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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年7月26日(火)8時36分~8時50分 場所:国会内)

【大臣より発言】

東日本大震災に対処するための金融機能強化法等改正法に係る政令・内閣府令の閣議決定等について発表させて頂きます。

東日本大震災に対処するための金融機能強化法等改正法案については、先般6月22日、普通であれば会期はここまででございましたが、全会一致で成立をさせて頂いたところでございます。本日、同法に係る政令を閣議決定いたしました。関係内閣府令等と併せて本日、公布いたしまして、同法は明日27日より施行することといたしております。

同法は東日本大震災により今後、金融機関に様々な影響が生じ得ることを踏まえて、地域における面的な金融機能を維持・強化するとともに、預金者に安心して頂ける万全の枠組みを設けるためのものであります。

そして、被災地の金融機関におかれましては、その経営判断として、これはあくまでも民間の金融機関でございますから、経営者の判断として資本増強が適当と判断する場合には、本法の活用について積極的にご検討して頂きたいというふうに考えております。

【質疑応答】

問)

今の金融機能強化法なのですが、金融機関の資本増強について既に申請を表明しているのが3行あると思うのですが、それ以外に今、検討しているような状況を教えて頂けますか。

答)

既にこれは新聞にも書いてありますし、今、3行が手を挙げております。仙台銀行、七十七銀行及び筑波銀行です。これら金融機関が申請したいと公表されていると承知しておりますが、同法の活用を含む資本政策は、金融機関の経営判断に属することでございますから、見通しについては言及することは、金融庁としては差し控えたいというふうに思っていますが、いずれにいたしましても、被災地の金融機関がその経営判断として中小企業等に対する金融仲介機能を適切かつ積極的に発揮していくために資本増強が適当と判断した際には、同法の活用について積極的に検討して頂きたいというふうに思っております。

当庁といたしましても、こうした相談等に積極的かつ前向きに応じていきたいというふうに思っております。

問)

もう1点、郵政改革法案なのですが、昨日、民主党の有志議員が総理と会って早期の審議入りというのを求めて、総理の方も今月中に審議入りできるような環境づくりをしたいという発言をされたということなのですが、審議入りの見通しについてどのようにお考えでしょうか。

答)

そういう話も私も仄聞しておりますが、大変ありがたいことだと思っております。昨日も私、予算委員会の(締めくくり)総括の質問に対しまして、これもご存じのように郵政特委(特別委員会)をつくって頂いて100日たったわけでございますが、特別委員会における法案というのは、重要な問題だから特別委員会を作るのであって、それを行政府が決めて「国権の最高の機関で唯一の立法機関」である国会に出させて頂いて、国会が特別委員会まで作って頂けたということは大変感謝に堪えないのですが、それが100日間も一寸たりとも審議をしない。いわゆる休止の状態であるということは、これはやっぱり私は立法府のあり方として、そこはしっかり考えて頂きたいということを私自身2回ほど衆議院議長の方にお願いに行かせて頂きました。

そういったことを含めて、昨日、民主党の若い人たちが総理のところに30人ぐらい行かれたという話でございますが、大変ありがたいことです。審議を、一日もしないということは、各党・各会派で賛成、反対は当然(あると思いますし)、小泉郵政解散であれほど大きな法律だったのですから、党内色々あると思います。しかし、審議をする前の段階で休止に、それも100日間も審議拒否をしているということは、行政府の内閣で閣議決定して、責任者の名前で出させて頂いた担当所掌大臣として、行政府の長として、立法府にぜひこれは審議をしてくれと(思います)。賛成・反対は色々ありますが、100日間も審議をして頂かないということは異常な状態だと思いますから、ぜひ皆さん方も、「この法律の棚ざらしは国益に反する」というふうな大きな社説を書いて頂いた各紙も多々ありますので、そういったことでぜひご指導、ご協力頂きたいと、こう思います。

特に昨日、私、予算委員会で申しました公的年金、これは過疎地に高齢者の方が多いのです、公的年金の受給者。これは確か(過疎地に住む高齢者の)何分の1かは、田舎の過疎地は郵便局しかありませんから、郵便局で(公的年金を)もらうのです。市町村に全部郵便局がございますから、公的年金は大体2か月に1回、これは郵便局から支給されるのですが、今、被災地においては特に、東北3県においては、被災地に(移動のための)足がない年金受給者の高齢者の方々がたくさんおられるのです。

昔は当然、公的年金の支給日に、郵便局に行ったらもらえたのですが、今は、なかなか行けません。昔は、3事業一体ですから、郵便配達の人が代行でもらってきてくれたりしていたのです。しかし、今は年金、お金ですから、郵便配達の人は扱えないのです。また、5分社化しましたから、ゆうちょ銀行は手足がないのです。(郵便配達の人に)もし配って貰うなら、特別に郵便事業会社とかに頼むか、あるいは郵便局会社の外に出てセールスをしている人に頼まないといけないから、非常に公的年金の受取りについて齟齬を来たしているのです。

これも私、やっぱり5分社化の矛盾が被災地において吹き出していると思っていますので、そういったこともこれ含め、ぜひ深慮して頂きたいと思いますね。

問)

最後もう1点なのですが、金融庁の長官人事なのですが、各社報道で畑中監督局長を昇格させるという報道がありますが、この考えと、あと官房長官の方がたしか局長級以上の人事を凍結するという話もあったのですが、これはもう解除されたという理解でよろしいのでしょうか。

答)

後ほど、しかるべきタイミングで、今日中だと思いますが、きちんとお話をさせて頂きたいと思っております。

問)

先般、決まった自己資本比率規制の枠組みなのですけれども、大臣も日本の主張を反映されて高く評価されているという話だったのですけれども、とは言ってもこれまで以上に高い自己資本の水準を求められるわけで、この邦銀のビジネスモデルに対する影響とかというのは、どのようにお考えでしょうか。

答)

私は、バーゼルIIIで、これはかなり率直に言えば、かなり日本の主張が入ったので、私はありがたいことだけど思っておりまして、これは何でかといいますと、(これまで)非常に金融資本主義的な色彩が強かったのはアメリカとイギリスなのです。これがリーマン・ショックで、非常に納税者からの税金で金融機関を救わざるを得なくなったのです。アメリカのゼネラルモータース(GM)や、アメリカで一番大きなAIGという生命保険会社も(そうです)。そういったことで非常に、このアメリカ、イギリスでは、納税者が怒っているのです。何で今までウオール街の金融資本家たちが儲けていたのに、(彼らが)リスクを取り切れなくて失敗したのを我々の税金で補うのかと。

これは私も去年、アメリカに行かせて頂きましたので、ひしひしと感じました。ある人は、(アメリカ国民の)9割が怒っていると言っていました。日本も十数年前、住専の問題がありまして、6,850億円を税金から出しました。住専の問題のときは、物凄く国民からお叱り頂きました。何で金融業が失敗して、バブルに関連して損をしたのに、それを我々の税金で埋めるのかといって、私も大変選挙民から突き上げを食らいました。

やっぱり、アメリカ、イギリスも民主主義国家ですから、そういう原理というか、力学はよく分かります。ですから、やっぱりイギリス、アメリカはより自己資本を高くして厳しくしろということを言うのです。しかし、現実的に日本の経験からしますと、あのときには国内(業務のみを行う銀行の)自己資本(比率)が4%、国際事業をする(銀行)の(自己資本比率)は8%とバーゼルの決まりがあったのですが、そうなりますと銀行が猛烈な勢いで自己資本を確保するために貸し渋り・貸し剥がしをするのです。

私は何回も言うように、私の北九州市は2つ駅前にあった「そごう」という大きな百貨店が、2つも潰れまして、私自身、政治家として塗炭の苦しみに遭いました。やっぱり銀行というのは、各国の伝統と歴史とのバランスがありますから、ちょうど日本が、ドイツ、フランスの立場に近いのですが、日本はこれくらいがいいのではないかと(思っています)。こういう国際会議だって、ある意味で値頃感ってあるのです。こっちにフランス、ドイツ、こっちにアメリカ、英国と。そんな意味で、私は実情に(合っていると思います)、民主主義国家ですし、当然国民の民意・世論というのは重要でございますから。当時、金融というのは、非常に理性的なところもありますから、そこら辺で、やっぱり日本がある意味で影響力を発揮できたというふうに私は思っております。

そういった意味では、バーゼルIIIは我が国の銀行にとっても、実体経済に大きな影響をもたらすことなく、経営努力の範囲内で達成可能な内容となったというふうに考えております。なおかつ世界の金融システム全体の強化に向けて、全体としてバランスのとれた結果になったものと評価をしています。

問)

円高が進んでいます。地元の企業からの情報なんかも当然伝えられていると思うのですけれども、今の円高のレベル、企業努力だけで何とかなるというふうにご覧になっていますか。

答)

円高につきましては、ご存じのように色々な所掌は財務大臣にあることが多いのでございます。私も金融庁(の事務方)に指示しまして、市場の動向について引き続き高い関心を持って、財務省ともよく連絡とりつつ、(そして)企業の方は、経産省が主にやっていますので、そこら辺の関係官庁とよく連絡をしつつ、また、当然金融機関から上がってくる情報もありますから、しっかりと普通のときよりも目を10倍ぐらい大きくして、耳を10倍ぐらいよく聞いてしっかりやれということを指示しております。

どうもありがとうございました。

(以上)

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