自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年6月28日(火)10時43分~11時06分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

平成24年度の金融庁の税制改正要望を取りまとめるに当たり、昨日でございますが、月曜日より金融庁のホームページにおいて、当庁の所掌に関する税制改正要望に係る意見募集を開始いたしましたので、ご報告をいたします。

これは政権交代してから実は、ホームページに出しまして、個人の方でもご意見をお寄せいただきたいということでございました。私は大変いいことだと思っています。私は自由民主党にいたころ、自民党の税制調査会の副会長を10年間しましたけれども、ご存じのように、自由民主党という政党は、団体とか工業界とか、そんなところからしか税制要望を受け付けず、個人から受け付けるということはしなかったのです。

政権交代しまして、税制改正要望をホームページに出して、どうぞ企業・団体でも、個人でもご意見をお寄せいただきたいということをやりますと、平成23年度は、(ご意見が)49先、201件あったそうでございますが、そのうち個人(個社を含む)が22先、33件あったという報告を受けております。やっぱり個人の話というのは、確かに社会的勢力としては小さいかもしれない。しかし、やっぱり今は非常に多様化しておりまして、組織に帰属している意識を持っていない人は非常に多いのです。私が28年前、最初に国会に通ったときから比べたら、もう団体の帰属意識が、個人は非常に薄くなってきまして、よく言えば民主主義の成熟化なのです。一人ひとりが団体の長の意見でなくて、自分で判断するのはいいことなのですけれども、そういう現実もありますから、そういった意味で、私は政権交代の成果だと思っています。

一人ひとり、個人が政府にものを言う。当たり前ですけれども、国民が作った政府ですから、そのことをきちんとツールとしてホームページに出したということは、これは2年前から、政権交代してからだということでございますが、非常にいい方法だというふうに(思っております)。開いている道は小さくて、意見もなかなか少数意見かもしれませんけれども、国民だれでも、国民の、自分たちの政府ですから、ものが言えるということを、窓をオープンにしているということは非常にいいことだと、こう思っております。

以上です。

【質疑応答】

問)

先週末、GHOS(中央銀行総裁と銀行監督当局長官による会合)でG-SIFIsの枠組みが合意されましたが、対象になった場合には、国内の金融機関も資本の上乗せ等が必要になると思いますが、影響等に関して大臣から。

答)

6月25日土曜日、スイスのバーゼルにおきまして、グローバルなシステム上重要な銀行、G-SIFIs、リーマン・ショック以来、大変大きな世界的な問題になりまして、ある意味で大き過ぎてつぶせないと、そういうふうな表現も一面されたG-SIFIsに対する自己資本の上乗せ規制について議論するために、中央銀行総裁と銀行監督当局長官による会合(GHOS)が開催されました。

当庁からは三國谷長官と、日本銀行総裁の白川総裁、それから、我が庁から河野(金融国際政策)審議官が国際担当でございますが、行くということで許可をさせていただきました。

会合終了後プレスリリースが公表されたわけでございますが、G-SIFIsの判定に当たっては、ご存じのように「規模」、「相互連関性」などの五つのリスク要因に対応した指標で、システム上の重要性を判定すること、そして必要とされる資本の上乗せ幅は、これは新聞報道にもございましたように、銀行のシステム上の重要性に応じて、普通株の1%ないし2.5%の範囲とすることです。それから、上乗せ規制は2016年の1月から段階的に実施して、2019年1月より完全実施すること、などで合意した旨が明らかになっております。

金融庁としましては、それぞれのG-SIFIsのリスクの程度を反映したバランスのとれた規制内容とするべき、との主張を、従来より行ってきたところでございまして、今回の合意は、こうした我が国の主張が反映されており、評価できる内容と考えております。

今回の合意内容も含めたG-SIFIsに係る提案措置の全体は、7月末ごろに市中協議に付され、本年、11月のカンヌ・サミットのG20までに最終的な結論をまとめる予定となっているということを聞いておりまして、金融庁としても、引き続き積極的に議論に参加してまいりたいというふうに思っております。

私も金融(担当)大臣にならせていただいて、アメリカ、中国、ヨーロッパのパリだとかブリュッセルに行かせていただきました。1997年から8年、私がよく言いますように、私は第2次橋本改造内閣の郵政大臣でして、当時北海道拓殖銀行が倒産して、山一証券が倒産したという、まさに渦中に閣僚でしたから、その後も含めまして大変苦しかったけれども、貴重な経験をさせていただきました。私は何度もこの記者会見で申し上げましたように、自己資本が、大きければ大きいほど確かに安全・健全なのですけれども、自己資本を大きくするために、現実に今度は貸し渋り・貸し剥がしが起こるのです。

私がよく言いますように、私のホームタウンの北九州市で二つの大きなデパートが、具体的には、(株)そごうが倒産しました。私は地元のデパートがつぶれたもので、政治家としては、ひどい目に合ったと同時に、いい経験をさせていただきました。そういった意味で、やはりこれは、どこまで健全でいいかという、そこら辺のバランス(が重要)です。確かに、上乗せ規制をすればするほど、それは銀行としては健全でしょうけれども、今度はそうなるために、銀行でとかく貸し渋り・貸し剥がしをしがちなのです。その辺のバランスが非常に大事だということを、私は外国に行ったときも、経験者として、日本国の行政の責任者として言わせていただきました。それはきちんと事務方とも一致した意見でしたけれども、そんなことを言わせていただいたわけでございます。やはり決して手前みそで言う気はございませんけれども、そういった意味で、それぞれのG-SIFIsのリスク程度を反映したバランスのとれた規制内容とするべきとの主張を、従来から日本国は行ってきました。今回の合意においては、こうして我が国の、本当に苦しい十数年前の金融危機の経験、反省を踏まえて言ったことが、各国に反映されたというふうに、私自身も自分自身の来し方を振り返って、評価できるということを、事務方から報告を受けまして、実際にそのように思っております。

問)

昨日、首相の方で閣僚人事の方が新たに出されましたけれども、自民党の浜田(和幸)氏を(総務)政務官に登用するなど、党内の意見とは違うような人事もあって党内からの反発等が出ていますが、その辺について、大臣でご所見があれば。

答)

人事権者は菅直人内閣総理大臣でございまして、ご存じのように、私も新聞・テレビしか知りませんけれども、その前に菅直人・民主党代表・総理大臣と亀井静香・国民新党の党首とお会いしたということは知っております。その結果、私がよく申し上げますように、民主党と国民新党の連立内閣でございまして、任命権者は菅直人・内閣総理大臣・民主党代表でございますから、そうされた人事に関して、党首会談を昨日もやったばかりの後の結果ですから、どうこう私から論評するのは、政党人としての矜持として適当でないのではないかと、こう思っております。

問)

あと先週末に復興構想会議で提言があったと思いますが、そこに基幹税の増税というお話が入っていたと思いますが、経済閣僚として、その辺どう受け止められるのかは(如何ですか)。

答)

復興構想会議が土曜日にございまして、東日本大震災復興構想会議において復興に向けた提言が取りまとめられ、菅内閣総理大臣に手渡されたことは承知をしております。

この提言は、地震・津波・原発事故が重なった今般の災害について、今後の復興への道筋を示すものと認識しておりますが、いずれにいたしましても、実は今日(午後)2時から、この第1回目の復興構想会議が開かれるそうです。今さっき官邸で閣議の後、たしか官房長官がそういうことを言っておられました。そういう予定でございまして、その席で五百旗頭議長の提言の説明があるということでございましたので、(午後)2時からきちんと、基本的な方針が我々にも示されるのかなというふうに思っておりますけれども、いずれにいたしましても、政府全体でしっかり取り組んでいかねばならないというふうに思っております。

問)

保険毎日(新聞)の園田です。

明日の金融審の保険ワーキングで主要議題になるテーマをお教えください。

答)

明日、保険会社のグループ経営に関する規制の在り方ワーキング・グループにおいて、保険会社による外国保険会社の買収等に係る規制など、保険会社のグループ経営に関する規制に係る様々な論点について、議論をしていただくということを予定いたしております。

スケジュールにつきましては、明日6月29日に第1回を開催いたしまして、その後、月に1回ないし2回の程度のペースで開催を考えております。日本の保険会社が外国の保険会社を買収したいというときに、日本の保険会社というのは結構厳しい規制といいますか、保険業務以外は規制があるのです。こういう事業はしていいとか悪いとか、当然、保険会社を利用している方々の保護というのは非常に大事ですから。ところが、外国は必ずしも日本のように保険業法はそう厳しくありませんで、日本では禁止されている業態を持っているような保険会社も、実は外国にはあるのです。それを買収するときに、実はこれは問題になってきまして、それでいいのかと。国際化の時代にそれでいいのかということは、実はもうよくお分かりのように、そこが大きな問題でございまして、保険会社による外国保険会社の買収等に関わる規制など、保険会社のグループ経営に関する規制に関わる様々な論点について、議論していただくことを予定しております。

問)

G-SIFIsの関連なのですけれども、国内の金融機関からすれば、果たして自分のところが対象になるのかどうかというところが関心事だと思うのですけれども、3メガバンクとか、あるいは大手の証券グループ、この辺がその対象になるのかどうか、大臣のご所見をお願いします。

答)

これは非常に現実的な質問でございますが、これは会議の中で、G-SIFIsに関わる措置の最終的な結論は、市中協議を経て本年11月のカンヌ・サミットまでにまとめていく予定でありまして、現時点では各国ともみんな、一切コメントを差し控えていただきたいということは、もう国際約束でございまして、皆さん方は一番興味のある、関心のあるところだろうと思いますけれども、私の口からは申し上げられません。

問)

東洋経済の井下と申します。

(日本)政策投資銀行の社長が交代しましたけれども、いわゆる政府保有の見直しのあり方というのは危機対応業務もあって先延ばしになっておるのですけれども、日本政策投資銀行の今後のあり方といいますか、その辺のところを改めて、大臣のその考え方というのを教えていただけませんか。

答)

政投銀は、橋本(徹)さんが、昨日社長になられまして、私のところに橋本(徹)新社長と副社長が一緒にごあいさつにおいでになられました。(新社長は)元富士銀行で20年前に頭取、会長をしておられた方で立派な金融人でございますが、今度は政投銀の社長になられたということでご挨拶に来られました。

これはご存じのように、政策金融でございますから、所掌が財務省でございまして、財務省をして、私は前々から言っております「官と民とのベストバランス」と、民の方がいいのだという時代が、小泉・竹中さんの時代にありましたけれども、何もかも民に移行するという、極端な議論に近いような時代もございましたが、私は(大臣に)なって以来、官と民とのベストバランスが大事だと、こういうことを言っております。そういったことを踏まえて、これは具体的にはきちんと、今の内閣でも私はそういう「行き過ぎた政策、政府系の金融機関は、もう民営化は全部してしまえ」というような時代、議論も一時ありましたけれども、これは少し揺り戻しといったら悪いですけれども、リーマン・ショック以来、各国とも不景気になってきまして、政府系金融機関、あるいは財政出動そのものが非常に大きな影響力を持たざるを得ないというふうな時代になったと、こう思っております。

その結果として、財政出動した後の歳入と歳出のバランスが、ヨーロッパでも大きな問題になっていますように、官と民とのベストバランスが大事だと、私はこう思いますので、そういった視点に立って、財務省を中心にしっかり議論をしていただきたいというふうに思っております。

問)

(日本)振興銀行の行政検証委員会の方は、私は6月上旬ぐらいに最終報告書がまとまるようにも聞いておったのですが、これ外れているのか、最終報告書が出るタイミングのめどというのは、大臣の方で、もうお聞きになっているのであれば、その目途を教えていただけませんか。

答)

これはご存じのように、昨日も二人、(そのうち)細野さんが新しい大臣になられまして、それから法務大臣が環境大臣の兼務になったということで、マイナーチェンジがありましたから、ちょっと政治の方の世界が一部、流動的なところもございましたが、私が言いますように、行政には小休止はございませんからきちんとやっておりますけれども、そんなこともこれあり、もうちょっと時間をいただきたいというふうに思っております。私はあのとき記者会見で「きちんとやります」と言ったことは、全然、微動だにしておりません。

問)

すみません、「もうちょっと」というのはどれぐらいですか。

答)

もう、そんなに時間はかからないと思いますけれども、ちょっと、もう少し時間をいただければと。また、私が引き続き金融担当大臣をやらせていただくようでございますから、ありがたいことでございますが、もうちょっと時間をいただければと思っております。

問)

直接ご関係があればですけれども、今日、東京電力で株主総会が行われていまして、それで原発から撤退すべきという株主提案が出されているのですけれども、大臣はこうした動きをどういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。

答)

私も法案の骨子を作る時の7人のインナー(の1人)ですが、最初は5人でしたけれども、与謝野馨大臣が言いまして、私も金融担当大臣ですから、これは金融市場の安定ということも金融市場は非常に大事ですから、東京電力、社債、あるいは借入金等々が巨額でございます、そして同時に、電力の安定的な供給というのは経済の基礎でございますから、非常に強い関心を持っております。

この前、スキームにつきましては閣議決定させていただいて、今、鋭意法律を作る作業に入っているのだろうと思っておりますが、株主総会でございますし、あのスキームの中でも、東京電力は、あくまで民間企業として基本的に存続していただくというような方針が出たと思っております。同時に、私が言いましたように、一番に大事なのは、やっぱり福島の原子力発電所で被害に遭われた方々には、きちんと賠償をしていただく。そして、被害に遭われた方が不安を持たれないという、きちんと東京電力が賠償するということ、同時にこの責任は政府にもございます。東京電力は、政府の国策で原子力発電というのをやってきたわけでございまして、私自身が21、2年前、通産政務次官でしたからよく知っています。政府の国策に従って9電力それぞれに事情は違いましたけれども、原子力発電をしていただくということで、当時は科学技術庁の原子力安全局、科学技術庁の原子力局がございまして、チェックのときも別の大臣がやっておりましたけれども、そんなこともあり、まず一番は、やはりこういう状況になって、まず東京電力は、今の原子力の事故をきちんとコントロール下に置いて頂きたいということは当然ですが、それと同時に被害に遭われた方々、この人たちの補償をしていただくということと、もう一個は、今さっき言いましたように、電力の安定的供給です。これは、関東圏はまさに日本の大動脈でございますから、そこに安定した電力を供給していただくと。

確かGDPの40%ぐらいが東電圏内にあると思われます。それから、預貯金の45%が東京電力管内である、この首都圏にありまして、今度は貸付金の大体半分近くは、この東京電力管内にありますから、もう皆様方よくご存じのように、極めて大きな一極集中的な現象で東電の果たしている割合というのは、東京を中心とした首都圏というのは大きいのです。

そういった意味で、やはり、そこにきちんと安定的に電力を供給していただくということは、やはり経済性、国民の生活、あるいは雇用、そんなことを考えると、本当に電力というのは基礎中の基礎ですから、そのことは、視野に入れながら、株主総会に対する論評は、一民間企業ですから控えさせていただきますけれども、そういった大きな視野に立って東京電力のスキームを作った国務大臣の一人として、そういったことにしっかり注視をしていきたいというふうに思っております。

(以上)

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