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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年9月9日(金)10時21分~10時46分 場所:金融庁会見室)

【質疑応答】

問)

今日から開かれますG7への期待感と注目するべき点についてお考えをお聞かせ頂けますでしょうか。

答)

G7各国が国際的な金融経済情勢について、日頃より様々なレベルで緊密に意見交換を行い、適切に協力していくことは極めて重要であると考えています。1929年と3年前のリーマン・ショックの一番の違いは、まさに1929年の後は、国際的な経済はそれぞれブロック化し、これが第二次世界大戦の遠因の一つになったということを申し上げたと思っていますが、今、大変、経済がグローバル化した中で、また1929年の反省を踏まえて各国が協調政策、それぞれの国家は異なる歴史的背景、経済的事情、国内政治と色々な問題を抱えて、伝統と歴史も違いますけれども、やっぱりその中で経済あるいは通貨、金融について、今日からG7の会議が開催されます。その次にご存じのようにG20の会議もワシントン、パリで予定されておりますから、そういった中で、できるだけ適切に協力していくことが、私は極めて大事だというふうに思っております。その中でも、G7財務大臣・中央銀行総裁会議は特に重要な会議と認識しておりまして、有意義な意見交換がなされるということを期待いたしております。

今日からフランスのマルセイユで始まります。

問)

(中小企業金融)円滑化法についてなのですが、地方の中小企業の倒産に歯止めがかからずに、政策支援効果が薄れているというふうな指摘もあるようなのですが、新たな対策等についてお考えがありましたらお聞かせください。

答)

例えば最近の報道で中小企業金融円滑化法に基づく返済猶予後の中小企業倒産が8月までに100件を突破したというふうな報道を踏まえてのご質問だと思うわけでございますけれども、そういった報道があったことは承知をいたしておりますが、昨今の急激な円高や東日本大震災の影響等により、我が国経済は依然として厳しい状況にあると認識をいたしております。

こうした中、金融庁といたしましては、中小企業金融円滑化法により、一時的に返済は困難であるものの、将来改善見込みがある中小企業者の貸付条件の変更等が行われ、経営改善が図られることを期待しているところでありますが、引き続き、中小企業者等の資金繰りに万全を期してまいりたいというふうに思っております。

問)

間もなく震災の発生から半年を迎えるのですけれども、(改正)金融機能強化法の申請可能になる時期と、今、手を挙げているところが3つあるのですが、潜在的にどの程度の金融機関にそういうニーズがあるとお考えでしょうか。

答)

(改正)金融機能強化法、実は昨日、全国信用金庫協会の会長が、今度「(信用金庫法制定)60周年記念(全国大会)」があるそうでございましてご案内をお持ち頂いたわけでございます。(改正)金融機能強化法を制定させて頂いたわけでございますが、できるだけこれは信用金庫、信用組合には中央(機関)からの強い関与を認めて、10年後、どうしても不良債権が残る、あるいは資本が毀損する等々の場合は、預金保険機構から援助をするということを法律に明記してある、金融関係の法律としては、私はまさに千年に一遍の災害特例措置だというふうに思っております。

そんなことで、(全国)信用金庫(協会の)会長ですから、よく意見の交換はいたしておりますけれども、「できるだけ東北6県の金融機関にも会長の方から、こういう法律ですから利用するように(言って下さい)」と、これは当然最終的には民間金融機関ですから、民間金融機関の経営者が判断されることでございますが、「そういう環境を整えさせて頂いたのですから、ひとつご協力とご理解を」ということを実は申し上げたわけでございます。

今3つ(の金融機関が)手を挙げておりますが、今、実は第3次補正予算の策定中でございまして、色々な情報を総合しますと、第3次補正予算の性質、規模、これが東北3県の中小零細企業を含め、特に金融機関が(様子を)眺めておられるというふうに私は認識しております。

例えば、これは金融庁の所轄ではございませんが、経産省の公的金融、これは我々が所管させて頂いている民間の金融機関よりも、ある意味で被災者に対して有利な話ができるわけでございます。債権の放棄だとか、あるいは無利子だとか、あるいは長期据え置きだとか、そういう世界があるわけでございますが、そこは、どれくらいの期間無利子にできるのかとか、場合によったら補助金もございます。そういった意味で、その規模がどれくらいになるのかということを見ておられるという話も聞きますので、3次補正も、今、策定中でもうすぐ決まりますが、そこがきちっと決定すれば、私としては他の3社以外の金融機関、地方銀行をはじめ信用金庫、信用組合が、色々そこを見ておられるという話も聞きますので、その後一斉にとは言いませんけれども、(改正)金融機能強化法の(活用に)手を挙げてくるのではないかと、そういう予想もございます。私もそれは確かに一理突いた予想だなということを、色々な人の話、金融庁の事務方、あるいは色々な金融機関の方々の話を総合すると、今、第3次補正予算でどれぐらいの額のものが出てくるのかなということを見ておられるということもありますから、そんなことも含めて、もうすぐに結論が出ることですけれども、私の立場としては、できるだけ(改正)金融機能強化法、何度も申しますように、これは震災特例でございますから、できるだけ東北地方を中心とした金融機関がこれを活用して頂いて、地域における金融仲介機能の強化、それから預金者が安心していられるということを担った特例でございますから、そういうためにも、ぜひ復旧・復興を急げるように、確実になるように、それから金融機関の安心・安全、それは当然貸付を受けている中小零細企業の安心・安全にもつながるわけでございますから、そういったことを今考えさせて頂いております。

問)

J-REIT市場が、明日で発足から10周年を迎えるということなのですが、金融市場で果たした役割などについて大臣の方から所感がありましたらお願いします。

答)

不動産投資と申しますか、REIT市場の件ですが、こういった市場は新しいツールでございまして、私は十数年前に香港の金融機関の方と話をして、当時日本の不況が深刻になるところでございまして、その人はアジアで有数の財閥の息子で、スタンフォード大学を出た非常にクリアな人ですけれども、彼と今でも友達ですが、15年ぐらい前に来たときに、どうしたら日本の不況は良くなるのですかと聞いたら、「それは自見さん、不動産証券といいますか、J-REITをつくるべきだ」と一発言ったのを今でもよく覚えています。

それから、J-REITというのは、制度化されまして、特に日本銀行も量的緩和、実質的な金融緩和の中でJ-REITを一定の割合を買うと言いました。J-REITを日本銀行が買うということになると、権威付けといいますか、格付けといいますか、特に安心をするといいますか、そういったことで、J-REIT市場が非常に膨らんだという話を聞いております。そういった意味で、確かに一時はJ-REIT、リーマン・ショックの少し前はアメリカからファンドが来まして、活性化した時期もございまして、色々な相場は上がったが、不動産の流動化ということを通じて投資をさらに活性化させる機能を期待いたしておりまして、今後も是非いいマーケットに育って頂きたいというふうに思っております。

問)

先ほどの(改正)金融機能強化法の話なのですけれども、3次補正を(金融機関の)皆さん眺めていらっしゃると、3次補正が決まった後に手を挙げてくるというような予想があるというお話でしたけれども、これは大臣がそういうふうに予想しているという認識でいいのか、違うのであれば誰が予想しているのかというのを教えて頂けますか。

答)

早い時点でご存じのように3社に手を挙げて頂きまして、(改正)金融機能強化法では、金融機関にとってはまず経営者の責任は一切問わないと、そういうことですし、またこれは信用金庫、信用組合であれば非常に独立心の強い経営者が多いところでございますので、率直に言えば、法律が6月22日に(国会を)通れば少しは手を挙げてくるのかなというふうな、実は予想をしなかったこともないのでございます。私もそういう問題意識を持って色々な人の話を聞き、色々な人の情報を総合しまして、今言ったような第3次補正予算の大きさ、性質、規模によって変わってくるわけですから、そこら辺を(金融機関の方は)見たいと。

それからまた、各企業が中間期の決算がありますので、決算も見ておられるというふうに思っております。どこかの新聞にも書いていましたように、これは、銀行家にとっても、前例のない話でございまして、(被災地では)もう根こそぎ企業の設備も個人の自宅も、私も行きましたけれども、言葉を失うように大体全部流されておるのです。そんなことというのは、今まで日本人が経験していないことですから、どこかの新聞にも載っていましたけれども、この企業をどうしたらいいのかという言い方をしておりました。あれ(機能強化法を活用するか)はやっぱり、銀行家の考えられることだと思っております。そういった意味で、また中間期の決算も出ますし、そういったことを眺めておられるのだろうと(思います)。

確かに予算の規模も質も考えていますけれども、また同時に、中間期の決算も出てきますので、そういったことを待っておられるのではないかなというふうに思っております。

いずれにいたしましても、私は(改正)金融機能強化法をできるだけ東北地方の金融機関に使って頂きたい。最終的には、何度も言いますように押しつけるものではございません。あくまで、民間金融機関の方々が民間経営者の判断として決めて頂くことですけれども、できるだけ使うような環境を整えていきたいというふうに思っておりまして、そういう意味では、(改正)金融機能強化法の内容をよく説明をさせて頂くということも含めて、(人事異動後)監督局長にいの一番に、東北被災地に行って頂いたのも、そういったところを睨んでのことでございます。

問)

通信文化新報の園田です。

復興財源に、将来的に郵政株式を売却して充てるという、今話題になっているようなのですけれども、日本郵政が魅力的な会社にならなければ、余り高く売却できないのではないかという話も聞いたのですけれども、魅力的な日本郵政にするポイントというか、骨格みたいなものはどういうふうにお考えになられますか。

答)

日本郵政、ご存じのようにゆうちょ(銀行の貯金)も(260兆円あったのが)約90兆(円)減りましたし、それから簡易保険の数も約8,400万口から4,200万口ぐらいに半減したのです。それから、手紙、はがきも約260億通くらいあったのが、200億通を切りました。これは、今はメールができますから、確かにそういった社会的な傾向もあるわけでございます。

そういった中で、大変郵政3事業の基礎・基盤が非常に脆弱になりつつある。それに輪をかけているのが、私が前から言っておりますように、本当に郵政5分社化というのが、そして法律が店ざらしだということが、非常に郵政事業の現場の方々の士気を低めておりますし、また震災のあった東北の郵便局の建物の再建にすら、郵政をこのまま5分社化でいくのか、あるいは3事業一体でいくのかと、非常に設計自身が変わるようなこともございます。これは前の片山大臣が特に強く言っておられたのですが、そういうことを含めて、やっぱり方針をきちっとすることが、政治の責任だと思っています。きちっと決めて、早く郵政改革法案を通させて頂くということで、方針が決まるわけですから、そしてもう、よしこれでいこうとなるわけですから、そういった意味でも私は、郵政改革法案を通すことは非常に大事だというふうに思っています。

そういったことを通じて、法律上はこの郵政改革法案が成立すれば郵政株式処分凍結法による処分の凍結が解除されるわけでございますから、処分が可能になるというわけでございまして、郵政改革関連法案については速やかに成立させて頂きたい。そして、(東日本復興対策)本部が決定した「東日本大震災からの復興の基本方針」においても、財源としては国有財産の売却が挙げられておるわけでございますから、一般論として申し上げれば、この喫緊の財政需要に対して国の資産を売却してその収入を充てることは、もし、株式を充てるということになれば、かなり先のことになりますけれども、議論としてはあっていいのではないかということを思っております。

問)

私的整理ガイドラインの運用が始まってもうすぐ1か月経つのですけれども、この1か月間、まだ1か月ですけれども、そのスタートからの現状についてどんなご報告を受けておられるかというのと、予想に比べて多いのか、少ないのか、予想通りなのか、どんな問題があるのかとか、そこら辺のご感想をお願いします。

答)

いわゆる二重債務問題に関する方策の一つとして、民間関係者の研究会によって取りまとめた「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」が、これは(全国)銀行協会に主に作って頂きまして、一般社団法人が運用しているわけでございますけれども、8月22日から適用開始となったわけでございまして、この適用開始より9月5日までの間にコールセンター、東京本部及び5か所の支部、これは青森、岩手、宮城、福島、茨城で受付けをした相談件数は、今のところ合計(約)820件との報告を受けております。大体コールセンターに来るのが495件でございまして、あとは宮城県が大きな県でございますから221件、(コールセンターと全県で)合計815件になっておりますけれども、今後ガイドラインによる債務整理が円滑に進み、被害者の方々が復旧に向けて再スタートを切る一助となることを期待しております。

ただし、私は事務方にも申し上げたのですけれども、(個人版)私的(整理)ガイドラインの適用を受けざるを得ないということは、当たり前ですけれども、(被災者の方々は)お元気がないのです。だから、こういうとき行政というのは、やっぱり、そこのところの人の心情を分かってやって、例えば、これは私案でございますけれども、今、各県に1個ずつある(相談窓口)というのを少し(増やしたらどうかと思っております)。例えば、田舎の方というのは、町の役場とか農協とか漁協とか、あるいは信用金庫とか信用組合とか郵便局というのは行きやすいので、敷居が低いのです。ですから、やっぱり債務の私的整理に対するガイドライン(の適用を申請するのは)気の重たい話です。ですから、できるだけ住民の方々の、そういった人達の気持ちに立って、幅広い、いつも利用しているところに行けば、そのことについての情報が得られるとか、実際の事務は各県1つ1つの一般社団法人でしてもいいですが、受付・仲介、あるいは、斡旋をそういう所でしてみることもどうかなということを、私、今申し上げております。

それからこれは、皆さん方はよく知っておられますけれども、一般になかなか広がらないのです。ですから、これも大変強い指示をしまして、政府広報のテレビスポットで(広報をする予定です)。やっぱりテレビの影響力は大きいものですから、(ガイドラインを運営する)事業主体は(全国)銀行協会と、あるいは一般の社団法人(ガイドライン運営委員会)でございますけれども、「こういうことを政府が中心になって、やっていますよ」ということをやりなさいということで、(政府広報を)するようになっています。できるだけ一般の方に、大変重苦しい情報でございますけれども、本当に困っておられる方は、あんまり人と相談せず1人1人悩んでおられるということがあるのです。

私は本職が医者でございますから、そういう悩みを抱えた方が、例えば夜寝られないとか、そんなところで、本当に人から見れば何ということのないのだけれども、自分自身はだんだんだんだん視野が狭くなりまして、そういう相談に来られた方は何回も経験がありますから、そういう意味でも、やっぱり、これは政府広報のテレビのスポットで流しなさいということで流せるようになったようですから、そういったことまで含めて、本当にかゆいところまで手が届く、まさに被災地の方々の立場に立って推し進めていきたいというふうに思っております。

どうもありがとうございました。

(以上)

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