自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年6月24日(金)10時38分~11時13分  場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日、閣議が開かれまして、閣議の後の閣僚懇で、郵政改革法案のことでございますが、70日(間)、国会が延長になったということでございまして、政治には、一日の小休止も許されませんから、しっかりやっていきたいということを申し上げまして、同時に、私は郵政改革担当大臣でございますから、郵政改革法案の今までの簡単な経緯(を申し上げますと)、もうご存じのように、郵政株式処分凍結法が平成21年12月4日に成立されておりまして、それから平成22年4月30日に郵政改革法案が閣議決定されておりますが、第174回国会閉会において廃案。その廃案になったときも菅内閣でございますが、それから今の内閣で、(本年)10月8日に郵政改革法案が閣議決定でございますから、ほとんどの今の閣僚だった人がおられるわけでございますけれども、私がこの担当大臣として国会に提出させていただいたわけでございます。そして、なおかつ、衆議院の方は、「郵政改革に関する特別委員会」というのをつくっていただいたわけでございます。私も、国会の方に長くおらせていただいていますけれども、やはり何かに関して特別委員会ができるということは、あらゆる意味、いろいろな意味で非常に重要であるということから、ご存じのように特別委員会をつくるわけでございまして、4月に特別委員会ができて、そういった意味でなかなかこれが審議にも入れないというような状況でございます。私は、この法律の賛成・反対は、当然、党派・会派によって、あると思います。それはそれで、民主主義社会ですから当然あっても、やはり話し合いの場、国会でわざわざ特別委員会までつくっていただいて、話し合いまでしないという話ですから、これは、やはり行政府の内閣が閣議決定して、その責任者として私が国会に提出したわけですから、何党、何派ということを超えて、やはりそれは議会制民主主義において、私は健全でないと思っていますので、そのことを今日申し上げまして、そういう趣旨を、昨日、衆議院の議院運営委員長に申入れ、私と郵政改革担当の東副大臣と森田(総務)大臣政務官と3人で、強くお願いに行ってきました。今日14時から、衆議院議長に、私の方からまた、中に1人、どうしても来られないという方もおるようでございますが、基本的に政務三役で、同じ趣旨できちんと強く申し入れていきたいと思っております。そのことを、今日、閣議が終わった後の閣僚懇の席で発言させていただきました。どの

大臣からも、異議も何もございませんでした。

以上です。

【質疑応答】

問)

証券取引所のことで、東証、大証がそれぞれ統合意欲を示しつつ、統合議論が難航していますけれども、それに対する所感と、取引所のことではあるのですけれども、金融庁として何らかのサポートというのはあり得るのでしょうか。

答)

私も新聞で、東証と大証との話については読ませていただいておりますが、ご存じのように各取引所の統合は、各取引所の経営判断によるものであり、現段階では何らかが決まったとの報告を金融庁としては受けておらず、コメントは差し控えさせていただきたいと思っております。

問)

二重ローン問題なのですけれども、民・自・公3党協議で最大の溝となっているのは、依然、既存ローンの買取機構の新設についてなのですが、政府・民主党は既存の仕組みを使った方が早いと説明しているのですけれども、大臣自身は既存の仕組みを使うことのメリットであるとか、新しく機構を新設することのハードルはどこにあるとお考えでしょうか。

答)

私は、公的機関が金融機関から貸出債権を買い取る仕組みでございますが、これは何度か申し上げましたように、債権の買取価格や買取対象をどう設定するかという問題が1個はあります。それから、買い取った債権を回収する過程で顕在化する損失を最終的に誰が負担するのかということが問題でございますし、今、質問がございましたように、既存の枠組みを活用するのか、新たな組織を立ち上げるのかといった、検討課題があると認識いたしております。

いずれにいたしましても、私が何度も申し上げておりますように、被災地における債務返済の問題は、民間金融機関の範囲内だけでは対応できない問題でございまして、これは、一昨日、金融機能強化法を参議院で全会一致で通していただきまして、被災地における面的な金融機能の強化、それから預金者を安心させるということで、これは本当にありがたいことでございますが、いろいろ四海波静かでないときに、国会全体は非常に激動しておりましたけれども、この法律は各党・各会派、衆議院・参議院が良識を持って、きちんと被災地の方々のために通していただいたことを、担当大臣として大変ありがたく思っておりますが、私も早速、そういった面的な金融機能の強化、それからやはり預金者に安心していただくということがこんなときは大事でございます。ちょっと余談になりますけれども、そのことを、たまたま「金融機能強化法が出来たら手を挙げたい」ということを事前に言ってきている三つの東北あるいは茨城県の銀行がございますから、その頭取に直接私から、被災地で非常に苦労もしておられますから、こういう法律が通ってご利用いただけるということでございまして、大変ありがたいということと、また何かいろいろあったら、これは今から省令・政令をつくらなければいけませんけれども、やはり生きたお金を使わせていただかなければいけませんから、この資本の注入というのは公的資金でございますから、そういった意味でお慰めと、そして頑張っていただきたいということ、政府もこういう法律をつくらせていただいて、しっかり応援させていただくということを申し上げておきました。

そういったことは余談でございますけれども、民間金融機関の範囲内でも、これはできるだけ自己資本を大きくして、ケース・バイ・ケースで民間の経営者がご判断されることでございますけれども、金融機能が高まれば、場合によっては中小企業に対する債務減免だとか債務免除、個人の場合も個人の住宅ローンはどうするかというときに、民間金融機関の中でも選択の幅がより広がるわけでございますから、そういった意味の自己資本を強化させていただく法律を通していただいたわけでございます。

しかし、そうはいっても、私がいつも申し上げておりますように、民間の金融機関でございますから、原資は人様から預かって、いずれそれに利子をつけて返さねばならないお金でございます。それが民間金融機関の原則でございますから、そういった中で、当然、一定の金融規律ということが生じてくるわけでございます。そういったことも含めて、それは練達の各東北地方の地方銀行の頭取でございますから、その辺はよくお分かりでございますけれども、私から担当大臣として、法律が通ったと(お伝えしました)。既に、手を挙げていただいておりますから、しっかりお互いに意見を交換しながら、できるだけこれは生きた運用をさせていただきたいと思っておりますので、やはりこの役所だけでは気がつかないようなこともありますから、第一線の被災地でやっておられる銀行員の方から上がってきた情報というのは、本当に泥のついた意見でございますし、そういったことが非常に大事なこともございますから、そんなことも含めて、しっかりいろいろご意見も言わせていただきたいということを、実は申し上げておったわけでございます。

少し話がずれましたけれども、そういった民間金融機関も、限られた範囲ではございますけれども、その中で法律を変えて、できるだけ最大限にしっかりと対応できるというふうにさせていただいたわけでございます。私が言いましたように、政府系の金融機関あるいは公的金融機関は、当然、各省にありますし、それから今さっき言いましたように、税金そのものを入れて利子の補給をするとか、あるいは県と国と民間金融機関でお金を出してファンドをつくるというような話もありますが、そういったことで、今いろいろ、民主、自民、公明で3党一致、合意した点と、それからまだ合意していない点がございます。合意から残された点が、まさに今ご質問がございました、機構を設立して、被災地の中小企業、小規模事業者、農林水産事業者、医療・福祉関係者に対する金融機関の既存債務(リースを含む)を買い取る等のスキームの是非をどう考えるかということで、まだ残された課題でございます。個人に対する債務免除の努力義務の是非をどう考えるかということでございますが、この点も残っておりまして、しかし、政府としては3党の協議を、もうそう時間がかかるものではないと思いますので、見届けさせていただきたいと思っております。

問)

既存の枠組みを使うことのメリットについて、大臣自身、どうお考えでしょうか。

答)

要するに、既存の中小企業基盤整備機構等が新設する中小企業再生ファンドの設立ですが、やはり私はどちらかといえば、これはまだ3党で協議中でございますから、あまり差し出がましいことは申し上げませんが、できるだけ既存の組織、今まで活用してきた組織を使う方が手っとり早いというか、慣れているのです。それに少し機能をプラスするとか、あるいは少し規模を大きくする。やはり私も、こんな仕事を26年間させていただいておりまして、新たにつくるというのは一見格好よいのですけれども、後から重複だとか、あるいは新たにやると、全然集まった人がまた慣れていないとか、そういうことが現実には起こるのです。だから、私もこんなことをさせていただいて、既存の施設の拡充・機能強化、あるいはスタッフを増やす。しかし、スタッフを増やしても、コアの人たちは元々慣れた人がいますから、そんなことも非常に政治というのは大事だなと思っております。私が10年か15年ぐらい若いころなら、「新しいものをつくれ」と必ず言ったのでしょうけれども、私も少し齢を経てきまして経験を得てきましたら、やはりこういったときは、何でも新しいものに飛びつくというのは、確かに15年ぐらい前、私もあったのかもしれませんが、これはなかなか金融とか、そういうことに対する専門家というのは一朝一夕にはできないのです。やはり手慣れて、ある意味で金融界でしばらく働いたといった人でないと(出来ないのです)、極端な話、昨日まで建設業で働いていた人は、建設業として一般建設業で、家を造らせたら技術屋さんで、家は建設業者しか造れません。そういう方がこういった金融に関係するような債務の問題に来てすぐ役に立つかといいますと、これはミスマッチとは申しませんけれども、そういったことは数だけという問題ではなくて、質というものがありますし、なおかつ、やはりすべて全体的に効率よくやっていくということが、被災者の人たちに対する義務だと私は思っていますので、そういった意味で私としては、どちらかといえば既存の組織の充実・強化、いわゆる用途を広めるということがよいのではないかなと思っております。しかし、それは基本的に3党の今から、もうこれはすぐ結論が出るのだと私は思っておりますけれども、それでまた菅内閣でも、この二重債務の問題、二重ローンの問題は非常に重視するということを総理自身が何度も今のところ言っておられますし、そういったことでしっかり金融担当大臣としても、その辺は広い気持ちで眺めさせていただきたいと思っております。

問)

先ほど大臣は、金融機能強化法で手を挙げている(金融)機関と意見交換なさったというお話がありましたが。

答)

意見というか、電話で(お伝えしました)。やはり待っておられたと思いますので、一昨日、全会一致で参議院の本会議を通りまして、実は今日の閣議で公布が決定いたしまして、正式にきちんと今日公布されましたので、全会一致で通った後、次の日になりましたけれども、3人の頭取、それと東北財務局長にも、きちんと電話をかけておきました。今、(彼らは)非常に頑張っておられますけれども。

問)

では、その場では、特に今後どうしていくかという話はなかったのかもしれないのですけれども、手を挙げているところについて、今後、どういう進め方を考えていますか。

答)

それは、公的資金の導入に踏み込む、これはまだ省令、政令を整備していかなければなりませんから、法律は今日公布されましたが、省令・政令を整備するということは大事業でございまして、皆さん方の方がご専門かもしれませんけれども、信用金庫・信用組合、これは特例的に、10年経ったら、当然、自力で再建していただきたい等々ありますけれども、場合によっては合併という選択肢もございますし、あるいは地元の企業からの応援だとか、地元の市町村からの応援ということもございますし、いよいよそうなった場合は預金保険機構から補てんをするという話でございまして、金融界としては極めて異例の話だと私は思っております。

しかし、それくらい特例措置をせざるを得ない、させていただくということは、東北地方の地震、津波、原発の事故に遭われた方に対する、やはり私は政治の当然の責務だと思って、金融庁は本当に連休中も寝ずに、それから、これはなかなか法制局の審査も難しいのだと私は思いますけれども、これも連休中に部長が出てきて、この法律を詰めていただいたという話も聞いております。こういう従来の平時の金融機関ではない法律でございますから、そういった意味では、私はしっかり、金融機能強化法の活用を含む資本政策は、金融機関の経営判断に属する事項であって、法律についてできたという発表はお伝えいたしましたけれども、同法に基づく資本参加については、基本的に向こうが手を挙げていることでございますから、その内容については、私は何も触れません。これは、そういうものが出来て向こうが手を挙げているという報告を受けておりますので、その報告を受けた金融(機関)の頭取、最高責任者に、基本的に私がお伝えしたというわけでございます。いずれにいたしましても、これはもう私が何度も申しましたように、原則は民間金融機関でございますから、その民間金融機関の方々のご判断によって手を挙げられたところに、この法律に則り迅速な審査に努めていくというのが原理原則でございますから、当然そのことは、当たり前ですけれども、民間金融機関を検査監督する責任(ある立場)としては大変大事なことだと思っております。それが原理原則ですから。

問)

今日の14時からの金融審議会なのですけれども、これは中長期的な金融の在り方ということで、だいぶテーマはばくっとしているのですけれども、大臣としての問題意識なり、今後の議論に期待されていることというのを教えてください。

答)

(本年)3月7日に開催された金融審議会の総会において、今後の検討課題について、3点の諮問を行ったところであります。このうち、我が国金融業の中長期的な在り方についての検討について、今、ご発言がございましたように、本日、第1回目の金融審議会「我が国金融業の中長期的な在り方に関するワーキング・グループ」を開催する運びとなっております。当ワーキング・グループにおいては、諮問させていただいたように、我が国の金融機関の国際競争力の強化、それから地域経済における金融機能の向上、さらに両者が相まって、我が国の経済・金融業の一層の発展を図るための中長期的な課題等、我が国金融業の中長期的な在り方についての検討に関して調査をいただくことになっておりまして、本日の会合においても、これらの課題についてメンバーの方々から、幅広い観点からご論議いただきたいと思っておりまして、今さっき言いましたように、やはり国際競争力、それから地域経済における金融の在り方、これはやはり今から金融行政を考えていくために、私は非常にキーだと思っております。別の言葉で、「鳥の目と虫の目」ということを私はよく申し上げますけれども、鳥の目というのがまさに国際的金融です。金融というのは、まさに非常に国際的な結びつきが強いわけでございます。そういった鳥の目と、しかし、いわゆる地域経済、まさに中小企業金融円滑化法などは、一つ一つの中小・零細企業の虫の目といいますか、一つ一つの企業が条件変更によって生きていけるかどうかというようなことでございますし、そんなことが積み重なって地域経済ができていくわけですから、そういった意味で、鳥の目と虫の目ということを私は言っておりますけれども、そういった視点に立って、全体として一層の国の経済、それから金融の発展を図るということが、私は大事だと思っていまして、そういったことを中心にしっかり話し合っていただきたいと思っております。

問)

フリーランスの浜田と申します。

22日に、二重ローン対策で、個人の既存債務を裁判所の手続を経ずに整理できる私的整理ガイドラインを、7月中旬をめどに策定するとの報道がございましたが、これは信用情報、いわゆるブラックリストへの登録というのは回避されるのでしょうか。大臣のご見解をお願いいたします。

答)

個人向けの私的整理ガイドラインについてのご質問だと思っておりますが、住宅ローンを借りている個人や、事業性資金を借りている個人事業主の被災者に対して、金融機関が債務免除を行いやすい環境を整備するために、個人向けの私的整理ガイドラインを策定できないか、それに基づく債務免除に係る税務上の取扱いを含めて、今、鋭意関係者と協議しているところでございます。これはご存じのように、中小企業向けには、もう既にあるのでございますけれども、個人に関しまして、すなわち個人といっても、全く個人の私用に使う個人の住宅ローンと、それから個人事業主というのがあります。商店街などに行きますと、結構多いのでございますけれども、そういった個人の商店等々は、個人事業主の問題でございます。

同ガイドラインは、ご存じのように、金融庁が策定するものではございません。現行の法人向けのガイドラインも、策定と同時に、たしかこれは銀行協会がつくられたのだと私は記憶しておりますが、法人向けのガイドラインの策定、金融界、産業界の代表、学識経験者等で構成される研究会において策定していただくものになると思っております。当然、その中でしっかり、金融庁を初め、権利・義務の話ですから法務省だとか、いろいろな省庁が関係してきますが、そんなところがしっかりバックアップというか、いろいろな知恵、「こう考えたら」というようなサジェスチョンはさせていただきますけれども、基本的には主体的に、これはあくまで民間の方々がお決めになることでございますから、現段階で確たることは申し上げませんけれども、被災者の置かれた厳しい状況に鑑み、できるだけ早期に策定いただくべく、関係者の理解や努力が得られるようにしてまいりたいと思います。

特に、ご指摘のブラックリストを含めて、関係者によく議論していただくということを今考えておりまして、よくご存じのように、この私的整理ガイドラインに沿ってやったらブラックリストに載せられたといっても、なかなか今度は相手の立場にすれば、ある意味で、わざわざそのために私的ガイドラインをつくるという目的も一つあるわけですから、最終的には民間の方々が話し合って決めることでございますけれども、まだ決定していませんけれども、私としては、やはり被災者の立場に立って、ブラックリストを踏まえて、やはりできるだけ被災者の権利といいますか、これはまさに、相手は天災でございますから、自分が悪かったわけでも何でもないし、まさに千年に一遍の津波が来たわけですから、そんなこともしっかり勘案して、やはり被災者の立場に立ってやっていただければと思っております。

問)

(東洋経済新聞の)浪川です。

改めてお聞きしたいのですが、二重ローンというのは、要するに旧債務と新債務が出来たことの問題を二重ローンというわけですね。そういう問題と、金融機能強化法の資本バッファーという問題と、新たな借入れを起こすときというのは、要するに企業にキャッシュ・フローが生まれなくてはいけないのですけれども、つまり、事業が始まらなくてはいけない。つまり、これは復興ということなのですけれども、復興スキームと強化法と二重ローンの問題というのは、政府の中でちゃんと連関したものとして議論されておられるのでしょうか。

答)

私は、きちんと連関したものとして議論していると思います。確か、二重ローンの問題でも、これは政府が出したPDFペーパー(内閣官房のウェブサイト)新しいウィンドウで開きますだと思いますが、二重債務問題への対応方針として、いろいろな問題が書いてありますけれども、当然、これは金融機能強化法ということも、きちんと金融機関向けの対応ということで大きな項目として入っておりますし、それが重要な一部であるということはしっかり認識して、政府の方にも認識していただいて、文書にもなっております。

問)

文書というのは、既存債務の免除の仕方の問題であって、それは二重ローン問題ではなくて、既存債務の解消の問題であるわけです。二重ローンの問題というのは、新たな事業を立ち上げるために、また借入れをしなくてはいけないという問題ですよね。

答)

それは、もうよくお分かりのように、資本を強化すれば、その選択の幅が広くなるのです。私が今さっき言いましたように、既存債務でも、どうしても津波で流れた工場の機械だとか、それは金融機関が少し債務免除してあげたいなと思っても、それは金融機関に資本力の強化がありませんと、要するに債務を減免してやったり、場合によったら、それはあくまでケース・バイ・ケースで民間金融機関の経営者の判断でございますけれども、それは客観的にしにくいというようなことになるわけでございますから、やはり資本を強化すれば、ニューマネーのそういった既存債務の減免、あるいは場合によったら放棄だとか、そういう幅が広がるわけですから、そういう意味で金融機能強化法というのをずっとやらせていただいておるのです。ですから、非常に密接に関係していると思います。金融機関の資本がもうカツカツであれば、あまり貸し出しても、すぐに資本が毀損してくるわけですから。ですから、それは非常に一連のものだと思っています。

問)

大臣のおっしゃることはよくわかるのですけれども、要するに、そういう意味で金融機能強化法が改正されて公布されるというのは非常にすばらしいことだと思うのですが、そのすばらしい法律を土台にして、次に何をするのかというのが見えないのです。

つまり、おっしゃっている意味は分かります。だけども、それをやったからといって、債務免除された人というのは、新たな事業を立ち上げるといっても事業ができない状況があるわけでしょう。キャッシュ・フローを生まない限りは、借入れできないわけですよね。つまり、僕が言いたいのは、強化法は立派ですよ。だけど、もっと戦略的なものの中の位置づけがどうなっているかということが見えないということで、それがあるのですかというお尋ねをしているわけです。

答)

もうご存じのように、それは全体の部分は皆、関連しておりまして、この被災した地域全体の復旧・復興目標を、今、作りつつあるやに聞きますし、そんな中でいろいろなやり方、手法、また地域の特性を活かしたり、産業構造を考えたり、当然、いろいろやっていると思っておりますが、そんな中で、まさに「今までの債務を丸々担いで、また新たな借金もして始める気がありません」という人が、結構おるのです。私はお会いしました。だけど、そこのところを、「始めたいのだけれども、マイナスからのスタートだ。だから、それをせめてプラス・マイナス・ゼロにしてくれ」という人も、結構多いです。そうでないと、やはりやる気がなくなるというか、今、東北地方の方々は、どちらかというと心が折れがちなのです。ですから、「金融機関を応援するのだから、折れないでくれ」と。金融機関を応援するということは、何も金融機関を助けるということではございません。金融機関から先に中小・零細企業について貸し付けるとか、あるいはこの債務免除をするとか、あるいは個人の住宅ローンであれば、これは民間金融機関でなければ、例えばこの利子をずっと払わなくてよいとか、多彩な政策を駆使できるわけです。

ですから、これは全体的には、やはり二重債務の問題が全く解決しませんと、借金してある人は、もうみんなマイナスからのスタートですから、新たな事業をしようという気にならないのです。ですから、そういう意味で、この二重債務の問題は大事で、だからいろいろ知恵を絞らせていただいているというところです。そして、二重債務の問題がなくなったら、それはやはり当然、経営者によりますけれども、新たに事業をしてみようという方は結構おられます。今の中でも、もう既に事業を始めたなどということは、水産加工業などでおられますから。だから、またそれは全体が一部であって、一部が全体ですから、部分を強化していけば全体としては、当然、調和ということは大事ですけれども、私は金融機能強化法というのは強力に、この地域の復旧・復興に役立つと確信しています。

問)

分かったような、分からないような感じですけれども、次回、もう一回お聞きします。

問)

今日の午後の(金融)審議会の目的の一つとして、国際競争力の強化を挙げられましたけれども、例えば地域とか収益力とか、この競争力強化のための具体的なものは何かありますか。

答)

その辺は、私から言うよりも、今日、いろいろな碩学の先生、あるいはいろいろな経験を踏まれた経営者の方々等々がお集まりですから、そこでしっかり論議していただきたいと思っています。

(以上)

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