信用規模の円滑化と、地域の経済の活性化に資する方策だというふうに思っています。

当然、きちっと金融機関の自己資本を強化するということは、その金融機関の先に中小企業に融資をするとか、あるいは住宅ローンに融資するとか、今さっき言った、場合によったら債権放棄ということも選び得る可能性の幅が広がるということで、この法律を作らせて頂くと。

しかし、そうは言いましても、公的金融機関は、利子を税金で補給しますから、例えば、住宅金融支援機構だと、5年間確か無利子、(元本を)5年間据え置きということも、今度は特例でやっていますから、そういうこととあわせてきちっとやっていくべきだと、こういうふうに思っています。

(以上)

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