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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年9月6日(火)10時58分~11時23分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、台風12号が紀伊半島を中心に大きな被害をもたらしたわけでございますが、総理からこの復旧・復興に全力を挙げて努めなさいと、こういう話がございまして、閣議はその関係もございまして、防災担当大臣、それから国土交通大臣は欠席をしておられまして、現地に飛んでおられます。そういった意味で、金融庁も各地の金融機関に対して、日本銀行と一緒になりまして、鳥取県内(の関係金融機関に対しては)中国財務局が、それから三重県内の関係金融機関に対しては東海財務局が、それから奈良県及び和歌山県内の関係金融機関に対しては近畿財務局が日本銀行(と連名で)、台風12号による災害に対する金融上の措置について発出して、万全を期しているところでございます。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

まず一点目ですけれども、多くの企業にとって9月の中間期末を控える中で、円高ですとか、世界的な株安等、金融市場は非常に不安定な動きを続けておりますけれども、大臣の現状の日本国内外の景気・経済へのご認識と、その認識を踏まえまして、金融庁としましてどういった点に注視・留意していくお考えか、お聞かせください。

答)

まず、今、中間決算が近づいているという話でございますが、(現時点において、各金融機関とも平成23年)中間決算については、まだ公表していませんから、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、マーケットの動向に対する所見如何というところでございますが、このところ世界的にマーケットの不安定な動向が続いている背景としては、ヨーロッパの財政・金融問題や、米国の景気減速、下振れリスクと申しますか、先日雇用統計が出まして、非農業部門では予想に反して雇用が増えていないという発表がございましたが、それだけではございませんけれども、そういう統計が一昨日出てまいりまして、世界的にリスク回避の動きが強まっていると考えています。

市場の動向につきましては、私から逐一コメントすることは差し控えさせていただきますが、金融担当大臣としては、関係閣僚、財務省をはじめ、たくさんの関係省庁や日本銀行と連携しつつ、引き続き高い関心を持って市場の動向を注視してまいりたいというふうに思っております。

一方、ご存じのように、我が国の金融システムについては、総体としては健全であり、安定していますが、内外の経済、市場の動向や、我が国の金融システムに与える影響については、引き続きしっかり目を凝らして注視してまいりたいというふうに思っております。

問)

昨日、副大臣・政務官の顔ぶれが決まりまして、新体制のスタートに当たりまして、副大臣・政務官に大臣からどのようなご指示・ご要望をお伝えになったのでしょうか。

答)

今、質問にも出ましたように、まさに世界の金融市場、あるいは経済、ヨーロッパではこの財政金融問題、米国における景気減速等、それから何と言いましても日本の国内においては東日本大震災ということが、まだ復旧・復興の段階でございますから、非常に喫緊の大事な課題でございます。

国内問題、国際問題を見ても、まさに政治が試されるときでありますから、きちんと国民に安心感・安定感(を与える)、そのために(改正)金融機能強化法というのを先の国会で、これは全会一致で通させていただいたわけでございますが、私は必要な手当てをきちんと先手、先手で打っていくことがより大事だと思っております。副大臣、それから大臣政務官が新たに任命されましたので、一緒になって、気持ちを一つにして、政務三役でございますから、国民から選ばれた国会議員でございますから、気を一層引き締めて(やっていこうと思っております)。また、私は最初から官と民とのベストバランスということを言っておりますけれども、金融庁の長官をはじめ、公務員の方も非常にスペシャリストで、色々な経験(があり)、持ち場、持ち場では非常に専門家でもございます。そういった意味で、責任はすべて選挙で選ばれた政務三役にあるわけでございますが、その中で伸び伸びと、生き生きと、官僚機構に動いていただくということも非常に大事でございますから、そこら辺は大臣として目をよく届かせながら(やっていこうと思っております)。

また、鳥の目と虫の目と何度も言いますけれども、被災地の中小零細企業の一つ一つの資金繰りのことから、それから今言いましたように鳥の目といいますか、リーマン・ショックの後、世界の経済情勢が非常に不安定でございますので、そこら辺も含めて、私をはじめ政務三役で力を合わせて、きちんとやっていきたいというふうに思っております。

もう一点は、ご存じのように郵政改革でございます。私は郵政改革担当大臣でもございまして、郵政改革についても副大臣と大臣政務官が今日挨拶に来られました。これも長い間の懸案でございますが、4年前から野党であった民主党と国民新党との合意事項でもございますし、私は何度も言いますように、小沢一郎さんが民主党の代表で、小沢一郎さんと(元国民新党の)綿貫さん、それから(元民主党代表の)鳩山さんと(国民新党代表の)亀井さん、(前民主党代表の)菅さんと亀井さん、今度は野田総理大臣と亀井さんと、これはまた署名で、きちんと自署の合意を取付けさせていただいたわけでございます。この前は特別委員会ができまして、その中でより建設的に、各党、各会派、色々なお立場があるのは分かっておりますけれども、皆さん方の大新聞も、「店ざらしは国益に反する」というようなことも書いていただいております。実際、東日本大震災の復興の基本計画の中にも当時の片山(前総務)大臣と私と働きかけをさせていただきました。東北地方の復興・復旧には、やっぱりネットワーク、あるいは人の絆の固まりというのが郵便局の一面でございまして、そういった意味でもまさに5分社化の矛盾というのが被災地でも噴出しているということでございますから、国民の目線に立った本当の意味での改革をやっていかなければならないというふうに思っています。これもまた政務三役で、今日決意を新たにさせていただいたところでございます。

問)

政府一体となって円高対策、空洞化対策を今検討していると思うのですけれども、具体的に円高対策、空洞化対策、どのようなことを検討することが大事か、あるいはどういう観点で検討していくことが大事か、考えを伺いたいのですが。

答)

円高対策が求められておりますが、特に金融庁といたしましては、中小企業の資金繰り対応などに注目しておかねばならないというふうに思っております。

「円高への総合的対策の考え方と検討課題」について、これは「経済情勢に関する検討会合」というのが、これは菅内閣の終わりでございましたが、8月29日に官邸で開かれまして、私も出席をさせていただきました。財務大臣・経産大臣等々、それからご存じのように、日本銀行総裁もオブザーバーでいつも参加しておりますが、その中で、今さっき言いましたように、欧州のソブリンリスクや、欧米の景気下振れ懸念を背景に円高が急速に進んでおり、東日本大震災や原子力災害に追い打ちをかける形で、国民や企業の先行きに対する不安が高まっています。このため、市場の動向をこれまで以上に注視して、(関係省庁等と)切れ目がない緊密な情報交換を行っていくとともに、為替市場の動向を踏まえながら、次期内閣、今の野田内閣でございますが、円高への総合的対策に早急に取り組んでいくことを可能とするよう、この(菅)内閣において基本的な考え方と検討課題を以下のとおり(整理しました)。

基本的考え(方)といたしましては、大きく言いますと、まず政府が総力をあげて「復興の基本方針」、これをきちんとやるということが、これは結果として内需拡大にもなりますから、私は震災からの復興に取組むということは円高対策として非常に大事なことだと思っております。

それから、国際金融市場の荒波にさらされている国民、企業を守り抜くために最善を尽くすことが必要でありますが、これにより国民が萎縮し、経済が縮小サイクルに陥ることが絶対にないように、回避しなければならないというふうに思いまして、そのために為替市場の動向を踏まえながら、円高への総合的対策に早急に取り組んで行く。

1つは円高に直撃された輸出企業、中小企業や就業者の不安を、中小企業対策、復興需要の早期実現、内需前倒し、立地競争力の強化等により解消すると。それからもう1つは、円高というのはメリットもございますので、円高によりメリットも多いことを国民にしっかり示す。円高メリットを「見える化」し、徹底活用するということでございます。円高メリットのためには、この前言ったと思いますが、海外へ直接投資して、円高ですから、M&Aとか、あるいは資源権益獲得の促進、先端分野を中心として海外研究者の招聘、海外留学の促進、円高メリットの国民・消費者への還元(を促進)ということでございます。

この前、確か1,000億ドル、外為特会(特別会計)の中で、ドルからドルということでございましたが、海外でのM&A、あるいは資源の獲得・取得の促進等々のために、大体外為特会の10分の1ぐらい、これは財務省ですけれども、この前発表したと思いますが、そういったこともしっかりやっていきたいというふうに思っております。

問)

昨日、韓国で発表したようなのですけれども、日中韓の金融当局幹部の意見交換を今朝するということがありましたが、その事実関係をお尋ねします。

答)

韓国金融委員会(FSC)の公表したプレスリリース及び関連報道については、承知をいたしております。当庁では、従来各国の金融当局と随時、緊密に意見交換を行っているところでございまして、今回の電話会議についても、中国・韓国の金融当局との間で一般的な意見交換を行うものと理解をいたしております。

これは確かロイターに載っていたのだと思いますが、これが全世界に広がったということでございますが、実は、当然ですが、各国色々な情報の交換、日中韓も大事でございますが、ヨーロッパの国々とか、アメリカ等々、各国間の電話会議を事務次官レベル、あるいは課長補佐レベルでも週に何回かの頻度で、金融庁の当然の義務としてきちんと連絡を取合っているわけでございまして、次官レベルから、そういった実務者レベルまでやっているわけでございます。そういったことで、今回は韓国がプレスリリースされたということだと、こういうふうに思っております。

問)

今回はどなただったのかということと、内容は何かというのと、あと韓国が定例化したいみたいなことが書いてありましたけれども、何か特に今後定例化するということはあるのでしょうか。

答)

今までも日本と中国、日本と韓国ということは、実は頻回にやっておりまして、今まではそういったことを余りプレスリリースしていなかったということもございますが、これは密接な国際金融でございますから、非常に大事でございます。当然東アジアにおいては中国、韓国は非常に大きな主要国でもございますから、これはまた密接に連携を、今までも取ってきたし、今回も取りましたし、将来も国際金融を考えたら非常に大事なことですから、密接な情報の交換ということは大事だと思っております。

どのレベルでやったのかと、今回は次官レベルでやらせていただいたということでございます。

問)

何のテーマについてだったかという点も、すみません。

答)

これはご存じのように、中国、韓国の金融当局として、私が最初に申しましたように、ヨーロッパにおいて財政金融問題、それから米国の景気の下振れ、当然アジアにも押し寄せて来ておりますし、基軸通貨がドルでもございますから、そういった意味で中国、韓国との間で、特別な問題があったからというわけではなくて、一般的な意見の交換を行ったと。これは定期的にも結構していますから、しょっちゅうやっていることでございますから、その中で一般的な意見交換を行ったものというふうに理解をいたしております。

問)

一部報道なのですけれども、バーゼルⅢの流動性資産の保有規制について緩和する可能性があるというふうな報道があったのですが、今どんな状況なのでしょうか。

答)

バーゼルⅢ、G-SIFIsについて、色々国際的合意に近いものもやっておりますが、今の流動性のことについては、私のところに情報が来ておりません。次回きちんとそのことについてコメントをさせていただきます。

問)

東洋経済の井下です。(中小企業金融)円滑化法なのですけれども、先週速報値が出ましたが、(貸出条件の変更等の)件数としては、やっぱりずっと増え続けているというのがありまして、件数の中身として、新規(に申込みをする人数)が増えているのか、既存の申込みをしている人が繰り返しているのか、その辺の申込みの動向などは、大臣としてはどのように分析というか、報告を受けておられますか。

答)

9月1日でございますが、今ご指摘があったように、金融庁といたしましては、中小企業金融円滑化法にかかわる法施行日から6月30日までの貸付け条件の変更等の実績を集計・公表したところでございます。これにおいても、中小企業向け貸付け及び住宅ローンについては、審査中の案件等を除き、実行の例は9割です。これは以前からも申し上げておりますように、9割を超える水準となっております。

今回の公表結果から、全体として金融機関の条件変更等へ向けた取組みが着実に行われていると考えております。また、全体の件数、金額、実行率等の傾向について見る限りは、従来の期間と比べて、特段変化は見られておりません。一方、被災地の多くの金融機関では、被災前に比べて、申込み件数及び実行件数の増加が見受けられます。これは震災の影響により、条件変更等の必要性が高まったものというふうに考えております。

被災地を含めて、各金融機関においては、中小企業金融円滑化法の趣旨を踏まえて、貸付条件の変更等についても積極的に取り組んでいるものと承知をいたしておりまして、金融庁といたしましては、今後の動向について、被災の影響も含めて、引き続き注視をしてまいりたいということと、もう一つ、中小企業金融円滑化法も被災地(向け)でございますが、改正金融機能強化法もありますから、この二つをきちんと私としては見ていきたいというふうに思っております。

問)

通信文化新報の園田です。川端総務大臣も、郵政法案を(国会で)通して株を売却することで復興財源をつくることが、すごく大きな財源になるということをおっしゃられたようなのですけれども、ちょっとしつこくて、申し訳ないのですが、その実現可能性についての大臣のお考えを、この間もちょっと似たようなことを伺って申しわけないのですが。

答)

前回も同じような趣旨のご質問でございましたが、これは当然法律を読んでいただければ、今の政府原案では、3分の1(の株)を政府が持っております。3分の2はいずれ株を売却するというような仕組みになっておりますが、今は便宜的に株式の売買は中止しております。しかし、今の改革法案が(国会を)通れば、3分の2は株式売却してもいいということでございます。しかし、この前も申し上げましたように、株式を売却するというのは、そう簡単な話ではございません。ご存じのように、上場するためにはなかなか厳しい基準がありますから、その中で法律を改正した後、きちんと日本郵政グループが全体としてある程度業績を上げていただいて、そしてきちんと上場すれば、当然売却できるわけでございますから、これは中長期的な話ですけれども、これは当然、売却益というのは基本的には国民のものでございますから、いずれは国庫に入るということを川端(総務)大臣は言われたのだろうというふうに私も思っております。

これは法律上の仕組みでございまして、当然そのためには法律改正をして、なおかつ郵政事業が投資家から見ても魅力的な事業にならないと、これはご存じのように投資でございますから、魅力的な組織体になる必要がございます。そのために一生懸命頑張っていただき、他の日本の国の民営化した、NTTをはじめ、上場までしばらく時間がかかっていますし、上場しても、1年で売ったり、あるいは何年計画で売ったりと、当時の景気動向、株式動向等々を踏まえております。そういうことになるのかなというふうに、法律の文面から想像いたしております。

問)

先ほどの日中韓の電話会合の関係なのですが、今までもそういう議論はされているし、これからもそういうのは重要だというお話だったと思うんですけれども、今までやっていらっしゃったのに、なぜこのタイミングで今回はそういうようなことをリリースされたのか、まずお聞きしたいんですけれども、いかがでしょうか。

答)

今まではずっとやっていたけれども公表はしなかったのですが、ある1か国が事前に協議なく、一方的に公表されたというふうに私どもは聞いておりまして、何も特別なことがあったわけではないのですけれども、当庁としては一般的な意見交換と留意をいたしております。

問)

そういうふうに1か国だけが突出して、何も事前の根回しなしに公表されるというので、当局の足並みが揃っていないじゃないかという、逆なメッセージにも受け止められるのですけれども、いかがでしょうか。

答)

私はそういうふうに考えておりません。日中韓、首脳会議もございますし、昨年は、日中のハイレベル会談で閣僚が7人参りましたが、私も行かせていただきまた。やっぱり日中韓というのはサミット首脳会談も総理大臣レベルでもありますから、特に東アジアにおいては非常に大きな経済的存在を持った国家同士でございますから、そこら辺はきちんと話し合いを十分にしていくということは、東アジアの経済的安定のためにも、政治的にも非常に大事なことだと思っております。

(以上)

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