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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年11月4日(金)10時28分~10時50分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

現在、ご存じのように総理及び財務大臣がカンヌに行かれておりますが、金融をお預かりする大臣として、ギリシャ情勢等を含め、金融市場の動きについて、閣僚懇の場で一言お話をさせていただきました。

ギリシャについて、様々な報道が流れる中、今朝にかけての相場はECB(欧州中央銀行)の利下げ等もあり反発しておりますが、引き続き緊張感を持って欧州等の動向について注視していきたい旨発言させて頂きました。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

今冒頭お話ございましたけれども、今回ヨーロッパの信用不安の対応が焦点になるカンヌ・サミットですけれども、ギリシャの対応が非常に注目される中で、今回のサミットに期待することを大臣、改めてお願いできますでしょうか。

答)

期待することということでございますが、現在の国際的な金融経済情勢の下で各国が緊密に意見交換を行い、適切に協力していくことは極めて重要であり、カンヌ・サミットにおいて、世界全体の経済・金融の安定に向けた有意義な議論が首脳間でなされることを期待いたしております。

また、カンヌ・サミットにおいて期待される面というお話でございましたが、国際金融規制改革も議論されると承知いたしておりまして、国際金融規制改革については、金融システムの強化を図る一方で、実体経済への影響についても十分に配慮し、両者の間の適切なバランスをとること、それから資本規制の強化のみに偏ることなく、適正な検査・監督の実施や破綻処理制度の整備など、多様な施策を包括的に実施していくことが重要であると考えており、これは従来からの日本国の立場でもございますが、わが国は今回のサミットにおいても、こうした姿勢で臨んでいると(いうことです)。

私はよく申しますけれども、1929年の後の世界と今度のリーマン・ショックの後の世界は、1929年のアメリカに始まった大恐慌の後は、世界の経済が非常にブロック化して、それが第二次世界大戦の遠因の一つだと、後世の歴史家から言われるわけでございますが、今回のリーマン・ショックの後は、やはり世界がG7、G20というように非常に協調して、色々な国益はあるわけですけれども、少なくともG20ということできちんと話合いをしているということは、私は人類の進歩だと思いますので、そういった意味で非常に私は、今言いましたこの国際金融規制改革も、何回も何回も中央銀行総裁、あるいは金融監督者の最高責任者の会議を事前に開かせて頂いて、国際的に合意をした内容でございますから、そういったことをカンヌ・サミットできちんと最後に取りまとめる、決定するということでございますから、私はそういう意味では1929年と、21世紀でございますが、かなり人類は進展をしたと、半歩でも進展したというふうに思っております。

問)

証券会社各社の決算出揃いましたけれども、大手含めてかなり悪い数字が出ていますが、大臣のご所見をお願いします。

答)

主要証券会社24社でございますが、上場しているところだと思いますが、平成23年の9月期中間期決算が、投資信託の販売が減速感はあるものの、概ね堅調に推移した一方、市況の低迷による株式売買代金の減少、資金調達案件の大幅な減少などから、24社中11社が赤字計上となったことは承知をいたしております。

ちなみに、2010年9月期では、9社が赤字計上でございました。

そういった中で、個別の証券会社の決算については、コメントすることは差し控えさせて頂きたいと思いますが、金融庁としては、証券会社の財務状況やリスク管理の状況について、引き続き注視してまいりたいというふうに思っております。

問)

ギリシャの問題は、今、前進しているのか、後退しているのか、どういうふうに分析されていますか。

答)

その辺の情報が、非常にまだ錯そうしておりまして、一遍は国民投票するというふうなことが報道として流れましたけれども、また、フランスの大統領、ドイツの首相と話をされたようでございまして、かなりの激論があったようには報道されておりました。少なくとも、それから国民投票すると言った後に、これは報道ベースの話ですが、今度は、ギリシャの財務大臣が、国民投票はしないというふうなことを言っておられます。いずれにいたしましても、今日、信任投票するというような話もございますし、まだ実は混沌といたしておりますけれども、私は、日本国の金融を預かっている責任者として、やはりギリシャの問題だけにとどまらず、これはEUという27か国、それから統一通貨ユーロをつくった17か国、私は何回かこの席で申し上げましたように、人類というのは、主権国家というのを17世紀以来ずっとつくってきたわけです。主権国家というのは、当然ご存じのように主権国家でございまして、それを半歩踏み出したということを、私、何回か申し上げましたようにEUだとか、お金に関しましては、ユーロは統一通貨ですから、言うなれば国家として金融政策を放棄するようなものでもございます。

そういった意味で、やはり、みんな27か国は、ヨーロッパという共通の、やはり広い意味で見ればギリシャ・ローマ文化の末裔です。それからキリスト教圏にある国が、ここ200~300年間世界をリードしてきたのは、まあ、陰も日なたもありましたけれども、産業革命を中心するヨーロッパ文明であったのは間違いない事実だと思います。そういった中で、やはり半歩先を行っているということでございます。なおかつヨーロッパというのは大変大きな経済体でもございますし、アメリカに匹敵するような大きな経済体でございますから、ここの経済、特に、金融、通貨、こういったことは、きちんと安定して頂くことが日本国にとっての利益でございまして、今、(日本の企業は)円高で大変苦しんでおられますけれども、円高もここら辺に、非常に世界の構造的な要因に引っかかっているところがあるわけでございます。そういった意味でも、ギリシャはじめヨーロッパの方々が、大所高所に立って、私も議会人でございまして26年間、議会人をしておりますけれども、与党・野党、日本でもねじれというような状態がございますが、やっぱり、半歩でも大局に立つことが、私は今、グローバルな世界の中では必要なことだと、そういうふうに思います。

そういった意味で、ギリシャの首相をはじめ、ギリシャ国民のそんなところを考えた、やっぱり世界のことを考えたものであり、何と言っても、世界で最初に民主国家が作られたのは、ギリシャのアテネでございます。

そういった意味で、今、議会制民主主義、あるいは自由主義経済、あるいは人権とか、自由と平等という大きな概念の上にヨーロッパ文明があるわけですし、世界の潮流というのはそういうふうに流れております。そういったことも自覚して、きちんとEUが経済的に、金融、経済、財政問題、色々な困難が日本にもありますし、ましてやEUにもそれぞれありますが、小異を超えて大同に付くと申しますか、人類が今、そういった歴史の過程にあるのではないかというふうに私は思っております。そういった意味で、私も非常にギリシャ問題はしっかり金融担当の責任者でもございますし、ギリシャをめぐるEUのユーロ、それからヨーロッパの問題は、ヨーロッパをめぐる世界やG20、BRICsという国も決して他人事でなくなってきたような感じになっております。そういった意味で、非常に世界の経済は相互に関連しておりますから、私は、人類にとりましても、日本国にとっても、やはり特に金融でも経済でも、非常に大事なところだろうということで、しっかり緊張感を持って注視しておきたいというふうに思っております。

問)

リスクは高まっているというふうにご覧になっていますか。

答)

リスクは、国民投票する、しないということで、確かに金融情勢は不安定でございますが、ここ1日、2日、国民投票するというふうにギリシャの首相が言われまして、確かに、リスクは高まっているというふうに私は思っています。

ただし、これは、そういうことでございますけれども、また、それをきちんと改善しようということで、フランスのサルコジ大統領、あるいはドイツのメルケル首相、それから昨日はフランス、ドイツ、スペイン、イタリアも会合をしたというような情報も得ていますし、やっぱり一生懸命EUの方々が本当にご努力していると(思います)。リスクがあるけれども、それを何とかきちんと納まるように努力をしている最中だというふうに私は思っております。

これにアメリカも、今日の一報道にすぎませんけれども、サミットが終わった後、アメリカの大統領も入れて、フランス大統領、ドイツのメルケル首相らと話をするということでございますし、ギリシャの首相も国に帰られたようでございまして、今日、閣議をするとかというふうな情報も入ってきております。非常に流動的でございますから、日本国政府としても、もう集めておりますけれども、きちんと情報を集めつつ、基本的に日本は、ヨーロッパのことはヨーロッパで決めて頂きたいと、その決めた後は、きちんと協力しますよというのが日本国の基本的な立場でございます。そんなことで、特にその辺で、しかし、そうは言っても、まさにギリシャの情勢、ヨーロッパの情勢、ユーロの問題、ドルの問題が即円高に結び付いてくるわけですから、当然ですが、非常に密接に関連していますので、そういったことを含みつつ、しっかり注視していきたいというふうに思っております。

問)

ギリシャ危機に関連してですが、これで欧州の金融機関が資産圧縮のために、例えばアジアの出先を売却するとか、そういう案件がメガ(バンク)を中心に日本の金融機関に大分持ち込まれているようですけれども、これは救済するというような面もあるのかなと思うのですが、この流れを、あるいは今後メガ(バンク)が出資や資産買取りをするとしたら、そのことをどんなふうに大臣としてはご覧になりますか。

答)

その情報は、今、私には上がってきておりませんけれども、しかし、一例を申しますと、3年前にリーマンブラザーズが破綻した後、アジアのリーマンの分は、たしか野村證券が買われたのです。ということもございましたし、かなり日本は今円高でもございますし、そういった意味できちんと世界に貢献できるところは日本の企業として貢献して頂くということは、私は広い意味で見てそういう流れも出てくるかも知れないし、それは人類全体のウェルフェア(福祉)といいますか、特に、今、アジアが成長拠点であることは、全世界の方々はみんな共通しているわけです。アジアにおいてきちんとやっぱり金融・経済情勢というのが安定するということは、成長分野にしっかり融資できるといいますか、アジア全体としての金融の仲介機能も非常に必要です。

その中で、日本の金融機関が貢献できることがあれば、それはそれで私は、金融を預かる(者として、)日本国は、色々言われてもまだ日本国は世界のGDPの3番目の国家でございますから、やはりそういったことを支えるということがあれば、私は決して悪いことではないというふうに思います。

問)

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の閣僚会合に、結局、入られたのかどうかと。

それともう一つは、ご出身の医師業界が農協以上に強硬に反対をしているようですが、このことについてはある種、医師の立場も含めて、どうお考えになるかを伺わせてください。

答)

これは、この前も質問が出まして、TPP協定については、政府としては被災地の農業の復興にも関係しており、その点を踏まえ、さらに国際交渉の進展、産業空洞化等の懸念等も踏まえ、しっかり議論し、協定交渉参加の判断時期について総合的に検討し、できるだけ早期に判断することとなっています。

今、後半の大事なところの質問ですけれども、私は国民新党の副代表でございまして、同時に民主党と国民新党は連立内閣でございます。私は、国民新党の副代表として連立内閣のそういう大きな枠組みの中で、今、野田内閣の一員であるわけでございます。

しかし、我が党代表の亀井静香さんはじめ、非常に色々発言をしておられまして、そういった意味で、党首は色々発言しておられますが、まだ実は関係閣僚(会合)の日程は連絡が来ておりません。それから、野田総理からTPPのことについて特別なご意見は一遍も、実は閣議の閣僚懇でもございません。そういったことも踏まえて、所属政党も一色というわけでもございません。色々な意見がございますし、特に、松下(忠洋)君なんか、経産副大臣を2年間していますし、色々立場はございますが、そこら辺については、亀井さんは非常に大人でございますから、そういったこともあって、私は前々から言っておりますように、今、野田内閣の一員でございまして、政党人を26年間させて頂いておりますけれども、今の時点で、この前も質問が出ましたけれども、「自見さん、反対なのか、賛成なのか」と、こういうことを言われましたけれども、私はやっぱりそこはきちんと政党人としての信義に基づいて、どうだ、こうだと言わないのが、私の政治家としての矜持だというふうに思っております。

問)

大臣、非常に難しいお立場であられるというのは分かっているので、TPPに賛成か反対か今言ってほしいと申し上げたのではなくて、ご出身の医師会が反対していることについてどう思われますか。

答)

それはね、私自身、紛れもない医師会員でございまして、父の時代から、昭和10年から医師会員でございます。

医療というのは、やっぱり私は、これは閣僚の立場を離れても、私は前から日本の女性が世界で一番長く生きるのです。89歳まで生きるのは、日本国民の女性でございます。男性も世界で何番目かに(長く)生きると。WHO(世界保健機構)というのが、ジュネーブ、国連の附属機関としてありますが、そこが世界196か国、医療保険制度を全部、国のシステムとしてランクづけしまして、そこでは、日本の国民皆保険、公的医療保険が世界一だと。これはアクセスが簡単であると。ご存じのように、保険証一枚持って行ったら、どこででも(医療機関に)かかれるのです。

アメリカは、非常に病院が区別されていまして、主に民間医療保険ですから、うちの民間医療保険では、ここの病院にはかかれるとか、かかれないと、私もアメリカの(大学の)先生をしておりましたのでよく知っていますが、そこは非常にアクセスが自由じゃないのです。

それからもう1点は、コストも、これは日本国内では色々言われますけれども、(2005年に)OECD(経済協力開発機構)でGDP当たりの医療費が一番少ないのは日本国でございまして、そういう意味では、10年間、財務省が貫徹してきた医療費抑制政策というのは見事に達成したわけでございます。政権交代したときに、これは私が政策の中心になりましたが、「コンクリートから人へ」というふうに(元総理大臣の)鳩山さんが言いまして、10年ぶりにほんのわずかでございますが、(診療報酬を)プラス0.19%でございますが(改訂しました)。政権与党の選挙前の公約でもございましたし、それから選挙後も公約になっておりますし、それから3年ぐらい前を考えてみたら、町の中でも産婦人科のお医者さんがいなくなる、あるいは小児科のお医者さんがいなくなる、医療崩壊だと大変社会的問題にもなりましたし、皆さん方も大変色々キャンペーンを張って頂いたような新聞もございまして、国民が大変不安を持っておりました。

そういった背景もあって、「コンクリートから人へ」ということで、わずかでございますけれども、プラス0.19%にさせて頂きました。

問)

大臣すみません、医療危機の話を聞いているのではなくて(医師会が反対していることについての見解は)。

答)

そういったことは、日本の場合は、公的医療保険が実にうまくいっているのです。ヨーロッパの国も全部公的医療保険です。アメリカだけ、ご存じのように4分の1しか公的医療保険がないのです。3分の2は私的医療保険なのです。それがTPPを結ぶということで、医師会はじめ非常に危惧しておられる。日本は株式会社が医療をすること、病院をすることは禁止してありますけど、アメリカは、病院を巨大な株式会社が運営しているところが沢山あるのです。そういった、一つの思想の違いですけれども、やっぱりそこまでは日本はやり過ぎじゃないのというのが、多分、医師会が反対した理由だと思います。

そうしますと、アメリカの場合、貧乏な人が4,700万人、公的医療保険、民間の医療保険にも入ってないのです。それをオバマさんがこの前、法律を変えて、4,700万人の所得の低い方でも、人の命は所得に関係なく平等だということで改革されたのです。ですから、そこはちょっとヨーロッパの国、日本とアメリカとでは、国の成立が違います。

問)

大臣、ですから、そうすると、医師会の主張には理解ができるということなのですね。

答)

ええ、理解できます。

問)

TPP反対ということが(理解できる)ということですね。

答)

はい。(議論が)そこまで来るか、来ないかという話もございますけど、基本的にはやっぱり日本が戦後進めてきた医療政策の基本理念、官と民とのベストバランスといいますか、それがうまくいっているわけですし、日本が言っているだけではなくて、WHOはそれを認めているわけですから、そういう意味でも、いいところはきちんと伸ばしていく必要があると思っています。

どうもありがとうございました。

(以上)

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