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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年11月15日(火)19時15分~19時40分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は特別に遅くなりましたけれども、ございません。(午前)9時から予算委員会がございました。

【質疑応答】

問)

欧州の債務問題について、懸案だったイタリアで、首相交代など前進が見られたと思うのですけれども、一方で、依然不透明な部分も多いと思うのですが、どのように見ていらっしゃるかということ。

答)

イタリアについては、このところ国債利回りが上昇しており、首相交代を機に、先日でございますが、10月26日のEU及びユーロ圏首脳会合で約束した財政再建の着実な実施が期待されるところでございます。金融庁といたしましても、引き続き市場の状況を注視してまいりたいというふうに思っております。

問)

銀行の決算についてなんですけれども、メガ(バンク)や大手銀の中間決算が出そろったと思うのですけれども、その中身について、国債収益依存の高さなどを確認された部分もあると思いますが、銀行のビジネスモデルについて、今回の決算を受けてどのような感想を持たれたのかということをお願いします。

答)

本日、15日までに公表された主要行等(7グループ)の決算を見ると、各行でばらつきがありますが、全体として言えば、与信関係費用が減少し、国債等債券関係損益が引き続き好調である一方、資金利益や株式等関係損益が悪化する中、平成23年9月末までの最終的な利益、中間期純利益ですけれども、各グループ業績予想を上回っているものと承知をいたしております。

当庁としては、引き続き、銀行経営の状況について注視してまいる所存でございます。

問)

マガジンXの神領です。自賠責保険の件で、大臣にもぜひご見解を賜りたく(質問します)。何かというと、政府保障事業があります。その中で無保険者への扱いと、それからひき逃げ犯の被害者に対する賠償金、損害金というのは、現状自賠責(保険の財源)から立替え払いがされているわけですが、無保険者に関しては458億円、1955年以来たまっているものがあって、これの回収率が約28%と、これは国交省から出ております。一方で、ひき逃げのほうは、残念ながら国交省と金融庁、あるいは警察庁、法務省との連携がないのでしょうか。現状、1955年から56年ぐらい経つのですかね、この間実は1円も回収がされていないと。本件を国交省の保障制度参事官室に確認すると、なかなか55年以来の累積の立替払い金の数字を出してこないのです。金融庁でも出しているのですが、過去5年分だけは出してきまして、これがひき逃げ分で86億円あると。22年度からさかのぼること18年度までの5年間で補てん残高が86億円あります。推計すると、無保険者の500億円に迫るか、あるいは超えるぐらいの累積立替金があるようだと。合計で1,000億内外はどうもありそうなのですが、再来年度、25年度にまたもう一回自賠責保険は料率が上がります。ですから、一般会計の6,000億と合わせて、この立替え払金1,000億をたなざらしにしての料率引き上げというのは少々しんどいのかなと思うのですけれども、その辺の大臣の見解をもらいたいと思います。

答)

ひき逃げ犯の被害者に対して、政府が自賠責保険の財源から立替えて払った賠償金について、ひき逃げ犯から回収できていない額は458億円に上がる旨を会計検査院が指摘したという話は聞いておりますが、2013年に自賠責保険料を引き上げることに対する金融庁の所感如何にと、こういう質問だと思います。

私の聞いていたところは、ひき逃げ犯から回収できなかった額が458億円だというふうに会計検査院から指摘されたという話は聞いておりますけれども、いずれにしてもひき逃げ犯の被害者を救済するため、政府が賠償金を立替えて支払う、政府保障事業については、その事業を所管する国土交通省が、未回収金を少しでも回収すべく、努力しているものと私は承知をしております。しかし、政府保障事業の財源は、自賠責保険契約者から徴収されており、このため、ひき逃げ犯からの回収状況が、自賠責保険料にも影響することは事実であります。自賠責保険は国交省と金融庁の共管だという話を聞いておりますけれども、いずれにいたしましても、保険料の水準は自賠責審議会(自動車損害賠償責任保険審議会)での審議を経て決まるものであるため、金融庁としては、その結果を踏まえて的確に対応してまいりたいというふうに思っております。

問)

補足なのですけれども、ひき逃げと無保険と二つあるのです。無保険が458億円なのです。無保険のほうを会計検査院が指摘したのですが、ひき逃げのほうは指摘していないのです。同じぐらいあるので、両方で(約)1,000億円あると思われているのです。会計検査院が指摘したのはあくまでも無保険者分の立替分だけです。

答)

ひき逃げ犯から回収できなかったのではなくて、これは無保険者なのですね。

問)

そうです、無保険(者から)が回収率28%、ひき逃げ犯(からの回収率)は0%です。

答)

了解しました。ちょっと私もそこのところ、そういうふうな情報が上がってきていたもので、少し次回までによく勉強してきます。

問)

通信文化新報の園田です。TPP(環太平洋経済連携協定)の事前交渉で、アメリカが郵政の優遇措置の見直しを求めたという報道があって、もし仮にそれが事実だとすると、法案が通ったとしても、TPPのルールが優先されることになるということで、郵政改革にすごく逆行していくのではないのかなと懸念が(ありますが)、その見解をお願いします。

答)

ご存じのように、この問題は今日も予算委員会で出ておりまして、私は答弁をさせていただいたわけでございますけれども、特に「USTRのカーク代表が11日の記者会見で、日本がTPP協定の交渉に参加する際の事前協議で、郵便貯金や簡易生命保険の業務範囲拡大の是非を議題に取り上げる意向を示した」という報道があるということございますが、それで事実関係如何にということでございます。そのような報道があったことは承知しておりますが、現段階で予断(をもってお答え)することは差し控えたいと思っております。いずれにいたしましても、USTRのカーク代表は記者から、保険市場について、米国の関心事項かと問われたのに対し、それらの分野が米国にとっての懸念事項であり、これまでのとおり、二国間で働きかけていく旨、述べたと認識しております。いずれにいたしましても、郵政改革法案については、第12条で、郵政事業は、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものとすることを基本方針としております。この基本方針の下、「経営の自主性」と「競争条件の公平性」のバランスの取れた設計としているところでございまして、これは実は非常に気を使って法律を作らせていただきました。外務大臣からも、また外務省からもきちっと話を聞かせていただきまして、そういうことを含めて、WTO協定を始めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうに私は強く考えております。その上で、国際約束との整合性を確保していく考えでございます。

今日、国会でも申し上げましたように、そこは非常に大事なところですから、経営の自主性と競争条件の公平、私も実は昨年8月、アメリカに行きまして、向こうの財務省のブレナード次官とお話をしたときに、アメリカはご存じのようにバイで、2国間では言ってきているのは事実でございまして、私自身も、その時にそのことをブレナード次官から問題提起されました。私も今言ったように、経営の自主性と競争条件の公平性のバランスのとれたこととしてあるので、この作った法律はWTO協定を始めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうな考えを、結構長い時間きちっと話をしてきました。我が国は主権国家でございますから、国際約束との整合性を確保していくという考えでございます。

問)

郵政改革法案で外資規制の部分はどんな感じに(なるのでしょうか)。

答)

WTOの規定により外資規制は金融の場合はかけられないのです。しかし、ご存じのように法律によって(株式の)3分の1(を政府・親会社が)持つようになっておりますから、定款の変更は3分の1あれば拒否できます。そういったことで、法律の組立てを見ていただければ分かるように、(株式の)3分の1を政府、あるいは親会社が持ちますので、金融2社のユニバーサルサービスをきちんと(行い)、10年経てば、今の法律だと金融2社の株式を100%売ってしまってもいいということになっています。そこは(株式を)3分の1持っているということで、そういう定款があれば重要事項をきちっと拒否できますので、そういった意味で、定款の変更等の株主総会の特別決議事項になっておりますので、政府は単独で拒否できるものであるということで、ユニバーザルサービスを確保するために必要な措置がとられているというのが、今度の法律の立付けでございます。

同時に、よく誤解して言われるのでございますが、ゆうちょ銀行、あるいはかんぽ生命は銀行法、それから保険業法が適用された一般の株式会社であり、仮に破綻しても、他の民間銀行、保険会社と同じく、破綻法制やセーフティネットの下で処理がなされて、その預金者、保険契約者も民間の金融機関と同じ範囲内、あるいは範囲限度において保護されるものでありまして、いわゆる預金保険機構にも当然でございますが入っておりまして、いわゆる暗黙の政府保証は存在しないという、そういう建付けの法律になっております。

いずれにいたしましても、郵政改革法案の第12条で、郵政事業は同種の業務を行う業者との競争条件の公平性に配慮することを基本としておりますので、この基本方針の下、何度も申して恐縮でございますけれども、経営の自主性、競争条件の公平性のバランスのとれた設計としているところであり、郵政改革法はWTO協定を始めとする国際的枠組みの基本的精神に反するものではないというふうに考えております。その上での国際約束との整合性を確保していく考えでございます。今、言いましたように、銀行、保険を含む金融サービスにおいては、WTO協定上、外資規制を行うことはできないのです。そういうのがWTOの規則でございます。

問)

先週の金曜日の閣僚委員会で総理のTPP参加の方針に賛成するということを表明されたと思うのですが、その後(国民新党の)亀井代表とその件でお話をされましたか。

答)

下地(国民新党)幹事長には当然了解を得て、松下(経済産業)副大臣とも相談をして、国民新党は反対の意見が非常に強くて、TPP反対ということでしたが、今回私は閣僚の一員として、私が閣僚、松下さんは(経済産業省の)副大臣でございますが、下地幹事長とも相談をしまして、郵政改革、ここまで来たわけでございます。一般的質疑といえども、法律の内容に触れるような、ご存じのように郵政改革法案が衆議院の郵政改革特別委員会で審議をされたわけでございます。そういった意味で今国会中に、私はこれはベストな法案だと思っていますけれども、亀井さんと(民主党)野田代表の間では「修正を含めて」という言葉も入っていますように、そういった意味で、今国会の間に通過するというような約束もしております。そういったことを考えて、総理も1日延ばして重たい判断だったと思っておりますけれども、この法律、郵政改革法案、これは国民新党にとっては一丁目一番地でございまして、一番大事な立党の理念のような法律でございます。そういったことを鑑みまして、当然、閣僚委員会では国民新党は反対だということを申し上げましたけれども、私は野田内閣の一員でもございますから、そういった重たい野田総理の判断を尊重するというふうに申し上げたわけでございます。

問)

亀井さんとは、その後直接やりとりというのはなかったのですか。

答)

電話で色々話しています。私の場合は閣僚ですから機微に亘ってといったら悪いけれども、色々なことは相談しています。

問)

亀井さんは、何かそのことについて大臣におっしゃったのでしょうか。

答)

それはお互いのことですから、私がこういう公式の席できちっと言うわけですから、お互いに(私が)26年間、この(亀井代表は)30数年国会議員ですから、やはり国民新党の党是といいますか、それは(国民新党元代表の)綿貫さんの時代から、これはもう何回もいいますように、小泉さんと竹中さんが、構造改革の一丁目一番地だといって郵政を5分社化したわけでございます。そういった5分社化の弊害が非常に現れているということで、市場原理主義だとか、行きすぎた規制緩和だとか、やはり小泉さんがしたことに反対して我々はみんな離党したわけでございます。世界中でそういった一つの価値観といいますか、市場原理主義、あるいはまさにアメリカ、あるいは自由主義社会を横溢していた、お金とマーケットが一番至上のものだというふうな考えがリーマン・ショックによって破綻をしたというふうに我々は考えております。そういった意味でリーマン・ブラザーズまでの、そういったすべてのものが、お金とマーケットが地域よりも、国家よりも、優先するという行き過ぎた考えがあったと思います。日本においては、その代表的なものが郵政民営化だというふうに(思っております)。これは、小泉さん自身が構造改革の一丁目一番地だと言われて、はっきり言えば、あれだけ手荒い、(すなわち)参議院で否決、衆議院で可決、にも関わらず衆議院を解散したわけですから、そのことに大変強く反対をしたことが、国民新党立党の精神ですから、そういったことをしっかり、原則は原則として大事にしていきたいと思っております。

世界の方が、逆に行き過ぎた市場原理主義、行き過ぎた規制緩和、小さな政府で格差拡大、あるいは弱者切り捨て、ワシントン・コンセンサスということを当時言っておりましたけれども、そう言ったことがアメリカにおいても破綻をしてきたのではないかなと、私はそういう考えを持っております。そのことがやっぱり国民新党の立党の精神だと思いますので、もう皆さん方よくお分かりですけれども、そういったことで、何も一法律でなくて、非常に時代を象徴する非常に大きな法律だったというふうに思っております。

問)

先週11日にオリンパスの件で声明文を出されたのですけれども、その後金融庁なり監視委員会の対応というのはどういう対応をとっていらっしゃいますでしょうか。

答)

ご指摘のようは報道があったことは承知をしておりますが、個別事案に関する事項でありまして、コメントは差し控えたいと思っております。しかし、金融商品取引法上の法令違反に該当する事実があると認められる場合には、証券取引等監視委員会において、厳正な検査等が行われるものと承知しておりまして、本件においても、必要な対応がとられるものと考えております。

問)

東洋経済の井下です。以前も質問があったのですけれども、(中小企業金融)円滑化法の申請をしている企業でも、倒産件数が増えてきていると。信用調査会社の集計ですと、円滑化法を申請しても結局倒産をしてしまう企業というのが今足元で増えてきているという状況がありまして、この現状というのはどのように今受け止められておりますか。

答)

私が少なくとも今持っている情報だと、中小企業金融円滑化法で少し倒産が減ってきたというようなことがありますが、やはりここのところ円高もございまして、それからヨーロッパのソブリンの問題、それからアメリカの景気の下振れリスクの問題等々、非常に景気が思わしくないというのが世界の経済の実態でもございまして、そういった意味で非常に企業は、特に日本の場合は円高で、私の選挙区でも輸出関連産業の中小企業が多いのですが、そういったところは為替の介入とか、あるいは円高対策、今度第3次補正予算でもやりますけれども、そういったことが関係あるのかなというふうに思っております。

特に私がこの前申し上げましたように、中小企業金融円滑化法というのは、この前全会一致で延長させていただきました。色々日本の地方を回って、金融機関にも、それから中小企業団体にも、私は中小企業金融円滑化法を延長すべきだということで各党からご理解いただいたわけですけれども、今度は金融というのは私から言うまでもなく、金融規律ということが大事ですから、そういったことも含めて、やはり私が国会でもよく言っていますように、私が所掌しているのは民間金融機関でございますから、民間金融機関を所掌する人間として、貸付原資は一般の人様から預かってきた預金でございまして、金利をつけて返すというのが民間金融機関の原則でございます。当然、金融機能強化法などもつくらせていただきまして、補強対策、あるいは震災特例のようなこともさせていただいておりますが、これは当然のことだと思っておりますけれども、そんなことも色々なファクターを考えながら、しっかり立ち止まって考えたいというふうに思っています。

問)

そういうことで言いますと、来年の期限切れというところがあると思うんですけれども、そこも期限切れで、あとは金融機関の個別判断に任せるほうがいいというようなところなのか、それとも再延長というのが必要なのか、今の大臣のお考えとしてはどのような。

答)

私は今白紙の状態で、色々な状態、ご意見をしっかり聞かせていただきたいと思っております。

問)

財務局長会議のほうでもそういう報告が10月末に出ていると思いますが、去年のように金融機関を集めての意見交換会などのようなもの、去年ですと12月に行いましたが、その辺は予定されていますか。

答)

年末は各企業、色々資金需要の多いときですから、当然そのタイミングに合わせてきちんと金融機関にお集まりいただこうと思っています。

(以上)

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